峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2013 > 宝栄牧場・国見の峠・鍋越峠




昨夜は本当に素晴らしい夜だった。
よく飲んで、よく語って、よく笑った。

静かな早朝の銀山温泉がまたいい。銀山川両岸の洋風木造多層の風情格別だ。
 


素敵な宿でした。挨拶して自転車を置いた車庫まで歩いていく。

朝の銀山温泉は、昨夜の賑やかさがまるで嘘だったかのように静かだ。
 


走り出して さっそく山道へ分岐する。静かな林道にセミの鳴き声だけが響く。

新緑に覆われた林道は、視界を遮るほどの緑で溢れている。
 


やがて視界が開け始め、宝栄牧場への登りに入る。

今日も結構暑く、もう長袖は不要なほどになってきた。

きつい登りだが、広がる展望に救われる。そして気持ちのいい開放感に満たされる。
 


こんな大きく開けた場所があったので・・・「いい眺めですねぇ〜ここ」「一枚お願いします・・・」

「どうですか、ニューサイに載りますかね・・・」「それは私にもわかりませんよ・・・」

「一度でいいからニューサイに登場したいんで、よろしくお願いします・・・」

「パシャパシャ・・・うーん、なかなかいいですねぇ〜」

と頼み込んだのがこの写真だ。さあニューサイ楽しみだなぁ〜

 


かなり勾配もきつくなってきたが、
全く車も通らず気分は上々だ。

軽いギヤをくるくる回しながら登ってくる。 さすがベテラン、決まってますねぇ、何もかも。


ここは阿蘇に近いかも? と思わせるような世界が広がってきた。

きれいな牧草地帯を遮るものは何もない。目の前に牛でもいたら、全く阿蘇と変わらない雰囲気だ。
 


緑の草原を走る一本の道。ひょっとしたら、阿蘇というよりパターソンの世界かもしれない。

何度も止まってはお気に入りの一枚を撮影する。
 


予想外の絶景に思わず笑顔がこぼれる。「ここいいね!素晴らしい!」と皆が絶賛だ。

のんびりとランチタイムや昼寝をしたくなる、ホントそんな雰囲気でいっぱいの楽園だ。
 


こうした遠景の一枚もなかなか お目にかかれるものではない。本当に雰囲気のいい眺めだ。

これもニューサイにぴったりって感じだ。よろしくお願いします。


すっかり
撮影大会になってしまって、ずいぶん時間がかかってピークまでたどり着いた。

こんなにたくさん写真を撮った登りも初めてかもしれない。それほど素晴らしい構図の連続だった。
 


ピーク
には「国見の峠」と記された標柱が建っている が、地図には峠名の記載はない。

遠くに月山を、そして眼下に広がる牧場を見下ろす眺めは、 いつもの峠からの眺めとは全く違う。


それにしても
気持ちのいい道だ。峠にはオフロードバイクが1台休んでいるが、 それ以外まったく車はやってこない。

国見の峠から下った先のT字路が鍋越峠だ。


残念ながら峠の雰囲気も標識も何もない。地図を見なければここが峠だとは気が付かない。

我々も止まることなく分岐を通り過ぎて下ってしまった。
 


本日のコースとしては、あとはゴールまでずっと下りだ。

鍋越峠からの下りは、道路も広く路面もよく快適だ。


豪快な
ダウンヒルとは言えないが、初夏の陽気の中、爽快な風を浴びながらの下りはこの季節ならでは。

ランチタイムは適当な所がなく、脇道に入った林道に腰を下ろして楽しむ。
 


帰りの列車に間に合うように、ペースをあげて一列で飛ばす。気温も高くなり、交通量も増えてきた。

さすがにオーバーペースで途中でダウン。道路わきに座り込んでクールダウンだ。駅まではまだ結構距離がある。
 


午前中の優雅な走りから、午後は一気にファストランに変わってしまった。

ほぼ平坦になってくると、先頭がグングン引っ張ってスピードを上げる。
 


いいペースで走っていたところ、あと10kmというところでトラブル発生だ。

U野氏のお宝シクロランドナーのワイヤーをひっかける爪が破損してしまった。


ここまでノントラブルできたけれど、最後に待ってました、って感じだ。

テンションが取れず、見た目には致命傷かと思われたが、さすがシクロのオーナーは準備も万全だ。


こういう時のためにちゃんと針金を持っている。こんな事態でも全然慌てずに笑顔だ。

針金をうまく曲げ、プライヤーで引っ張りながら難なく修理完了だ。


変速に多少の支障が出るかもしれないが、あと10km、平坦なので問題ない。

約10分で修理完了。素晴らしい、お見事でした。
 


15:30 古川駅に無事にゴール。

U野氏はカーサイのY氏とともに、そしてK氏は盛岡方面へとここでお別れだ。残った二人でのんびりと輪行する。


ゴール
直前はいろいろと慌ただしかったが、この二日間はこれまでにないツーリングを味わえた。

あまり走らない季節にこれだけ充実したツーリングができて本当に感激だ。


歴史ある山刀伐峠の雰囲気、銀山温泉の素晴らしさ、そして宝栄牧場の絶景。

走った距離は短かったが、見どころ満載、内容充実の素晴らしい二日間だった。
 



数ケ月後。
ニューサイ603号。恒例のU野氏の紀行文が巻頭を飾った。

「みちのく峠路へ」というタイトルの見事な写真と文章だ。

さすが、私のくだらないレポートとは「品格」が違う。素晴らしい仕上がりだ。


念願のニューサイに登場させていただき、私にとって最高のプレゼントになった。

メンバーの皆様、本当にお世話になりました。また飲兵衛ツーリングに行きましょうね!
 

ニューサイクリング 2013年11月号 No.603 より


距離: 54.2 km 
所要時間: 5 時間 46 分 42 秒
平均速度: 毎時 9.4 km
最小標高: 18 m
最大標高: 618 m
累積標高(登り): 455 m
累積標高(下り): 692 m

(2013/6/9 走行)


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