峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2006 >  女沢峠・新山峠・柴尾峠



今回の旅、二日目もいい天気になった。風もなく、穏やかな朝を迎えた。

時刻は8:00 美和ダムに車を置いて走り出す。

美和湖沿いの小道はとても静かだ。朝日を浴びて周囲の山も明るく、そして湖面も輝いている。

もう最後の秋景色だろう、路肩の落ち葉もだいぶ深く積もっている。

中学校の先に中央構造線公園がある。展望台からの眺めがなかなか素晴らしい。

中央構造線は伊那山地と赤石山脈を南北に分割し、北は諏訪湖から関東平野、南は四国を抜け九州を分断している日本最大の断層だ。

「歓迎 中央構造線サイクリング大会」と大きな看板が掲げられている。有名なサイクリング大会なのだろうか。

右手に美和湖を眺めながら、気持ちよく国道152号を行く。

橋を渡って長谷湖橋で一休み。ここの分岐を左へ行くと女沢林道が始まる。

入口から素敵な林道風景が始まる。「林道 女沢線」の案内が雰囲気を盛り上げる。

林道脇には小さな沢が流れているが、かなりの水量だ。

きつい登りが始まるが、ダートの林道に気分が高まる。

子砂利の林道はちょっとトルクをかければすぐにスリップする。

簡単に諦めてのんびりと押していく。カーブミラーに映った自分の姿をパチリ。

なかなか手応えのある林道だ。

こうした林道が少なくなってきているだけに、久しぶりに味のある林道に出会えて幸せだ。

いい林道だ。登れば登っただけ報われる。次第に展望が開け、ダイナミックな山岳風景を楽しめる。

ほとんど乗れない。ランドナーでは押して歩くしかない。まあ、それもまたいい。

全く無人地帯だ。本当に静かでゆったりとした峠越えを楽しめる。何度も言うが、いい林道だ。

ガーミンが峠までの距離を示している。あと直線距離で237m。もうリーチだ。

便利な時代だ。GPSがあるだけで安心感のレベルが違う。

5万図と併用すれば、様々なリスクが軽減され、新たな楽しみも増えてくる。

峠の手前はかなりきつい登りだ。真上に高圧線が見えるあたりが、押してもきついダートだ。

しかし標高も1300mに近づくと勾配も緩くなり、ようやく乗れるようになる。


女沢峠には乗車して到着。峠のピークという感じは味わえないが、それでも達成感は十分だ。

残念なことに展望は今一つ。そして峠を示すものも何もない。

峠で昼飯にしようと思っていたのだが、いい場所がなく先へ行く。

峠からはなんと、きれいな舗装路に変わった。そしてこの下りも最高の雰囲気だ。


道幅も広く、快適な路面を滑るように下って行く。目の前には晩秋の景色が広がる。

真っ青な空を見上げると、はらはらと落ち葉が舞い落ちる。いやぁ、やっぱりいい林道だ、ここは。

100m程下ると林道新山線に入り、再び登りはじめる。こちらも完全舗装だ。

とにかく天気が良く、何をしていても気分がいい。本当に天気に恵まれた。


女沢峠から20分ほどで新山峠に到着。ここは気持ちいいほど展望が開けている。

ようやくランチタイムだ。記念碑に腰を下ろし、重い思いして持ってきた豊富な食料を広げだす。

峠から少し下った先に「新山峠の大岩」と書かれた案内がある。こんな解説が書いてあった。

”言い伝えによると、昔、この大岩の上はばくち打ちの場所だったそうです。ここの景色を見ながら「やれ勝ったり、負けたり・・・」と昔の人はばくちを打ったのでしょうか。”

どこに大岩があるのかと、ちょっと上を見上げると、山の中腹に大岩が確かに存在していた。

こんな所でばくちをしていたとは・・・確かに絶景で、勝っていればさぞ気分もよかったでしょう。

新山峠の下りは素晴らしい。本当にいい下りだ。

路面はいいし、勾配もいい、そしてテクニカルだ。ただしブラインドコーナーでは要注意だ。


あまりにもスピードが出すぎるので、よく効くブレーキが必須だ。

しかしいい林道、いいダウンヒルだ。最高だ。ワクワクする林道だ。文句なし。

峠を下り切って、もう本日はフィナーレとなるのだが、地図上に小さな峠を見つけた。

「柴尾峠」とある。実線の峠道だから、簡単に行けそうだ。


GPSに従って行くと、民家があり畑の横を進むようになる。峠らしい雰囲気は見当たらない。

悩んでいたらちょうどおばあちゃんに出会ったので、峠へのルートを教えてもらった。

峠の入口は鉄柵で閉鎖されていて驚いた。そして電気柵が張り巡らされていて、相当厳重な警戒だ。

鉄柵は鍵はかかっていないので、少々ビビリながら開けて通過し、再びしっかり締める。

どうやら動物の被害が多いのだろう。ここで進入を防いでいるようだ。

峠らしさは全くない。峠の標も、ピークもほとんど感じられない。

まあしかし、これでも昔はひと山越える峠道だったのだろう。峠を越えると、また違った風景が広がっていた。

最後に小さな峠越えを味わい、今日一日の余韻に包まれながら車に戻った。


走行距離は短かったが、なんともまあ充実した一日だった。

本格的な峠越えを堪能できたし、とにかく静かな秋景色を満喫した一日だった。

(2006年11月5日 走行)


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