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2020年11月22日

3日目になってやっと晴れた。久しぶりに明るい太陽の朝を迎えることができた。

宿のあちこちに飾ってあった、伝統工芸品「ねこつぐら」。我が家の猫たちに一つ欲しいなぁ。


クラブラン初日、集合は飯山駅。毎年恒例の秋の紅葉・温泉ツーリングが始まる。

飯山駅はおしゃれだ。駅構内に素敵なアウトドアショップまである。

これからレンタサイクルでお散歩に出かけるようだ。
 


飯山駅に一番乗りで待っていると、前泊組の別部隊4人が湯田中温泉から走ってきた。

前泊組、輪行、カーサイ組など合計8名がこの駅に集合した。


今年もメンバーの奥様がサポートカーで応援してくれる。

そして宿には別コースのメンバー3名が集まる。

昨日までのソロツーリングから、一気に賑やかな、そして眩しいほどの明るいスタートになった。


こんなブレーキで来たメンバーも・・・壊れはしないでしょうが・・・何か起きそうな感じ・・・

コンビニで食料を調達し、さあ楽しい楽しいクラブランの始まり〜。

 


スタートは10時になってしまったが、今日のコースはそれほどきつくない。

距離約45km、標高差約1200m、完全舗装の貸し切り林道だ。


天気も最高、昨日までとは打って変わってポカポカ陽気の秋晴れだ。

すぐに1枚脱ぐほど気温も上がってきた。
 


京都から参加のK氏とは初対面。私のホームページのファンだということですぐに打ち解ける。

市街地を抜けると車も少なくなってくる。道はじりじりと登り始める。

周囲の山々がはっきり見えるほど、開放感抜群の眺めが広がる。

 


さらに勾配がきつくなってくるが、道路も広く交通量も少ないので走りやすい。

飯山駅から走り出したのは、サポートカーの奥様を除いて7名。

そのうち4台がパニアバッグ仕様という珍しい集まりだ。


何やらパニアバッグがちょっとしたブーム? なのですかね。

荷物はたくさん入りそうだけど、輪行するときは大変そうだ。
 


スルスルと標高を300m稼いで、木島平村糠千の分岐で一息つく。

大きな案内図が設置されているが、すでに「冬期閉鎖」の期間に入っていて、全面通行止めの表示だ。

例年ならそろそろ雪の季節なのだが、こんな陽気では雪などまったく想像もできない。
 


頑丈なゲートが設置されていて、車やバイクは進入不可能だ。

大きな注意書きに気が引けるが、我々にとっては日常茶飯事の通行止めの案内だ。


道路崩壊や陥没の通行止めではなく、積雪に備えての通行止めなので気が楽だ。

よってこの先は一切車両が入ってこない、我々の貸し切り林道となった。
 


ゲートの先は素敵な林道が我々を出迎えてくれた。

カラマツの落葉に覆われた、美しい黄金色の路面が目の前に広がる。

フサフサと柔らかく、まるで上質の絨毯のような感触だ。
 


逆光の光に輝くカラマツ林道。

風もなく、暖かな日差しを浴びながら晩秋の林道を味わう。

美しいトゥークロメのランドナーと、パニアバッグ姿の遠景が絵になる。
 


明るい林道だ。間もなく雪に閉ざされようとしている林道とは思えない。

全線に渡って車が来ないというのだから、これほど自転車に恵まれた道はない。


カヤの平まで一気に登るこの林道、ガーミンがこの先の登りを画面に表示してくれる。

まだまだピークまでは遠く、熊鈴の準備をしておく。
 


光輝く新車の真っ赤なデモンタ号。

特製パニアバッグにモンベルの熊鈴がいい音色を奏でる。

ガードとタイヤのクリアランスがほとんどないけれど・・・このあと悩む羽目に。
 


相変わらず最高のカラマツ林道が続く。

味気ないアスファルトがこんなにも素敵な道に変わるとは驚きだ。

ピークまでノンストップで登ることはできず、そろそろ昼食の場所探しだ。
 


日当たりが良ければどこでも構わなかった。なんたって誰も来ませんから。

ご覧のようにこんな林道のど真ん中、それもカーブ付近の見通しの悪い所に気にせず腰を降ろす。


時刻は12:30 得意の棒ラーメン祭りだ。棒ラーメンも色々なバージョンがでていて楽しい。

ベテラン組はランチとなれば手慣れたもの。次々とメニューが出来上がっていく。
 


最近大好評のオリーブオイルで炒めた野菜をトッピングしてもらう。

各自持ってきた豊富な具材をおすそ分け。結局最後は何が何だかわからない一品が出来上がる。

それでもやっぱりうまい。この天気、この林道で食べれば何もかも旨い。
 


今回最大の驚きは、京都K氏のふるまう「林道茶会」だ。

なんとパニアバッグから取り出したのは茶道具一式だ。

林道のど真ん中で、人生初めてのお茶会を経験させてもらった。


茶道の知識も礼儀も何も知らない自分には、何をどうしていいのかさっぱり・・・

一人一人にふるまって、道具と水だけでも結構な荷物。いつもツーリングに持っていくのでしょうか?

とにかくビックリ仰天、ホント驚きました。それにしても、「結構な、お点前でした!」
 


こんな楽しいランチタイムも初めてだった。何もかも満たされて再び登り始める。

標高1100m付近からは、大きく展望が広がってくる。

カヤの平まで、あと450mの登りだ。
 


昼食後荷物が減って多少軽くなったが、のんびりしすぎて体が重くなった。

再びカラマツ林道を味わいながら登り続ける。

しかしいい色ですねぇ。色々な構図から何度も写真を撮りたくなる。
 


結構手応えのある登りだ。高いギヤ比ではかなり辛い。

舗装路のおかげでなんとか乗って行ける。時々止まっては後続を待つ。
 


15:10 長かった登りも終わり、広々としたカヤの平に到着した。

昼食後1時間20分、標高差450m 計算すると1時間337mのペースだった。

この人数、年齢、路面状況からして予定通りのペースであった。


カヤの平高原とは (https://kijimadaira.org/sights/164 より)
上信越高原国立公園の中心、志賀高原の北に広がる標高約1400〜1700m、約1450haの広大な高原。樹齢300年を超えるブナの原生林が広がり「日本一美しいブナの森」ともよばれています。7月上旬〜下旬、北ドブ湿原で見られるニッコウキスゲの群生をはじめ、高山植物の宝庫。遊歩道、休憩所、ロッジや常設テント、キャンプ場なども整っています。ガイドが案内するトレッキングプランも予約いただけます。


広々として、とても気持ちのいい高原だ。しかし当然のごとく、車1台ないし、全く誰もいない。

ここまでくればもう安心だ。あとは宿までほとんど下り。自然と皆の顔に笑顔が戻る。

一息ついて、下りに備えて防寒着を着こむ。さすがにここまで登れば気温も低い。
 


こんな広大な風景を、我々たった7名で独占だ。

極上のダウンヒル。気持ちよく下る林道の正面に、冠雪した鳥甲山の尖った山頂が見えてくる。
 


かつて、これほど美しくご機嫌な下りがあっただろうか。

道幅一杯に降り積もったカラマツの落葉の上を、滑るように下って行く。


対向車の心配もいらない、そしてこんなやわらかな絨毯ロードは経験したことがない。

カメラを構えていると、思わず歓声を発しながら気持ちよさそうに下って行く。
 


もう、見事というしかない。何も説明はいらないだろう。こんな景色に出会えて幸せだ。
 


全員、極楽ダウンヒルを堪能しているかと思ったらそうでもなかった。

太目のタイヤで、ガードとのクリアランスが少ないメンバーはこの下りで結構難儀していた。


素敵な下りのはずが、ご覧の通りの目詰まり状態で一つもスピードが出ないらしい。

そんなこと関係ない他のメンバーとは雲泥の差。


ちょっと下ってはホイールを外したり、枝でほじくったり・・・あらぁ、大変ですね〜

自分は38Bだけど、ガードが太いので全然関係なし。楽しいですねぇ、人のを見てるのは!

 


16:10 再び通行止めのゲートを越える。すでに周囲は暗くなり始めてきた。

秋のツーリングには明るいライトが必須だ。

今回は皆さんさらにハイパワーのLEDライトを装備してきてました。
 


こんなに明るいと、いったい何が下ってきたのだろうと思うほどの光の集団だ。

1台でも明るいのに、集団の中にいると前後から照らされ、日中とほぼ変わらないほど明るい。


おかげでナイトランが安心・安全・高速になった。そして、日没後の写真もストロボなしでよく撮れる。

ライトの進歩はホント、ツーリングに進化をもたらした。
 


17:15 すっかり真っ暗になった中、無事宿に到着した。

先に到着していた他のメンバーと、宿のご主人が出迎えてくれた。

20年振り3度目の再訪になるが、宿の玄関は昔と全く変わらず、総勢10台のランドナーで一杯になった。
 


ああ懐かしい。宿の名前は「切明園」から「雪あかり」に変わったが、宿の造りは昔のままだ。

この日は我々を含んで20名程が宿泊していたようだ。


こんなご時世で、もっともっと楽しく賑やかにやりたいところだが、会話も抑えめに・・・

それにしても、相変わらず見事な料理だ。次から次とご馳走が運ばれてくる。

この人数の相手を、ご夫婦二人で切り盛りしているのだろうか?


奥さん、どんな時も笑顔を絶やさず、こんなおじさんたちの相手をしてくださって、本当にいい人でした。

それにしても、「米」がおいしかった。ご主人自慢の事だけありました。
 



参考写真 「切明園」 1991年9月

参考写真 「切明園」 2000年10月


他のお客も部屋に戻り、すっかり我々専用の食堂になってしまった。

飲み足らず、一旦部屋に戻って簡単な二次会だ。


なんたって、これがサイクリスト人生最大の楽しみ。

何のしがらみもない、唯一自転車の世界で繋がっているからこそ楽しめるひと時。

さて、露天風呂にでも入ってさらに三次会へ・・・
 


ここの宿の魅力は、玄関を入ったロビーの吹き抜けの高さと、大きな薪ストーブだ。

懲りない面々は、さらにここからお酒を注文し、薪をくべながら話に盛り上がる。

ホント、いつまでも片付かなくてスミマセン、奥さん・・・


こんな空間なかなかないですね。本当にいい宿だ。

いつまでも話が尽きず、日が変わってもストーブの前から離れない。


楽しすぎた一日だった。

素晴らしい晩秋ツーリングと、愉快な仲間たちにただただ感謝しかない。
 

 

距離: 46.6 km
所要時間: 7 時間 7 分 29 秒
平均速度: 毎時 6.5 km
最小標高: 314 m
最大標高: 1485 m
累積標高(登り): 1391 m
累積標高(下り): 810 m

(2020/11/22 走行)


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