峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2013 > 奥出雲
サンライズ出雲 A個室寝台1人用(シングルデラックス)
−−−帰りの切符を手に入れるまで−−−
一ヶ月前の10時からみどりの窓口で寝台券の申込ができる。
一瞬で売り切れるほどの超人気。特にA寝台は入手まず不可能と言われている。
会社を休んで、空いてそうな南武線のみどりの窓口に向かう。
事前に記入した購入票には要点を赤字で記入し、いかに早く駅員に理解してもらい、端末操作をしてもらうかが重要。
不慣れな駅員ではこうした特殊な切符は入力に時間がかかる。
10時1分前になると、スピーカーから時報が流れる。10時と同時に全国のみどりの窓口が入力開始。
さあ、早く入力してくれ。いいぞ!なかなか手際いい!
さあ、結果は・・・
残念ですが満席です・・・
やっぱし。
しかたなく、シングルという次のランクに格下げで購入。
仕方ない、取れただけよしとしよう。
しかし、キャンセルがでる可能性があるので、何度も窓口に行って操作してもらう日々が続いた。
ダメ、ダメ、ダメ。
同じ駅だとまた来たかと思われるので駅を変えるほど。
ところが、1週間前にどうせだめと、武蔵小杉で並ぶと、
すると、なんと!
1つ空いてます。とのこと!
もう、焦ってしまって、それ、それお願いします!!ということで、入手した超貴重なチケットがこれだぁ!
今回のツーリングは、この寝台に乗ることから計画した。
行きに乗るか、帰りに乗るかで考え、ゆっくり飲みながら夜行を楽しもうと思って帰りにしたのだ。
できたら、多少高くても最高ランクの寝台に泊まってみたい。もう乗れる機会はないだろう、と思っていたのだ。
個室の様子や、車両の写真を見るだけで旅心が盛り上がる。
早く乗りたくて仕方がなかった。
高校生の時に、寝台特急ふじで九州に行ってから夜行寝台ファンになった。
最近は乗りたくても夜行寝台は人気が高くて、特に個室なんぞまず入手不可能。
それだけに入手できたのは奇跡的なことだった。
走るのは今日が最後。
朝、旅館の前にタクシーがやってきた。
昨夜は、木次駅から輪行のままタクシーでこの旅館まで来たので、明日の朝迎えに来てくれるように頼んでおいたのだ。
このロングツーリング最後の楽しみは、木次線トロッコ列車おろち号と、寝台特急サンライズ出雲だ。
旅館から再び木次駅に戻って、主役の列車を楽しみに待つ。
しばらくして、始発駅から乗客を乗せた「おろち号」がやってきた。
普通の列車とは明らかに違う異様な姿にビックリだ。
先頭車両がトロッコ車両でオープン車両。
後ろの車両が普通の客車。
全席指定で、両車両の座席が使える。
天候の悪いときは後ろの客車に移動ってことだ。
車内はこんな感じでにぎやかな乗り物。
この列車の売り物が、停車駅毎に変わる車内販売だ。
地元のおばちゃんたちが乗り込んで、次の駅までに売り尽くすというスタイル。
乗客の皆さん、ピクニック気分なのでついつい買ってしまう。
駅でもそばやさんが、そば弁当をホームで売ってくれる。
トンネルに入ると、天井の「おろち」が光り輝き、子供たちの歓声が上がる。
三段スイッチバックのメインイベントを楽しみ、どんどん標高を稼いでいく。
あっという間に駅が真下に見えてきて、眼下の駅では全員が手を振って見送ってくれる。
2時間弱のとっても楽しい、旅情たっぷりの「トロッコ列車」だった。機会があれば、ぜひ乗ってみることをお勧めします。
この列車も人気がありますので、早めに切符を入手しないと乗れませんヨ。
そして着いた駅が三井野原駅。
標高726m、JR西日本で一番高い駅と記されている。
降りたのは、家族連れ2組と自分だけ。 さっそく組み立てる。
ここからはループ橋をぐるりと回って、後は下りばかりの極楽 ダウンヒルコースだ。
台風接近で小雨がパラパラと降っているが、たいしたことはない。
ここからゴールの出雲市駅まで65キロほどのコースだ。
ループ橋はあっという間にに下ってしまい、あとは延々と楽チンダウンヒル。
亀嵩駅へ向かう。
途中、抜け道の登りを越えると、快適なダウンヒルが待っている。
そろそろ、トロッコ列車とすれ違う時間だ。
線路脇にちょうどいい撮影ポイントがあったので、ここでしばらく待つことにした。
やってきたトロッコ列車は、今度は前後を逆にして走ってきた。行きと帰りでは列車の向きが逆になるのだ。
亀嵩駅は、おなじみ「砂の器」に出てくる駅だ。
手打ちそばがうまそうだが、列車の中で散々食べてしまったので満腹状態で残念。
小雨も上がって、さあ、いよいよ本日もフィナーレが近づいてきた。
台風の影響もほとんどなく、本当に助かった。
斐伊川沿いの道は広くて快適だ。
出雲市内にも素敵な自転車道があって気分がいい。
そして、今回の旅のゴール、出雲市駅に無事到着した。
さあ、そしてとうとうこの旅の本当の楽しみ、「サンライズ出雲 A個室寝台1人用(シングルデラックス)」の始まりだぞー!!
まずは、自転車を分解し、手を洗ってから買出しに行こう。
駅前にコンビニがあるから、ビール、焼酎、水、氷、そしておつまみ沢山買って乗り込みましょう!
18:55発だから、たっぷりと、ゆっくりとお酒を飲みながら車窓からの眺めを楽しめるだろうなぁ〜
なんたって、広々した個室だから、究極の贅沢でしょうねぇ〜
たくさん写真とって、すぐみんなに送って自慢してやろ〜っと、エヘヘ、楽しみぃ〜
さあ、大量に買い込みました。輪行袋が相当重いです。
さあ、改札へ行きましょ〜!
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
じぇじぇじぇじぇ!!
信じられないことが起きてしまった!
何のことか全く理解できなかった・・・
なんで? どーして?
だって台風はもう通り過ぎて、東へどんどん遠ざかっているし・・・
出発にはまったく影響がないのに、どーして・・・
運行中止なんて、まったく考えもしていなかった・・・
乗車20分前に梯子をいきなり外され、真っ逆さまに転落した。
打ち所が悪ければ死んでいたほどだった・・・
台風の進むスピードより、列車のスピードのほうが早く、明朝には列車が台風に追いついてしまうということらしい。
なるほど・・・理解できた・・・そりゃだめだ・・・
一転、今夜の寝場所探しの争いが始まった。
この運転休止に気づくのが遅かったため、他の乗客はすでに周囲のホテルに殺到していた。
なんてこった。もっと早く改札へ行って状況を確認するべきだった。
分解と、買出しに一生懸命だったので、放送も聞こえなかったし、周囲の状況にも気がつかなかった。
出雲市駅周辺のホテルはすべて満室だった。
さあ困った。
この時間だぞ、どうする? 野宿か? A寝台個室から野宿だと・・・? まさに天国から地獄だぁ・・・
近いところでは満室だと思い、携帯で松江のホテルを探す。
すぐにビジネスホテルが予約でき、一安心。そして急いで移動開始。
もう、ヘロヘロ。空腹、落胆、ショック・・・
汗だく。
今頃、A寝台のシャワーを浴びている頃だろうな〜、なんて思いながら松江に到着。
ビジネスホテルまで、重い、重い輪行袋かついで歩く。あー、なんてこった。モー最悪。
テレビを見ると、近畿地方が凄いことになっている。京都桂川もメチャクチャだ。
これじゃ、列車運行していたら、どこかの駅で立ち往生、缶詰状態になっていたかもしれない。
そう思えば、運行中止になってよかったのかもしれない。悔しいけれど、納得せざるをえない。
さて翌日。
台風で凄いことになっている。新幹線も止まっている。帰れるのか?
台風のスピードからして、午後には新幹線も回復に向かうと予想し、松江から岡山へ移動する。
岡山に着くと東京方面へ向かう乗客が皆あせってみどりの窓口へ殺到!
トイレも一杯、券売機も行列。
こんな時は一杯やって、ほとぼりがさめた頃にさっと切符購入ということで、ビールにちくわで雑踏を眺める。
新幹線はすべて新大阪止まり。しかたなくそこまで行くしかない。
そして新大阪到着。すると、もっと凄いことになってました。
15時に東海道新幹線が復旧したので東京方面へ行く人が我先にと急ぐ。
これは自転車ありでは不可能と、こだまに切り替えるが、そのこだまも満員。
なんとか乗り込み、輪行袋もうまく収めて運よく座れた。奇跡!(さすが、フォーク抜き輪行!)
通路は通勤電車並。止まる駅に人が溢れ、降りる人と乗る人で大騒ぎ。
大変な帰京だった。
10時間
かかって、ようやくゴールが近づいてきた。
幻の 「サンライズ出雲 A個室寝台1人用(シングルデラックス)」
今更ながら、ほんと、乗りたかった・・・
やっぱり悔しい・・・
この文章書いていて、再び悔しさがよみがえってきた。
もう一回挑戦してみようかどうか迷ってます。
(2013/9/15 走行)
距離:
70.9 km
所要時間: 4 時間 33 分 29 秒
平均速度: 毎時 15.6 km最小標高:
7 m
最大標高: 729 m
累積標高(登り): 388 m
累積標高(下り): 1109 m
峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2013 > 奥出雲