峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2004 >  飯盛山



今回は、「信州・東海MTBツーリングブック」から「飯盛山」へ行ってみることにした。

このガイドブックは、本格的な山岳サイクリングコースの本だ。

初級から上級まで、全55コースを詳細な地図と写真で紹介している。

MTBでどこか行きたいときに、よくこの本を参考にしている。

今日のコースは、「360度の大パノラマを満喫できる初心者コース」と書いてある。

まあ、ランドナー乗りにとっては、これぐらいがちょうどいい。

天気もいいし、距離も短いので条件としては十分だ。


 


昨夜は、清里丘の公園まで移動して、大きな駐車場に車を止めさせてもらった。

こんなところで寝るおバカ者などいるはずもなく、でっかい駐車場の端っこで車中泊させてもらった。

あまりに美しい星空を満喫して、気持ちのいい朝を迎えた。


動画撮影カメラのMotion Pixから、撮影データをミニノートPCにコピーする。

SDカードも高価なので、こうして外部に逃がさないと残量がなくなってしまう。

 


今日のスタートは早かった。早朝の清里高原を、8時には走り始める。

車中泊の魅力はこうしたところにある。スタート地点、スタート時刻が自由自在だ。


ここはデポ地に最適だ。温泉・プール・飲食の設備が整っている。

車に戻ってくれば、何もかもここで済ませられる。

スタートして、まずはダウンヒルから始まる。誰もいない舗装路の高原を気持ちよく下る。
 


平沢地区に入り、登りがきつくなってくる。それにしても気持ちのいい気候だ。

次第に展望も大きく開けてくる。南アルプス方面から、八ヶ岳まで一望できる。

お腹がすいてきたので小休止。チョコレートでエネルギーを補給する。
 


平沢峠からいよいよ山道に入っていく。

階段を登っていくと、ドコモの中継基地らしきものがある。


その横をしっかりとした小道が続いている。

登りはきついが、担ぐようなところはなく、なんとか押して行ける。
 


呼吸が乱れ、そろそろ疲れてくるころ、どっと視界が開けてくる。

標高も1500mを越え、辺り一面の大パノラマが見え始める。


高い樹木がないので、ここまでくると本当に視界が広い。

見上げればほとんすべてが空だ。
 


しし岩との分岐までくると、突然ハイカーが多くなってきた。

中高年の皆さんが楽しそうにやってきた。

こちらの姿を見つけると、すぐにいろいろと話しかけられる。


まあいろいろと説明しないといけないが、それでも嫌な顔せず笑顔で挨拶をしてくれる。

「えぇ?ここ乗ってくの?」「そーだよね、もちろん乗っていくんだよねぇ、アハハ・・・」

賑やかな集団が通り過ぎると、再び静かな静寂が戻ってきた・・・うーん、よくある出会いだ。
 


初級コースと書いてあったが、彼らの初級とはこういうレベルか・・・なかなか本格的なんですけど。

危険な個所は少なく、距離も標高差も大したことないから初級レベルなのであろう。


基本的な装備で複数の人数であれば、初心者でも安心して登れるかもしれない。

しかし、全くの初心者、それも非力な女性や高齢者では相当つらいアプローチだ。

初級とはいえ馬鹿にできない。天候や体調が悪条件の時は、リスクがかなりあると感じる。
 


標高1600mまでくるともうゴールは近い。前方に飯盛山の円錐形の山容がしっかりと見えてくる。

あいにく雲が多く、絶景というわけにはいかないが、それでも障害物のない大展望はやはり息をのむ。


こんなところまで自転車を持ち込める驚き、喜び。

登山者やハイカーにとっては理解できないかもしれないが、我々にとってはこれが自分の脚だ。

自分の脚で登り、自分の脚で下る。なんら違うところはない。
 


飯盛山到着。最後は口笛を吹きたくなるような”ウィニングラン”だ。

目の前に美しすぎる正三角形の姿が鎮座する。頂上へ登り詰めるルートだけ山肌が見えている。

山頂に向かって登る人の姿がかなり小さく見える。山頂まで結構標高差がありそうだ。
 


いやぁ、凄い展望だ。そして、なんてすばらしいロケーションなのだろう。

暖かい日差しの中、柔らかな草地が広がり、ほとんど誰にも邪魔されない最高の広場だ。


靴を脱ぎ、ニッカホースを脱ぎ、半袖になってランチタイムを楽しむ。

冷えたビールが最高にうまい。二日続けてまたまたこんな絶景を独り占めだ。 
 


ガイドブックでは、山頂までMTBを担ぎ上げていたけれど、さすがにそこまでの元気はない。

ここまで来て登頂しないのも情けない。というわけで空身で登ることにした。


食後の登山は辛かった。最初は楽だったが、中盤からの激登は強烈だった。

頑張ったご褒美はこの絶景だ。本当に嘘偽りのない360度の大パノラマを拝むことができる。

林道や峠越えばかりではこうした展望には出会えない。やはり山岳サイクリングの醍醐味だろう。
 


下りは一気にMTBの本領発揮だ。

前半の登りに比べ、下りはかなり乗車率が高い山道だ。


最初のガレ場を下ると、安定したやわらかい草地のダウンヒルが始まる。

道幅も十分、展望も十分、勾配も十分。最高の山道下りが続く。
 


やはりここは本格的なMTBが必要だ。

そしてある程度の技術、テクニック、度胸、判断力が必要だ。

安全に下れば山岳サイクリングの楽しさをとことん味わえる。
 


楽しい下りはあっという間だ。楽しすぎて写真を撮るのも忘れてしまうかもしれない。

時々は止まって、この最高の下りをゆっくりと噛み締めたいところだ。

車道との合流地点はゲート封鎖されていた。ここまで下ってくるともう下界の世界だ。
 


心も体も十分に満足して車に戻ってきた。今日もここの駐車場に連泊だ。

目の前が豪華な温泉施設だから、そのまま歩いて汗を流しに行く。

風呂上りは静かな部屋でマッサージチェアで一休み。そして生ビールでお疲れ様!


なんてリラックスしているところで大事件が起きた!

大きな地震がいきなり襲ってきた!かなり体感震度は大きく、一瞬ヒヤリとしたが事なきをえた。

TVではすぐにニュース速報が・・・震源地はすぐ隣の新潟県だ・・・TVでは震度6強と伝えている!
 


実は今回のツーリング、当初はこの震源地辺りへ行く予定だった。

プランニングがうまくまとまらず、直前になって予定を長野県に変更した。


本当に幸運だった。そのまま行っていたらどうなったいたことか・・・

そんなニュースで持ちきりの二日目の夜だった。
 

新潟県中越地震


地震発生時刻:2004年10月23日 17時56分

震源地:新潟県中越地方  

北緯37.2895°  東経138.8703°

マグニチュード:6.8

震源の深さ:13km


距離: 24.5 km 
所要時間: 7 時間 19 分 31 秒
平均速度: 毎時 3.3 km
最小標高: 1105 m
最大標高: 1645 m
累積標高(登り): 841 m
累積標高(下り): 836 m

(2004/10/23 走行)


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