峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’1988 > 北アルプスキャンピング・小熊黒沢林道




●1988年8月13日

今年もキャンピングの季節になった。 毎年毎年 、コース決定に頭を悩ませているが 、今回もまた同じだった。

那須、塩原、あるいは南アルプスといろいろ考えたが、結局ニューサイの紹介コースを二つ繋げて決定。


出発は久しぶりに夜となった。

以前青木湖へ行った時に、かなり時間がかかった記憶があるので、余裕を持って030分発とした。

順調に高速を走り、430分には目的地に着いてしまった。
 


北アルプスの山並み、高瀬川の河川敷、早朝、そして日の出。

天気の良さと眠さから、シュラフを敷いて仮眠とする。


東京の長梅雨、冷夏が嘘のようで、ようやく夏の日差しを浴びたという感じである。

ほんの数時間でここまで来れることが嘘のようで、開通した長野道の威力は絶大である。


いよいよ出発。

今日から三日間、また楽しいツーリングができると思うとワクワクしてくる。
 


まずは川沿いに走り、松川橋を渡る。

しかし暑い。本当に暑い。ジリジリ焼けてくる。


すかさず休憩。

ろくに走りもせず水分ばかり摂っている。
 


いよいよ登りがきつくなってくる。

大峰牧場への標高差は約400 M

炎天下の中、キャンピングの登りはかなりこたえる。
 


なんとか大峰牧場レストハウスに到着。

予定ではもうちょっと走りたいところだ。


この近くにキャンプ場があるということで、今日はこれでやめにしようということになり遠慮なく食べる。

しめて6000円なり 。
 


キャンプ場は結構賑わっている 。

途中で食料を仕入れようと思っていたものだから、米以外何も持っていない。


とにかくこの辺り、店も何もまるでない。自動販売機すらありゃしない。

思案の挙句、レストハウスでまぜごはんの素2食分、漬物、ビールを手に入れ た。


なんとか、明日の朝飯をしのげるだけの材料を手に入れた。

初日からこんなひもじい思いをするのは初めてだ。

9時にはもう眠たくなり、早々とテントの中に入る。
 


ポツポツと、夜になって降ってきた。

まぁ、たいしたことないだろうと思っていたら 、ザンザンゴーゴー降ってくる。


10
年物のテント故、例によって雨が上から下から攻めてくる。

しかし何だかんだ言って騒いでも、結局そのまま寝てしまうのが我々。

目が覚めたら雨は上がり、今日も良い天気になりそうな空になっていた。
 


●1988年8月14日

さて二日目。ラジオ体操を欠かさずこなし、朝食はカップヌードルと混ぜご飯。

テント、シュラフを乾かし出発。今日も暑い一日になりそうだ。
 

まずは唐花見湿原へ向かう。尾瀬のミニチュア版といったところで、木道をてくてく歩く。

相変わらず店も何もない。これじゃ今日の昼も危ない気がしてきた。


アップダウンを繰り返し走っているうちに、ふと「美麻村夏祭り」の案内を見つける。

なんとこの先の学校ではないか。 そこまで行けば何らかの「餌」にありつけると思い、期待に胸が弾む。


しかし暑さと空腹に負け、ようやく見つけた店で結局大休止することに。

不覚にも、店先で軽く横になったつもりだが眠り込んでしまい、かれこれ1時間以上もひっくり返ってい た。

いやー、真昼間から恥も外聞も無く、道端で昼寝ができるなんぞ、これぞキャンピングならでは。
 


村祭りへの急勾配を登ると、よくもこれだけの人間が集まってきた、というくらいの人が集まって騒いでいる。

屋台やら、我慢比べやら、大声コンテストやら、炎天下の中、大勢の人が張り切って騒いでいる。


いい加減のんびりしてしまい、今日も予定のコースを走りきることはほぼ不可能となった。

エスケープルートで稲生駅へと下る。 時刻は3時。


さて今日はどこで寝ようかと考える 。

キャンピングの魅力の一つに、どこで寝るかということがある。


ここ数年駅で寝たことがなく、本日はここで寝るか・・・と思ったのだが、 国道のすぐ横で少々環境的に良くない。

とりあえず木崎湖のキャンプ場へ向かう。 しかしキャンプ場は満員御礼で、まあ賑やかなこと・・・


明日の林道を考えると、あまりここから離れたくない。

仕方なく地図を見て、近所の「文」マークの所へ行ってみる。
 


市民プール、テニス場、そして野球場がある。何かよさそうな気配がしてきた。

あっちこっち歩き回って、ようやくいい場所を見つけた。それは 一塁側ダッグアウトだ。


屋根あり、ベンチあり、水道あり。地面は平ら、そして静かだ。

これはよくできている。我ながらよくやったと感心。


勝手にグランドに入って、怒られやしないかと多少不安であるが、暗くなればわかりゃしない。

明日野球やるにしても、その前にいなくなれば大丈夫だろう。


寝床が決まったところでいいことを思いついた。

車を取りに行こうというのである。
 


考えてみると、明日は周回コースなので車があれば帰りが楽だ。

即断即決。一人は電車に乗って車の回収、残った二人で買い出しと晩飯の準備。


本日のディナーは、ひもじい思いを吹っ飛ばすぐらい豪華であった。

メインはメンバーお得意の、めちゃうま特製カレーだ。


ビールを3リットル飲んで、カレーを腹いっぱい食べたらもう死にそうになった。

遠くには花火も見え、夜空に星も見える。感度の悪いラジオがまた、この雰囲気によく合う。
 


●1988年8月15日

5時頃だろうか 、テントの外が騒がしい。なんだ、誰だ?

あれま、こんな朝っぱらからおっさんたちがグラウンドを整備している。


次々に人が現れ、我々には見向きもせずに、ベースを敷いたりラインを引いたりしている。

我々に声もかけないのが逆に不思議で、普通一塁ベースの横にテントがあったら変だと思うはずなのだが・・・


などと思うものの、寝ぼけていて何をしたらいいかよくわからない。

とりあえず起きて話しかけてみると、これから野球の試合があり、6時半に開会式があるという 。

そりゃ大変だということで、食い散らかした辺りを片付け、早々と外野から逃げ出した。
 


朝食は焼きそば。

にぎりめしを作り、余計な物は車に残し、身軽になって出発 。


木崎湖畔の脇から、小熊黒沢林道が始まる。

ニューサイ絶賛の北アルプスがいよいよ目の前に現れると思うと、期待に胸が弾む。
 


しかし、生憎天気がいまいち良くない。

雨は大丈夫なものの、唯一の条件であるピーカンではない。
 

ガスがかかり、眺望がきかない。路面はダートで、そしてかなり荒れている。

勾配もきつく、みるみるうちに木崎湖が眼下に見えてくる。
 

「ここがニューサイの写真だ」と、コピーしてきた記事と見比べる。
 


押し、流れる汗、さすがにピークまで一直線のヒルクライムはこたえる。

何度となく休み、なんとかピークへ出た。
 

やはりこの天気では、圧倒されるほどの眺めにはお目にかかれなかった 。

しかしさすが北アルプスのど真ん中だけある。

そのスケールの大きさ、谷あいの深さは夜叉神峠と似ている感じがする。
 


登りの目処がついたところでティータイムとする。

汗をかいた後の熱いお茶、これがまたおいしい。

しばし休憩後いよいよダウンヒル。 適度に締まったダートなので結構楽しめる。
 


鹿島槍のロッジで昼飯にする。

作った握り飯やら、デザートやら、みそパンやらいろいろ調達できた。
 

夜叉神の広河原のような雰囲気の所で、登山口といったイメージが強い。

さてしばし休憩後ダウンヒル。 路面は良いが道幅が狭い。


またコーナーも意外ときつく、いまいち安心して下れない。

しかしほぼ一直線の下りは快適である。
 

惜しまれるはやはり天候で、大パノラマを見ることができない。

そして、周回コースを終え車に戻ってきた。
 


やはり昨日のうちに車を取ってきたのは大正解で、これから車まで走るとなるとかなりしんどかった。

適度な疲労感に浸り、帰途につく。
 

ところがやはり帰りは渋滞で、まず長野道まで一苦労だ。

5万図を取り出し、裏道シリーズでバンバン先へ行く。
 

今回のキャンピング、予定では圧倒される景色に魅了されるはずであったが、期待外れで残念であった。

しかしまあ走った方だし、ハプニングも色々あって、また記憶に残るキャンピングとなった。
 

(1988/8/13〜15 走行)


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’1988 > 北アルプスキャンピング・小熊黒沢林道