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(しまなみ海道)


 

サイクリスト憧れの地、「しまなみ海道」。

日本が世界に誇るこのサイクリングコースは、やはり一度走らないといけない。

いつか、いつかと考えていてもなかなか行く機会がない。

東京からは果てしなく遠い。そして2、3日で走り通してはもったいないエリアだ。

行くなら一島ずつすべて周回し、島に滞在し隅々まで見て回りたいと思った。

島の一部をかすめる様に走り抜けるルートでは、本当の島の良さを感じることはできない。

2010年9月に遅めの夏休みをとり、いざしまなみ海道を目指す。

キャンプ道具、そしてランドナーとレーサーを車に積んで、有明港フェリー乗り場に向かった。



**** プロローグ ****

土日を含んでフルに1週間休めば、9連休のビッグツーリングが可能だ。

しかしこれだけ長いと、プランニングには相当頭を悩ませることになる。


どこからスタートして、どう走り、どこで寝て、何を目指すか。

どうやって行き、どうやって帰るか・・・仕事は大丈夫か、天気は、自転車は何を持っていくか・・・


ガイドブックを参考に、おおよそのスケジュールが完成した。

決まっているのは行きのフェリーと、初日の寝場所ぐらい。帰りは車で東京まで走るつもりだ。

しまなみ海道をたっぷり楽しみ、さらに尾道の猫散策、和歌山へ行って「たま駅長」に会ってくる予定だ。


2010年9月4日(土)
(有明港 〜 カーフェリー)


スタートがカーフェリーというだけで、すでに旅情満点だ。

徳島まで18時間の船旅。意外と空いている。


長距離フェリーに乗るのは、2005年の北海道以来だ。

暇つぶしに持ってきたポータブルDVDプレイヤーがとても役に立った。

録画したDVDやテレビをヘッドフォンで楽しんでいれば、広い客室でも寂しくない。


2010年9月5日(日)
(カーフェリー 〜 徳島 〜 大島)


目覚めれば大海原が目の前に広がる。青い海、青い空。白い雲。

何もかもスケールが大きい。そしてこのゆったりとしたスピード。やっぱり船旅は素敵だ。


次第に四国が近づいてくる。一晩寝れば四国まで運んでくれるのだから、やはりフェリーは楽だ。

下船準備で車に戻る。バイクが数台並んでいる。彼らもきっとツーリングに違いない。


13:30頃下船する。輪行と違って、いきなり別天地からのスタートなので新鮮だ。

しかし、ここからしまなみ海道まではさらに長距離、約200kmの移動が待っている。

まあ今日までは移動がメインなので、ドライブも楽しい。


今治から、いよいよしまなみ海道へ入る。遠かった、長かった、やっと着いた。

初日の目的地は亀老山展望公園だ。絶景が広がる観光スポットだ。


夕暮れの島々を眺め、本日はここの駐車場で車中泊だ。当然誰もいない。

これでようやく旅の準備が整った。さあ、明日からはしまなみ海道全島周回が始る。


2010年9月6日(月)
(大島周回 〜 カレイ山展望公園)


島の魅力は日の出から始る。

こんな美しい光景は、宿にいたのでは絶対に味わえない。だから車中泊しかない。


日の出の一部始終を独り占めできる。刻々と変わっていく色彩に心奪われる。

穏やかな海に、小さな漁船がゆっくり進む。鳥が舞い、周囲が次第に明るくなっていく。

見事だ。旅のスタートを祝ってくれるような見事な演出だった。


早朝、誰も観光客がいない中、再びゆっくりと亀老山展望公園を散策する。


「永遠の愛が成就する聖地」と雑誌で紹介され、無数の南京錠がワイヤーロープにかけられている。

一瞬ギョっとする光景だが、若いカップルはこういうイベントが好きですよね。


道の駅に車をデポして、いよいよ走り出す。

大島を一周する前に、まずは今治方面へ空中散歩を楽しむことにした。


自転車道はループ状になっていて、ゆっくりと高さを稼いでいく。橋に登りきるまで少々頑張る必要がある。

そして登りきると、素晴らしい眺めが視界に飛び込んできた。

天空を行くような自転車道がまっすぐに伸びている。やはり評判通りの絶景ロードだ。


高所恐怖症の人はここを走れないかもしれない。結構な高さがあって、下を覗き込めばかなり怖い。

今日は穏やかな天気で安全だが、風雨が強い時はいったいどうなってしまうのだろう?


しかし、とにかくこの景色は素晴らしいの一言に尽きる。

すぐ横を通り過ぎる車も、本当なら車を停めて景色を眺めたいだろう。

絶景を眺めながら、好きな所で写真を撮っている自分を見て、ドライバーはとてもうらやましそうだった。


橋の上からは色々な船が見える。

小さな釣り船から、観光船、そして貨物船まで大きさも種類も様々だ。

ボーっと眺めているだけで心和む景色だ。


今治まで行こうかと思っていたが、途中に料金所が現れた。

往復で料金を取られるのも悔しいので、ここでUターンする。たっぷり海の上をお散歩できて大満足だった。


時計回りに大島を一周する。

ルートは単純だ。とにかく海岸線に沿って海を左に見ながら走る。


島の景観は独特だ。ちょっと路地裏に入ると生活感溢れる小道がつながっている。

造船所には大きな船の姿も見える。こうした何気ない景観が島の魅力だ。


島の北部に小さな峠があった。

何も標識はないが地図からは「田浦峠」(標高75m)とわかった。


ちょっと標高が高くなるだけで、周囲の展望が一気に広がる。これも島独特の特徴だろう。

休憩した時にガイドブックで観光ポイントを確認する。島の隅々まで楽しもうという予定だ。


伯方島へ渡る大島大橋が見えてくる。ちょうど走り始めて半分ぐらいの距離になる。

次はあの島へ行くのかと、橋で次々とつながる旅がとても面白い。


道はどこも空いていた。

昼時、漁師町の食事処で海の幸をご馳走になる。さすがに、なにもかもが新鮮でうまい。

吉海町から宮窪町へ。平坦な道を気持ちよく走り抜ける。


大島も東海岸を楽しく走ると、最後は少々本格的な峠越えが待っている。

江越峠(標高約90m)という小さな峠だが、平坦路を走ってくると、これぐらいの登りも結構きつい。

バス停があるのだが、かなり朽ちていて、果たして運行しているのかどうか不明だ。


ぐるりと周回して車に戻ってきた。

距離も時間もちょうどいい。おまけに峠も2つ越えられて充実した初日だった。

車に戻れば忙しい。日帰り温泉で汗を流し、今日の寝場所探しに移動する。


今日も高い所から夕日を楽しもうとやってきたのが、カレイ山展望公園だ。

ここも昨日と同様、素晴らしい展望が広がる。眼下に大島大橋、その先が伯方島だ。


今宵も駐車場で一人車中泊。日が落ちてくると、遠くに漁火がいくつも見えてくる。

好きな音楽を流しながら、黒霧島水割りと夜景を楽しみながら、静かな夜は更けていった。



 
距離: 36.6 km
所要時間: 6 時間 00 分 00 秒
平均速度: 毎時 6.1 km
最小標高: 0 m
最大標高: 89 m
累積標高(登り): 432 m
累積標高(下り): 432 m

(2010/9/6 走行)


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