峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2001 > 小熊黒沢林道
長野県大町市
後立山連峰の展望ルート。最近は舗装され車で容易に訪れる事ができるようになった。特に5月の残雪の時期、それも快晴の時が最高のパノラマを堪能できる。
GWにどこへ行こうか迷っていた。これといって思い当たる場所がなく、近場でのんびりしようかとも思ったが、天気もまあまあということで、迷ったときの小熊黒沢林道となった。
ここへ来るのは3度目になる。前回も天気に恵まれ、今回もまた見事な残雪にお目にかかれた。
木崎湖畔の「ゆーぷる木崎湖」に車を止める。「後で温泉入りますのでお願いします」と断っておく。
道はすぐに登りが始まる。完全舗装の林道は、木崎湖を眼下に次第に標高をかせいでいく。
多少雲は多いものの、気温はすでに高く、額にうっすらと汗を掻き始める。
連休とはいえ、車も通らず、静かなヒルクライムを楽しめる。
来るたびに年々道が整備され、もはや昔のダートのイメージはどこにもない。
走りやすいが、逆に残念な気がする。
湖畔から約400メートルのヒルクライム、およそ1時間で視界が大きく開けてくる。
いきなり、木崎湖が眼下に見渡せる広場が現れる。
以前には、こんな広場はなかったはず。そこは、パラグライダーの離陸ポイントになっていて、今日もすでに3組の人が準備をしている。
大きく切り開かれた斜面は、適度な傾斜で、確かに離陸するには絶好のポイントである。景色も申し分ない。鮮やかな色彩のパラグライダーを広げ、風の具合を見て、何度か失敗をしながら見事に空中に舞い上がっていく。一度ふんわりと上昇してしまえば、後は極楽の世界のようだ。
一度試してみたい気がするが、やはり自分には地上を走る自転車の方が性に合っているようだ。
林道の景色もいよいよパノラマの世界が広がってくる。残雪の後立山連峰の迫力は、何度目にしても別格だ。
とにかく、迫力が違う。
視界に飛び込むその大きさ、距離の近さが違う。
標準レンズでは、到底収まりきらないそのスケール。この景色を目の前にすると、すべての苦労が一瞬に吹き飛び、その迫力に圧倒されてしまう。
もう、わかっていながら毎度感動を与えてくれる。
昼飯は、鹿島槍スキー場のリフト乗り場を独占して、目の前に鹿島槍、爺ケ岳をつまみにしながらの最高の時間を過ごす。誰もいない、お山のてっぺんに陣取り、もつ鍋をつつきながらのビール。
寝ても、座っても、立ちあがっても視界をさえぎる残雪の連峰。いつまでも去りがたい時間がゆっくりと流れて行く。こんなに穏やかで、静かな時間が世の中には存在するのかと思うわせるほど、まるで絵画を眺めているような時間が過ぎて行く。
十分に心を癒すことができたら、あとは快適なダウンヒルが待っていてくれる。
所要時間:5時間55分 走行距離:27.0km 最高速度:52km
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