峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2018 > 庄内自転車道
東北日本海の旅も三日目。
毎日好天に恵まれ、静かな峠越え、満開の桜と輝く日本海、そして美味しい料理に大満足だ。
今日のコースは最上川から庄内自転車道を巡り、酒田へ戻る周回コースだ。
今日は同じ宿に連泊のため、荷物を置いて身軽なツーリングを楽しめる。
着替、防寒具、輪行袋、薬、不要な装備などを置いていくと、フロントバッグ一つで走ることができる。
走り出すと、その軽さに驚く。いかに重たい荷物を持って移動しているのかがよくわかる。
まずは最上川に出る。
昨日までの峠越えの連続から、今日はのんびりとポタリングが楽しめる。
走り出せば、どこからでも鳥海山の雄大な姿が視界に飛び込んでくる。
車の来ない最上川の堤防道路は、左手に鳥海山を眺め、次々現れる桜並木に迎えられて最高のポタリングコースだ。
今日も澄み渡った青空に、満開の桜が咲き乱れる。
きれいに舗装された道を滑るように走る心地よさ。独占、貸し切り状態の開放感。
こんなコースはなかなかありえないぞ、と興奮するばかり。
いやぁ広い。とにかく広い。
都内の狭苦しい、川沿いの土手道とは何もかも違う。
邪魔な物は何一つない。なんでも好きなことができる。
好きなように走り、好きなところで写真を撮ることができる。
どうですか、この下の写真。まるで絵葉書みたいでしょう。この季節だからこその眺めですね。
残雪の鳥海山をバックに、桜並木と菜の花の共演。
ブルー、白、ピンク、黄色、緑と、出来すぎの一枚ではないでしょうか。
こんな景色が最上川沿いには次々と現れる。
サイクリストが一人現れただけ。
信じられますか? 誰も通らないですよ、この絶景の道を。
もう、今日はこれだけで満足してしまいました。もう、お腹いっぱいです。
ちゃんと用意されたベンチに座って一服。まったく先に進めない状態。
教えたくないなぁ、この場所・・・そんな感じのお気に入りになってしまった。
快適な堤防道路をのんびりと進む。真夏の気温と日差しだが、気分は上々だ。
清川駅にやってきた。
この辺りで食料を調達して、眺めのいいところでランチタイムにしたいと思っていた。
さすがに駅前までくれば、何かしら手に入るだろうと安易に考えていたのだが・・・やはり甘かった。
無人駅。駅名の由来が掲示されている。
しかし、駅前にお店は何もない。そして人の姿が見えない。
民家、郵便局はあるけれど、お店は見当たらない。この町の人は、どこで食料を調達しているのだろうか?
しかたなく走り始めると、やっと一軒の食料品店を見つけた。
こうなったら、手に入るものなら何でもいい、とすがる思いで中に入る。
しかし、やはり期待もむなしく、手に入ったのは長期保存可能な菓子パン2個とメンマ、さつま揚げだった。
「このあたりはお店が全然ないんですね?」
「全然ないね。駅前も、なーんにもなくなっちゃったよ・・・」とお店の人。
地方の過疎化を、ここでも痛いほど感じるばかり。
清川駅から庄内自転車道が始まる。
といっても、明確な自転車道があるわけでなく、一般道がそう呼ばれているだけだ。
交通量はますます少なく、立谷沢川に沿って南下する。
水量豊富な名水百選「立谷沢川」を左手に、正面に残雪の月山の眺めながら直線道路を気持ちよく走る。
ちょっとした北アルプスの光景だ。
途中から車道と別れて、川沿いに自転車専用道が始まる。
再び車道と合流するまでわずかだが、専用道には自転車をデザインした柵が続いている。
誰も利用する人はいないのだろう。路面は雪解け後で手入れされていない。
自転車道の雰囲気はなかなかいい。
月山からの雪解け水が、ゴーゴーとうるさいほど流れてくる。
自転車道の先には、残雪の月山の眺め。ランチタイムには絶好の場所だ。
今日こそは、お鍋でグツグツやりたかったのだが、またしてもガスを使えない。
道に座り込んで、唯一の日陰でランチタイム。
まあ、メニューは情けないが、この景色が一番のご馳走だ。
好天に恵まれ、この贅沢なロケーションと静かな自転車道に大満足し、登りに入る。
お腹も、心も満たされて後半戦へ。本日のピークまでは約150m程の登りだ。
道路脇に除雪された雪が壁のように現れる。
気温が高い中、この壁の中を通り過ぎると、冷たい冷気に包まれて汗も一気に引っ込む。
こんな気持ちのいいヒルクライムはなかなかない。最高のアシストだ。
ピークも越え下りに入ると「庄内自転車道」の案内があるので分岐する。
道幅も広くしっかりとした自転車道だが、やはり草木が散乱して荒れている。
雰囲気は岡山の「片鉄ロマン街道」に似ている。
右へ左へくねくねと曲がりながら、田んぼの中を縫っていく。
さながら、田んぼの中のオリエンテーリングといった感じだ。
小さな藤島川に沿った道では、再び桜並木が出迎えてくれる。
スタートもゴールも桜を眺められるなんて、なんて素敵なコースなのだろう。
いよいよ赤川へ合流して、本日もフィナーレを迎える。
酒田までは距離は残っているが、土手沿いの道は誰にも邪魔されずに気持ちよく走れる。
だいぶ日も傾いてきた。
気が付くと、自分のシルエットがきれいに映しだされている。
最後に一枚、記念に写真を撮って酒田へ戻ってきた。
距離:
84.2 km 所要時間: 8 時間 58 分 48 秒 平均速度: 毎時 9.4 km |
最小標高:
3 m 最大標高: 322 m |
累積標高(登り): 409 m 累積標高(下り): 409 m |
(2018/4/22 走行)
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