峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2002 >  地芳峠


高知県高岡郡梼原町/愛媛県上浮穴郡柳谷村(標高1084m) 土讃本線佐川駅の西32km。四万十川支流の梼原川源流と仁淀川上流の面河川に注ぐ黒川の谷を結ぶ地方道が越える。



四国も三日目に入った。

昨日は四万十沿いに、のんびりとランドナーの旅を満喫し、その夜、地芳峠への周回地点、梼原の太郎川公園まで車を走らせた。


あいにく、夜から天候が崩れ、朝までたっぷりと雨が降り続いた。

さすがに昨日の疲労が残っているのか、ゆっくりとした目覚めで、そしてこの天候のため午前中は何もせず、ダラダラと車の中で過ごすことになった。


本来の予定は、地芳峠から、四国カルストを巡り、ぐるりと周回してくる予定だったが、疲労とこの天候のおかげで、すっかり予定が狂ってしまった。

海沿い、川沿いから、一気に高原・山岳地帯へと変化していく今回の四国ツーリングプランだったが、三日目にして修正を余儀なくされた。
 


昼過ぎになって、天候が回復の兆しを見せてきた。雨雲が通り過ぎ、日差しが差し込むようになった。

今日はあきらめの境地でいたが、この回復を見て、地芳峠まで車で登り、天狗高原までのピストンを考えてみた。


午後からのツーリングとなってしまったが、走れるだけ幸せだ。

地芳峠までは、標高差600mほどあり、車で登っても結構時間がかかる。

これをまともに走っていたら、かなりきつい一日になっていたはずだ。


今回の四国ツーリングは、一日も余裕日のない欲張ったプランニングのため、すべては体力と天候しだいなのである。

この悪天候のおかげで逆にいい休養がとれてラッキーだったのかもしれないと思いながら、九十九折れを登っていく。
 


峠には立派な案内と茶店があった。若者数人がドライブでやって来ており、にぎやかに写真を撮っていた。

雨は上がったが、見晴らしは全くない。ガイドブックで見た美しい景色は周囲を見渡してもどこにもない。


重い気分の中、ランドナーを組み立てる。

天気も冴えない、そしてピストンで戻ってくるということでいまいち気分も乗らない。


走り始めてすぐにきつい登りになる。

峠に車があるから、何かあればすぐに下って戻れるという安心感もあるため、何かと真剣さに欠けてしまう。
 


道は綺麗な舗装路で走りやすいのだが、登るにつれ周囲は真っ白な世界に変化し始めた。

やはりあの日差しはダマシであった。


走るにつれますます天気は悪くなり、ついに一瞬先がまるで見えなくなってきた。

車もライトをつけて走っているが、その姿さえ直前までわからないほどだ。
 


そんな中でも、牧場の牛たちはのんきに草を食べ、トロトロ走る自転車を不思議そうな顔をして見ていた。

いよいよ雨が本降りになり、天狗高原のテント下に逃げ込んだ。

テントにたたきつける雨音で何も聞こえないぐらい激しい雨になってしまった。


もう、今日はこれで終わり、と一人静かに休憩しながら明日以降のプランニングを練り直す。

車に戻って「雲の上のプール」でひと泳ぎする。開放的で最高に気分のいいプールを貸切状態で楽しむ。

さあ、明日はいよいよメインの京柱峠だ!
 

 


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