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大田区のホームページに「大田区の坂道」の紹介がある。
https://www.city.ota.tokyo.jp/midokoro/spot/ootaku_sakamichi/index.html

紹介されている坂の数は全部で49もある。


日頃ポタリングする際はできるだけ坂を避ける様にコースを選ぶため、ほとんどの坂にお目にかかったことがない。

今回はちょっと趣向を変えて、あえて坂を巡るポタリングにしてみようと考えた。


ホームページには詳しい地図が掲載されているので使用させていただいた。

まずは49の坂全ての地図とサムネイルの紹介から。後半は全ての坂を一つ一つ案内してみたい。

 

入新井・新井宿地域の坂道
 

01_八景坂 02_闇坂    
  (くらやみざか)    
馬込地域の坂道
 
03_右近坂 04_臼田坂 05_鐙坂 06_おいはぎ坂
    (あぶみざか)  
07_蛇坂 08_馬込坂 09_南坂 10_二本木坂
       
11_夫婦坂      
       
池上地域の坂道
 
12_汐見坂 13_蓬莱坂 14_貴船坂 15_めぐみ坂
16_妙見坂 17_朗師坂 18_紅葉坂 19_此経難持坂
20_車坂 21_大坊坂    
雪谷地域の坂道
 
22_大尽坂 23_六郎坂 24_八幡坂 25_相生坂
26_猿坂 27_大久保坂 28_稲荷坂
(上池台)
29_貝塚坂
30_庄屋坂 31_鸛の巣坂 32_蝉坂 33_花抜坂
34_洗足坂 35_宮前坂 36_雪見坂 37_権現坂

千束地域の坂道
 

38_稲荷坂
(南千束)
39_神明坂 40_稲荷坂
(石川町)
 

a

田園調布・嶺町地域の坂道
 
41_急坂 42_馬坂 43_どりこの坂 44_富士見坂
45_桜坂 46_おいと坂    
鵜の木・久が原地域の坂道
 
47_河原坂 48_ぬめり坂 49_宮坂  

事前準備


さて、49もある坂をどうやって巡ろうか? 企画は面白いが実行するには事前準備が大切だ。

まずは正確な坂の場所を地図上にマークしないことには始まらない。


ホームページの地図を参考に、グーグルストリートビューを駆使してカシミールに坂の位置をマークしていく。

どこから走ってどう周回しようかといろいろと悩む。


坂の番号順に巡ってもいいのだが、それではあまりに移動距離が長すぎる。

悩んでも答えが出ないので、適当にスタートを決めてルートを作成する。


走行距離約25km。なんだ、たいした距離じゃないな・・・これなら半日ぐらいで回れそうだ・・・

なんて甘い考えでいたのだが、実際はとんでもなく大変で時間がかかることになった。


2021年12月26日

ガーミンに走行データを転送し、午後から走り出す。まあ4時間ぐらいあれば楽勝でしょう・・・

スタート地点に選んだのは、田園調布エリアの「41番 急坂」だ。

ここからぐるっと反時計回りに巡ろうという作戦だ。

No.41

急坂
 
きゅうざか
1/49坂 最初から急勾配の坂道に出くわす。急すぎて自転車を止められず、写真を撮るのにも一苦労する。
下から外人さんが電動自転車を押してきた。さすがに電動自転車でも乗車できない坂のようだ。
下るのも恐怖だ。ブレーキワイヤーが切れるんじゃないかというぐらいの勾配だ。

No.42

馬坂
 
うまざか
2/49坂 「急坂」を下ると、「馬坂」への勾配22%の標識が現れる。ちょっと見たこともない数字に驚く。
当然乗れるはずもなく、気合を入れて押して登る。そんな姿を、近所の住民からは不思議そうな目で見られる始末。
「馬坂」まで登ると、多摩川方面の眺めが大きく広がる。
「今日はよく見えないねぇ・・・」と年配のご夫婦が話していた。

No.43

どりこの坂
 
どりこのざか
3/49坂 田園調布の豪邸を眺めつつ、多摩川駅方面へ向かう。
「どりこの坂」は多摩川へのポタリングの際、もう何度も登っている坂だ。
距離は短く、最後の勾配がきつい。道が狭いので車が来ると厄介な坂だ。
この「どりこ」という名称が珍しく、よくテレビでも紹介される坂だ。

No.44

富士見坂
 
ふじみざか
4/49坂 多摩川駅の横から伸びる「富士見坂」は、この直線が気に入っている。
たいした勾配ではなく、下っていくとなかなか心地いいダウンヒルを楽しめる。

No.45

桜坂
 
さくらざか
5/49坂 六郷用水沿いの道を辿って「桜坂」へ向かう。
福山雅治の歌であまりに有名なこの坂は、桜の咲く季節には連日超満員だ。写真を撮るのも至難の業。
今日はゆっくり、じっくり誰にも邪魔されることなく写真を撮れる。

No.46

おいと坂
 
おいとざか
6/49坂 「桜坂」を下ってきてすぐ左に曲がる辺りが「おいと坂」だ。
住宅街の静かな小道だ。激坂ではないけれど、空がかなり上に見えるということは結構登っている。

No.47

河原坂
 
かわらざか
7/49坂 次の「河原坂」まではちょっと移動距離がある。平坦な道をのんびり行くと「河原坂」への分岐が見えてくる。
緩やかな登り口だ。標柱はどこにあるのかと思ったら、登った先の公園脇に設置されていた。
公園へ遊びに来る人も多く、この坂を登ってくるのはちょっとした運動になりそうだ。

No.48

ぬめり坂
 
ぬめりざか
8/49坂 環八を渡り、千鳥町方面へ向かう。静かな住宅街を抜けて「ぬめり坂」を探す。
細かな道が多く、ナビが無ければなかなか目的地には辿り着けない。
緩やかな坂を登っていくと、変則的な十字路の電柱脇に「ぬめり坂」の標柱があった。

No.49

宮坂
 
みやざか
9/49坂 「宮坂」までも少々距離がある。東急池上線の踏切を越えて、池上本門寺方面へ向かう。
この坂は少々迷った。付近まで来たが、さっぱりそれらしい坂が見当たらない。
登録してきた坂の位置がずれていたのか、周囲を探してもなかなかそれらしい気配はない。

スマホで情報を検索したりしたがわからない。こうなったらローラー作戦しかない。
ようやく見つけた小さな小道。こんなとこにありましたか・・・と出会えた喜び。
小さな坂だったけれど、登った先の神社がとっても立派だった。

No.20

車坂
 
くるまざか
10/49坂 次の「大坊坂」はお寺の中の石段で登ることができない。 そこで登った上から眺めようと諦め、先に「車坂」へ。
「大坊坂」への登り口が「車坂」だ。緩い坂の入口に標柱が建っている。
坂は適度な勾配で気持ちのいいヒルクライムだ。登った先に「大坊坂」の標柱が現れる。

No.21

大坊坂
 
だいぼうざか
11/49坂 この坂はさすがに自転車では無理だ。坂というより階段なので無理もない。
そもそも坂と階段の違いは何のか? ということもある。
結構訪れる人も多く、下から登って来る人、そして上から降りる人がひっきりなしだ。

No.19

此経難持坂
 
しきょうなんじざか
12/49坂 「此経難持坂」は、池上本門寺の表参道九十六段の石段坂だ。
自転車を山門脇に置いて歩いて石段へ向かう。石段の登り口に「此経難持坂」の標柱があった。
年末年始の準備で露店の準備に忙しそうだ。そして多くの方がこの石段を行き来している。
またこの石段をトレーニングの場にしている人も見かける。

No.17

朗師坂
 
ろうしざか
13/49坂 すぐ隣の朗師会館脇にあるのが「朗師坂」だ。ここも石段のため自転車では登れない。
かなり急な階段が続いているが、今まで一度も登ったことがない。
結構眺めがよさそうな場所に位置しているため、今度ぜひ訪ねてみたい。

No.16

妙見坂
 
みょうけんざか
14/49坂 狭い小さな道を縫っていくと「妙見坂」に突き当たる。やはりここも石段のため自転車はここまでだ。
見上げるとかなりの角度で登っている。やはりこの石段も多くの方が行き来している。
確かに毎日この坂を日課にしていたら、かなりいい運動になりそうだ。

No.15

めぐみ坂
 
めぐみざか
15/49坂 めぐみ教会脇を登る坂が「めぐみ坂」だ。
登り口は緩そうな坂に見えるが、すぐに激坂が待っている。さすがにここは乗車できない。
右の写真は坂の上から撮ったもの。背景の景色からはかなり登っていることがわかる。(2014/1撮影)
この坂も何度も登り降りしたことがある坂だ。登りも凄いが、下りも強烈だ。無理せず押して行こう。

No.13

蓬莱坂
 
ほうらいざか
16/49坂 時刻はすでに15時を過ぎ、日差しも陰り始めた。年末になって急に冷え始め、今日もかなり気温が低い。
薄手のグローブでは指先が痛くなるほどで、今日は先日買ったモンベルのハンドウォーマーを持ってきた。
こりゃ、全ての坂を巡るなんて到底無理な話。

すでに諦めモードになっている。この池上本門寺周辺で時間切れとなりそうだ。
「蓬莱坂」は広い直線道路なので交通量が多く、この緩やかな坂を車が一気に登っていく。
ガードレール脇にしっかりと標柱が設置されていてとてもよく目立つ。

No.12

汐見坂
 
しおみざか
17/49坂 「蓬莱坂」を登った先、静かな住宅街の十字路が「汐見坂」だ。
この坂はかつて、大森方面の海や舟が見えたことからこの名がついたと言われる。
確かにまっすぐな坂道の先には海が見えても不思議ではない景観だ。
一つ一つの坂の名前には、色々な歴史が刻まれていることがわかる。

No.14

貴船坂
 
きぶねざか
18/49坂 「汐見坂」から一気に下り、「貴船坂」へ分岐する。
かなり登りごたえのある直線が坂の頂上に向かって伸びている。この程度までが乗車できる限界かもしれない。
登りきると、14%の勾配表示と、「貴船坂」の標柱が待っていてくれる。
振り返ればかなり気持ちのいい眺めだ。何かスキーのジャンプ台から滑り落ちるような感じだ。

No.18

紅葉坂
 
もみじざか
19/49坂 ここまで来て、18番「紅葉坂」を通過してしまったことに気が付いた。
今日はこの坂でおしまいにしようと「紅葉坂」へ戻る。
池上本門寺の裏手から登り返し、再び「大坊坂」へ。「紅葉坂」はその反対側だ。
この坂は距離も短く、勾配もたいしたことはない。あっという間に坂を走り終えてしまう。


ということで、初日はここで時間切れとなってしまった。すでに日も傾き始め、かなり手足が冷たい。

最後に池上本門寺の五重塔を見学し、持ってきたホットコーヒーとおやつでしばらく休憩する。


本日巡った坂の数は19。全49のうちの半分にも満たない・・・この結果に愕然とする。

なんでこんなに時間がかかるのだろう・・・と不思議でならなかった。


走行距離25kmであれば、次々巡っていけば4時間もあれば大丈夫だと計算していたのだが・・・

目的地を探して迷ったり、スマホで検索したり、写真撮影、SNSへの投稿・・・きつい坂に時間をとられたり・・・


また、ガーミンには走行ルートしか転送していなかったので、坂の正確な位置がわからなかった。

全体図を示した紙地図を持って行くべきであった、と深く反省。


2021年12月27日


一泊二日となってしまった大田区の坂道巡り。二日目は紙地図も用意し、万全の体勢で走り出す。

残り30坂だが、今日は坂の密集した地域のため、昨日よりは効率よく巡れそうだ。


No.39

神明坂
 
しんめいざか
20/49坂 本日のスタートは、千束地域の「39番 神明坂」だ。
東京工業大学脇の呑川へ下るこの坂は、距離は短いがかなりの勾配だ。
写真を撮っているとちょうど下から電動自転車で登ってくる人が。電動でも結構苦労しながら登っていた。

No.40

稲荷坂
(石川町)
 
いなりざか
21/49坂 「神明坂」を下ってすぐに「稲荷坂」へ登り返す。
大田区の坂道49の中に、この「稲荷坂」という坂が3つもある。
近くに稲荷神社があったことからこの名がついたと言われている。

公園のすぐ横を巻くように登っていくこの坂は、道幅も狭く車の通行も大変そうだ。
車庫からの車の出し入れも結構難しそうだと感じた。

No.34

洗足坂
 
せんぞくざか
22/49坂 続いて向かったのは「洗足坂」。洗足池から中原街道へ出る。
ここの坂は事前にネットで調べていて、他の坂のような「標柱」が存在しないことがわかっている。
その代わり、記念碑のようなものが建っているということがわかった。しかし、それがどこにあるのか・・・

こういう場合は道路両側の歩道を探し回るしかない。何かしら記念になるものを写真に収めたい・・・
坂の上下付近をゆっくり歩道を走りながら探す。キョロキョロしながら走っているのでまるで不審者だ。
しかし見つからない。何もない。洗足池の交番で聞いてみようかとも考えた。

ネットであらためて調べてみて、一枚の写真を見つけ、その写真から場所を特定することができた。
ようやく見つけた記念碑。文字が薄れてよく読めない。「坂」の字も消えかかっている。
スタートして3つ目の坂で結構時間がかかってしまった。

No.35

宮前坂
 
みやまえざか
23/49坂 洗足池で小休止した後、「宮前坂」へ向かう。池上線を越えて緩く下っていくと「宮前坂」の上に出る。
この坂は登ってこなかったが、直線の勾配がきつい坂だ。路面も滑り止めの加工がされている。
写真を撮るにも、ペダルをストッパー代わりに使わないと滑り落ちてしまうほどだ。

No.37

権現坂
 
ごんげんざか
24/49坂 「宮前坂」から「雪見坂」へ向かうが、探しているうちに「権現坂」が現れた。
この辺りは多くの坂が集中しているので、坂巡りには好都合だ。
住宅街の中にかなりの急坂が集中している。生活するには必ず坂のお世話になるだろう。

No.36

雪見坂
 
ゆきみざか
25/49坂 ぐるっと周回して「雪見坂」を発見。すっかりサイクルオリエンテーリングの気分だ。
目標のポストを見つけた時の喜びと一緒だ。
この坂は富士山の頂の雪が良く見えたことからこの名がついたそうだ。今でも見えるのだろうか?

No.33

花抜坂
 
はなぬきざか
26/49坂 JRの線路を目指して気持ちよく下っていくと、「花抜坂」に出会う。
この坂は登ったことがなく、いつも横目に通り過ぎる坂だ。
結構勾配がきつく、路面ははやり滑り止めの加工がされている。

No.24

八幡坂
 
はちまんざか
27/49坂 JR線の下をくぐり抜け左へ向かうと、すぐに「八幡坂」だ。ここの坂も勾配が14%もある。
自転車を止めるのがやはり大変で、手を話すとすぐに滑り落ちてしまう。
結構長い距離を登らされる。登りきると達成感を感じるほどだ。かなり呼吸も乱れるほどだ。

No.25

相生坂
 
あいおいざか
28/49坂 再びJR線に合流する。一気に周囲の展望が大きく開けてくる。
線路沿いの道を気持ちよく登っていくと、そこに「相生坂」の標柱がある。
標高約30mほどあるため、西側の展望が素晴らしい。鉄道好きにもたまらない場所かもしれない。

No.23

六郎坂
 
ろくろうざか
29/49坂 「相生坂」から南へ向かうとすぐに「六郎坂」の十字路だ。
ここも坂の上から眺めるだけとなってしまったが、この先の右カーブ以降はどうなっているのか気になる。
ちょうど工事現場の方が休憩中で、写真を撮っていると注目を浴びてしまって恥ずかしかった。
解説によれば、江戸時代後期、池上村のために尽くした海老沢六郎左衛門の屋敷があったことでこの名がついたようだ。

No.22

大尽坂
 
だいじんざか
30/49坂 「六郎坂」からすぐに「大尽坂」の交差点だ。この坂も上から下を眺めると結構登っている。
この坂を毎日登らなければならない人にとっては、とても大変だろう。
その昔、大尽(財産をたくさん持っている人のこと)がこのあたりに住んでいた、ということからついた坂の名前だそうだ。

No.6

おいはぎ坂
 
おいはぎざか
31/49坂 次の「おいはぎ坂」も標柱がないことを事前に調査済だ。
なんとも物騒な坂の名前だが、やはりかつて通行人がおいはぎの被害にあったから名がついたようだ。
付近までやってきたが、はたしていったいどこの坂が「おいはぎ坂」なのかわからない。
標柱もなく、坂の名を示すものが何もないので、頼りになるのはネットの写真だけだ。

また周囲をぐるぐると走り回って、止まっては考え、戻っては考え、ようやく見つけた細い道。
どうやらこれが「おいはぎ坂」に違いない。坂の下のプレートにしっかりその名が刻まれていた。
急な坂だ。小さな公園に赤い鳥居が入口の目印だ。細く急カーブの道は、確かに襲われたら逃げられそうもない。

No.5

鐙坂
 
あぶみざか
32/49坂 「鐙坂」までは近い。緩い勾配の坂なので、すぐに標柱に出会える。
鐙という名前だけに馬が関係している。鎌倉時代の武将の愛馬の鐙が落ちたということかららしい。
この辺りを馬が駆け巡っていたのだろうな、と思うとなんだか少しタイムスリップした感じにもなってくる。

No.4

臼田坂
 
うすだざか
33/49坂 「臼田坂」は広い車道の坂で、交通量も多い。
勾配はたいしたことなく、電動自転車でなくても登っていけるだろう。
この辺りには臼田姓の家が多かったことからこの名がついたと言われている。

No.3

右近坂
 
うこんざか
34/49坂 環七のすぐ横、小さな入り組んだ三叉路の入口に「右近坂」の標柱がある。
たまに通過する場所だが、これまでこんな標柱を気にしたことはなかった。
この坂は登ったことがなく、今回も通過しただけだがグーグルストリートビューで見ると結構きつそうだ。

No.1

八景坂
 
はっけいざか
35/49坂 環七を越えて山王地区へ入ると、坂のきつさが一段と増す。
「八景坂」へ向かうルート上には、階段があったりしてかなりハードなルートになってしまった。
最短距離で勝手にルートを作ったため、車両が通れる道ばかりではない。

くねくねと山王地区の”山越え”をして坂巡りの東の端までやってきた。
大森駅前の「八景坂」も標柱はない。階段脇の案内に「八景坂」の説明があるだけだ。
今では八景を望むことはできないほど建物も多くなってしまったが、一度この坂を登ってみたくなった。

No.2
闇坂
 
くらやみざか
36/49坂 「闇坂」は「八景坂」からすぐそばのため、かなり賑やかな所に位置している。交通量もかなりある。
坂の入口は、交通量の多い車道から分岐して緩く登っていく。ゆっくり登っていくお年寄りの姿が写っている。
八景園の樹木がうっそうと覆いかかり、昼間でも暗かったためこの名がついたらしい。
登り切った先に山王公園があるのでここで小休止だ。時刻は15時。残り13坂。なんとかなりそうだ。

No.7

蛇坂
 
へびざか
37/49坂 「蛇坂」までは1.5kmほど移動する。再び環七を越えて南馬込地区へ入る。
緩く登った先の十字路に「蛇坂」の標柱があった。かなり薄汚れてきていて、文字も消えかかっている。
蛇が多かったのか、それとも道が蛇のようにくねくねしていたのか、それは不明だそうだ。

No.9

南坂
 
みなみざか
38/49坂 第二京浜へ降りていく右カーブが「南坂」だ。綺麗な路面で、ちょっとしたダウンヒルを楽しめる。
下った先は、交通量激しい世界が待っている。

No.8

馬込坂
 
まごめざか
39/49坂 「馬込坂」の標柱なんてあるのかと疑問だったので、事前に調べておいたおかげですぐに発見できた。
歩道橋の真下にちゃんと建っているが、さすがに排気ガスで薄汚れているし、ヒビも入っていて痛々しい。
誰一人立ち止まることなく通り過ぎていく。まあこんな目的を持った人しか立ち止まらないだろう。

No.10

二本木坂
 
にほんぎざか
40/49坂 「二本木坂」も道は広く、交通量も結構ある。乗車は可能だが、一般の自転車ではきついかもしれない。
前方の自転車を押している方とは、坂の下で追い抜かれ、乗車して追い越し、そして坂の上で追いつかれた。

No.26

猿坂
 
さるざか
41/49坂 JR線を越え「猿坂」へ向かう。やはり猿が多かったからこの名がついたのだろうか。
十字路の片隅に真新しい標柱が建っている。そこからの下りはかなり急勾配だ。
坂の下で写真を撮っていると、郵便配達のバイクが下ってきた。じっとこちらを眺めながら通り過ぎて行った。

No.27

大久保坂
 
おおくぼざか
42/49坂 いよいよ坂巡りも終盤。狭い地域に集中しているので時間もかからない。
大きな学研通りから登る「大久保坂」はまっすぐ住宅街に伸びている。
大きなマンションに沿って登る坂は電動自転車でなければ厳しいだろう。

No.28

稲荷坂
(上池台)
 
いなりざか
43/49坂 「稲荷坂」も「大久保坂」と同じように学研通りから登る坂だ。
とにかくこの辺りは坂だらけだ。平らなところを探すほうが難しいそうだ。
商業施設も多く生活は便利だが、やはり坂の多さには参ってしまうところがある。

No.31

鸛の巣坂
 
こうのすざか
44/49坂 学研通りの反対側に位置するのが「鸛の巣坂」だ。この坂も勾配はそこそこきつい。
見かける自転車はほとんどが電動自転車だ。そして皆さん乗り慣れていてとっても速い。
今回、何回電動自転車に追い抜かれたかわからないほどだ。
とにかくこちらは一日中ギヤチェンジの繰り返し。それじゃ追い抜かれます。

No.32

蝉坂
 
せみざか
45/49坂 この地区は坂が集中していて坂巡りには好都合だが、とにかく急勾配だ。どこへ向かっても坂の連続だ。
角を曲がれば坂、休む間もなく登ったり下ったり。まあ暮らすのが大変だ。
「蝉坂」もそんな十字路に標柱があった。閑静な住宅街だが、自転車乗りには大変そうだ。

No.30

庄屋坂
 
しょうやざか
46/49坂 「庄屋坂」も同じように静かな住宅街の坂だ。道幅も広く車の行き来もスムーズだ。
庄屋という名だけあって、きっと昔から大きなお屋敷があったのだろう。

No.29

貝塚坂
 
かいづかざか
47/49坂 交通量激しい学研通りの坂を登り切った交差点に標柱が隠れていた。
なかなか見つからないので、バス停の写真で我慢しようかと思っていたが諦めなくてよかった。
「貝塚坂」は長く緩やかな坂で、自転車で走っても辛くないが、とにかく車がひっきりなしに通る。

No.11

夫婦坂
 
めおとざか
48/49坂 「夫婦坂」は環七を挟んだ両側の坂を示すのにこの名がついたと言われている。
この辺りはよく自転車でも走るが、いったいどこに標柱はあるのだろう?
やっぱりここもローラー作戦しかない。環七の両側の歩道をくまなく探して坂を上り下りする。

ない・・・どこにもない・・・だめか・・・と思ったら、環七を越えて旗の台方面に登り切った所にあった。
ちょっと隠れた場所にあるのでなかなか気が付かないかもしれない。

No.38

稲荷坂
(南千束)
 
いなりざか
49/49坂 いよいよ残り一つ、最後の坂となった。時刻はすでに16時。今日もかなり冷えてきた。
この坂は洗足池に行く際に横切る坂で、あえてこの坂を登ることはこれまでなかった。
こうして坂の下から眺めてみると、緩やかだが結構登っている。

標柱はすぐに見つかり、夕陽をバックに写真を撮る。
正面のクリーニング屋さんのご主人が、不思議そうな顔でこちらを見ている。
大田区の坂道、全49坂を巡る一泊二日の「旅」は無事に終了した。

 


走り終えて

正直、こんなに大変で疲れるものとは思っていなかった。
坂道って言ったってどうせ都会の坂だ。それも全部登ろうという訳ではない、ただ写真を撮るだけだ。
そう思って計画したのだが、予想以上に時間もかかり、走り回り、道に迷うことになった。

初の試みなので仕方ない所もあるが、この標柱を探す走りは事前準備がとにかく重要だ。
できるだけ正確な場所を調べ上げ、地図上、またはGPSに落とし込む。

さらに目的地に近づいたことがわかる様にしておかないと、知らぬうちに通り過ぎてしまうことも多い。
さらに、坂の標柱はどこにあるのか不明なため、グーグルストリートビューの活用が不可欠だ。

まさか二日もかかるとは思っていなかったが、走り終えた印象としては「実に面白かった」という印象だ。
その昔、サイクルオリエンテーリングという競技があって、何度か参加したことがある。

目的地のポイントを巡ってスタンプを押してくるという競技だが、まさに同じだ。
ポイント地点へ行ってもスタンプがすぐには見つからない。ちょっとしたところに隠してあったりする。
坂道巡りも同じだ。色々考え、推理し標柱を探す。見つけた時の喜びは格別だ。

坂道巡りは歴史の勉強になる。一つ一つの標柱には坂の名前の解説が書かれている。
今回はゆっくり読んでいる時間もなく、次々と走らざるをえなかった。

また坂道巡りは、いつもなら絶対通らない道ばかりを行くため、新たな景色の再発見ばかりだ。
坂を登ることで視界が広がり、周囲の生活感が伝わってくる。人や車の動きも気になる。

家の作りや、道路の作り、路面の変化などを自然と気にするようになる。
そんな新たな発見の機会を与えてくれた「大田区の坂道巡り」、なかなか面白いですよ。


(2021/12/26-27 走行)


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