峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2016 > 片鉄ロマン街道
あまりに完成度が高く、日本の自転車道の中でも、これ以上の所はなかなかないのではないかと感じた。
必ずまた走りたい、それも落ち葉の季節がいいな、と思っていた。
今回、落ち葉の季節にはまだ早かったが、再び訪れる機会を得た。
3年前の記憶がいまだ鮮明に残っている。
普通、一度走った所はしばらくは走りたくないのであるが、ここだけは別だ。一日に2度走ってもいいぐらいだ。
それほど惚れ込んでいる。
素晴らしかった昨夜の荒木旅館。女将に見送られて宿を後にする。
ちょうど通学時間で、高校や小学校、保育園の横を通り過ぎると始業のチャイムが鳴っていた。
皆さん、お仕事やお勉強の一日ですが、こちらは再び憧れの自転車道へ。
すぐにスタート地点に到着。ポタナビのルート設定をダウンロードする。
ポタナビのサーバには、自分で作成したルートを保存しておくことができるが、ポタナビに転送できるのは5本までだ。
サーバに5本以上ある場合は、スマホからポタナビのサイクルラボへアクセスし、不要なルートを消して、必要なルートを登録すればいい。
今回はロングツーリングのため設定ルートが5本以上になったため、初めてスマホから登録・削除を試してみた。
本日のコース予定である 西片上→片鉄ロマン街道→弓削駅 がポタナビに無事に設定することができた。
これまで、自宅のPCでしか設定できないかと思っていたが、スマホがあれば、旅先からでもコース作成、設定、登録などができそうだ。
今回も文句なしの快晴。そして風もなく、快適な朝だ。
台風が通り過ぎた後の自転車道は、どれだけ荒れているかと心配していたが、わずかに落ち葉が散らかっているだけで、ほとんど何もなかったかのような快適な路面で始まった。
昨日の宿で聞いたところ、このコースは地元のマラソンコースになっているそうで、確かに、まれにジョギングしている人とすれ違ったことがある。
そうであれば、地域の方々が毎日この自転車道を清掃しているのであろうか? これまで、一度も清掃している方を見たことがないが、あまりにこの自転車道はきれいに維持されていることに驚きを隠せない。
多くの自転車道は、利用者も少なく、路面は荒れ、雑草、落ち葉、枝木などが散乱している所も多い。中途半端な開発で、コース途中で寸断されていたり、案内板、トイレ、休憩所などの設備も不十分だったり、朽ち果てていたりする。
ここは違う。
ゴミがないのは当たり前、落ち葉も、倒木も、雑草もきれいに処理されている。案内板、休憩所、トイレ、すべてが見事なまでに整備されている。前回も、この美しさには驚いていたが、今回も再度その維持管理に驚くばかりであった。
同じコースを同じようなペースで走る。そして同じような感動を味わう。
やっぱり、いい。 本当にここはいい。 やはり来てよかった。 素晴らしい。
見どころは色々ある。すぐに峠清水トンネルだ。ちょっとした峠越えを味わえる。
写真を撮っていると、何やらトンネルの向こうから歌声が・・・
かすかに小さく動く物体が見える。どうやら誰か歌いながらやってきたな?
しばらく待っていると、ようやくママチャリに乗ったおじさんが、楽しそうに歌いながら走って来た。
「こんにちわ〜」と挨拶すると、「こんにちわ〜」と元気よく返ってきた。
そりゃご機嫌でしょうよ、この天気、この気候、この道なら。いいですね、毎日こんな快適な道を走れて。
まもなく和気(わけ)の駅が見えてくる。駅の地下道を通って反対側へ出る。
ちょうど観光協会が開いていたので、中に入って片鉄ロマン街道のパンフレットをもらってきた。
パンフレットはなかなかの出来栄えだ。これだけでも持っている価値がある。
道は川沿いに出て、オレンジ色にペイントされた「片鉄ロマン街道」の鉄橋を渡る。
前回来た時には、こんな鉄橋のペイントはなかったはず。人気が出て、きれいにしたのでしょうかね。しっかりお金もかけていますね。
自転車道は完全に車道と独立して、さらにかなり高い所を進む。車道を上から見下ろしながらのポタリングは気分がいい。
車に邪魔されず、騒音も聞こえない。完全に自転車のみの世界が広がる。
旧駅舎跡には駅名表示がしっかりと残っており、当時の写真もその隣に飾られている。こうした気配りがとにかくたまらない。
車も通らない、人も自転車もたまにしか通らないとなれば、もうそこは猫ちゃんの遊び場。親子3匹、楽しそうに遊んでいました。
思い出の天瀬駅に到着。
もう、この駅舎の姿が見えてくるだけで感動だ。
3年前と変わらず、きれいに、見事に維持管理されている。掃き清められ、駅舎内もそのまますぐにでも使用可能な状態だ。
風雨にさらされても、これだけの美観を維持していることは並大抵のことではない。
駅のベンチで休んでいると、クロスバイクに乗った若いカップルが通り過ぎて行った。
あぁ、休まないんだ。もっとゆっくりこの道を楽しめばいいのに・・・もったいない。
プラットフォームにたたずむランドナーを見ても、何の興味なしだもんな、悲しいね。こんな絵になるシーン、なかなかないですよね?
さて、本日はどこでランチにしようかな。
前回は天瀬駅でのんびりクッキングとなったけれど、今日は次の苦木(にがき)の駅にしよう。
時間もあるし、今日はゆっくりと「グツグツ」することに決定!
さっそく、ポタナビでコンビニ探しの開始。目的はローソンの、あれが欲しい・・
あちこちにコンビニがある地域ではないので、やはりこういう時にはスマホやナビで探すのが一番だ。
一旦自転車道を離れ、 ローソンでしっかり目的の食材をゲットして苦木駅を目指す。
一部車道と平行する所もあるが、それでも車道より広い自転車道に驚くばかり。
素敵なランチポイントはいろいろあるが、苦木駅のベンチで本日のクッキング開始。
天瀬駅同様、この駅舎もきれいに維持されていて、ベンチに座ってグツグツし始めたら、もう最高のランチタイムだ。
ローソンで仕入れたのはこれ。定番のホルモン焼きと、野菜の数々。これさえ揃えば、怖いものなし。
休憩で立ち寄ったサイクリストも、まさか駅舎の中でホルモン焼きを食べているとは思わないだろう。
さっと休んで、さっと走り出す。別にそれでいいんですけど、こうしたダラダラ、グツグツ、走って、食べるのも楽しいですよ〜。
ブルートゥースのスピーカを出して、スマホからお気に入りの音楽を流す。もう、完全に自分の世界。やっぱりここは楽しいです。
たっぷりと1時間のランチタイムを楽しみ、満腹で走り出す。
吉井川の左に出ると、路面は深紅に整備された土手沿いの道となる。
ちょうどコスモスが見頃で、コスモスまつりの幟が風になびいている。
道の両側にコスモスが咲き乱れ、まるでゴールを祝ってくれているかのようだ。ホント、よくできているストーリーだ。
小さな橋を渡り、柵原鉱山資料館を右手に見て、最終駅の吉ヶ原(きちがはら)に到着する。
今回も、曜日と時間が悪くて駅舎内の見学はできない。そして、やはり誰もいない静かな駅だ。
多くの展示車両や、残されたレールを見ていると、今にも向こうから走ってきそうな感じがしてならない。
実際に毎月第1日曜日に保存車両の展示運転を行っているそうで、片上鉄道保存会の方々が動態保存活動を行っている。
まあ、この片鉄ロマン街道、スタートからゴールまで見事にストーリーが出来上がっている。
ひとつも飽きることなく、そして安全に快適に走りきることができる。
自転車でなければきっと味わうことのできない、まさに最高の自転車道と言っても過言ではないだろう。
この駅をゴールに往復するサイクリストもいるが、今回はここからJR津山線の弓削(ゆげ)駅へ向かう。
たっぷり、のんびりランチタイムで少々時間に追われ、ラスト30分は高速かっ飛ばしモードに変身。
といっても緩やかな登りに足も回らず、ぎりぎりセーフで弓削駅に到着。
急いで輪行して、岡山駅から新幹線に乗り換えて姫路に到着した。
さあ、次は姫路周辺の散策だ。
(2016/10/6 走行)
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