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2021年11月15日(月)


最終日三日目を迎えた。

本当に旅を満喫したいのなら、やはり二泊三日必要だ。

さすがに昨日までの疲れもあり、さらにこの二日間の満足感からすでに気分は軟弱モードだ。


朝食も素晴らしかった。

例によって、朝になると食欲倍増のサイクリスト達。御櫃の御代わりは当たり前だ。

食後のコーヒーがまた旨い。思わずもう一杯お願いします、と言ってしまうほどだった。


玄関に貼ってあったこんなポスター。

「くわどり湯ったり音頭」「好きです好きなの、この街が」

「山里のすべてが湯ったり村です。」「十人十色の癒しの郷」


何の知識もなくこの村にやってきたけれど、その素朴で素晴らしいもてなしに感動してしまった。

どんな音頭なのか聞いてみたい。もっとゆっくりこの村に滞在したい。そんな思いを感じていた。


帰宅後さっそく調べてみたら、YouTubeにありました。ぜひ聴いてみましょう。

https://www.youtube.com/watch?v=63-1lgOfNsU


宿の玄関脇にはこんな風景が。

初めて訪れたこの地だが、なんだかポスターの言葉に嘘偽りがないことがよくわかった。

いい宿だった。何もかも素晴らしく、そして「人」がよかった。


玄関ロビーで従業員の女性とお話しをしたが、なんともまあその素朴で気さくな会話がとても心地いい。

勤務を終えて駐車場の軽自動車で帰る際、我々に丁寧に挨拶をしてくれた。


暖かい村だ。そう感じた。また来たいと思った。

出発前、支配人にお願いして写真を撮ってもらう。本当にいい宿でした。


三日目のプランは色々と考えてきたが、道路事情がいまひとつはっきりしない。

工事中で通行止めの情報を得ていたが、自転車なら通れる可能性を探していた。


当初、予定では南葉林道方面から上越妙高駅へ出るプランを考えていたが、すでに昨夜から意気消沈。(ニューサイ No.279 南葉林道)

お手軽コースへ変更となったが、それでも工事中の情報を得た。

「もし通れなかったら、宿の名前を言えば大丈夫だから」と心強い助言をもらって出発。


宿を出てすぐに山道に分岐する。「土石流危険渓流」の看板がこの先を暗示させる。

するといきなり「この先中ノ俣方面 通り抜けできません」の看板だ。

気にせずどんどん登っていく。


分岐から太夫峠(たいうとうげ)まで、距離2km、標高差127m、平均勾配6.35%の登りだ。

スタートしてまだ体も暖まらないうちに、本格的な登りに入ってかなり脚に応える。


この道も通行止めとなっているので、やはり路面が滑りやすい。

舗装路って車が通らないと、すぐにこんなにツルツルになってしまうのかと驚いた。


撮影していて自分が一番後になった時、一台の車がやってきて私に声をかけてきた。

「この先は行けませんよ・・・」と優しい声で作業服を着た男性が話しかけてきた。


すぐに工事関係者の方だとわかり、ここで揉めてはいけないので、

「はい、ちょっとどんな様子か見に行って、ダメなら戻ります・・・」と答える。


すでに先頭集団は工事現場近くまで行っていて、ここで全員に状況を説明してもらうことに。

またまた恒例の”ダメダメおじさん”のパターンか? と心配したが、意外と物分かりの良さそうな感じ。


宿の人からは、すでに道は出来上がっているから、事情を話せば通してもらえる、と言われていた。

宿泊客だと言えば大丈夫とお墨付きをもらっていたので、ここで戻るわけには行かない。


我々の対応も控えめで良かったのか、それとも高齢宿泊客の特権か、なんとか通してもらえることになった。

さっそく作業現場の担当者に携帯で連絡を入れてくれる。よかった〜


現場に近づくと、多くの作業員が忙しそうに復旧工事をしている。

重機が大きな唸りをあげて土砂を掻き分けている。その横を足早に通過していく面々。

こんなシーンはしっかり撮影しておこうと、ここでもシャッターを切れるのがベテランの技。


確かに道路はほぼ繋がっていて、修復個所の整地と舗装を残す程度になっている。

忙しそうに作業している方たちの横を、できるだけ丁重に通り過ぎる。

作業を中断して我々の安全に配慮してもらい、本当に申し訳ない気持ちで一杯だ。


すかさずお世辞でもなんでもなく、”道路の有難さが本当によくわかります”とお礼を言って通り抜けた。

作業している人も、この言葉に思わず笑みを浮かべてくれた。

こういうことなんですよ、感謝の気持ちが大切ですよ。


最大の難所を無事クリアして、本日の予定が一気に明るくなった。

今回は最強の埼玉コンビの出る幕もなく、穏やかな通行止め突破となった。


さすがにこれだけの年季を重ねたおじさんが揃っては、通さざるをえなかっただろう。

ありがとうございました。ホント・・・


一息ついたところで、各自のマシンの紹介だ。

詳しく解説していたらきりがないので、勝手に写真を見てあーだこーだ言ってください。


とにかく、つっこみどころ満載の自転車だらけですので、これだけでお酒が飲めそうです。

年代物のフロントバッグも丁寧に修理されて復活。いつまでも大活躍ですねぇ!


工事中で完全に貸し切りの林道になった。

残念ながら今日の天気は下り坂。どんよりした空が次第に怪しくなってきた。

枝木で散らかった林道を登っていくと、太夫峠のピークを迎える。


標高290mの小さな峠で、展望も全くなく周囲は鬱蒼とした林の中だ。

滑りそうなヌルヌル路面を慎重に下っていく。

こんな山奥に何やらよくわからない句があった。誰だろう? 何だろう? 帰ったら調べてみよう。


本日のピークまではもうひと頑張りだ。

適度な勾配で気分よく登っていくが、昨日までの快晴と違って展望が得られないのが残念だ。


かすかにパラパラと雨の模様。まだ勘弁してほしいと願っていたら、北側の空にきれいな虹が見えてきた。

運がいい。林道を登っている最中に、虹を見ることなんて滅多にあることではない。


誰もいない林道のはずだが、前方に人の姿が見えてきた。

近づいてみると、何やら怪しげな雰囲気・・・なんだ? サバゲー?

「何されてるんですか?」と聞いてみると、どうやらこの辺りの自然環境を調査しているらしい。


物々しい装備を見て驚いた。ちょっと我々の持ち物とは比べ物にならないほどの機材。

超望遠レンズに、双眼鏡、GPSやら地図やらその他いろいろ・・・

すべて自分の所有物らしく、そのトータル金額は恐ろしい金額になると言っていた。


さらに登っていくと、もう一人女性の調査員に出会った。

すでに先頭グループが楽しくお話ししていて、自分が近づくと、

「あら!こちらもトーエイですね!」と驚きの言葉!
「えっ!なんでトーエイ知っているんですか!」とこちらもたまげて聞いてみたら、
「さっき皆さんに教えてもらったんです」・・・なーんだ。

この方、我々の自転車とファッションに惚れまくり、こんな素敵な自転車は見たことがないと感激しまくり。

「とにかくおしゃれですよね、皆さん!」と最高の誉め言葉。(”おしゃれ”が一番嬉しい)
「写真撮らせてもらっていいですか?」とまで聞いてくる。
「じゃ、高い順に自転車並べましょうか」なんて調子にのって、楽しくお話させてもらいました。

大変な仕事があるんですね。一日ずっとこんな過酷な所で調査している人がいるなんて知りませんでした。

ちなみにしっかり”モンベラー”でしたので、きっといい人ですね。


ちょうど12時に本日のピークに到着。

薄曇りだが、標高は500m程度なのでそれほど寒くはない。


今日は時間的にも余裕がたっぷりあるので気が楽だ。

さっそく例によって、道路の端っこで輪になってランチタイムの開始。


宿で作ってもらったお弁当に、各自手持ちの材料で今日も豪華な食卓だ。

ついに秘密兵器のホットサンドメーカーを持ち出し、焼きおにぎりまで作り出すメンバーも。

ちょっと見たことないですね、こんな物持って走っているサイクリストは!


楽しくくつろいでいたら、なんと空模様が怪しくなってきた。

ついには再びパラパラと降ってきた。大急ぎで広げた食卓を片付ける。

お楽しみの「林道お茶会」も、大急ぎでお湯を沸かして短縮モードで切り上げる。


降り始めは、雨具を着るか着ないか悩むほどの小雨。

準備のいい人は完全雨対策を施し、サドルもバッグも防水対策終了だ。


こんな雨たいしたことないよと強がって下っていたメンバーも、雨足が強くなりとうとう全身雨対策することに。

見事綺麗な「黄色さんチーム」が完成。しかし今日の雨は悲壮感は全くなく、楽しい雨であった。


やはり三日間晴天というわけにはいかなかった。

最後に小雨に振られて、持ち物全てを使い切るフルコースのツーリングとなった。


快調に下っていたらトラブル発生だ。

チェーンがフロントのアウターから落ち、クランクとの間に挟まってしまった。


ちょうどリングピンが邪魔をして、二人がかりで取ろうとしてもなかなか取れない。

ピンを外すか、チェーンを切るかと考えていたら、なんとか力づくでチェーンを外すことができた。


やがて雨も上がり、空が明るくなってきた。

今回の旅のフィナーレを、天気も我々に味方してくれているようだ。


上越妙高駅への道は心地よかった。

広大な田園風景の中を、カラフルな雨具を着た面々が走り抜ける。

三日間あまりに充実したコースだっただけに、笑顔と満足感で一杯だ。


14:25 上越妙高駅に到着。こんな早い時間にゴールするのは珍しい。

もっと走りたいというメンバーは誰一人おらず、これならゆっくり「反省会」ができると大喜びだ。


とても大きな駅で、広々とした駅前のバス乗り場で掃除しながら輪行する。

各自独特の輪行方式は、アイデア満載、見ているだけで面白い。


切符も手配し、すっかり準備を整えて駅ナカの飲食店で日本一早い反省会のスタート。

時間はたっぷりあり、いきなりこんな団体が来てくれて、お店も売り上げ倍増だ。


三日間の思い出話に盛り上がる。

天気に恵まれ、時間通りに走り切り、素晴らしい景色と美味しい料理を満喫することができた。


京都からのメンバーとはここでお別れだ。

東京方面6名は、さらに二次会用のお酒とおつまみを買いこんで新幹線に乗車した。

本当に素晴らしいツーリングだった。文句なし、ケチのつけようがない二泊三日の旅だった。



 
距離: 25.2 km
所要時間: 4 時間 50分 00 秒
平均速度: 毎時 5.2 km
最小標高: 35 m
最大標高: 498 m
累積標高(登り): 546 m
累積標高(下り): 694 m

(2021/11/15 走行)


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