峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’1998 > 地蔵峠・角間峠
角間峠:長野県小県郡真田町/群馬県吾妻郡嬬恋村(標高1804m)
角間山と湯ノ丸山の鞍部。東斜面は鹿沢高原となる。
翌日も晴れ渡った。
早朝の車坂峠からは、富士山を始め南アルプス、佐久地方の山々が見渡せる。 |
誰もいない静かな車坂峠で、あらためて記念撮影だ。
何度来ても変わらぬ峠の標。やはり2000m級の峠は、手応えも眺めも一級品だった。 |
最高の気分の中、車坂峠を後にして地蔵峠へと向かう。
昨日と違って、朝から車が多く、その巻き上げる砂埃が辛い。 |
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標高2000mに広がるこの湿原は、晩秋の静かな姿を見せてくれる。 木道を歩いて湿原の散策に行く。池にはすでに薄氷が張っていて、冬の訪れを感じさせる。 |
地蔵峠まで下る。ここもすっかり様変わりしてしまった。 変わらず残っていたのはお地蔵様だけであった。
気持ちよく下っていくと、民宿・食事の看板。ここで腹ごしらえをしておく。 |
地図を眺めていると、ちょうどここから角間峠へ至るルートが分岐していることに気づく。 詳しい話を聞くと、1時間ほどで峠へ行けるらしい。旧鹿沢温泉から登るより楽だ。
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ふと気がつくと、ダートの中に、MTBのタイヤ跡らしきものを見つける。 タイヤ跡の痕跡からして、間違いなく自転車。それも今日付いたものだ。 むむ、まさかこんな所誰もこないだろうと思っていたが、先客がいたか。 |
ふわふわの芝の中を歩いていく。そして階段が現れる。 降りてきたハイカーに様子を聞くと、峠はすぐだが階段が続くらしい。 |
しばらく担いだりして進むと、牛止めの柵にでくわす。 自転車がなければなんともない柵だが、コの字型に作られた柵を通過するのに苦労する。 |
鹿沢温泉からの道と合流した後は乗車可能な山道に変わる。 熊笹の緑が鮮やかな中、もうひと頑張りで角間峠に出る。 もっと苦労するものかと思っていたが、あっけなく峠に出てしまった。 |
広く、明るい峠は静かで、訪れる人は誰もいなかった。 展望は効かないが角間山と湯ノ丸山の鞍部に位置する峠は、角間温泉へと下る道と交差する 、峠らしい雰囲気を感じさせる。
峠越えに備えて腹ごしらえをしてきたのだが、それも必要なかった。 |
風もない、誰もいない静かな峠に、ガスストーブの音だけが響き渡る。 缶詰を暖め、再びもつ鍋を味わう。幸せな瞬間だ。 その色といい形といい、冬の訪れを真近にしたその美しさを見せている。 |
いよいよ日が傾き始めた。 風が冷たくなり、早く下山しなさいよと山の神が言っている。秋の日の午後は本当に短い。 |
下り始めは、道幅もそこそこあって楽しく下ることができる。 しかし、すぐに熊笹が行く手を阻むように生い茂ってくる。
路面には枯れ枝が転がっており、運悪く乗り上げたりすれば、簡単にフロントをもっていかれる。 |
転がっても転落するほどの所ではないが、無傷では済みそうもないので慎重に路面を見極める。 地図にあるようにタイトターンが連続し、とてもじゃないがランドナーでは乗車不可能。
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わずかに踏み跡が残されているが、踏み入れるとずるずると崩れてしまうという状況だ。 |
空身で越えるのでさえ緊張するのに、ここを自転車を担いで渡るというのは、かつてないほど緊張する。
下を見ず、前を見よう、色々と自分に言い聞かせながら一歩一歩足を運ぶ。
そして自転車を降ろせた時、身震いがした。 |
その後も乗車率はほとんど上がらない。 地面には大きな石も現われ始め、ますます転倒の危険が高まってくる。 倒木やら、葉っぱ、小枝等がホイールにからまり、異音が耳に入れば取り除く。
またサドルにまたがり、段差があれば降りるといった状態がしばらく続く。 |
しかし、38Bにガードもトウクリップもついた自転車ではまるで役に立たない。 赤茶色の沢を何度か渡ると、ようやく山道も安定してくる。 |
出会った上田在住のサイクリストに、角間越えの談義をした後、車のデポ地まで快適に下る。 すっかり冷え切った体を、真田温泉で温める。
思わずため息が出てくる。充実した晩秋ツーリングであった。 |
距離:
23.7 km 所要時間: 0 時間 00 分 00 秒 平均速度: 毎時 0.0 km |
最小標高:
682 m 最大標高: 2059 m |
累積標高(登り): 341 m 累積標高(下り): 1629 m |
(1998/11/15 走行)
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