峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2003 > 稲城の里山
東京都稲城市
電車が京王稲田堤駅を過ぎると、左手に稲城の里山が広がってくる。
ここから若葉台駅に至るまで、車窓からは切り立った崖や、のどかな田園風景が続く。
秋から初冬にかけては刻々と変化する色づきもまた味があり、のんびりMTBで散歩したくなってくる。
さっそく、2.5万図 「溝口」「武蔵府中」を手に入れ、天気のいい12月の始め、MTBとカメラだけもって多摩川へ向かった。
多摩川土手に車をデポし、三沢川サイクリングロードを行く。
京王相模原線の下をくぐるあたりに穴沢天神杜がある。ここに湧き出る御神水は名水らしく、近所の人が自転車にポリタンクやペットボトルを積んで、ひっきりなしにやってくる。
目指す稲城駅までは川沿いに綺麗な舗装路が続き、周囲にはいくつもの梨園が広がってくる。
通勤電車であっという間に通り過ぎてしまうこのあたりも、自転車でのんびり走ってみると、「こんないい所だったか」と驚いてしまう。
コンビニで食料を手に入れ、稲城駅から南山スポーツ広場を目指す。
すぐにどん詰まりで山にぶつかる。この山の中にMTB愛好家の秘密のフィールドが広がっているのだという。
南山スポーツ広場は崖山の下に広がる市民の憩いの場だ。
今日も少年野球大会が行われている。ここの駐車場にはさっそくMTBチームがいて、これから走り回ろうという様子だ。
車窓からいつも眺めているこの崖山。見るからに崩れそうで、怪しい雰囲気を持っている。
開発でこんな形になったようだが、あの先端からはかなり見晴らしがよさそうだ。
山に入るには私有地の看板があって少々気が引けるが、一歩入り込むとそこはもういつもの山岳サイクリングに匹敵する雰囲気が現れる。
いきなり荒れたダートで始まるが、のんびりと子供たちの歓声を聞きながら進むと、すぐに里山の風景広がる小ピークに出る。
すでにここにも5、6名のMTBチームがくつろいでいる。皆ヘルメット、プロテクター装備で完璧だ。
マシンは当然フルサス。こちらのマシンを見て、「なつかしいーー」の声。そうか、ストレートフォークのKLEINは、もう古いのか・・・。
このフィールド、あとは自由に走るだけだ。
地図なんて役に立たないほど小道が入り組んでいるし、案内も何もない。
ヘタをすると道に迷う可能性は十分にある。初めての人は、方位磁石を持っていたほうが心強いだろう。
右へ左へ、行って戻って、また左、なんて繰り返していると方角がさっぱりわからなくなってくる。適当に走っているとよみうりランドのゴルフ場に出たり、ボロボロの廃車が突然現れドキっとしたりする。
落ち葉とぬかるんだ山道、崩れ落ちた道など、こんな近場でこれだけ楽しめるとは思っていもいなかった。
山から下りるといきなり稲城の住宅街だ。この変化にただただ驚くばかりだ。
住宅街の裏に、こんなフィールドが広がっているなんて信じがたい。MTB愛好家の方は、ルールを守り、この素晴らしい場所をいつまでも大切にしていただきたい。
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