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福島県耶麻郡猪苗代町、磐梯町
今から約100年前、磐梯山の噴火によって生まれた磐梯高原。
大小200余りの湖沼群が点在する、水と緑の美しい高原。
夜行を郡山で乗り換え、猪苗代へ降り立つ。
紅葉の季節、どんなに色づいているか期待に胸が膨らむ。
今回のツーリングはYHに一泊しての裏磐梯巡りだ。
しかし天候は冴えず、出発の段階から小雨模様だ。
不安の中、五色沼を目指す。
季節がら、観光客が多い。そんな中、自転車を押して五色沼へ入る。
名前の通り、何色にも色どられた沼が点在している。
エメラルドグリーンとも、スカイブルーとも、なんとも形容のしがたい美しい色彩が現れる。
自然の作り出す見事な色に感動させられる。
雨の気配を感じながら走り出す。
10月にもなればそこそ寒く、ヤッケのフードを頭からかぶり、じりじりと登っていく。
標高が高くなるにつれ、山々の色彩がより鮮やかになってくる。
見事な紅葉にめぐり合うには、その年の天候や、気温などかなりの幸運が必要であるが、今回は最高のタイミングでやってきた。
視界に入るすべて、全山紅葉のピークを迎え、本当に美しい限り。
言葉がでない。
燃ゆるような「赤」、鮮やかな「黄」。
なんていい色なのだろう。登りの辛さをまったく感じさせない程の芸術品だ。
惜しくは快晴であれば、さらに感動を与えてくれる視界が待っていたことだろう。
土湯峠への登りになると、急激に天候が悪化してきた。
霧が周囲を白く覆い、視界がまったくなくなってしまった。
せっかくの名所も、この天候ではまったく何も見えない。
さらに気温もかなり低くなり始め、逃げるように先を急ぐ。
湖見峠にさしかかると、多少視界は開けたが、それでも一面真っ白の霧に覆われ、パノラマの楽しむどころでは ない。
晴れていたら、さぞ素晴らしいことだろう。
吾妻小富士では、強風で飛ばされそうになり、また福島へのダウンヒルでは、生まれてはじめての経験「ダウンヒルをバックで登った」のである。(下り坂で向かい風、強風のためブレーキレバーを離すとするすると逆送する)
天気は冴えなかったが、見事な紅葉に大満足のツーリングであった。
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