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長野県南牧村   小海線佐久海ノ口駅西。


誰の足跡もない新雪の林道に、自転車の轍を残したい。

そんな気分になったことはないだろうか。

夜行で新宿を出た頃は、雪の気配はまるでなかった。

しかし、小淵沢で小海線に乗り換える頃、願いがかなったのか、雪が降り始めた。

組み終わる時には、あたりは白い世界になっていた。

恐る恐る走り出す。

舗装の路面は滑るが、林道に入ってしまえば雪もまた楽しい。

我々を待っていてくれたのは、ウシさんたちだった。

この寒い中、物好きな人間もいるものだ、という顔でこちらを見ている。

牧場の主人に誘われ、小屋で休憩となる。

おまけにストーブで焼いたステーキまで御馳走になってしまう。

そして持ってきた「ゆであずき」でかき氷を作る。

五臓六腑にしみわたる冷たさだが、これが最高にうまい。

真冬のポタリングは、白く、美しく、そして静かだ。

なぜか心まで真っ白になれる。

そして、雪遊びは、いくつになっても楽しい。


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