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今回は準備に結構時間があり、余裕を持って出発の日を迎えた。

7時頃上野集合ということで始発に乗る。


新幹線ホームまでが重労働で、特にサイドバッグは重くてしょうがない。

朝から汗だくになって、往復してようやくホームに着く。


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38発のあさひに乗った。当然指定席の通路。もともと座ろうなんて考えていない。

いかにしてこの荷物をさばくかが問題なだけだ。


この列車長岡しか止まらず、なんと1時間40分で新潟へ着く。

全く信じられないスピードだ。さっそく陣取り駅弁とする。


エアーマット敷いて横になり、指定席よりもくつろいでいる。

新潟着。改札までがまた一苦労。結構人が多く、そして立派な街だ。


さっそく組み立てる。

1時間近くかかっただろうか、汗を拭きつつサイドバッグを装備していく。
 


「ああ、今年もこの時間が今やってきたのか」と感慨も新ただ。

3人故、装備も楽な方だ。フロントも持ち上がる。いよいよ走り出す。


重量感、ステアリングの重さ、ブレーキの効き、ディレイラー、一つ一つ試しながら新潟港へ向かう。

川沿いに走るとすぐに港。すでに乗船の待ちの車、バイク、自転車が並んでいる。


自転車は優遇されていて、真っ先に乗れる。

大きな船だ。客室へ上がる。まだ誰もいない。


甲板のベンチに陣取り出港を待つ。

やがて乗客が波のように押し寄せ、みるみるうちに周囲が混んでくる。


通路で座り込むほどだ。所要時間2時間20分。

新幹線のみだと旅情に欠けるが、フェリーはそれを見事に補ってくれる。
 


両津港には1430着。日はまだ高いがあまり走れない。

ラーメンで腹ごしらえし、本日の作戦を立てる。
 

本日は加茂湖畔の樹崎キャンプ場に決定。米を仕入れ、様子を見ながら走る。

ところが佐渡の道はどこも狭い。一車線で乗用車がちょうどいいぐらい。


大型バス、トラックは苦しい。

そこを我々がキャンピングで走るともう危なくて緊張の連続である。
 


このキャンプ場、誰もいなく一瞬使われていないのかと思った。

水、トイレはあり一応いいが、買い物が不便。だが静かでいい。
 

さっそく買い出しに行く。

隣の酒屋でビールを仕入れ戻る。


戻るとハイカー(ボーイスカウト)3人組が きている。

あとマイクロバス。 キャンパーもいる。 まあ、我々だけよりマシかもしれない。
 


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5時過ぎには起きた。 快調な出足だ。この朝の眠さ。だるさ、新鮮さがいい。
 

恒例のラジオ体操。そして朝食朝も忙しい。だらだらしているとすぐに昼近くなってしまう。

今日もいい天気だ。 再び佐渡空港をかすめ国道へ出る。
 


一度両津へ戻り、いよいよ北上する。市街地は車も多く、本当に走りにくい。

すぐに 右手に海が見えてくる。青い海だ。 いきなり泳ぎたくなってしまう。


相変わらず交通量が多くせっかくの雰囲気も半減してしまう。

単調と言うか変化もなく距離を稼ぐ。


カモメの戯れる姿に時を忘れ、 ぼけっと眺める。

昼飯は、くそ暑い店で親子丼。 
 


 二つ亀へ。本日はここでキャンプか、と思い、急坂を下りていく。

さすが観光地は人も多く、 テントの山と海水浴客ばかり。


山の斜面まで テントを張っている。 結局満員で断念。 次へ向かう。

まだ3時過ぎで余裕がある。 車も少なくなってきたけれど、 適当な場所がない。

次々走り抜け、 二つ亀から 相当走った。
 


いい加減見つからなく、 時刻も 迫ってきた時眼下に長く続く海岸を発見。

岩谷口の海岸だ。 ここに決定。


ここなら明日泳げると考える。 海岸に出る。 あまり砂浜は良くないが、 今はここがベスト。

砂浜に自転車を降ろし、早速キャンプの準備。


テント、水、ビールの買い出しと別行動し、岩場をテーブルに乾杯だ。

やっと落ち着いた。 波の音を真横に聞きながらのビール。 うまい。


腹いっぱい食っては休んで、 よく食べる。

重労働しているからよく食べる。10時になればもう寝てしまう。
 


しかしこのテント、台湾製の6800円はとにかく蒸し暑い。 通気性ゼロだ。

テント内は外と5度は違う暑さだ。


一人ならまだしも、 3人の呼吸でさながらサウナだ。

外へ出ればとにかく快適。 しかし、蚊がいる。 痒いのと暑いのとどちらを取るか。


夜半から雨になった。 小雨だがポツポツきた。

だけど、新品テントは耐水性は良かった。
 


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快晴の中で泳ごうと期待していたのに覆された。

砂浜の雨ほど始末に悪いものはなく、 何から何までジャリジャリになる。

飯も食えない、雨具を着てウロウロ考える。 こういう時は屋根下に逃げるしかない。
 


バス車庫へ行こうということで、 カップヌードルを食べて、力つけてから引っ越し作業。

濡れたテント、砂に浸かった道具。とりあえず片付けて脱出。

砂浜のラッセルは相当きつく、約100 M の行進は超ハード。
 


店でパン買って朝食。雨も大したことない。 ぐずついた天候の中走りだす。

しばらくして清水寺。 延命の水を飲む。

そして尖閣湾。超満員。
 


食事したくても満員でどうしようもない。とにかく混んでいる。

水族館を見る。 そして千畳敷。大したことない。

こうした海岸美に関しては三陸の方が素晴らしい。
 


時刻も迫り、本日も寝場所探しに悩むところとなる。

相川の街を走って場所探し。 この天気のため屋根が欲しい。


途中、小学校でキャンプしている姿を見て、 今日はこれにしようということで相川中学校へ行く。

水あり、トイレは前方の奉行所跡のトイレ。


買い出しはこの大きな町相川。まあ合格。

佐渡金山へは明日空いているうちに行こうということにする。
 


西坂を下りで大きなスーパーへ。 かなり品数も豊富。

かなり買い込み、豪華な夕食だ。 ビールも仕入れ急坂を登る。


石油缶をテーブルにして乾杯。テントはグランドの上に設置。

雨も大丈夫そうだ。水道でシャワーを浴びる。夜相川の街へ散歩へ行く。
 


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それほど蒸し暑くなく過ごせた。朝快晴。コーヒー飲んで、朝食。

朝はスパゲッティ。荷物を畳んでいると管理人が来て注意された。


こっちも慣れたもの。テント内に荷物を片付け、佐渡金山へ向かう。

金山までも少々の上り。荷物がないため楽だ。


佐渡を代表する観光名所とあって、この時間からかなりの賑わいだ。

坑内は冷気が漂い寒いくらいだ。 雨具を着て、電動仕掛けの人形を見る。


当時の過酷な労働が偲ばれる。 なかなか勉強になる。

資料館のミニチュアの街並みも良くできている。 平成元年まで採掘していたとは驚いた。
 


今日こそ泳ごうということで、早速相川を後にする。

場所選択で迷っているとまた泳げなくなるということで、次に見つけたところで泳ぐことに決定。


すぐに春日崎。岩場だがとにかく泳ぎたいという欲求がいっぱいで降りてゆく。

早速着替え、水中メガネやらマットやら持って行ったがこれが大失敗。


慌てる乞食は何とかで散々な目にあった。

鋭く尖った岩場を歩くだけで大変で、いざ泳ごうと水の中に入っては、いきなり指は切る、足は切るという悲惨な姿。


意気消沈して春日崎を後にする。七浦海岸で昼飯。

そろそろ今日も寝場所の検討に入る。
 


明日以降を考えると、フェリー乗り場へ到達できる距離を走りたい。しかしまだかなりある。

まあ、綿密な計画を立てても無駄で、いい時刻まで走ってその場で考えるしかない。


日差しの暑い中、佐和田へ向けて走る。交通量がぐっと増えどうにも走りづらくなる。

駐車中の車が多く、さらにバスが頻繁に通る。


のんびりペースで走ると危険で、どうしても流れに乗るためにスピードが出てしまう。

佐和田の町は結構大きく、国道に嫌気がさして海岸線へとエスケープしてみる。


すると、波の無い砂浜が延々と続く素晴らしい海水浴場が現れた。

どうしてこういうところで泳がなかったのかと、今になって後悔する。
 


トイレ、売店、シャワーが完備していて申し分ない。

その海水浴場のはずれに、ちょっとした休憩所がある。


屋根付き、ベンチ付き、芝生付きである。今夜はここでキャンプすることに決定。

さらにあまりにいい海なので、今から泳ごうと、もうすぐ日も落ちるという時間から海に入った。 最高だった。


さんざん泳いだ後、今夜の夕食は食べに行こうということになった。

今更買い出しして作るよりも、たまには海の幸でも食べようということになり、小料理屋に入った。


天ぷら、サザエ、焼き魚、イカの姿焼き、酢の物、ビール。よく食った。

いい加減酔っ払って戻り、さらに再び飲みだした。


海の家で仕入れた、ビールとつまみでもう苦しくなった。

飲み過ぎでいつもの元気はなく、はやばやと寝込んだ。
 


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今日もいい天気。本当に天気には恵まれている。

朝飯は梅干し、岩海苔などでさっぱり済ませる。


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時出発を目標に泳ぐ。ほとんど誰もいない海を独占して水と戯れる。

なんて優雅なのかと思う。シャワーを浴びて1130分に出発。
 


1610分の赤泊発フェリーに乗ろうということになり、山越えに決定。

今日まで本格的な山越えはなかっただけに、どれだけ時間がかかるのか心配だ。
 


赤泊まで約28キロ。 前半12キロはほとんど平坦で快調に飛ばす。

その後は相当苦しい登りの連続となる。サイドがなくて丁度いいぐらいの勾配だからこれはつらい。


そして日差しの強いこと。首筋あたりがヒリヒリしてくる。

タオルで覆いながら喘ぎながら登る。     
           


一つ目のピークを過ぎてダウンヒル。 初の本格的なダウンヒル。

しかし重すぎてスピードが乗らない。


それに慣れないもので今一つ気分が乗らない。

二つ目のピークまではほとんど押しだった。
 


あまりの勾配のきつさにとてもじゃないが乗っていられなかった。

しかしそこを過ぎれば赤泊まで下るのみ。

相当のきつさを予想していたが、なんだかんだで3時には赤泊港に着いた。
 


早速、乗船券を買いに行く。

ところが窓口で言われたのは、乗れるかどうかわからないとのこと。


自転車はまず漏れると呼んでいた我々にはショックで、一瞬焦った。

キャンセル待ちの8910番目。 乗れなかったら明日の朝一だと開き直る。


やってきたのはレーサー軍団。

女を含んだ大集団素人の集まり。


こいつらの予約が影響しているのか。

フェリー入港。行きのフェリーよりかなり小さい。


しかし結局自転車、バイクは、最初に積み込むから問題なかった。行きと同じようにすぐに陣取る。

そしてまた乗客の波が押し寄せた。今度は更に激しく、甲板の上は歩けないほどになった。
 


2時間20分後、1850分寺泊港着。 夕日が綺麗だ。

辺りも暗くなりどうしようかと焦る。寺泊駅へ行くのかキャンプにするか。


明日は弥彦方面へ行こうということで、近場のキャンプ場を探す。

食料を仕入れ、少し走ると海浜公園。 辺りが暗く物色できない。


雨も降ってきた。海浜公園の高台に平和の礎の広場を発見。

屋根付き、水道付き、ベンチ付きである。ここに自転車を運びあげて落ち着く。


遠くから盆踊りの音、花火の音が左右から聞こえBGM には最適だ。

夜も更けてから、最終日は名物特製カレーの登場だ。


ビールを買い、 結局4 L飲む。カレー食ってまたまたお腹がパンクしそうになった。

残した花火も打ち上げ、今日も華やかだ。


テント内は相変わらず熱く、外で寝ようと試みたが、 蚊の多さに断念。

蒸し暑さに耐え、なんとか眠りにつく。
 


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 朝はトーストにハンバーグ。珍しい朝食だ。

宅急便で荷物を送る準備をして、アメ横へ向かう。


ここで土産を買い込み、 走り出してすぐに宅急便を見つける。

ダンボール箱を45個もらい、工作してテントポールを片づけ、サイドバッグをしまい込む。

かなりの重量だ。 いざ、身軽になって走り出す。
 


途中西生寺へ寄る。

上りは大したことないと信じて登りだしたが、これがとんでもない坂。
 

身軽で、これほど疲れるとは相当の坂。いい加減参った頃ようやく着く。

200 mは登っただろうか。 500円の拝観料でガイドとお経がついてきた。
 

何が何だかわからなかったが、 正座してお経まで聞いて何か精神修行をしたようであった。

時間はかかったが、なかなか良かった。


ここから有料道路。

佐渡の海とはまた違う印象の海岸だ。 どちらかというとこちらの方が明るく 豪快な感じがする。


三陸の海に似ている。

このコースはアップダウンがあり、 さらに今日は向かい風がものすごい。
 


強烈な風で ほとんどスピードが出ない。いつもよりもギアを2段落とさないと進まないほどだ。

それほどの向かい風だ。 風と坂に苦しめられ、 結構辛い道のりだ。


有料道路が終わると、自転車専用道路が現れる。

かなり立派な道路で、 ゆったり安心して走れる。
 

防砂林沿いに延々続く道で、飽きるほど長い道だ。さすが新潟県、道の良さはここでも感じた。

昼飯は海の家。 ガラガラの海の家で、ラーメン、焼肉、というメニュー。


もう時刻は430分。 この時間にここにいられるのだから信じられない。

それほど新潟は近くなった。 後は新潟駅に向けて走るのみだ。 再び専用レーンを走る。
 



しばらくして新潟駅の案内が出る。 もう近いと思い気合が入る。 ビルが立ち並び、駅間近の雰囲気だ。

ところがどっこい、新潟という街は相当大きいらしく、行けども行けども駅など現れない。


トイレに行きたいのを我慢して走る。もう次の交差点だろうと思って走るが全く着かない。

いくらなんでももういい加減と思ってもまだ着かない。 一体どうなっているのだと呆れる始末。


交通量の多い中、汗をかきながら走る。 最初の標識から78 km 走っただろうか。

見覚えのある景色が現れた。ようやく着いた。なんてデカイ街だと思った。


新幹線までは十分時間がある。ゆっくり輪行する。

また、指定席通路作戦。駅弁食べて、ビール飲んで少しウトウトするともう上野だ。


いつものことながらその速さに呆れてしまう。

異様に日に焼けた我々が、山手線車内でも目立っていた。
 

(1989年8月12日〜17日 走行)


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