峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2021 >  立屋展望広場・林道李平線




目覚めれば、やっぱりこの絶景が目の前に広がっていた。

宿の2階から窓を開ければ、高原のすがすがしい空気と、晴れ渡った青空、そして残雪の峰々が迎えてくれる。


この日がツーリング最大の楽しみだ。今日は必ず快晴でなければいけない日なのだ。

どれだけ普段の行いがいいのかと思うほど、我々は天気に恵まれた。またしても文句なしの快晴だ。


早く外へ飛び出したくて待ちきれない。

今日一日、ずっと絶景を楽しめることがわかっているから、走る前からご機嫌だ。


下り始めて前回と同じ場所で、同じように写真を撮る。こうした撮影ポイントが次々現れ、止まってばかりだ。

今年は雪が少ないかと思っていたら直前に降雪があったらしく、前回と変わらぬ絶景となった。


天気といい、残雪といい、どこまで幸運なのかと驚くばかりだ。

さすがに初めて来た時の衝撃はないが、それでもこの大パノラマを目の前にすると鳥肌ものだ。


どんな構図がいいかなぁ・・・あれこれアングルを変えて撮りまくる。

通り過ぎる車からは、何やってるんだか・・・って見られてたようだ。

うーん、今回はバッグ特集でいってみましょう。


下りながら次々に展開する絶景ロード。

たぶん日本の中でも、これだけのスケールで、これだけ長い時間大パノラマを楽しめる所はないだろう。


京都から来たメンバーも、さすがにこれほどの眺めを味わったことがないと興奮気味だ。

これだけの景色にもかかわらず、観光客もいなければ、地元の車も通らない。


これだけ視界が広いと、やっぱりいろんなレンズが欲しくなる。

超広角も必要だし、望遠も欲しくなる。デジカメのズームやスマホのカメラでは役不足だ。

まあ、へたくそな写真でも数打ちゃ当たるだろうと、バシバシシャッターを切れば一枚ぐらいいい写真はある。


きれいな風景にはきれいな自転車じゃないとね。

今回自分はフレームを塗り替えたばかり、掃除したばかりでちょうどよかった。


エルス2台もバッチリ決まってる。最高の写真ですね!

頭の先から足の先、ウエアも自転車も決まりすぎでしょう。

狙って出せる雰囲気ではありません。さすが大ベテランのお二人、何もかもいい味出してます。


絶景ロードにポツンと聳える一軒の別荘。なんて素晴らしいロケーションに建っているのかと皆で鑑賞。

たぶんあそこに露天風呂があって・・薪ストーブがあって・・夜はテラスで星を眺めて・・いやぁ、素敵だなぁ。


前半のハイライトを下りきり、しばらく国道を快走する。

信州新町のコンビニで食料を調達し、再び登り始めた。絶景ロード第二幕の始まりだ。


しばらくは本格的な登りが続く。下りきってしまったのでしばらくは全く展望がなく我慢する。

一度走った道なので次々に記憶が蘇る。周囲の様子も変化なく、前回とほとんど同じだ。

ここは確か右だった、まっすぐだったと記憶を頼りに走っていたら間違えた。


あの展望台がいつまでたっても見えてこない。すでに目的の標高に達したが、なんと道は下り始めようとしている。

やっぱり人間の記憶はいい加減だ。直前の分岐を間違えてしまった。

少々時間と体力をロスしたが、ようやく目の前にあの「立屋展望広場」が見えてきた。


あの「嶺方峠」もドラマチックだが、この「立屋展望広場」も負けていない。

登り切った先に突然現れるこのシーンは、ちょっと経験できない感動シーンだ。


案内図左から
●北葛岳(2551m) ●蓮華岳(2799m) ●針ノ木岳(2821m) ●爺ケ岳(2670m) ●布引山
●鹿島槍ヶ岳(2889m) ●八峰キレット ●五竜岳(2814m) ●白岳 ●大黒岳 ●唐松岳(2696m)
●不帰キレット ●天狗ノ頭(2812m) ●白馬鑓ケ岳(2903m) ●杓子岳(2812m) ●白馬岳(2932m)


これだけの絶景に、こんなに素敵な休憩場所が用意されている。

大きなテーブルに椅子、そしてトイレも整備されていて文句なしだ。


今日もこの最高の場所で最高のランチタイムが始った。

さっそく秘密兵器を組み立てて、焼きおにぎりに挑戦している。さて今日はうまくできるかな?


登りの最中、しっかり道端で仕入れてきたタラの芽。

コンビニで仕入れた材料とアレンジして、最高のタラの芽アヒージョの完成だ。


走りながらも食材を探しているんだから・・・さすがです。

もちろん食後は、これまた素晴らしい恒例の「お茶会」で締めくくる。もう凄すぎです、この人たち。


のんびりと1時間半近くもランチタイムを楽しんでしまった。

前回現れたロングヘアーの美女は現れないかなぁ・・・なんて期待していたけど、そりゃ無理でした。


さてそろそろ行きますか・・・なんて片付けていたらKさんのエルスがパンクだ。

運がいいのか悪いのか、走行中ではなく休憩終了後に見つかるというタイミング。

たっぷり休憩した後なので、パンク修理も余裕。チューブを交換しておしまいだ。パンクの原因はよくわかりません。


あらためて全員で記念撮影。

ちょうどいい場所に三脚が置けたので、絶好のアングルから撮影することができた。


素晴らしい一枚になった。なかなかこうした集合写真を撮らなくなったので、貴重な写真になるだろう。

やはりこうして見てみると、ランドナーの美しさ、自転車の美しさが本当に伝わってくる。


第二幕の下りも文句なしだ。

午後になれば多少展望も薄れてくるのだが、今日はまだまだ山の稜線も残雪もはっきり見える。

本当に素晴らしい一日だ。何一つ不満を感じない最高の一日だ。


こんな景色を見ながらのダウンヒルなど、まあなかなかお目にかかることはできない。

素晴らしい背景に、美しいサイクリストの姿が映える。頑張って土手によじ登って撮った甲斐がある。


次第に絶景ともお別れが近づいてくる。下るにつれ、残雪の峰々が徐々に視界から消えていく。

この先、本日一番の登りが待っている。気楽なお遊びはここまでだ。


標高差500mを一気に登り返す。下りばかりで楽をした脚には、久しぶりの登りが重くのしかかる。

小さな川沿いにじりじりと登り始める。最初はずっと乗っていられたが、いよいよ勾配がきつくなる。

今日も元気なKINGを除いては、残りのメンバーは早々と押して歩く。気温も高く、汗が流れ始める。


少しでも勾配が緩くなれば乗る。しかし、すぐにまた降りる。結構歩く場面が多くなってきた。

やがて、再び残雪の北アルプスが見え始める。頑張れば頑張っただけ報われる、それがこの林道だ。


そんな状況の中、パンクしたKさんがちょっと元気がない。表情がちょっと厳しい・・・

聞いてみれば、どうやら靴擦れに見舞われたらしい。なんと両足のかかとを負傷したようだ。


自分も靴擦れには痛い思い出がある。新品の靴や、履き慣れていない靴、サイズの合わない靴などが原因だ。

こうした時のために「キズパワーパッド」を持っているが、もうすぐゴールなのでこのまま頑張ると・・・


本当はすぐに手当すればいいのだが、確かに間もなく下りになると思うと我慢するのも仕方がない。

初日にお寺で旅の安全と健脚を願ったのだが、残念ながらパンクと靴擦れに見舞われる事になってしまった。


この林道李平線も手応え十分だった。前回も最後にこの林道で体力を使い果たした。

一度走っているから二度目は何とかなると思っていたが、歳を重ね体力も落ち、やっぱり厳しい登りだった。

なかなか楽をさせてくれないこの林道。最後の車道との合流地点までも、辛い登り勾配だ。


そしてラストは宿までの快適なダウンヒルだ。下って宿に到着というのが最高だ。

今回も疲れ果てながら、何とかいい時間に宿に着くことができた。


風呂上がりに、部屋のテラスにテーブルと椅子を運んで乾杯! 前回同様、これが最高にうまい!

今日もよく走り、よく登った。そして十分すぎるほど絶景を満喫した。もう、最高の一日だった。


コテージには何組か泊っているようだが、夕食は我々ともう一組だけだ。宿泊客も少なく寂しい限り。

しかし今夜のメニューがとにかく豪華で驚いた。

前回来た時とは経営主体が変わったようで、料理長もメニューも変わったようだ。


お品書きを見ただけで料理の豪華さが伝わってくる。

鬼無里名物の「えごま」をふんだんに使った、えごま会席「特製えごま御膳」が並ぶ。


地の食材を使った料理、信州・鬼無里の郷土料理がとにかく見事だ。

料理長自ら料理の説明をしてくれる。とても気さくで温かみのある料理長だ。


食べきれないほどのボリュームだ。戸隠そば、おやきでもう満腹。さらにデザートまで。

食べきれず、部屋に持ち帰ったメンバーも・・・いやはや、何もかも絶品の数々でした。

今日はスタートからゴール、そして寝るまで、とにかく大満足の一日であった。


距離: 50.1 km
所要時間: 7 時間 32 分 00 秒
平均速度: 毎時 6.6 km
最小標高: 430 m
最大標高: 1186 m
累積標高(登り): 1125 m
累積標高(下り): 1480 m

(2021年5月4日 走行)


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