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2000年10月15日(日)


6時には目が覚めた。綺麗な青空が部屋の窓から見える。いつもなら、このまま起きて準備に動き出すのだが、体が相当疲労しているらしく、起きる気力が沸いてこない。二日目は、昨日よりもコース的には楽であるが一日中ほぼ登りっぱなしという辛い一日だ。 

昨日の反省から、少しでも早く走り出したいと皆考えていた。起きねば、と心の中にはあるものの、なかなか誰も起き出さないため、ついついまた眠りに入ってしまう。何度かその葛藤を繰り返し、ようやく動き始めた時は8時になろうとしていた。


昨日使いすぎで腫れていた右手も元に戻っていたが、いかんせん全身の疲労で動きが鈍い。まずは朝風呂で体をほぐす。暖かい温泉の湯が眠っていた体と脳に活力を与えてくれる。


昨日一日だけでかなり満足したツーリングを味わえたのに、今日もこれから新たなツーリングが始まると思うと、疲れた体も自然と動き始める。 朝食はかなり遅くなってしまった。他の泊り客はすでに旅立っており、こんなにのんびりしているのは我々だけであった。準備をし、宿を出発した時にはすでに10時になっていた。


昔の記憶を頼りに川原へ降りてみる。前に来た時は、夜浴衣姿で下駄をはいて川原まで降りてきた。あちこちで川原をスコップで掘っている姿があり、その時は誰かが掘った穴に浸かり、源泉をお尻に感じながら露天風呂を楽しんだ。

再び同じ道を降りて行くと、状況はかなり変わっており、人工的な手が入った後が伺える。昔の自然そのままの地形が崩され、観光化された感じが受け取れる。ここだけは変わってほしくないと願っていたのだが、もう9年も前のこと、無理なことかもしれない。


切明温泉を後にする。道は林道切明線と表示され、完全舗装の静かな道が続く。すでに日も高く、快晴の中すぐに汗ばんでくる。初日に合わせてMTBの太いタイヤで来たが、今日は完全舗装のヒルクライムの一日。昨日はほとんどまともに乗れる所もなかったから、これならもっと細身のタイヤでも良かったと感じる。


林道切明線は静かながらもそこそこの勾配が続き、スタートしてすぐということもあってペースが上がらない。暑くてすぐに1枚脱ぎ始めた。シャツの袖をめくってもまだ暑く、最後は半袖Tシャツ一枚になれるほど気温は上昇していた。

●動画(1分41秒)  雑魚川林道 その1(切明温泉出発)https://youtu.be/jD-HHInDuFg


紅葉のシーズン真盛りの日曜日ということで、行交う車が結構多い。9年前はまだダートの林道でほとんど車も通らなかったのだが、これだけ道が良くなり、そして景色も良いとなれば自ずと交通量も多くなる。昨日の全くの無人地帯を抜けてきたのと比べ、今日はとにかく明るくにぎやかだ。すすきの穂が道路脇を白く飾り、紅葉の色彩と伴に登りの疲れを癒してくれる。


 


合計標高差で1000mを越える今日のコースも、昨日に比べれば時間的には多少余裕があるが、体力的にはかなり辛いコースである。


前日の疲労が残り、装備もまだかなり重く、思ったように前に進まないという感じだ。しだいにリュックが負担になり始め、ついにはサドルにくくりつけて走るという名案を思いつく。


ようやく上半身が楽になり、半袖姿で本来の走りができるようになった。ベテランのT氏は、自転車、装備も凄いのだが、とにかくフロントインナーが36Tという信じられないセッティング。
よくまあ、36Tでこの坂をスイスイ行けるものだと感心する。一度MTBの26Tの味を知ってしまうと、もう二度と30T以上のインナーなど使おうという気になれない。


●動画(1分16秒)  雑魚川林道 その2(奥志賀)
https://youtu.be/Ru_-MwZymPk

紅葉の鑑賞ポイントはちょっとした渋滞だ。大きな三脚に豪華なカメラをセットして写真を撮る姿があちこちに見える。この明るい日差しの中で、赤や黄色に色づいた葉が輝いて見える。一週間予定を遅らせて正解だった。先週であったら、ここまでは色づいていなかっただろう。


林道は雑魚川に沿って少しずつ少しずつ標高を上げていく。何度か沢を渡り南下し始める。道は綺麗な舗装が続き、ブロックタイヤで走るのが馬鹿らしくなる。


二人のタイヤの細さがうらやましくなってくる。すでに時刻は13時を回り、そろそろランチポイント探しとなってきた。しかし、まだまだ今日は先が厳しい。一度ピークまで登った後思いっきり下り、そして最後に温泉まで登り返すという、最後に難所が待ち構えている。安全策を取るには、できるだけ今のうちに距離を稼いでおいて、最後の登り返しに体力を残しておきたいと考えていた。


長かった雑魚川林道を抜けると志賀高原への道と合流し、周囲は大きく視界が開け道もより広くなる。空腹感を飴でつなぎながら快適なランチポイント探しに走り続ける。直線的に続く登りを目の前に気力を振り絞る。踏み込むペダルに力がなくなっている。もうそろそろエネルギーを補給しないと皆ハンガーノック状態になりそう、と思われたとき、ようやく絶好の場所を見つけた。


「奥志賀高原ゴルフ場」という看板前に芝生が広がっている。そこの芝生に広がり各自好きなように昼食を食べ始めた。荷物を降ろし、靴を脱ぎ、芝生に腰を降ろす。延々登り続けてきただけに、思わずため息が出る。鮭大根を暖め、宿で作ってもらったおにぎりをほおばる。さっきまでの空腹感漂う状況からは比べ物にならない幸せな一時だ。

広い駐車場を挟んで、目の前には大きく視界が広がる。風もなく暖かい日差しの中で、時間があれば1時間でも2時間でも休憩をしたくなるほどだ。しかし、時刻は13:40になっていた。あまり呑気にしているわけにはいかなかった。


再び登りが待っていた。しだいに周囲はスキー場へと変化してくる。勾配も最後のピークに向けきつくなってくる。標高も1600mを越え、15時を回ると日も陰り、気温が急激に下がってくる。登っている時は気がつかなかったが、立ち止まり一息つくと、吐く息が白く見え始めた。焼額山を過ぎ、一の瀬、高天ケ原へと登りは続く。休憩したいところではあるが、時間的に今日も余裕がなくなってきた。

先を急ぐ。発哺温泉でようやくピークを向かえる。長かった一日のとりあえずのピークに達した。ここからは約300mの下りと、トンネル越えが待っている。下れる嬉しさの反面、再び登り返さなければいけないという気持ちから、いつものようなピークに到達したときの喜びはほとんどなかった。



本格的な防寒対策が必要だった。下り始めるとかなりいい勾配で、寒くなければ結構本気でダウンヒルを楽しめる。しかし、トンネル越えはやはり苦痛で、車が少なければいいが後ろから迫る音と光に、ついつい回すペダルに力が入る。トンネル内では後方車にこちらの存在を知らせるために、小型のフラッシュライトを点滅させながら走った。大小3つのトンネルを無事に抜け蓮池へ出た。


いよいよ最後の登りになった。時刻は15:35を回った。防寒具を脱ぎ再び登りの態勢を整える。残り170mほどの登りだ。なんとか16時には熊ノ湯温泉に着けそうであった。ダウンヒルで体中が冷え、踏み込むペダルがやたら重い。最後の登りと分かっていながら、足はかなり出来上がっていて、前半のような力は沸いてこない。高度計の表示に元気付けられながら、じりじりと登り始めた。


日曜日の午後でもあり、観光帰りの車が次々と下ってくる。車の流れと逆方向のためいくらか登りも助けられる。気温はかなり低く、登りでも手袋が必要になってくる。いくつか池を過ぎると右手に白い煙が吹き上がる「ほたる温泉」の案内が現れる。

熊ノ湯温泉の一部分が「ほたる温泉」と名称を変更したということらしい。一息入れるにはちょうどいいタイミングで、地面からは源泉がブクブクと音を立てて沸いており、触れないほどの熱い湯が流れ出している。


熊ノ湯温泉はそこからわずかだった。16:30 本日も無事に宿に着くことができた。もうすこし余裕の一日を想定していたのだが、とにかく出発が遅すぎた。1時間早く走り出せれば、もう少しランチタイムを楽しむことができただろう。


しかし、今日はよく登った。まとめてこれだけ標高を稼いだのは久しぶりだ。二日目も全員トラブルなく、そして遅れることなく計算通り走れて満足であった。


担ぎがなかった分初日よりは体が楽だ。しかし、本日も相当カロリーを消費しており、例によって夕食は相変わらずの、良く食べ、良く飲むという3人だった。テーブルの上に所狭しと並べられたご馳走に、今日もビールがすすむ。 二日目ともなると、部屋に戻ってから色々と忙しい。デジカメ、ビデオ、携帯の充電、荷物の整理、洗濯などなど。

泊まった熊ノ湯ホテルはバスの停留所になっており、入り口前までバスが来てくれる。明日のルートを早速検討している時に、最終日の時間配分からバス輪行で時間かせぎ、という手もあると思いつく。明日の天候、そして体調によっては検討の余地ありということになった。


距離: 37.7 km
所要時間: 6 時間 27 分 00 秒
平均速度: 毎時 5.8 km
最小標高:   854 m
最大標高: 1680 m
累積標高(登り): 1306 m
累積標高(下り):   491 m

(2000/10/15 走行)


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