峠への招待 > ツーリングフォトガイド > ’2018 > 下田・島見峠・土肥温泉
伊豆をぐるっと一周するとかなりの距離と標高差がある。
車の多い所は走りたくないし、海岸線のアップダウンばかりでは体力的にキツイ。
というわけで、今日は伊豆急のサイクルトレインを利用してみることにした。
宿から城ケ崎海岸駅まではあっという間だ。
しかし駅の反対側のため、朝から階段を担いで線路を越える羽目に・・・
駅の待合室には地元の方が一人ベンチに座って待っている。
駅員の姿は見当たらず、駅舎も締まっている。サイクルトレインの案内を探してもどこにも見当たらない。
すでに自転車台数が満車の場合は乗れないので、それを駅員に確認したかったのだが・・・
しかたなくそのままホームに自転車を持ち込む。
指定された乗車位置へ行くと、サイクルトレインの乗車マークがあってやっと一安心。
まあ、平日の朝の列車だから、まず問題なく乗れるだろうと予想して待つ。
すると地元の通勤客の方が声をかけてきた。
「自転車持ちこめるんですか?」
なんと、地元の方が知らないらしい。これには驚いた。
「自転車持ち込めるんなら、今度私もやってみよう。結構便利ですよね」
「でも、車内では自転車を固定できるようになっていないから、ずっと押さえておかないとだめですよ」
「それに、乗せられる台数に制限があるので、先に乗っていると乗れませんよ」と、いろいろとアドバイス。
なんで地元の人に自分が教えているのだかわからないが、まったく地域に浸透していないことがよくわかった。
そのあと、やっと駅員が現れてホームの掃除を始めたので質問してみた。
「サイクルトレイン、次の列車乗れますよね?」
「いや、確認してみないとわからないけれど大丈夫でしょう」
「ここで待っていればいいんですよね?」
「はい」
というやり取りで、乗車の注意も何もなかった。
なんだか、ホームページでは大きく宣伝しているけれど、現場ではまったく盛り上がっていないって感じ。
https://www.izukyu.co.jp/train/cycle.php
期待に胸を膨らませること数分、やってきましたサイクルトレインが。
さてさて、どんな感じなのでしょう?
で、最後尾から乗り込んだらこうなりました。
ただの普通列車でした。何がサイクルトレインなのかさっぱりわかりません。
自転車置き場もなければ、固定する装置も手段もありません。
さらに、車掌の案内も注意もありません。どーなってんの?
スタンドのない自転車は、当然こうやって立てかけるしか方法はありません。
そしてまずいことに、車掌の出入り口がちょうど真ん中にあって、車掌が出入りするたびに自転車をどかすことに。
走行中は
車両が揺れるたびに自転車は前後にゆらゆらと動く。放っておけばそのうちバランスを崩して倒れるでしょう。
おちおちゆっくり座席に座ってもいられません。まったく、なんてこった。
車内はガラガラですが、座れず立っているという理不尽な光景。
いろいろ考えて、輪行用ベルトを取り出して、アウターケーブルと手すりのバーを結んでやっと自転車は安定した。
それでも車掌の出入りの際には、自転車をどかさないといけない。だめだこりゃ。
まあいいや、これでも海岸線を眺めながら、快適に下田まで一気に移動できるのだからありがたい。
そう思っていたところ車掌がやってきて、信じられないような言葉を投げかけてきた。
「自転車は袋に入れてもらわないと困ります。」
バ、バ、バ、バカモノ! 何を言っているんだ! この列車は、かの有名なサイクルトレイン様だぞ! 知らないのか!
どうやらこの車掌、本当に知らないみたいです。驚きました。腰が抜けそうでした。
ホームページの資料を車掌に見せ、時刻表のコピーを見せたものの、まだ納得いかない様子。ちょっと調べてみますって・・・
ああ、やっぱり全然だめなんだサイクルトレイン・・・車掌も知らないなんて、利用する人がいないんだ・・・
2017年6月に始まって1年半になるのにこんなことじゃ・・・
途中駅で女性の車掌に交代する際に、自転車持込に関していろいろ話していた。
女性車掌はベテランらしく、サイクルトレインの認識も、車内出入り口の使用も心得ていた。
どうやら新人だったんだな、あの最初の車掌は・・・
利用者にレクチャーされるなんて、かなり反省したことでしょう、きっと。
いろいろ問題ありのサイクルトレインでしたが、車窓からの眺めは格別だ。
美しい海岸線を眺めながら、乗車時間43分で伊豆急下田へ到着だ。
下田駅では自転車に対して異様な視線を感じなかったので、さすがにこの駅では利用客も多いのだろう。
改札はこんなしゃれた関所風の造りになっている。
自転車を転がして改札を抜けたのはこれが初めてかもしれない。
到着してすぐに走れるありがたさ! やっぱり便利ですよ、サイクルトレインは!
もっと全国で実施してほしいですね、ほんとに。分解、組み立てで1時間弱の時間短縮はかなりのメリットです。
無料でなくても大歓迎です。そのまま持ち込めるのであれば、有料でも全然かまわないと思いますね。
下田は幕末の黒船来航により開かれた港町。
この街だけで一日十分に過ごせるほど魅力たっぷりの街だ。
先日放映されたブラタモリの下田編をよく見て、観光スポットを勉強してきた。
下田の街は、 自転車だとあっという間に巡ることができるが、ゆっくり徒歩のほうがよさそうだ。
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大川端通り(みなと通り) |
ひもの横丁 |
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ペリー艦隊来航記念碑 |
ペリー上陸の碑 |
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ペリーロードの柳並木 |
ペリーロードの石畳 |
10:30 ペリーロードを後にして島見峠へ向かう。
今日もきれいに晴れ渡り、気温も高い。まずは大加茂トンネルへ軽く登る。
交通量も少なく、広くてきれいな舗装路で快適だ。下って次に八声トンネルへ登り返す。
川沿いの道を気持ちよく下り、上加茂の分岐を右に折れる。
ここから島見峠までは約320mの登りだ。1時間もあれば十分だろう。
食料は何も持っていなくて少々不安だが、西海岸まで出ればなんとかなるだろう。
蛇石峠への分岐を過ぎると勾配もきつくなってくる。
最近は軽いギヤでクルクル登ることしかできず、今回は28*30という反則ワザ!
こんなギヤ比でも歩くよりはまだ速い。降りずに呼吸を整えることができるので、リア30Tは効果抜群だ。
それでも峠手前の標高差100mは激坂だ。28*30でも音を上げるほどのキツさだ。
小さな峠と思っていたが、なかなかどうして本格的に登らしてくれる峠だ。
まったく車が通らないので苦しい登りも救われるが、ヒーヒーゼイゼイ言いながら峠に到着した。
小さな、静かな峠だ。 バス停を兼ねた峠の標がちょこんと建っている。 バスが通るんだ、こんな寂しい所を。 時刻表を見ると、2、3時間に1本ぐらいバスがやってくる。 しかし、どこに住民がいるのだろう? 島見峠をネットで調べてみたが、ほとんど情報がない。 地図にも峠の名前はでていない。 視界がよければ島が見えるのだろうか? 残念ながら今日は展望がほとんどない。 休んでいたら宅急便のトラックがやってきた。 こんなところまで荷物を届けてくれる宅急便。 再配達だったらどうするんでしょうか? 何度もやってくるのも大変です、ホント。 |
海に向かって一気にダウンヒル。明るい伊豆西海岸が目の前に現れた。
空腹だ。時刻は13:00になろうとしている。
松崎の街が見えてきた。ここでゆっくり食事をいただくこととしよう。
松崎港すぐそば、豊崎ホテル直営の磯料理店 「民芸茶房」でランチタイム。
作りたて、焼きたての松崎の味をいただく。いやぁ、何もかもうまかった〜
街の中を散策していると、全国でも希少となった「なまこ壁」を見ることができる。
「なまこ壁通り」は松崎の風情を代表する通りで、その美しさと存在感に驚くばかりだ。
「なまこ壁」は、平瓦を壁に貼り付け、目地を漆喰で海の生き物「なまこ」のように盛り上げるスタイルからその名称がつきました。
防火性、保温性、保湿性に優れ、明治時代から昭和初期まで各地で見られた外壁の工法ですが、老朽化や建て替えなどで年々減少。
現在、伊豆では松崎町と下田市、全国的には岡山県倉敷市や広島県東広島市などに見られます。
松崎町には今も190棟余り残っており、昔ながらの趣を留めています。
https://izumatsuzakinet.com/seacucumberwall/
お腹も心も満たされて走り出す。
本日のゴール、土肥温泉までは海岸線をひたすら北上する。
左手に紺碧の海を見ながら、国道を気持ちよく走る。
交通量は多いが、やっぱり景色のいい海岸線は素晴らしい。
国道を避けて、安良里隧道を抜ける。誰も通らない静かなトンネルだ。
時間に余裕が出てきたので、宇久須港の公園で3時のコーヒータイムだ。
日が傾き始め、本日もフィナーレに近づく。素敵なロケーションで、ここで夕日を見るのもいいだろう。
この先の加茂トンネルが長く、1km以上あるので、国道脇の海岸線を行く。
すると何やらバリケードが・・・
鉄パイプが路面にしっかりと埋まっていて、かなり「まじめ」な通行止めだ。
自転車は難なく突破できるので、まあ行けるでしょ、って感じで緩く登っていく。
前回のクラブランで、さんざん崩落個所を突破してきたので、多少の事なら引き下がらない自信でしたが・・・
これはギブ!!
ガードレールの真下は海だし、今にも上から崩落しそうだし、なにより一人だし・・・
ルートを探すまでもなく速攻で戻りました。
恋人岬で一息つくころにはかなり薄暗くなり、気温も下がってきた。
新調したLEDライトをつけて土肥温泉へ向かう。
17時になればかなり周囲も暗くなってくるが、本日も無事日没前に宿に到着できた。
今夜は部屋食でゆっくり。料理も豊富で大満足。
結構走ったし、峠も手ごたえあった。
山あり、海あり、トラブルありで、なかなか充実した一日だった。
本日も、ごちそうさまでした。
距離:
71.1 km 所要時間: 7 時間 40 分 00 秒 平均速度: 毎時 9.2 km |
最小標高:
2 m 最大標高: 330 m |
累積標高(登り): 906 m 累積標高(下り): 911 m |
(2018/11/29 走行)
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