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(しまなみ海道)


 

サイクリスト憧れの地、「しまなみ海道」。

日本が世界に誇るこのサイクリングコースは、やはり一度走らないといけない。

いつか、いつかと考えていてもなかなか行く機会がない。

東京からは果てしなく遠い。そして2、3日で走り通してはもったいないエリアだ。

行くなら一島ずつすべて周回し、島に滞在し隅々まで見て回りたいと思った。

島の一部をかすめる様に走り抜けるルートでは、本当の島の良さを感じることはできない。

2010年9月に遅めの夏休みをとり、いざしまなみ海道を目指す。

キャンプ道具、そしてランドナーとレーサーを車に積んで、有明港フェリー乗り場に向かった。


2010年9月7日 PM(火)
(大三島周回)


午前中に伯方島を一周して、午後は大三島へ移動する。やっぱり車があると本当に便利だ。

周回に最適な場所へ短時間で移動できる。これをすべて自転車だけでこなすのは不可能だ。

多々羅大橋のすぐそばの道の駅に車をデポして、午後の部開始。


大三島は大きいので、午後からでは一周するのは難しいかもしれない。

ちょっと今日のプランは欲張りすぎかもしれない。

道の駅で昼食を食べた後走り出す。まったく風がなく、気温も上昇しかなり暑くなってきた。


毎日島を時計回りに回って同じような眺めが続くが、不思議なことに飽きが来ない。

多くの島が点在する眺めは、どこをとっても同じ景色はなく、時間とともに様々に変化してくる。

島それぞれにも特徴があって面白い。だからやっぱり一つ一つちゃんと走らないとダメなんだと思う。


快調に走り抜け島の南端までやってきた。海に飛び込むようなダウンヒルが最高に気持ちい。

それにしても、全く人に会わない。ここは無人島なのか?と思うぐらい誰もいない。


大三島の目的地の一つ、「ふるさと憩いの家」に到着。

ここは昭和60年に閉校となった、旧宗方小学校を改築した民宿だ。

とても大きな敷地に、昔懐かしい校舎が並んでいる。辺りは静まり返っていて何の音も聞こえない。


ここは映画、「船を降りたら彼女の島」(木村佳乃、大杉連)のロケ地として有名だ。

当然旅立つ前にしっかりDVDを見て勉強してきた。

受付に行ってみるが、誰の気配もない。懐かしい下駄箱とスリッパがあるだけだ。


校舎側へ行ってみる。

裸足でも気持ちよさそうな廊下が続き、「校長室」「保健室」「厨房」「食堂」と書かれた室が並ぶ。

タオルが何枚も干してあるので、宿として営業はしているようだ。


冷たい飲み物で、ようやくここで暑さから逃れることができた。

目の前の風景を見て映画のシーンを思い出す。あのシーンはここだとすぐにわかる。

しかし素晴らしいロケ地を見つけるものだ。この辺りは本当に美しい海がずっと続いている。


大三島一周の半分も走っていないが、暑さでかなり体力を消耗してきた。

一周は厳しそうな感じになってきたので、大三島北部はあきらめてショートカットコースに変更する。


大三島へ来たならば、必ず立ち寄りたいのが「大山祇(おおやまづみ)
神社」だ。

四国随一のパワースポットとも呼ばれているらしい。


大山祇神社は古来日本総鎮守として尊称され、大正の御代には四国唯一の国幣大社に列せられた。御本社御祭神は大山積神(おおやまづみのかみ)。摂社【上津社−かみつやしろ】御祭神は大雷神(おおいかづちのかみ)また姫神。摂社【下津社−しもつやしろ】御祭神は高靇神(たかおかみのかみ)また姫神。御本社と両摂社の三社を以て大山祇神社と崇めまつる信仰となっている。
https://oomishimagu.jp/


何といっても目を引くのが、圧倒的な存在感のある、推定樹齢2600年とされる大楠だ。

縁結び、結婚運、仕事運、勝負運、健康運などのご利益があると言われていてる。


さらに、息を止めて木の周りを3周すると願い事が叶うと言われている。

のんびりしたいところだが、あまり時間もなく足早に見学して大山祇神社を後にする。


ちょうどいい時間に大三島の東海岸まで走ってくることができた。

やはりショートカットコースにして正解だった。大三島は結構大きいことがよくわかった。


見学してさらに北部を走っていたらかなりの時間が必要だった。

デポ地まであとわずか。この付近は素敵な場所が多く、どこからでも美しい瀬戸内海を見ることができる。


車に戻って片付けていると、いきなり男の人に声をかかられた。

「わたくし、中国地方にスポーツ・フットネスの雑誌を出している出版社の者ですが・・・」
(うん? なんだよ忙しいんですけど・・・)
(車に戻ってきたら、片付け、移動、入浴、今日のねぐら探し、買い出し・・・やることだらけなのに)

「大三島をサイクリングしている人にインタビューさせていただいています。」

(はい、そうですか・・・うーん面倒くさいなぁ・・・興味ないんですけど)

「取材させていただいた内容は、後日雑誌に掲載させていただきますので・・・」

(お、雑誌に載るのか・・・そうなると話は違うぞ・・・たまには自分も雑誌に載ってみたーーい)

「何かこう、元気のいいポーズ取っていただけませんか?」
(なんてうるさいこと言うので、やりたくもないけれどこんなポーズでいいですかね?)


てなことで、取材を色々受けて、その後発売された雑誌がこれだ。

あまりにローカルな雑誌で、入手するのに結構苦労した。


特集が組まれていて、大三島の紹介と出会ったサイクリストのインタビューで構成されていた。

まあ、こんなことは二度とないので、一生の記念にここに掲載しておこう。


この道の駅周辺は色々と施設が揃っていて助かる。温泉にも入れるし、食料調達にも不自由しない。

ここから離れるとなかなかいい寝場所は見つかりそうもない。

車でゆっくりと辺りを散策すると、都合のいいことに工事中の記念館があり、そこの広い駐車場がほぼ満点。


ちょっとした高台に位置して、眺めもバッチリだ。なんて場所探しがうまいのだろうと我ながら感心する。

今夜も素敵な夜を迎えることができた。やはり車があると自由自在の旅ができる。


車の中で、今日訪れた映画のロケ地を振り返る。何もかも見てきたシーンが画面に再生される。

憧れのロケ地を訪れたくなる気持ちがよくわかる。それにしても大三島、いい島でした。


 
距離: 32.7 km
所要時間: 3 時間 00 分 00 秒
平均速度: 毎時 10.9 km
最小標高: 0 m
最大標高: 78 m
累積標高(登り): 365 m
累積標高(下り): 365 m

(2010/9/7 走行)


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