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【下津井電鉄由来】

明治41年 四国への玄関口として繁栄してきた下津井が宇野線・宇野-高松航路の開通によりさびれていくこととなり、下津井・丸亀の住民が旧金比羅道に軽便鉄道を計画し、明治43年 期成同盟会を結成 当時の鉄道院に免許申請する運びとなる。
翌年8月に下津井軽便鉄道(株)を設立し大正2年11月、茶屋町〜味野町間(14.5キロ)、翌3年3月味野町〜下津井間(6.5キロ)を敷設開業する。
以来 全線廃止となる平成2年12月までのおよそ80年の間、地区民の貴重な足として、また 後年は全国であまり例がないナローゲージ(狭軌)で鉄道マニアの人気を集め愛された。
開業当時は経営が苦しく「シャッキン、シャッキンで走る汽車」の異名をとり、太平洋戦争時には木炭車に改造され、泥炭の燃料切れで鷲羽山の坂では乗客が降りて列車の後押しをしたというエピソードもある。
昭和47年3月茶屋町〜児島間の廃止に伴い、廃線跡地は市有地として自転車道・遊歩道として整備され、利用されている。


今回は 「自転車と旅 Vol.1」で紹介されているコースを参考にさせてもらいました。


午前中に 吉備路自転車道を楽しんだ後、茶屋町駅まで頑張って走ってきた。

ここから始まるのが、下津井電鉄跡の「茶屋町児島自転車道」だ。
 

廃線跡を利用した自転車道が日本中あちこちにある。

しっかり整備されている道もあれば、本当に消えかかってしまいそうな廃道もある。

かつては、地域住民の大切な足であった鉄道が、歴史とともに消えていった。

残された廃線跡を辿れば、いくらかでも当時にタイムスリップできるかもしれない。

 

茶屋町の駅から始まるこの自転車道は、とっても贅沢な道幅だ。

目の前を学校帰りの学生が通り過ぎる。まっすぐな道が、家と家の間を通り抜ける。

住民には無くてはならない生活道と言った感じの道である。

当時を思い出させる駅ホーム、朽ち果てた特急バスの残骸? など、進むごとに昔の名残が現れる。

道は、適度にカーブを取り、緩く下り、のどかな町中を行く。

学生以外に人影がない。まあ、無理もないか、平日の昼間だから。

国道沿いの、国道よりよっぽどきれいな自転車道を一人行く。

瀬戸中央自動車道の下を抜け、道は次第に山の中へ入っていく。

 

車の騒音も消え、小鳥のさえずりが聞こえてくる。周囲は、急に山深く、峠越えの雰囲気へと変わってきた。

かなりの勾配だ。この道を当時の列車が本当に登ったのだろうか?

しかし、本当に静かで素敵な道だ。木々が鬱蒼としていて風が冷たく気持ちいい。

 

 

次々と変化する自転車道。

「ひえだ駅」に到着する。

ちょうど目の前が公園になっていて、子供たちが元気一杯に遊んでいる。

こんな変わった姿のおじさんが目の前に現れても、こちらのことなどまったく無関心だ。

そうそう、この自転車道を走り始めて気がついたことだが、とにかくこの町、小学生、中学生の姿がやたら多い。

走っていると、次々と若者たちとすれ違う。

なんでこんなに子供たちが多いのだろうと、思うぐらい次々と現れる。

 

 

 

少子化、過疎化なんてウソだろう、と思うぐらい元気で賑やかだ。

よくよく地図を見てみると、この道沿いにずいぶん沢山の学校がある。だからか・・

しかし、そんなに子供が多いのはなぜなんだろうか? と考えるばかりであった。

よっぽど子育てしやすい町なのか、環境がいいのか、教育が素晴らしいのか・・・

都会の子供達と違って、皆笑顔で明るく、そして携帯やスマホをいじっている子なんていなかった。

子供たちが元気に暮らせる町って素敵ですよね。この町、いい町だな、とホントに思った。

 

児島駅から先は「風の道」として整備されている。

「風の道」とはどういう意味なのだろうと思っていたが、実際に走ってみるとその意味がわかる。

 


児島競艇場を眺めながら、きれいに整備された「風の道」を緩く登っていく。

なかなか素敵な道だ。次第に、大きく空が広がってくる。そして、青い海が視界に入ってくる。

吹き抜ける爽やかな風。これが「風の道」だ。

登りつめた所に鷲羽山駅の跡がある。

いい眺めだ。

瀬戸大橋、瀬戸内海が良く見える。

こんな素敵なロケーションはなかなかない。

とにかく、明るく爽やかな道だ。
自転車道としては、なかなかの出来栄えだ。

 

 

 

時刻は17:00を過ぎた。先を急ぐ。

一日で2つの自転車道を走ろうという欲張ったプランだったが、なんとか明るいうちに宿に着けそうだ。

下津井駅へ下る。

鬱蒼とした草木が生い茂る本格的?なダートを下ると、そこに大きく開けた下津井駅が現れる。


この先に本当に駅があるのだろうか、と不安になる頃、パッと現れた明るい空間に感動する。

下津井駅のホームで記念撮影。

昔の車両もちゃんと保存されている。

レールもしっかり残っていて、今にも向こうから列車がやってきそうな雰囲気だ。

本日の宿は、そこからすぐだった。

 

 

 

本日の宿、下津井亭に到着。部屋からの眺めが素晴らしい。

なんと、今日の宿泊客は自分一人という贅沢。

ゆっくり、たっぷりとお話しながら夕食を味わった。

なんと我が社の商品の熱烈愛用者ということで、いろいろ話が盛り上がりました。

たこに始まり、たこに終わる、たこづくしのお料理に大満足。

 「下津井活たこコース」会席
・食前酒・前菜・お造り・珍味・たこ酢・焼きだこ・揚げ物・鍋物・たこ釜飯・あら汁・漬物・デザート


 


 

距離: 21.6 km 
所要時間: 1 時間 49 分 17 秒
平均速度: 毎時 11.9 km
最小標高: 2 m
最大標高: 60 m
累積標高(登り): 98 m
累積標高(下り): 100 m

(2013/9/9 走行)


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