峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2004 >  中山峠




週末金曜日から、2泊3日の車中泊紅葉ランに出かけた。

早朝に家を出て、ガラガラの高速道路を気持ちよく走る。

天気も最高、ツーリングには満点の週末だ。


今日のスタート地点は、山梨県の尾白川沿いにある「名水公園べるが」だ。

広大な敷地に広がる自然公園の片隅に、車をデポして走り出す。

雲一つない快晴の中、八ヶ岳の展望が背後に広がる。
 


まずは駒ヶ岳神社方面へ向かう。

気持ちのいい林間を走り抜けると、行き着いた先が駒ヶ岳神社だ。

「名水百選 白州・尾白川」と大きく書かれた案内の先は狭い吊り橋になっている。
 


絶好の観光シーズン。今日は平日だがハイカーが数名橋を行き来している。

地図を見ると、この先は本格的なハイキング道だ。


もう少し奥まで散策したいところだが、自転車はここまで。

おいしい水と空気を十分味わったところで、来た道を戻る。
 


今日は軽いお散歩程度のつもりでいたのだが、付近の中山峠を越えて周回することにした。

中山峠方面へ分岐すると道はかなり狭く、周囲もかなり鬱蒼とした森になってくる。

すると前方に何やらうごめく物が・・・野生の猿だ。それもかなりの数だ。


一瞬立ち止まって様子を伺う。あちらもこちらを気にしている。

少々怖かったが、一気に通り抜けると猿たちもあちこちに散って逃げて行った。

その先が中山峠になっていた。
 


峠からは中山山頂に向かって遊歩道が続いている。

「中山頂上展望台」の案内に魅せられて、その先へ向かう。


展望台でランチタイムにしようと山道を行くと・・・なんと天に向かって強烈な階段が現れた!

おいおい、展望台って、これを登らないといけないんですかぁ? どっひゃぁ〜!!
 


どこまで登れば展望台に到着できるのか・・・

こんな姿を他のハイカーに見られたら何と説明しようか・・・


それにしても、いったいどこまで続くこの階段・・・

戻るに戻れない・・・絶景を眺めてランチを楽しみたい・・・辛い、重い、苦しい・・・あぁ・・・


最後はやけくそ、こうなったら行くしかない、と頑張って登る。するとやはり努力は報われた。

おぉ・・・すごい!一歩一歩標高を稼ぐごとに視界が広がってくる。

やっぱり頑張って正解だった。ここまで自転車を持ち上げて正解だった。
 


いよいよ山頂展望台への最後の階段を担ぎ上げる。もうここまでくれば笑顔だ。

辛かった。長かった。重かった。


結局、中山峠から約150mも標高を稼いで中山山頂に到着した。

そしてそこからの展望は、すべての苦労をふきとばしてくれるような大絶景だった。
 


誰もいない展望台からは、360度の大展望が広がる。

正面は、眼下に流れる川から甲斐駒ヶ岳の雄姿が望める絶景だ。

そして展望台の反対側には八ヶ岳の峰々が見渡せる。


お山の大将とはまさにこのことだろう。何もかもがここから見渡せるし、見下ろせる。

こんな気分がいい場所はなかなかない。


暑くてズボンを脱いで、素足でくつろぐ。

ビールに枝豆、そしてラジオを聴きながらのランチタイムは至福の極み。
 


あまりのご機嫌さに、2時間近くもこの展望台でくつろいでいた。

結局2時間誰も来る人はいなかった。完全に貸し切りの展望台だった。

いや、誰も来なくてよかった。来ていたら状況を説明するのに大変だっただろう。


登ってきた山道も、階段以外はMTBで乗って下れる。本日一番の活躍場面だ。

太いタイヤとフラットバーで山道下りも全く怖くない。

中山峠へ降りてくれば、あとはデポ地までの周回コースだ。
 


本当に短い距離だったが、内容はめちゃくちゃ濃密だった。

これだけ自然のど真ん中に飛び込むと、周囲のパノラマ風景だけで別次元だ。

平日だったおかげで、静かに山岳ツーリングを満喫することができた。
 


白州中山林道を下って、車まで戻ってきた。

汗を流しに藪の湯へ立ち寄る。


誰もいない貸し切りの温泉からは、八ヶ岳の姿をゆっくり鑑賞することができる。

なんて贅沢な温泉なのだろう。たっぷりとした湯に肩までつかり、今日一日を振り返る。


車に戻って、今日の寝場所を求めて移動する。

明日のスタート地点の駐車場に車を止め、満天の星空を見ながらキャンプの夜は過ぎていった。
 




距離: 17.1 km 
所要時間: 5 時間 26 分 48 秒
平均速度: 毎時 3.1 km
最小標高: 569m
最大標高: 888m
累積標高(登り):  490m
累積標高(下り):  481m

(2004/10/22 走行)


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