峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2019 > 岩木川・弘前城




平成最後のツーリングに選んだ地は、青森県は弘前周辺である。

世間は史上最長の10連休が控えており、その前に満開の桜を楽しもうと東北新幹線に乗った。


連休前の平日にもかかわらず
、新幹線も満席だ。

そして至る所に中国人観光客の姿が見える。車内は中国語が飛び交っている。
 


新青森からは奥羽本線に乗り換えて川部駅まで行く予定だった。

ところが、乗り換えホームは中国人観光客で溢れ、さらに到着した列車は通勤ラッシュ並みの大混雑!


これは
乗れそうもない、諦めてここから走るかと思ったものの、なんとか輪行袋を潜り込ませて乗車・・・

そして車内はこのありさまだ。車掌の放送以外は聞こえてくるのはすべて中国語だ。もう、凄いパワーに圧倒される。


中国の皆様は、こんな混雑慣れっこなのでしょうか? 全く平気な顔してます。

揺れる列車だがどこにも掴まれず、直立姿勢でずっと耐えてきたが、ついに我慢できず一つ手前の駅で降りた。
 


当然この駅で降りる客は誰もいなく、ホームに降りると車内からは熱い視線を痛いほど浴びることに・・・

いやぁ、解放されたぁ〜。この人たち全員が、弘前城の桜を見に行くのかと思ったら恐ろしくなってしまった。


駅員さんに思わず「凄い列車でしたよ、日本語は車内放送だけでしたよ〜」と言ってしまった。  

嵐が去って静かな時が戻ってきた。満開の桜を目の前に駅横の東屋で組み立てる。


この
三日間天気は冴えない。

今日(24日)だけが雨にならずに済みそうだが、あとの二日間は降水確率も70〜90%と高めだ。

せっかくの桜と岩木山の展望を楽しみにしてきたのだが、今回はあまり期待できそうもない。

走り出せばほとんど誰もいない世界。すぐに岩木山の大きな姿が視界に飛び込んでくる。

奥羽本線に沿って川部駅を経由し、りんご畑の中を縫って平川から岩木川へと辿る。
 


残雪の岩木山を正面に見ながらのんびりと行く。まだまだ青森の春は始まったばかりだ。

薄曇りの天候で岩木山の姿も霞んでいる。


日差しがあればまだ印象は違うのだろうけれど、りんごの花もまだ咲いていないので広がる景色も寂しいばかり。

誰にも会わない。自転車に乗っている人などどこにもいない。

穏やかな平川の土手からは雄大な岩木山の姿がよく見える。晴れていれば・・・と思うと実に惜しい。
 


緩やかに流れる岩木川。右手に広がるりんご畑、そして岩木山。これが弘前を象徴する景色だろう。

快適な路面を気持ちよく走っていくと、いよいよ本日のお楽しみ、弘前城が近づいてくる。
 


弘前公園の桜は、全国の桜の名所ランキングで堂々の1位だ。

弘前城の歴史、美しさとともに、そのスケール感はやはり他と比べ物にならない。


初めて
弘前公園を訪れて、とにかくその大きさに圧倒された。

自転車を置いて歩き始める。平日にも関わらず、なんという人の数だろう。


さくらまつりが始まった
ばかりということで、とにかくこの広大な敷地の中でもまともに歩けないほどだ。

休日や連休になったらいったいどんなことになるのか想像もできない。


広い
。とにかく広い。とにかく歩け歩けというぐらい公園内は広い。

そして噂通り、評判通り、ランキング通り、弘前公園の桜は見事だ。ケチのつけようがない。

とにかく「絵」になるスポットだらけだ。こんなにシャッターを押したくなる花見の名所もなかなかない。
 


やはり、一度はここの桜を見ておくべきだ。これ以上の桜の名所はなかなかないと断言できる。

本当は弘前に泊って、夜桜を見てみたかった。あまりに幻想的な世界をぜひこの目で見てみたかった。


しかし、一人で泊れる宿は少なく料金もビックリするほど高くなっている。しかたなく夜桜は諦めることに・・・

ネットには、下のような写真がいろいろ掲載されている・・・ああ、素晴らしい。いつか見てみたいと思うばかり。


弘前公園にいたら一日ここで過ごせる。

いや、一日では全然足りないかもしれない。それほど広いし魅力がある。


それでも2時間たっぷり桜を見て、弘前公園を堪能した。お濠の美しさも岩木山の雄姿も見事だ。

数えきれないほどの屋台、広大な芝生、外人観光客の数・・・何もかもスケールが違う「弘前さくらまつり」だった。


まだまだのんびりして、一日ビールに焼き鳥でひっくり返っていたい気分だった。

本当に素敵な、文句なしの、日本一にふさわしい桜の名所であった。
 


惜しまれつつ弘前城を後にする。これから本日の宿まではひと汗かかないとならない。

怪しい空模様だが、なんとか宿に着くまでは大丈夫そうだ。


あまりの喧騒の世界から、一気に静寂の世界に景色は激変する。

静かな脇道に入ると、正面に岩木山を眺める絶好のスポットが現れた。


前方に桜並木が続き、残雪の岩木山との共演が美しい。ここで一服、コーヒータイムとしゃれこむ。

素敵な時間が流れる。風もなく、何の音も聞こえない。一枚の絵画を目の前にしているような感覚だ。
 


緩やかに勾配を登っていくと、さらに岩木山の姿が大きくなってくる。

津軽富士と呼ばれるだけあって、その広く裾野を引いた山容は美しい。


弘前公園であれほど咲き誇っていた桜も、ここまで来ると色づきも薄くなってくる。

標高が100m違うだけでこれだけ差があるのか、とその違いに驚く。
 


りんご畑に津軽富士。そしてりんごの無人販売所。これこそ間違いなく津軽の絵だ。

いつ収穫された、なんという品種なのかわからないが、できれば一個かじってみたかった。


岩木山神社を過ぎるころには、ついにパラパラと小雨が降ってきた。

入口からまっすぐに伸びる参道。まるで岩木山に登るかのような直線だ。

ちょっと歩いてみたかったが、天候も冴えず時間もなくなってきたので諦めることに。
 


「西目屋」「白神山地」というなつかしい標識が登場してくると、さすがにすごい所を走っているのだと実感する。

2003年に弘西林道を走った記憶が蘇る。すごそこまで走ってきたんだと思い出す。

あの時も
冴えない天気だった。なぜか津軽へ来るといつもこんな天気が待っている。


登り詰めて
本日の宿、岩木山麓嶽温泉「嶽ホテル」に到着した。

本日の泊り客は自分ともう一組だけだ。自転車は玄関脇に入れてもらえることに。

部屋に入ると、心温まる津軽弁のメッセージが。嬉しいですね、こうした心温まるおもてなし。
 


夕食は部屋食でじっくり、ゆっくりと楽しむ。

走った距離はたいしたことはないが、とにかく青森の魅力、弘前の美しさを味わった一日だった。
 

 

(2019/4/24 走行)


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