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東北日本海の旅も三日目。

毎日好天に恵まれ、静かな峠越え、満開の桜と輝く日本海、そして美味しい料理に大満足だ。

今日のコースは最上川から庄内自転車道を巡り、酒田へ戻る周回コースだ。


今日は同じ宿に連泊のため、荷物を置いて身軽なツーリングを楽しめる。

着替、防寒具、輪行袋、薬、不要な装備などを置いていくと、フロントバッグ一つで走ることができる。

走り出すと、その軽さに驚く。いかに重たい荷物を持って移動しているのかがよくわかる。


まずは最上川に出る。

昨日までの峠越えの連続から、今日はのんびりとポタリングが楽しめる。

走り出せば、どこからでも鳥海山の雄大な姿が視界に飛び込んでくる。


車の来ない最上川の堤防道路は、左手に鳥海山を眺め、次々現れる桜並木に迎えられて最高のポタリングコースだ。

今日も澄み渡った青空に、満開の桜が咲き乱れる。

きれいに舗装された道を滑るように走る心地よさ。独占、貸し切り状態の開放感。

こんなコースはなかなかありえないぞ、と興奮するばかり。

いやぁ広い。とにかく広い。

都内の狭苦しい、川沿いの土手道とは何もかも違う。

邪魔な物は何一つない。なんでも好きなことができる。

好きなように走り、好きなところで写真を撮ることができる。


どうですか、この下の写真。まるで絵葉書みたいでしょう。この季節だからこその眺めですね。

残雪の鳥海山をバックに、桜並木と菜の花の共演。

ブルー、白、ピンク、黄色、緑と、出来すぎの一枚ではないでしょうか。

こんな景色が最上川沿いには次々と現れる。

サイクリストが一人現れただけ。

信じられますか? 誰も通らないですよ、この絶景の道を。

もう、今日はこれだけで満足してしまいました。もう、お腹いっぱいです。

ちゃんと用意されたベンチに座って一服。まったく先に進めない状態。

教えたくないなぁ、この場所・・・そんな感じのお気に入りになってしまった。

快適な堤防道路をのんびりと進む。真夏の気温と日差しだが、気分は上々だ。

清川駅にやってきた。

この辺りで食料を調達して、眺めのいいところでランチタイムにしたいと思っていた。


さすがに駅前までくれば、何かしら手に入るだろうと安易に考えていたのだが・・・やはり甘かった。

無人駅。駅名の由来が掲示されている。

しかし、駅前にお店は何もない。そして人の姿が見えない。

民家、郵便局はあるけれど、お店は見当たらない。この町の人は、どこで食料を調達しているのだろうか?

しかたなく走り始めると、やっと一軒の食料品店を見つけた。

こうなったら、手に入るものなら何でもいい、とすがる思いで中に入る。

しかし、やはり期待もむなしく、手に入ったのは長期保存可能な菓子パン2個とメンマ、さつま揚げだった。


「このあたりはお店が全然ないんですね?」

「全然ないね。駅前も、なーんにもなくなっちゃったよ・・・」とお店の人。

地方の過疎化を、ここでも痛いほど感じるばかり。

清川駅から庄内自転車道が始まる。

といっても、明確な自転車道があるわけでなく、一般道がそう呼ばれているだけだ。

交通量はますます少なく、立谷沢川に沿って南下する。

水量豊富な名水百選「立谷沢川」を左手に、正面に残雪の月山の眺めながら直線道路を気持ちよく走る。

ちょっとした北アルプスの光景だ。

途中から車道と別れて、川沿いに自転車専用道が始まる。

再び車道と合流するまでわずかだが、専用道には自転車をデザインした柵が続いている。

誰も利用する人はいないのだろう。路面は雪解け後で手入れされていない。

自転車道の雰囲気はなかなかいい。

月山からの雪解け水が、ゴーゴーとうるさいほど流れてくる。

自転車道の先には、残雪の月山の眺め。ランチタイムには絶好の場所だ。

今日こそは、お鍋でグツグツやりたかったのだが、またしてもガスを使えない。

道に座り込んで、唯一の日陰でランチタイム。

まあ、メニューは情けないが、この景色が一番のご馳走だ。


好天に恵まれ、この贅沢なロケーションと静かな自転車道に大満足し、登りに入る。

お腹も、心も満たされて後半戦へ。本日のピークまでは約150m程の登りだ。

道路脇に除雪された雪が壁のように現れる。

気温が高い中、この壁の中を通り過ぎると、冷たい冷気に包まれて汗も一気に引っ込む。

こんな気持ちのいいヒルクライムはなかなかない。最高のアシストだ。

ピークも越え下りに入ると「庄内自転車道」の案内があるので分岐する。

道幅も広くしっかりとした自転車道だが、やはり草木が散乱して荒れている。

雰囲気は岡山の「片鉄ロマン街道」に似ている。


右へ左へくねくねと曲がりながら、田んぼの中を縫っていく。

さながら、田んぼの中のオリエンテーリングといった感じだ。


小さな藤島川に沿った道では、再び桜並木が出迎えてくれる。

スタートもゴールも桜を眺められるなんて、なんて素敵なコースなのだろう。

いよいよ赤川へ合流して、本日もフィナーレを迎える。

酒田までは距離は残っているが、土手沿いの道は誰にも邪魔されずに気持ちよく走れる。


だいぶ日も傾いてきた。

気が付くと、自分のシルエットがきれいに映しだされている。

最後に一枚、記念に写真を撮って酒田へ戻ってきた。



距離: 84.2 km
所要時間: 8 時間 58 分 48 秒
平均速度: 毎時 9.4 km
最小標高: 3 m
最大標高: 322 m
累積標高(登り): 409 m
累積標高(下り): 409 m

(2018/4/22 走行)


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