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山梨県都留市/大月市(標高1580m)   中央本線笹子駅の南西6km。笹子から三ツ峠山に登るところにある。


以前、新宿を朝7時過ぎに出る普通列車があった。

山梨方面の日帰りツーリングにはよく利用していた。

今回も、この列車で笹子まで輪行である。

甲州街道は交通量が多いが、峠への分岐に入ればもう車の音も聞こえなくなってくる。

しばらくはうっそうとした木立の中を行く。

木々に覆われて、周囲は薄暗い雰囲気だ。

しだいに道は狭く細くなり、乗ったり押したりしながら行く 。

いよいよ乗れなくなり、道は山道の様相を呈してくる。

ハイキングコースゆえ、担ぎは当然想定していたが、なんと雪が現れた。

もう5月になろうというのに、まだ残雪があったか…。



この当時まだ、今みたいなトレッキングシューズがない時代だった。

我々はいわゆるサイクリングシューズなる、底が皮張りの靴を履いていた。

ペダリングには最適なサイクリングシューズも、雪の上ではスキーの板みたい だ。

それはもうよく滑る滑る。 また、防水性もないものだから徐々に指先が濡れてくる。

幸いなことに積雪もたいしたことなく、大事には至らなかったが、辛い担ぎであった。

峠には小さく「清八峠」の道標があった。

苦労した峠だけに喜びもまた格別だ。

日も傾き、下りにかかる。

また、崩落個所が所々あり、その都度自転車の手渡しで切り抜ける。

ソロでは突破できない崩落であた。


 

峠からの下りでは、富士山の絶景が飛び込んでくる。

その大きさ、迫力に思わず立ち止まってしまう。本当に美しい姿だ。

御坂峠からは、舗装のダウンヒルを豪快に下る。


(1975/4 走行)


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