料金は、大人60円＋自転車10円の合計70円だ。

数分おきに運行しているので、船が戻ってきたらすぐに乗船すると動き出す。

乗っている時間はほんの4、５分程度。揺れることもなく、危険なこともなく尾道に到着する。

せっかく渡ったのだから散策したいところだが、今日は向島と岩子島の周回が目的。

すぐに別の渡船乗り場に移動して、とんぼ返りで向島へ戻る。

ただこの渡船に乗りたかっただけだが、いい思い出になった。

船を降りると、映画「あした」のロケセットを残した兼吉バス待合所がある。

そしてその先には、向島紡績の歴史を感じる赤レンガ塀が残されている。

向島の東側まで走ってくると、静かで美しい眺めが広がってくる。

どこの島も共通して言えるのは、島の東側から南側にかけてのほうが景色がいいように思える。

交通量が少なく、ほとんど人の姿も見えない。

きれいな砂浜が続く海岸線。逆光にキラキラと輝く海面がとても美しい。


向島は他の島に比べ、観光地として紹介されることが少ないとガイドブックに書いてある。

しかし、実際にこうして島をぐるっと走ってみると、自然の美しさはどこの島にも負けることがない。

因島大橋が見えてきた。もう少しで向島を一周する。

毎日毎日何回も橋を眺めてきたが、何度見ても橋は美しい。そして見事だ。

岩子島へ戻る。とても小さい島なので、簡単に見て回れることができそうだ。

「位王八正神」神社がひっそりと佇む。砂浜には石灯篭の姿が神秘的だ。

そして砂浜に立つ厳島神社の鳥居。満潮時には海に浮かぶ鳥居となるらしい。

この辺りもよく映画のロケ地として使われるそうだ。

手彫りの浜之浦隧道（浜之浦トンネル）。長さ70ｍ。

「ここも映画のロケ地となったようで、案内がトンネル入口に掲示されている。

狭いトンネルなので車の通行は注意が必要だが、自転車にとってはとっても涼しくて助かる。

続いて現れたのが岩子島隧道。長さ95ｍ。

トンネルはカーブしていて見通しは良くないが、オレンジの照明でとても幻想的な一瞬を味わえる。

岩子島も楽しく周回し車に戻ってきた。これで「しまなみ海道　全島周回」旅も完結。

すべての島を完全に周れたわけではないが、これだけ時間をかけて島めぐりができたことに大満足だ。


さて今夜の寝場所は・・・もちろん高い所だ。向島で一番高い所、高見山（標高283ｍ）に決定。

日が沈む前に片付けて、温泉に入り、食料を調達して車を走らせる。

どうですか・・・この眺め。文句なしの絶景でしょう。

ここ高見山は車で頂上付近まで簡単に登れるにも関わらず、あまり紹介されることがない。


おかげでこの日も、家族連れの車が1台夕日を眺めに来ただけで、その後は全く貸し切り状態となった。

これだけ綺麗に見える夕日ショーも久しぶりだ。それにこの高さから楽しめるのが素晴らしい。

ベンチ、テーブルまで用意されていて、もう満点の展望台だ。

夕日が山の陰に隠れ、次第に周囲が薄暗くなっていく。やがて美しい夜景が浮かんでくる。

完全に暗くなってきたら蛍光灯の出番。この日も車の荷台でいつものようにソロキャンプを楽しむ。


今夜のメニューは得意のホルモン焼きだ。コンロでグツグツ煮ながら冷えたビールをいただく。

これでしまなみ海道のツーリングは終了だ。しかしまだ休みは2日も残っている。

明日は尾道へ渡って、一日猫と戯れようと思っている。