峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2014 > 六十里越街道
毎年恒例のクラブランがあるので、一足お先に出発してソロツーリングとすることにした。
始発に乗って鶴岡に着いたのが10時過ぎ。組み立てて、走り始めたのがもう11時になっていた。
晩秋のツーリング。装備も多く、前も後ろも荷物で溢れんばかりだ。
雲ひとつない見事な快晴。
昔走った記憶をもとに、まずは赤川沿いにのんびりとスタートだ。
広々とした河川敷沿いの道が実にいい。ゴルフコースは誰もいなくて贅沢すぎるぐらいだ。
後方は鳥海山、前方は月山だろうか。冠雪した山々が、はるか遠くに見える。
初日は体も重く調子がでない。今日はずっと登りっぱなしだ。
道はやがてゆるく登りはじめる。
土手でしばしランチタイムの後は、いよいよ真剣に登りはじめる。
平日の国道は交通量も多い。
これから900mも稼ぐとなると、そうは遊んでいられない。
というわけで、まじめに走り始める。
食後の体は重く、思うようにスピードが出ない。
まあ、初日は何とかごまかして、無事に宿に着くことを願うだけだ。
しばらくは、ただじっと我慢で国道を行く。まあ、登りとは言え雰囲気は悪くない。
しかし、「朝日第二トンネル」には参った。こんなひどいトンネルは滅多にない。
これまで経験したトンネルの中でもワーストスリーに入るだろう。
交通量は多い、長い、そしてずっと登りだ。
怖い、暗い、つらい、重い、長い、苦しい、暑い・・
これほど出口が待ち遠しかったトンネルも初めてだった。
ホント、つらかった・・
あさひ月山湖の先は自動車専用道になるため、自転車は迂回することになる。
やっと静寂の時が訪れる。
そして田麦俣へ。
四層構造の多層民家の里として知られている田麦俣。
朽ちたバス停。誰もいない。
前に来たときはここの民宿に泊まった。
よく走って、よく飲んで、よく騒いだ。
岩魚の骨酒がうまかった。
旧遠藤家住宅を眺めながらじりじりと登っていく。
道端に「出羽の古道 六十里越街道」の幟が風になびく。
時刻は15:00。まだ標高400m。半分だ。
勾配もきつくなるが、晩秋の峠路が辛さを忘れさせてくれる。
陽が傾き始めた。
この季節、日没は早い。先を急がなければ。
道路脇は落葉でいっぱいだ。
まだわずかに残っている紅葉が最後の競演を奏でている。
まもなく葉はすべて落ち、雪に閉ざされ白い世界が訪れる。
息が弾む。押しても辛い登りが続く。
こんなきつい登りだったか、と思うぐらいだ。
といっても、前回は下りだったからしかたないか・・
ただし、道幅は広く路面もきれいなので登りやすい。
雰囲気はいい。ツーリズムの世界、ランドナーの世界だ。
勾配が多少緩くなって一息つく。
路面に映った自分のシルエットがとても美しい。
走りながら、ビデオを片手に撮影。
落葉の絨毯に、ランドナー姿の自分が映える。
クルクル回る自分の足がとても面白い。
久しぶりだ、こんなに秋を感じさせる峠路は。
湯殿山神社への分岐に到着。時刻は16:00。
昔を思い出す。湯殿山神社へは自転車で行くことができない。
前に来たときは、どうしても通してくれないので、ここに自転車を置いてマイクロバスで御神体を拝みに行ったっけな。
今日はもうこの時刻になってしまい、入口に誰もいなかった。
暗くなり始めた。そして冷えてきた。
本日の宿まであと4kmほどだ。
ここまでくれば一安心。さあ、真っ暗になる前に宿に行こう。
手袋をはめて、先を急ぐ。
強力なLEDライトを装備しているから、多少暗くなっても大丈夫だが、一人でナイトランはしたくない。
通行止めの案内があるが、その先多少の工事はしていたが車も走れるほどであった。
なんとか日没に間に合った。
本日の宿「月山の宿 かしわや」
通りに人影はなく、果たして今日の泊り客は何人? と心配になるほど静かな周囲だ。
さすがに気温も急激に下がり始め、やはり季節はもう冬だと感じさせる。
泊り客は3組。年配のご夫婦。奥さんの誕生日記念での旅行らしい。
もう一人は、庭園マニアの男性。全国の庭を眺めるのがたまらないという高尚な趣味をお持ちの人。
今宵は、皆で色々語り合い、楽しい夕食となりました。奥さん、ご主人が無口なので、話し相手ができてとっても楽しそうでした。
翌日もいい天気。ご夫婦に挨拶して下り始める。
さあ、今日からは二つの自転車道を巡る旅が始まる。
(2014/10/30 走行)
距離:
50.3 km
所要時間: 5 時間 38 分 54 秒
平均速度: 毎時 8.9 km最小標高:
16 m
最大標高: 916 m
累積標高(登り): 1085 m
累積標高(下り): 390 m
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