峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2018 > 大望峠
「だいぼうとうげ」 長野県上水内郡鬼無里村(標高1060m)
古くから戸隠参詣者が越えた。主要地方道 信濃信州新線が通り、鬼無里が一望できる。
4月の京王閣フリーマーケットに仲間が集まった時、ゴールデンウィークにどこか行かない? となった。
さっそく、GW後半に嶺方峠を目標に一泊二日のツーリングが決定し 、4人分の新幹線をえきねっとで確保した。
新幹線はもっと混んでるかと思ったら、意外と空いているので拍子抜け。
輪行は4人集まるとちょうどいい。
車両後方入口の座席を確保したので、背面と回転した座席の後ろのスペースに輪行袋を置くことができる。
さっそく朝から、駅弁とおつまみで乾杯、プシュ〜! と朝から元気で陽気なおじさんたちの集まり。
長野まではあっという間。しなの鉄道に乗り換える。
黒姫まで640円の切符を買って新幹線の切符と一緒に自動改札に入れるが、切符がなかなか出てこない・・・
10秒以上待ってから、ようやくしなの鉄道の切符が出てきた・・・この改札どうなってんの?
乗り換えまで40分もあるので、ホームで撮り鉄軍団を鑑賞。
みなさん素敵なカメラをぶら下げて、停車中の車両をバシバシ撮っていました。
私には何が何だかわからない世界ですが、湘南カラーの車両が止まっています。なんだかとっても懐かしいです。
黒姫まで30分少々のローカル線旅。
車内は空いていて、車窓からは残雪の黒姫山、妙高山の雄大な景色が見え隠れする。
黒姫駅に到着。いい天気だ。そして空気が爽やかだ。
GWもこの二日間だけは快晴という運の良さ。
前回の東北ツーリングから天気に恵まれている。自分はよっぽど日頃の行いが良いということだろう。
さっそく組み立てる。今回の参加車。
ロード式輪行1台(SW)シクロ&デモンタ1台(TOEI) フォーク抜きALPS式輪行2台(TOEI) というラインナップだ。
どれもこれも、様々な輪行方式で面白い。
デモンタだと、リヤキャリアつけてても輪行が簡単。さらにおつまみ積載能力大幅UPで素晴らしい。
旅慣れた面々。準備もテキパキ整って、さあ二日間のツーリングのスタートだ。
走り始めると、 いきなり正面に飯縄山、黒姫山と妙高の山々が視界に飛び込んでくる。迫力ある山岳風景だ。
まずはコンビニを求めて走り出すが、周囲にコンビニは見当たらない。
ナビでも、スマホでも探してみるが見つからない。
すると一軒の酒屋を発見。すかさず入って聞いてみるが、この先コンビニはないとのこと。
雪が多くてコンビニもやっていけないらしい。しかたなく、ここで適当に食料を調達する。
さすがにGWでいい天気となれば車の数も多い。
そしてこのルートは戸隠、鬼無里へ向かうゴールデンルートとなるので、今日は車の多さは我慢するしかないだろう。
後ろから次々に車が追い抜いて行く。勾配もきつくなり始め、我慢のヒルクライムが続く。
振り返れば、遠く背後に見えるのは斑尾山だろうか。スタートした黒姫駅方面の町が次第に小さくなっていく。
たまに車が途切れると、静寂の世界が広がる。
走るには素晴らしい環境なのだが、とにかく車が多すぎる。
しかしきつい登りだ。一人だったらとっくに止まって休憩するところだが、先頭のK石さんのペースが速いため休んでいられない。
10%の勾配表示がでてくると、もう限界。荷物も満載なので、10%の連続は無理ですって。
なんでこんなにきついのかと思ったら、なんと登坂車線ですって!
無理です。乗れません。当然押しです。
もう、暑くて汗ダラダラ状態。
一旦勾配も緩くなって、大橋の駐車場で休憩。ようやく先頭のK石さんに追いつく。
このあたりから、道路わきにミズバショウを見ることができる。駐車して歩いている人もちらほら見かける。
「なんか、さっきルックスつけたバリバリのランドナーの人に会いましたよ」
「カメラもってミズバショウの中入っていって、ひざまずいて写真撮ってましたよ」
「軽く挨拶しただけですけどね、もう行っちゃたみたいですけど」とK石さん。
へぇ〜、サイクリストに会うのは今日初めて。どなたでしょうかね? なんて雑談していたけど、あの人だったんですね・・・
この辺りから、道路は大渋滞。GWはシャトルバスが用意されるほど。
「ミズバショウ」渋滞と、「戸隠そば」渋滞で、駐車場は超満員。入る車と出る車で全く動かず。
こりゃ、ミズバショウ見るのも、そば食べるのも一日がかりだな、と哀れに渋滞中の車を横目に見ながら、その脇をスイスイと行く。
大騒ぎの道路を通り抜けて、ピークも越えてようやく戸隠中社まで来た。
さて、どこでそばをいただきましょうか? ぐるりと見渡しても、どこもかしこも人だらけ、車だらけ。
少々下った先の「戸隠お座敷そば 楠川旅館」に落ち着く。しかし、ここも4組待ち。
なんだかんだ結構待たされて、ようやくいただいたのが、この戸隠御膳。
もう時刻も14:00なので、お腹もすいて美味しくいただきました。
満腹になって下りに入る。標高差300mを気持ちよく下る。
すると3番目に走っていたK石さんが突然止まって動かなくなった。先頭の二人は気が付かず、快適に下って行ってしまった。
パンクだった。なんでこんな快適な舗装の下りでパンクするの?
すぐに先頭に携帯で電話して、少々待ってもらうことに。
最近のK石さんは、得意技のパンクが見れなくて寂しかったけれど、今日は久しぶりに披露してくれました。
いつもは薄暗くなってから披露してくれますが、今日は全然明るいので余裕たっぷりです。
調べると、タイヤのトレッドが割れてチューブを傷つけていた。
なんか随分トレッドも薄いなぁと思ってみていたら、なんとそこにはすでにタイヤブートが内側に貼られている。
その貼った部分の横がやられてしまった。
「このタイヤ、3000km走れるっていうからまだ使ってるんだけど・・・」
「だって、高いんだもんこのタイヤ・・・」
という言い訳を言いながら、タイヤブートを貼って修理完了。タイヤブート2枚貼りは、なかなか見たことない。
もう、このタイヤ諦めたほうがいいと思いますけど・・・
でも、このタイヤブートは最近の軽量タイヤには必需品ですね。私も何度も救われてます。
大望峠へ登り返す。標高差約200mの登りが始まる。一度下った後の登りは足が重い。
食後で満腹、さらにパンク修理をした後のつらい激坂だ。低いギヤ比でなければ乗車できない。
しかし、さすがにここまで来ると車の数も少なくなってくる。広い道路を蛇行しながらゆっくり登り詰める。
K石さんもとうとうスタンディングで頑張る。登り始めて約30分、ようやく大望峠が近づいてきた。
展望台へ向かう。
徐々に目の前の視界が広がり、急峻な残雪の山並みが逆光の光の中に浮かんできた。
この瞬間は感動的だ。思わず「凄い」と言葉が出てしまうほどだ。
展望台からは伝説の谷の都、鬼無里と戸隠連峰、北アルプスを望むことができる。
駐車スペースには車が数台止まっていて、皆さんこの大展望を楽しんでいる。
我々もこの大展望をバックに記念写真を撮りまくる。
午後の遅い時間にも関わらず、北アルプスの山々もきれいに見れる。やっぱり我々は運がいい。
ここでゆっくり休憩していってください、とばかりに東屋が用意されている。
さっそく陣取っておやつの時間となった。
すると、そこに一人のサイクリストが現れた。
「さっき、ミズバショウの写真を撮っていた人だ」とK石さん。
どれどれ、と自分も見てみて驚いた。一瞬で誰だかわかった。
「さだぼんさんだ!」と自分。「ホントだ!」とO場さん。
ここからは、特別企画「さだぼんさんに出会う」をお届けします。
さだぼんさんのブログは有名だ。多くのサイクリストのブログの中でも大好きなブログだ。
同じホームページ作りとして、いつも参考にさせていただいている。
写真のこと、山のこと、動植物のこと、そしてもちろん自転車のこと。学ぶことが実に多い。
ブログで紹介されている愛車がこのTOEI。
あずき色のフレームに赤いコロラルがおしゃれだ。パーツの選択もお見事。
フロントバッグからバーエンド、ストラップまで見事なカラーリングだ。
実は、さだぼんさんに遭遇するのはこれが初めてではない。
2012年11月4日 我々はクラブランで志賀坂峠を走っていた。その時仲間の一人がさだぼんさんを見かけている。
その時の印象を次のように言っていた。
「もう頭の先からつま先まで完璧。自転車も凄くて、なんだか後光がさしてオーラを感じました!」と絶賛。
なんだそのオーラって? そんなサイクリストいるのかい? 大げさな・・・なんてその時は思っていた。
その後、お気に入りのさだぼんさんのブログを見ていたら、志賀坂峠から八丁峠へ向かったレポートがアップされた。
時間を確認すると、ちょうど我々と同じ場所にいたことがわかった。
うわぁ、あの時見かけた人はさだぼんさんだったんだと判明。見かけた本人に確認したところ、間違いないとのことだった。
ランドナー乗りも絶滅危惧種。年々高齢化で愛好者も減るばかり。
さらに、本格的なニッカスタイルでツーリングするサイクリストなんか、なかなかお目にかかれない。
クラシックスタイルを守り、伝統を重んじるサイクリストは本当に貴重な存在だ。
K石さん以外は、さだぼんさんのブログをよく知っていて、話題はすっかりさだぼんさんのことに。
実家はどこだとか、住まいは多摩方面だとか、英国系が好きだとか、山も好きで中央線近辺によく行くとか・・・
三人寄れば情報量も豊富。すっかりさだぼんさんの解説本が出来上がってしまった。それほど、皆さんよく見てるってことですね。
しばらく東屋から見ていたけれど、どうしても聞きたいことがあったので、思い切って近づいて声をかけてみた。
「こんにちわ、さだぼんさんですよね?」と聞いてみると「あ、そうです!」とびっくりした様子。
そうですよね、こんなところで自分の名前を呼ばれたら誰だってビックリします。
「最近ブログを全然更新されていないんですけど、どうしたんですか?」と気になっていたことを聞いてみた。
「いや、ただサボっているだけで・・・」と苦笑い。
「何か具合でも悪くなったのかと思って心配していたんです」と私が聞けば、メンバー3人も話に加わってきた。
「いや、スミマセン。自転車も久しぶり、ブログもずっとサボってます。今度更新します!」と笑顔で答えてくれた。
「皆さんちゃんと見てますから・・・ファン多いですよ!」と話も弾む。
「いいですよね〜このTOEI。色がいい。コロラルのボトルがいいですね。このゲージは特注ですよね?」
「AD-HOC ちゃんと使えるんですか?」「使えますよ、でも他のインフレーターも持ってます」「やっぱり!」なんて盛り上がる。「アドホック
自転車談義が始まったらそう簡単には終わらないメンバーなので、話もそこそこに。
「一緒に写真撮っていただけますか?」とさだぼんさん。
他の観光客にお願いして、さだぼんさんのカメラで記念写真。
思い出に残る一枚となりました。
その後もさだぼんさんは一人写真を撮っていました。一枚の写真に情熱をささげる姿はさすがです。
いいシルエットですね、この写真。
いろいろと楽しいお話ありがとうございました。貴重な時間、お邪魔して申し訳ありませんでした。
ブログ更新楽しみに待っていますね。
時刻も16:30になる。日もだいぶ傾き始めてきた。
さて、今日の宿「鬼無里の湯」に向かうとしよう。
峠から一気に400m近く下る。
道幅が広く、路面の状態もまずまずなので、豪快なダウンヒルが楽しめる。
車は少なくなったが、それでもコーナーがきついので気は抜けない。
一旦下ってから宿までは、だらだらと100mほど登り返す。
もうゴールまで僅かなのだが、小刻みなアップダウンがじわじわと弱った脚に効いてくる。
それでも川沿いの道は車も少なく快適だ。
正面からの逆光を浴びながら、17:20「鬼無里の湯」に到着した。
「鬼無里の湯」は、国民宿舎だった建物を2003年に国の補助金でリニューアルした公営の宿だ。
自転車は、車庫を空けてくれてそこに置かせてもらった。
中へ入ると、とてもきれいな施設で雰囲気もいい。部屋も広くて気持ちいい。
さっそくお風呂に入って汗を流す。部屋とお風呂、食事処が1階の同じフロアなので移動がとっても楽だ。
大きな宿だと、何をするにもエレベーターで移動しないといけない。ここは高齢者にはとてもありがたい宿だと感じた。
さてお待ちかねの夕食の時間だが、今日は昼に戸隠そばを食べた後、大望峠でもエネルギー補給した関係で、空腹感も今一つ。
それでもさすがに次から次と出てくる地元の食材を使った料理にお酒も進む。
ビール、日本酒、焼酎と次第にいい調子に。大望峠のおやつがなければ、もっと飲めたのに・・・残念。
ところで、この宿にはアルコールの自動販売機がない。
二次会用にお酒を手に入れたいのでフロントで聞いてみると、発泡酒とサワーの缶でよければ、ということで購入。
二次会開始、と思ったけれど、すでに満腹と疲労、眠気も手伝ってすぐにウトウトする人も。
結局買った発泡酒は飲めずに冷蔵庫へ。
寝る前に、もう一回温泉に入っておやすみなさいとなりました。
朝早くからいろいろありましたが、とても充実した楽しい一日でした。
明日の嶺方峠が楽しみです。
距離:
39.8 km 所要時間: 6 時間 59 分 1 秒 平均速度: 毎時 5.7 km |
最小標高:
674 m 最大標高: 1236 m |
累積標高(登り): 948 m 累積標高(下り): 818 m |
(2018/5/5 走行)
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