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2011年9月10日(土)


昨夜は、ツーリングを終えた後、道の駅から大浦漁港まで車で移動し車中泊とした。

昨日自転車で小休止した時に、すっかり気に入ってしまった場所だ。

おかげで素晴らしいキャンプの夜を過ごすことができた。これも、車があってこそできる技だ。


いよいよ今日が最終日。いろいろ悩んで考えて、今日もまた輪行旅だ。

まずは、この大浦漁港から近江高島駅までドライブだ。駅の有料駐車場に車を置いて走り出す。


今日はこの旅一番の暑さ。

これから山岳地帯を約60km、京都まで走って輪行で戻ってくる予定だ。


今日は琵琶湖から離れ、山岳方面へ向かう。久しぶりに湖から離れると風景も違ってくる。

正面に比良山地の山並みを見ながら、田舎道をゆっくりと行く。

道の両側には田畑が広がり、黄金色に輝く稲穂の姿が美しい。


拝戸地区から高島地区、黒谷地区を抜けると畑地区にさしかかる。

勾配もきつくなり始めると、広大な棚田が広がってくる。


畑の棚田

高島市畑(はた)地区内の15.4haに、傾斜に逆らわず幾何学模様に広がる棚田。
畑集落は朽木に接し、標高300〜400mの山腹にすり鉢状に広がる棚田に見守られるように家々が点在しています。

その昔、棚田は山頂付近まで連なり、実りの秋には静かな山里を黄金色に変えたと言われています。
棚田は生態系の維持に大きな役割を果たし、維持・保全への取り組みとともに、景観的にも"日本の原風景"と高く評価されています。

農林水産省により、平成11年には全国の134地区の1つとして滋賀県内で唯一『日本の棚田百選』に指定されました。
今日も棚田オーナー制度などで、都会との交流事業が行われるなど、積極的に棚田保全に努めています。

https://takashima-kanko.jp/spot/2018/06/post_172.html


見事な棚田だ。急勾配の斜面に何段もの田んぼが並ぶ姿が実に美しい。

まもなく稲刈りが始まるのだろうが、先日の台風で稲穂がかなりなぎ倒されてしまっている。


それにしても勾配がきつい。

棚田を通り過ぎ、眼下に畑地区の集落が見えてくると、一歩進むのが大変な程の坂だ。

20歩進んで一休み、また20歩進んで休む、というぐらいの坂だ。


この先車道に合流できるのか、地元のおばあちゃんに道を聞いて進む。

すると、正面にゲート封鎖されている扉が現れた。

平均勾配16%以上ある、とてつもない急勾配だ。

押して歩くのでさえ大変な坂だ。

ここに暮らす人は、毎日こんな辛い思いをしているのかと思うと信じられない。

徳島県の大歩危地区もこんな感じの山村だった。

歩くのさえ大変。何をするにも大変。

こんな所を自転車で行こうというのだから、そりゃおばあちゃんも驚く始末。

のんびりムードで走ってきたが、大汗をかくほどハードになってきた。


ゲートには電気柵が設置されていて、恐る恐る扉を開ける。

獣害の被害が多いのだろう、かなり厳重な管理がされている。

しっかり扉を閉めて、山村を真下に見下ろすような感じでさらに登っていく。


車道へ合流するとほっとする。とにかくとんでもない坂を直登してきたものだ。

車道へ出ても手応えのある勾配が続く。車は全く通らない。ほとんど無人地帯に近い感じだ。


いくつもの小さなカーブを通り過ぎると、いくらか空が見えるようになってくる。

最後のカーブを曲がると、正面に小さなトンネルが見えてきた。「横谷トンネル」だ。


全長770mもある。そして入口から先が全く見えない! 驚くほどの暗さだ。 なんだこれ?

明るいLEDライトがあるおかげで乗車できるが、これがなければ壁にぶち当たりそうな暗闇だ。


なんでこれほど暗いのかと言えば、照明がなく、勾配の変化もあり、さらに出口付近がカーブしているからだ。

これほど真っ暗闇のトンネルは初めてで、逆にスリルを十分味わえるほど”楽しむ”ことができた。


Googleストリートビューで見ると、確かに出口は左カーブになっている。

そしてトンネル内は一切照明がないので漆黒の闇だ。


出口の明かりが見えてくると、本当にホッとする。こんな緊張感があるトンネルも珍しい。

行く際は、前方、左右を照らす強力なライトが2つぐらいあってもいいだろう。


トンネルを抜けると、今度は眩しいぐらいの太陽が降り注いでくる。いやぁ、今日は暑い。

気持ちのいいダウンヒルを楽しむと、時刻はそろそろお昼時だ。

とにかく暑くてたまらない。どこか適当な日陰で休みながら昼食をとることにしよう。


なかなかいい場所がなく、ようやく見つけたのが貫井ダム。しかたなくここの日陰で休憩することにした。

汗がダラダラと流れ、タオルハンカチもびしょびしょだ。我慢できず上半身裸になってクールダウン。

携帯と地図でこの後の予定を考える。京都までの距離、帰りの列車など、色々調べで時間配分を考える。


京都までは
距離もたっぷり残っている。あまりのんびりしていると大変なことになる。

国道367号をペースを上げて走る。交通量はあるが、歩道が広いので助かる。

本当は、裏道でもあればのんびりと走りたいところだが、今日は時間がない。


坂下トンネルは恐ろしそうなので、旧道を行く。静かな川原では水遊びをしている姿が見える。

その後も国道を我慢して走る。後半はすっかり距離を稼ぐだけの走りになってしまった。


我慢の1時間、ようやく三千院の入口に到着。もう、喉がカラカラだ。

自動販売機で買ったCCレモン。あまりに旨くて、続けて2本飲み干してしまった。


自転車を置いて急いで見学だ。汗だくのうえ、時間もないことから足早に見て回る。

三千院は「京都 大原 三千院♪」が歌いだしの『女ひとり』であまりにも有名。

そしてここの紅葉は、JR東海の「そうだ 京都、行こう」のCMにも使われたほどだ。


せっかく来たのだから、ゆっくりと見て回りたいのだが、前半ゆっくりしすぎて時間がない。

ぐるっと歩いて、どこにも立ち寄らずすぐに戻ってきた。残念、また今度。


最終日の16時過ぎに、まだこんな所にいて大丈夫? まあ、明日も休みだし、ゆっくり帰ろう・・・

急いで鴨川沿いに京都を目指す。気持ちのいい鴨川の土手道が再び現れた。

加茂大橋からは、この旅初日に走った景色が目の前に戻ってきた。


京都からスタートして京都に戻ってきた。何だかうまい具合にストーリーが出来上がった。

大都会、京都市内を再び走る。すっかり旅情気分も消え去り、多くの人と車が行き交う中、京都駅を目指す。

急いで輪行して近江高島駅まで戻る。


無事に列車に乗れてホットとする。5日間、事故もトラブルもなく、実に楽しいツーリングだった。

カーサイと車中泊、そして輪行を組み合わせた今回の旅。

毎日寝場所とコースプランニングに悩んでばかりだったが、なかなか奥深い旅だった。


訪れたエリアは歴史と文化に満ち溢れたところ。もっと事前準備をして来るべきだろう。

なかなか来れない、京都・滋賀地方。これを機会にぜひまた走ってみたいと思うばかりだ。

車に戻ればもういい時間だ。さて、最後の夜はどこでそう過ごそうかな? 今日もまた車中泊〜!

距離: 61.1 km
所要時間: 7 時間 50分 00 秒
平均速度: 毎時 7.8 km
最小標高:  30m
最大標高:  490m
累積標高(登り):  783m
累積標高(下り):  841m

(2011/9/10 走行)


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