峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2021 >  嶺方峠




3日間快晴というわけにはいかなかった。昨日の夜から天気が崩れるのはわかっていた。

GW最終日、嶺方峠の絶景までも手に入れようと欲張っていたが、さすがにそれは無理だった。


朝食も豪華だ。昨晩あれだけたらふく食べて、すぐにこの朝食だ。

サイクリストでなければまず完食できないだろう。

前回と同じように、出発前の各自のシューズ写真。いい味出してますね、どの靴も。


スタートから雨具を着ることになった。天気予報を見ても天気の回復は期待できそうもない。

せっかく期待の嶺方峠だが、いつもいつも絶景というわけにはいかない。


京都からのメンバー、雨具は置いてきてもバッグカバーは持っているというのだから驚きだ。

パラパラの小雨で多少の雨は何とかなるが、本降りになったら全身しっかり濡れそうだ。


専用のバッグカバーがあればいいが、山用のザックカバー、ただのゴミ袋など各自それぞれ披露しあう。

自分は透明なゴミ袋が一番使い勝手がいいと思っている。地図も読めるし、軽量・安価だ。


全員何度も嶺方峠を越えているが、京都のメンバーは鬼無里側からのルートは初めてらしい。

やはり快晴の嶺方越えを味わって欲しかった。この天候ではほとんど展望は期待できないだろう。

雨具とバッグカバーが同じ色で、見事なコーディネートだ。(コーディネートは、こーでねーと)


昨日の合流地点まで登り返す。一夜明けると昨日の辛さも忘れている。あっという間に通り過ぎる。

走り始めは適度な登りだ。緩やかな勾配は、スタート直後の足慣らしにはちょうどいい。


すぐに最初のトンネル「藤口隧道」が見えてくる。先頭を行く二人の姿が全然見えない。

雨足は強くはならないものの、小雨が降り続いている。早いところ峠まで登りたいのだろう。


藤口隧道を過ぎて、外人のロードレーサーが猛スピードで追い抜いて行った。

身軽なレーサーにとっては、こんな坂アウターで登っていけるようだ。


雨具がうっとうしくて仕方がないが、それでもいいペースで白沢洞門入口までやってきた。

こんな天気だが、トンネル突入の瞬間は何度経験しても緊張する。さあ、ビデオを構えて右カーブに入っていく。

お馴染みの馬蹄形のトンネル出口が暗闇の中に輝く。逆光でトンネルの先は真っ白で何も見えない。


徐々にトンネルの形が四角に変わってくると、真っ白なスクリーンに残雪のアルプスがフェードインしてくる。

前からも、後ろからもトンネル内に歓声が響き渡る。「おぉ、すげぇ〜!」「やっぱりすげぇ〜!」

こんな冴えない天気でも、やっぱり嶺方峠越えは感動する。何度経験してもこの瞬間は興奮する。


全く何も見えないかと心配していたが、それでもこれだけの展望が目の前に広がっている。

ありがたい。やはりこの峠は期待に応えてくれる一級品の峠だ。


前回も怪しい天気の中、次第に晴れ間が広がり、まずまずの展望を得ることができた。

今回はさすがにこの天気では回復は期待できない。雨が強くならないだけありがたいと思うしかない。


通過する車も少ない。こんな静かな嶺方峠も初めてかもしれない。

いつもなら、次々と車がやってきては記念撮影をしていく。

なかなか自分たちの写真を撮れないのだが、今日は何しても自由なほど静かな嶺方峠だ。


この天候では、本日の予定を変更せざるをえない。

予定ではこの後下って、小熊黒沢林道を走ってフィナーレの予定であった。


しかしこの天候ですでに意気消沈。誰も走ろうなどと言い出す者はいなかった。

雨雲レーダーを見ても、さらに天候悪化の気配だ。結果、このまま下って白馬駅で終了という結論になった。


下っておしまいとなれば、時間的にかなりの余裕が生まれる。

まあ、最終日はこれぐらいでいいのかもしれない。あまりに二日間が充実しすぎていた。


そんな三日間の旅を供にしたランドナーを大きな画像で紹介しよう。

雨対策仕様なのであまりいい写真ではないが、あーだ、こーだと一枚ずつ批評してください。


たまに来る車も、止まることなく走りすぎていく。この天気では写真を撮る気にもならないようだ。

降り続く小雨。体も冷えてきた。十分に嶺方峠を味わって峠を後にする。


雨のダウンヒルは嫌なものだが、今日はなぜかご機嫌だ。

幸か不幸か、予定が変更になり時間もたっぷりある。駅でのんびりくつろぎましょうと気が楽だ。

車はほとんど来ないけれど、それでも濡れた路面は滑りやすいので要注意だ。


結構きついコーナーもあり、ブレーキも効かずヒヤヒヤしながら下っていく。

登りも下りも元気なKINGの得意技、片手ピースのコーナーリング。ホントお上手な下りです。


30分ほどで下りきってしまった。白馬の街まで来ると、このツーリングもおしまいだ。

京都から参加のメンバー、実は奥様が一人で近くをツーリングしていて、一緒に帰るという予定らしい。


先に着いた我々は、時刻表を確認して輪行の準備にとりかかる。

時間もたっぷりあったので、駅併設の「白馬駅前の湯」で足湯に浸かる。


我々はすっかり帰り支度はできたのだが、奥様がなかなか到着しない。

電話すると、近くにいるそうだがなかなか姿が見えない。

しかし、一人で輪行して一人で走ってくるのだからたいしたものだ。


列車の時刻が近づいてくる。あと30分、あと20分・・・えぇ?大丈夫ですかね・・・

残り18分というところでやってきました。さぁ急げ急げ!

素晴らしい自転車なのでじっくり鑑賞したかったけど、そんな余裕はない。とにかく急げ急げ!


何かお手伝いしたいけど、何もすることはない。ただ見て応援するだけ。

心配しましたが、さすがデモンタです。ほんの10分程度で輪行終了。

素晴らしい、手品のようにお見事な一幕でした。


一本列車を逃すと、数時間の遅れとなるところだったので助かった。

大糸線の車窓から、北アルプスの風景と仁科三湖を眺めながら旅の余韻に浸る。


松本駅で京都組とお別れだ。奥様の輪行袋も「くるくる」方式なので女性でも楽にホームを移動できる。

我々はその後、姨捨駅でスイッチバックを味わい、長野発新幹線に乗り換えた。


今回もGW二泊三日のツーリングは本当に素晴らしかった。

この時期にしかお目にかかれない絶景は、何度訪れても感動する。

またきっと走るだろうな、このコース。どこへ行くか迷ったら、ここへ来れば間違いなしだ。

距離: 17.6 km
所要時間: 1 時間 58 分 34 秒
平均速度: 毎時 8.9 km
最小標高: 687 m
最大標高: 1091 m
累積標高(登り): 300 m
累積標高(下り): 403 m

(2021年5月5日 走行)


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