峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’1986 > 信玄棒道
山梨県大泉村、長坂町、小淵沢町
武田信玄が北信濃攻略のために開発した軍道で、八ヶ岳の麓を直線に近い最短距離で切り開いているところからこう名づけられた。
今回は、「旧道を探る」より信玄棒道を行く。
( ニューサイクリング 1983年10月号 No.230 より )
1月の茅野駅に降りる。
明け方の極寒のなか、指がろくに動かず組み立てに時間がかかる。
正月そうそうのツーリングだから、店も開いていない。
食料を手に入れるのに苦労する。
空気の冷たさが肺から胃まで染み渡る。
静かな早朝をのんびりと走り出す。
原村周辺は、北海道を思わせる広大な景色が広がる。
別荘地の中を良質のダートが続く。
ゴルフ場のグリーンの上でランチとなった。
あまりの寒さに、ボトルの水が凍っている。
棒道は霜と馬糞のおかげで粘土状態。
42Bのタイヤではガードがすぐに詰まる。
しかし、楽しい所だ。
転んで倒れても柔らかい芝のおかげで痛くない。
次々現れるテクニカルポイント。
こんな岩場も現れて、乗ったり、降りたりと忙しい。
結構息も弾んでくる。
ここはやはりランドナーで走るところではなさそうだ。
MTBなら、もっと豪快に楽しめるだろう。
すっかり棒道を楽しんで、ようやく舗装路に出る。
ぱっと開けた視界の先に、雄大な富士の姿が飛び込んでくる。
やっぱり何度見ても富士の姿は美しい。
冬場の日没は早い。
暗くなる前に下り始める。
日が傾き始めると、風が強くなり一気に気温が低くなってくる。
震えながらのダウンヒルとなった。
駅についてさっそく分解するが、寒すぎて指が動かない。
駅舎内にはストーブが炊かれているので、一刻も早く袋に収めたい。
寒い、寒いと叫びながら、かつてないほどバタバタしながら片づける。
いやあ、本当に寒い輪行だった。
ホームで列車を待っている間も、ブルブル震えていた。
1月にこんなところに来るもんではない。
(1986/1 走行)
所要時間:7時間17分 走行距離:35.3km 最高速度:60km
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