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2022年6月30日(木)


二泊三日のツーリングともなると、宿に着くと洗濯で忙しい。

毎日大量の汗をかいて、何もかも洗いたくなる。

洗濯機でも用意されていれば最高だけど、無ければ水洗いでおしまいだ。


昨日もさっそくあれこれ洗濯して、外のテラスに干しておいた。朝になればすっかり乾いていることでしょう・・・

ところが、


”ガーーン”

ご覧の通り、明け方から豪雨! 何ですって! 慌てて取り込んだけれどすでに遅し・・・振り出しに戻る。

雨雲レーダーを見ると、このエリア一帯に強烈な雨雲が居座っている。こりゃ、ダメダ・・・と直感。


戦意喪失、意気消沈、予定変更。さらに不運なことに、私の愛機、SONYのデジカメの液晶が故障・・・

あぁ、今朝はなんて不運の連続なんだ・・・昨日までで運を使い果たしてしまったか?


この天気ですっかりのんびりモードに変更。ぎりぎりまで宿にいて、様子を見て下るしかない。

この山荘は、あのアドベンチャーレーサー田中陽希さんも泊まったようだ。素敵なサインが飾ってあった。

ここの山荘なら何泊してもいいですね。本当にゆっくりくつろげる山荘だ。


天気は回復せず、諦めて完全雨対策の準備だ。頭の先から足先、そして全てのバッグとサドルの防水だ。

持っているもの全てを使って雨対策。シューズはコンビニ袋で代用する。

外へ出ると真っ白で何も見えない。一寸先は闇ではなくて真っ白だ。


これもまたいい思い出だ。開き直って今日は酒田観光にしましょうということに。

完全防備スタイルで記念撮影。なかなかこういう写真も珍しい。

こんな天気だけど、どこか喜んでいるように見える・・・さすがベテランの集まり。


視界がホント数mしかない。走り出せばすぐに真っ白な世界に姿が消えていく。

ナイトランが出来なかったけれど、さっそく強烈LEDライトが大活躍だ。


こんな視界では5人の存在も確認できず、ライトはとてもありがたい。

そして点滅するテールライトが強力な道案内だ。後続からはテールライトだけが頼りだ。


こんなシーンもなかなか撮影できない。

危険な天候ではあるが、安全を確保したうえで貴重な映像を撮影する。

路面が安定していて、そして道幅が広いので少々スピードが出ていても不安はない。


もっとザーザー降られるかと覚悟していたが、ほとんど降られず視界も回復してきた。

徹底的に雨対策をしたけれど、今度はいつ脱ごうかと判断に迷ってくる。


30分程下るとすっかり雨も上がってしまった。再び我々に幸運が巡ってきた感じだ。

雨雲レーダーを見ると、雨雲も通り過ぎ、しばらく天気は崩れそうもなくなってきた。


本来の予定では、山荘から700m!もヒルクライムし、絶景を拝んで下る予定だった。

3日目で疲れきった体には少々過酷な予定だったが、この天候で”運よく”登らなくて済んだ。


川は再び濁流に溢れ、荒々しい姿だ。不気味な川を見ながら酒田へ向かう。

すっかり雨具もいらなくなり、次第に身軽な格好に変身していく。

今日はこの先登りはない。あとは平坦路を酒田市内へ向かって快走するだけだ。


帰りの列車もすべて決まっているため、本日は酒田市内をゆっくり巡ることになった。

自分も以前酒田へ来たことはあったが、その時は飛島へ渡るための通過点だけであった。


酒田に詳しいメンバーの意見で、やはり「土門拳記念館」と「山居倉庫」へ行くことに。

酒田市内までは20km少々ある。

強風の向かい風の中、先頭に引っ張られながら水田地帯の直線道路を行く。


土門拳記念館ホームページより

土門拳記念館は一人の作家をテーマにした世界でも珍しい写真専門の美術館として1983年10月、土門の郷里である山形県酒田市に開館した。
土門拳の約7万点を収蔵。土門のライフワークであった「古寺巡礼」をはじめ、「室生寺」「ヒロシマ」「筑豊のこどもたち」「文楽」「風貌」などの作品を、その保存をはかりながら順次公開している。
1974年酒田市名誉市民第1号となった土門拳は、自分の全作品を郷里酒田市に贈りたいと語った。
酒田市はそれに応え、1983年土門拳記念館を完成した。
敷地は、市街地から南西4kmに位置する飯森山公園の中に選び、美しい自然林と丘を背景として、前面に池を配し、秀峰・鳥海山を眺望する絶好の場所に建物を据えた。
設計は谷口吉生氏。氏は、この美しい自然環境と建物をいかにして協調させるかを最も重視し、その協和する響きの中に、土門拳の芸術空間をより高純度に熟成することを主題とした。


展示されている作品に感動した。素晴らしい写真、素晴らしい建築物、そして見事な庭園にうっとり。

モノクロ写真の強烈さは、こうして展示されると心に焼きついてくる。

もっと時間をかけて、ゆっくり鑑賞したい素晴らしい記念館であった。


続いて「山居倉庫」へ向かう。

自分は全く知識がなかったのだが、最近のニューサイで紹介されていたらしい。


さっそくSNSで呟いてみると、すぐに友人から「これだよ」とニューサイの表紙が送られてきた。

さすがです。あっという間に悩みが解消。


帰宅後NCを引っ張り出してページをめくってみると・・・おぉ、これは友人の紀行文ではないか!

知らなかった。最近のニューサイはしっかり読んでいなかったので、記憶がなかった。


山形県ホームページより

山居倉庫は1893年(明治26)に酒田米穀取引所の付属倉庫として、旧庄内藩酒井家により最上川と新井田川に挟まれた通称「山居島」に建てられた。
舟による米の積み下ろしに便利な立地で、12棟の巨大な木造の倉庫を連ねた美しい建物と、最上川側のケヤキ並木が独特の風情を伝えている。
建設された14棟のうち12棟が残っており、現在も米穀倉庫として使用され、一部は「庄内米歴史資料館」や観光物産館として活用されている。


酒田へ来たなら、ここで写真を撮らなきゃダメでしょう、という場所がここ。

一目見ただけで写真を撮りたくなる素晴らしい風景だ。


なんと見事な構図、背景、色彩、重厚感・・・どこからどうやって撮影するか悩むほどの”美しさ”だ。

しかし、他の観光客も撮影するのを待っているため、好き勝手に撮っていられない。


この背景にランドナーがよく似合う。なんとかお気に入りの写真を撮れて大満足。

ニューサイがまだ健在だったら、表紙にピッタリの一枚なんだがなぁ、残念。


時間もあるので、「庄内米歴史資料館」を見学する。

こうして地元の歴史を学ぶこともツーリングでは大切なこと。

多くの展示物を見ると、いかに米作りが大変で、苦労が絶えなかったことがよくわかる。


酒田駅はすぐそこ。たっぷり余裕の時間を持って駅に到着。

最終日は予定が変更になってしまったが、そのおかげで貴重な見学をすることができた。

いつも走りきって、疲れ切ってゴールするが、こうして知識も満たされてゴールするのもいいものだ。


酒田からの帰りはかなり時間がかかる。まずは新潟まで「特急いなほ」に約2時間の乗車だ。

2時間も乗るとなれば、さすがに一回目の反省会だ。例によって、輪行袋の置き場所に苦労する。


車内は結構空いていて、車掌さんが来た時に「座席回転させていいですか?」と聞くと、

手持ちの端末でこの先の座席の状況を確認して、「いいですよ」と温かいお言葉。

「さすが!素晴らしい!新幹線では絶対無理だ」と皆で絶賛。


おかげで久しぶりに楽しい車内の反省会となった。

車窓からは日本海が間近に迫る。傾きかけた太陽がキラキラと光る。

車窓から眺める日本海は美しい。なんだか最後は乗り鉄小僧みたいにはしゃぐ面々。


最後の最後に、なんと切符紛失事件?

新潟から新幹線に乗り換える。

11分しかない乗り換え時間の中、まずは輪行袋を片付けて、大慌てでお酒を買いに行く・・・あと7分。

階段を降り、売店に飛び込み、適当に掴んでレジへ。切符を見せると10%引きだぁ。


早く、早く、あと5分しかない・・・急げ急げ・・・階段を駆け上がり、2分前に乗車できた。ふぅ。

あー、これで2回目の反省会も楽しめる・・・と安心したときに、あれ?切符は? 

あれ? あれ? あれ?


売店のトレイに切符を置いて提示したまでは記憶がある。しかし受け取った記憶も、しまった記憶もない・・・

アチャー、置き忘れた! えぇー? まじですか? と顔面蒼白。

「あるよ、あるよ、絶対あるよ、よく探してごらん」と皆で大騒ぎ。


と言っている間に、新幹線はゆっくりと発車・・・もうだめだ。間に合わない。車掌さんに言わないと・・・

と打ちひしがれていると、「私はそのあとレジに並んだけど、何もなかったよ」と仲間の証言。

え? そんな? ということは・・・あっちのポケット、こっちのポケットを探すがやっぱりない・・・


まさか・・・と思ってフロントバッグにしまった財布を開けてみると、
あ ・り・ま・し・た!

いつも切符はここには入れず、別に管理していたのだが、この乗り換え騒動で慌てて財布に放り込んでしまったようだ。


いやぁ焦りました。切符が無かったらどうやって改札を出ればいいのか、真剣に考えていた。

最後の最後にこんなアクシデントがあったけれど、おかげでより反省会が盛り上がった。


やはり、チケットレスは紛失も無ければ、破れることもなくて安心です。

大人の休日倶楽部パスも、そのうちチケットレスになってほしいものです。


以上3日間の「大人の休日倶楽部」ツーリングでした。京都からの参加もお疲れ様でした〜

翌日、まだ切符の有効期限が残っていたので、JR線乗り放題を楽しませもらいました。



 

距離: 38.1 km
所要時間: 5 時間 1分 24 秒
平均速度: 毎時 7.6 km
最小標高:  13m
最大標高:  528m
累積標高(登り):  33m
累積標高(下り):  547m

(2022/6/30 走行)


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