峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2015 >  駿遠線廃線跡




今回泊まらせてもらったのは、「ファミリーロッジ旅籠屋(はたごや)袋井店」だ。

初めてお世話になるチェーン店だ。


全国に約70店舗ある、シンプルで自由な旅と暮らしをサポートする、アメリカンスタイルのロードサイドホテルだ。

手本となっているのはアメリカのモーテルだそうだ。 自分もアメリカに行った時に何度か利用したことがある。


コンセプトは、旅の途中に気軽に泊まれる、自由で経済的なミニホテルといった感じらしい。

素泊まりなので料金もとってもリーズナブル。 食事は自分で好きな物を好きな所で、という自由な発想。
 


普通のホテルや旅館で当たり前のサービスはないけれど、その分自由に過ごせることが最大の魅力。

部屋も広くてきれいだ。清潔感にあふれている。駅前のビジネスホテルより全然いい。


設備も十分だ。ベッドも大きいし、コインランドリーもある。

チェックインしたらあとは自由だ。コンビニも近所にあるし、外で食べてもいい。

繁華街から少々離れているので、賑やかさはないけれどその分静かに過ごせるのもいい。
 


車での旅行を相手にしたホテルだから、駐車場を囲むように部屋が設けられている。

そうそう、アメリカのモーテルもこんな感じだった。なんだか懐かしくてうれしくなる。


朝はフロントにパンとドリンクの軽食が用意されている。これだけでもとても有難い。

いったいどういう人が利用するのだろうか? 家族連れ? カップル? 仕事?


日本では新しいスタイルの宿泊施設なので、自分はとても興味を持った。

結構ソロツーリングでは便利に使えるのではないかと感じた。
 


さて、旅籠屋の宣伝ばかりになってしまったので本題に戻りましょう。

今日もいい天気になった。ポカポカと暖かい中、宿を出て袋井駅へ向かう。


本日のコースは単純明快、袋井駅から藤枝まで64.6kmの駿遠線跡を辿る旅だ。

できるだけ昔の駅名跡を見つけながら、明日のクラブラン集合地の藤枝まで行く計画だ。


歩道横にポツンと設置されている柳原の駅からスタートだ。

完全に車道と分離された歩道は広く走りやすい。
 


すぐに車道を離れ、静岡軽便鉄道の軌道敷を活用した自転車道へ入っていくと次の諸井駅が現れる。

住宅街の中を平坦な道がまっすぐ伸びる。静かでのんびり走ることができる。

路面には軽便鉄道の機関車のレリーフが埋め込まれてある。なかなか手が込んだ演出だ。
 


ベンチが設置されていて、お散歩やジョギングの人たちにも喜ばれそうだ。

道はとてもきれいに整備されていて、ゴミらしいものが全く目につかない。


きっと付近の住民が掃除しているに違いない。

次は芝駅。ひと駅ごとに止まって写真を撮っていると結構時間もかかる。でもそれが楽しい。
 


住宅街を抜けると五十岡駅。この辺りでは目の前に田んぼが大きく広がり、開放感も抜群だ。

五十岡駅には、駿遠線の説明モニュメントが設置されている。

詳しく解説されているのでよく読んでおきたい。
 


すごい距離を走る路線図、そして数多くの駅。あらゆる生活の足として活躍したことがうかがえる。

その軌道敷を辿れるなんて、なんてロマンチックなコースなのだろう。

こういうテーマがあるツーリングは楽しい。ますます素敵なポタリングコースになってきた。
 


走っていると、袋井の人たちは皆さん「こんにちは」と挨拶してくれる。

なんてすばらしい街なんだ。これだけでこの街が好きになる。


景色は川沿いに出たり、田んぼの真ん中を突っ切ったりと変化するが、道は全くフラットだ。

西千浜の駅を過ぎてからは、少々駿遠線を外れて海岸線に出てみる。
 


せっかくここまで来たからには、大海原を眺めてランチタイムにしたい。

いい天気で日影がなく、適当な休憩場所がない。


しかたない、自転車道に座り込んで鍋ランチとしゃれこんだ。

どこまでも広い海。どこまでも広がる空。そしてまっすぐな道。


素晴らしい景色だ。何も言葉はいりませんね。

こんな道を走っていると、自転車ってホント素晴らしいって感じる。

誰も通らない。そして風もなく風力発電機のブレードも回っていない。穏やかな眺めだ。
 


風力発電機がいくつも並ぶ先に、浜岡原子力発電所がかすかに見える。

大自然と巨大な人工物、そして原発問題。ここにいるといろんなことを考えさせられる。
 


再び駿遠線のコースへ戻り、桜ケ池駅を探す。

見つけにくい駅だと、ちょっとしたサイクルオリエンテーリング気分だ。

御前崎まで行ってしまうとテーマから外れてしまうので、今回はパスだ。

地頭方で小休止。ここまで来るとコースも半分以上走ったことになる。
 


きれいな路面、フラットで広々とした自転車道。なんて走りやすい素敵な道なのだろうか。

刻々と景色も変化していくので、単調ながらも飽きることがない。


民家の軒先に猫ちゃんを見つけたらすかさず自転車降りて追っかける。見事撮影出来た時はご満悦。

そんなことしてるとどんどん時間も過ぎていく。でもこれが自分のツーリングスタイル。
 


次々と駅名が現れる。

「きすす」かと思ったら「すすき」でした。ここだけ右から読みますね。

日も傾き始め、いよいよ本日も終わりが近づいてきた。
 


海岸線沿いに走ってきたが、一旦住宅地の小堤山公園側に進路を変える。

立派な小堤山トンネルが目の前に飛び込んでくる。当時の写真と歴史が解説されている。
 


「このトンネルは小堤山トンネルと呼ばれ、現在は太平洋岸自転車道として利用されていますが、

かつては静岡鉄道駿遠線(昭和45年廃線)の列車を通していました。」


昔の写真を見てトンネルを目の前にすると、本当にここを駿遠線の車両が通っていたのだと実感する。

再び海岸線に出る。どこまで走っても人の姿を見ることがない。
 


時刻は16時半、かなり暗くなってきた。大井川に近い遠州神戸駅で最後の休憩。

すでにLEDライトを点灯するほど暗くなってしまった。


大井川を渡るときはすっかり日も落ちてしまった。

17時を過ぎるともう真っ暗だ。11月のツーリングはやはり17時までだな。
 


17:36 無事に藤枝の宿に到着。本日の走行距離 69.8km

スタートからゴールまで、文句なしに一日満喫できるコースだった。
 


 

距離: 69.8 km
所要時間: 8 時間 15 分 58 秒
平均速度: 毎時 8.4 km
最小標高: 1 m
最大標高: 40 m
累積標高(登り): 145 m
累積標高(下り): 133 m

(2015/11/21 走行)


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