峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2013 > 佐原
水運を利用して「江戸優り(えどまさり)」といわれるほど栄えていた佐原。人々は、江戸の文化を取り入れ、更にそれを独自の文化に昇華していた。
その面影を残す町並みが小野川沿岸や香取街道に今でも残っている。
千葉方面はなかなか行く機会がない。
どうも、高い山はないし、峠もないのでプランニングが難しい。
これまでは、とにかく峠、林道ばっかり好んで走っていたが、年々体力も衰え、視力も悪くなり、逆に飲む量が多くなってくると、もう少し違った走り方をしないといけない。
平坦路を急ぐでもなし、ちょっと太目の700Cぐらいで快走するぐらいがちょうどいい。
自転車道を行けば、迷うこともないし、エスケープルートはあるし、なにより気持ちが楽だ。
時には、そんなに真剣にプランニングしない、泊まる所だけ決めておこう、なんてツーリングもいいかもしれない。
と、思って北総鉄道「印旛日本医大駅」に降り立った。
まあ、こっち方面はまず来ることがない。なのでほとんど土地勘がない。
まずは印旛沼を目指す。
ほとんどすれ違う人も、車もいない。
綺麗な自転車道がまっすぐに伸びる。
今日は風が強く、なかなか自転車には厳しい状況だ。
ほとんど勾配のない印旛沼沿いの道。たまに、ロードレーサーがこの強風の中自分を追い抜いていく。
開けた場所では、超望遠レンズを三脚にセットしたカメラマンが、成田へ着陸する飛行機を狙っている。
みなさん、とんでもない高価なレンズをつけていて、年配の方も、女性の方も必死にファインダーを覗いている。
何がいいのか、自分にはさっぱりわかりませんが・・・カメラ機材高いだろうなぁ・・・
単調な道だ。
まあ、それを求めてやって来たのだから文句はない。
だらだら、じりじり、と日頃の疲れを癒すのにやってきたようなものだ。
毎日あわただしく時間に追われ、朝早くから夜遅くまで神経をすり減らすような日々。
IT系の仕事は特に、目も心も精神も酷使する。
そんな時には、こんな旅がいい。無駄に時間を過ごす旅がいい。
あまり予定に縛られたり、辛いコースだったりしてはこの旅は面白くない。
そんな気持ちで走っているから、どこまでも平坦な視界、変化のない景色、色彩のない湖面にも次第に慣れてきた。
ここは、都心から地下鉄経由で乗り継いでくれば意外と近い。
雑踏とビル群に囲まれた街から、ほんの1時間でこれだけ何もない世界に飛び込める、というのは相当新鮮な発見だった。
しかし、とんでもない強風である。まともに走れないほどだ。
草も強風で押し倒されそうになっているのが写真でもよくわかる。
止まっていても、風で体ごと押し戻され、しゃがみこみたくなるほどであった。
利根川に出ると、土手沿いの自転車道が始まる。幅が広く、綺麗な舗装の気持ちい自転車道だ。
さっきまで横風だった強風は、幸運にも追い風へと変わり、風速9mの威力はものすごく、まったくペダルを漕ぐ必要がない。
黙って座っていれば、強風が背中を押してくれて、なんと20kmものスピードが出るほどだ。
本当に風の力は凄い。
おかげで、ますます楽に、単調に、そして何もすることがなく、足も動かさず、じっと座っているだけであった。
さすがに「飽きてきた」。
佐原の町が近づいてきたので、裏道へ行こうと利根川から離れる。
やっと変化のある風景が現れ、やっぱり単調すぎるのもよくない、と反省。
水田の中を流れる小さな川に、カルガモの親子6羽を見つけた。
川から上がって、一列になって草むらに向かって、お尻を振りながら歩いていった。
あまりのかわいらしい姿に、思わずうっとりとする瞬間であった。
やっぱり、こうした変化と感動がないとだめだ。
佐原には、ご存知伊能忠敬の記念館がある。
我々サイクリストがツーリングできるのも、この人のおかげかもしれない。とにかく「地図」には大変お世話になっている。
ぜひとも記念館をゆっくり見学したいと思っていた。
50歳を過ぎてから全国を測量し始めたというのだから、とにかく驚きだ。
今から全国を測量せよ、と言われたら、自分だったら間違いなく「できません、勘弁してください」と言うでしょうね。
展示内容は本当に素晴らしい。そして驚異だ。
ぜひ見学して欲しい。
観光船で周遊する川めぐり。猛暑の中、外人さんにも人気だ。
のんびり船に乗って、ゆっくり水郷佐原の町を楽しむのもいいかもしれない。
たっぷりと町中を散策して、本日の宿、潮来へ向かって佐原を後にした。
【Wikipediaより】
小野川に掛かる樋橋から、水が流れ出る瞬間
樋橋(とよはし)は、千葉県香取市の小野川に架かる橋である。
ジャージャー橋とも呼ばれ、日本の音風景100選に選定されている。
樋橋は、もともと江戸時代に小野川上流でせき止めた農業用水を佐原の関戸方面(現佐原駅方面)の田に送るために小野川に架けられた大きな樋(とよ)であった。
この樋から小野川に落ちる水の音からジャージャー橋と呼ばれるようになった。
その樋を人が渡るようになり、昭和時代にコンクリート橋、1992年(平成4年)に現在の橋となった。
平成4年に橋を造る際に、かつてのジャージャー橋のイメージを再現するため、水が落ちるように造られた。
1996年(平成8年)に環境省の日本の音風景100選に選定された。
(2013/7/6 走行)
距離:
74.4 km
所要時間: 7 時間 49 分 47 秒
平均速度: 毎時 9.5 km最小標高:
1 m
最大標高: 37 m
累積標高(登り): 70 m
累積標高(下り): 59 m
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