峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2000 > 野麦峠旧道
長野県南安曇郡奈川村/岐阜県大野郡高根村(標高1672m)
乗鞍岳と鎌ケ峰との鞍部。近世から明治にかけて、飛騨・越中と松本盆地との物資交流などの利用された飛騨街道(野麦街道)が通る。また、鉄道開通前は、飛騨の山村の娘たちが、女工として岡谷方面の製糸に従事するため難儀を重ねながら、この峠を越え、ここで故郷に別れを告げ、涙ながらに信州へ降ったといわれる。1972年、一帯は野麦県立自然公園に指定された。山本茂美「あゝ野麦峠」に描かれる。
野麦峠まで車で登る。峠には峰の茶屋、お助け小屋があって食事をとるのに便利だ。駐車場も広く、トイレも完備していて、さらに缶ビールの自動販売機までもある。どうぞここで寝てください、というばかりの条件が整っている。
腹ごしらえをした後、「野麦峠の館」を見学する。野麦峠を知るには、まずここで歴史を勉強することが必要だ。
中へ入ると、ビデオ上映や展示品などで「あゝ野麦峠」の舞台を詳しく解説してくれる。さらに峠ファンにはたまらない、峠に関する展示、データベース検索などの設備が整っている。
閉館時間までゆっくりして、本日はここの駐車場で満天の星空を見ながらの車中泊となった。標高が高いため、夜も過ごしやすい。
車の中で一杯やりながら、明日の作戦を立てる。空を見上げれば数え切れないほどの星。野麦峠の夜はなかなかいいですよ。
朝を迎える。正面に乗鞍岳。優雅な姿が大きく広がる。峠で朝を迎えることは珍しいが、こういうパターンであれば結構いいかもしれない。
野麦峠旧道は、トイレの脇から入っていく。後は野麦集落への案内に従って整備されたハイキング道が続く。早朝の誰もいない静かな山道をのんびり下っていく。路はフラットで広く、本当に気持ちがいい。小鳥のさえずりや、蝉の鳴き声だけしか聞こえない。
天気も良く、距離も短いから装備もほとんど軽装備で大丈夫だろう。
おかげで自転車も軽く、さらに快適な山道走行が楽しめる。
しばらく快適に走ると、地蔵尊が現れる。ここは丁度切り通しのようになっていて、ぽっかりと明るく飛騨の山並みが視界に飛び込んでくる。
木立の中を抜けて突然スポットライトを浴びたような空が現れるので、なかなか感動的なシーンだ。
「ああ、飛騨が見える」という言葉は、多分この場所からだったのだろうと感じられる。
具合良く簡易ベンチが置かれ、飛騨を眺めながらの休憩となった。軽い食事を持ってきて、ここでのんびりするのもなかなかいいだろう。
後半は、タイトターンが現れる。さすがに乗車のまま下るにはかなりのテクニックが必要だ。
まあ、怪我をしたくなければ素直に降りたほうが懸命だ。それでも乗車率は高く、サドルを下げ、体重移動とバランスをうまくとりながら下っていく。
次第に階段が現れるようになる。ここも無理せず降りたほうがいい。下りきると林道に合流し、車道に出る。後はひたすら峠を目指して舗装路を登る。
太いタイヤでは峠までしんどいが、のんびり行けばノンストップで登りきれる。楽をしたければ下に車をもう一台置いておけば、女性も喜ぶ極楽コースとなる。走った後はお助け小屋で野麦定食にビールで出来上がりだ。
所要時間:2時間36分 走行距離:11.7km 最高速度:36km
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