峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2023 >  関西・九州フェリー旅@ 神戸・六甲・阪神しまなみ海道



そもそもこの旅の始まりは・・・


仕事の関係で商船三井の株主になったところ、優待でフェリーの割引券が送られてきた。

フェリーか・・・ちょっと乗る機会はないなぁ。そもそもどこへ行けるんだ?


商船三井のフェリーといえば「さんふらわあ」だ。大洗〜苫小牧は乗ったことがあるが、他にどこがある?

と調べてみると、関西と九州を結ぶ航路があるのだが・・・そんなもの東京からは乗れるかい!


北海道へ行く予定はないし、これじゃ優待は無駄になるな、と有効期限が迫ってきた。

最後はヤフオクで売ってしまおうかと思っていたのだが、まてよ、関西から乗ればいいじゃん!

何も関東から乗ろうとするから無理があるのであって、新幹線で関西まで行けば乗れるではないか! と気が付く。


自転車旅の素晴らしさはこういうところだ。出発地点も、ゴール地点も好きなように決められる。

起点がどこであろうと、ゴールがどこであろうと、輪行というマジックがあれば日本中どこでも行くことができる。

そう気が付くと、プランニングに頭が次々と巡っていく。こんな壮大なツーリング計画は生まれて初めてだ。


割引クーポン券は2枚ある。なんとか有効期限内に使いたい。となれば九州へ行って戻ってくるしかない。

初日はどうする? どこからフェリー乗ってどこへ行く? 大分? 別府? 志布志?

そこからどこを走る? 帰りのフェリーはどこから乗る? 戻ってきた後どうする? どこを走る?


いったい何泊する? フェリーだけで2泊だぞ。その前後含めたら3泊4日? それとも4泊5日? それ以上?

もう、考えているだけで頭の中は大混乱。いったい何が目的なのか、何がしたいのかわからなくなってきた。


いつものソロツーリングであれば、まずこんな無謀なプランニングは考えない。

エリアを絞って、余裕あるスケジュールでじっくりと現地を走り込みたい。

しかし今回の旅は、そもそも目的が違った。「優待を使ってフェリーに乗りたい!」ということ。


フェリーに乗るために、その前後のツーリングを無理やり練り上げた、と言ったほうが正解だ。

結局、決まったのは3泊4日、”超”過密スケジュールの「関西・九州フェリー旅」となった。


この旅の概略を説明しておこう。

初日は、東京から関西へ輪行し、一日しっかり走ったあとフェリーに乗船。寝ている間に大分へ向かう。

二日目は、大分をしっかりとツーリングした後、なんと凄いことに鹿児島まで輪行で大移動する。


三日目は、昔の思い出を辿って、鹿児島から桜島、そして大隅半島を走って志布志からフェリーに乗船。

四日目は、大阪港に早朝着いた後、堺の街、シマノ博物館、渡船巡りを楽しんで新大阪から帰京する。


まあ、地図を見ただけでも「アホ」みたいなプランニングだ。それもこれも全てはフェリーに乗るためだ。

ぐるっと周遊してくる「舟旅割引」を使うと、さらに安くなるため、わざわざ志布志まで行くのだ。


割引があるので、フェリーもちょっと贅沢して個室を予約。行きも帰りも豪華な船旅だ。

そして全行程の列車の切符を手配する。とにかく長距離だけに、ジパングクラブの割引がありがたい。


鹿児島のビジネスホテルも確保して、ついに出来上がった「関西・九州フェリー旅」。

そして天気もバッチリだ。16日〜19日まで雨の気配はない。よし、完璧だ。準備は整った。


2023年10月16日(月) 一日目

新横浜駅 〜 新神戸駅 


さあ”壮大”な旅が始まった。この4日間、とにかく「海」がテーマだ。

初日はガイドブックを参考に以下のコースを走る。


ポートアイランドも、六甲アイランドも行ったことがない。きっと素敵な所なのだろうな。

そして「阪神しまなみ海道」だ。なに? しまなみ海道だって? そんなばかな・・・ この目で見てこよう。


ジパング会員手帳をしっかり持って新幹線に乗車する(でも、これまで一度も提示を求められたことはない)。

今回初めて新横浜発のひかりに乗った。こんな新幹線があるとは驚いた。おかげで車内はガラガラだ。

定位置に輪行袋を置いて、さてゆっくりと旅モードに入りますかね。


と、驚いたことに、いきなり通路側の席に小径車の輪行袋を持ったサイクリストが現れた。

なんだなんだ? いきなりサイクリスト同志が並んじゃったよ・・・嬉しいんだか、面倒くさいんだか・・・

ゆっくり食事したり、資料を読もうと思っていたのだが、いきなり深い話で盛り上がってしまった。


ほぼ同年代のサイクリスト。自転車はブロンプトン。おしゃれな輪行袋にとてもコンパクトに収まっている。

友人と待ち合わせて京都から若狭方面へツーリングするらしい。

ランドナーの世界は全く知らないようだったので、自分のホームページを紹介したらかなり喜んでいただいた。


京都からは、超デカイ荷物をもった外人さん二人が隣に座ってきた。

輪行袋があるので置けそうもない。困った顔をして自分を見てくる・・・わかりました・・・どかします。

新神戸で降りるから、輪行袋はデッキに移動しようと適当な英語で会話する。



「I will get off  next station」
、久しぶりに英語を話してみた。(お〜なんとなく文法もよさそう)

「輪行袋をデッキへ移動しますので、ここに入れてください」

なんて会話は無理なので、ジェスチャーで表現する。

すると、「Oh、thank you!」と、笑顔で喜んでくれた。


インバウンド需要は日本にとってはありがたいから、優しくしてあげないとね。

言葉もわからず、大きな荷物を抱えて大変だ。自分の輪行袋ぐらい移動したってたいしたことないや。

初日からいいことして気分もいいね・・・と輪行袋を移動して再び席に戻った。


ひかりの停車駅は、京都→新大阪→新神戸だ。あ、「next station」じゃなかった・・・恥ずかしい・・・

新大阪に着いても自分が降りないので、ちょっと外人さん気にしていた。ま、旅の恥は掻き捨て〜

ということで、スタートからいろいろと忙しい輪行で、無事に新神戸駅に到着。

ポートアイランド 


仕事で新神戸駅に来たことはあるが、ツーリングでは初めてだ。

さっそく組み立ててポートアイランドを目指して下っていく。

港が近づくと、そこはもう物流の最前線だ。大型トラックがひっきりなしに目の前を走っていく。


東京で言えば大井ふ頭になるのだろうが、そのスケールも交通量も比べ物にならない。

ポートアイランド線に沿って、神戸大橋を渡る。

視界が大きく開け、美しい神戸港が目の前に広がってくる。


碧い海、青い空、真っ白な客船、そして神戸の街並み。

あぁ、素敵な眺めだ。大井ふ頭じゃないな、横浜港のほうがまだ正しいな。

歩道のすぐ横は大型トラック、トレーラー、コンテナなどがビュンビュン通過していく。


無事にポートアイランドに”上陸”すると、360度、どこを見渡しても港湾物流基地が広がる。

すぐに自分の視界に飛び込んできたのがこの「タンクコンテナ」だ。


通常のコンテナとは違って、主にいろいろな液体を運ぶためのコンテナだ。

なかなかこんな至近距離で見る機会はないので、しっかり写真に収めてきた。


実は自分は長年物流業界に従事してきた。

昨今は”ロジスティクス”なんてカッコイイ言葉が流行っているが、中身は人海戦術の物流が基本だ。


小さな物から巨大な物まで、全てのサプライチェーンに関わってくるのが物流の世界。

最近は「2024年問題」で物流が注目されているが、そんな生易しい世界ではない、この業界は。


ポートアイランドにやって来たのも、物流最前線の様子をちょっと見てみたかったからだ。

来てみて驚いた。とにかく大型トラックの”洪水”だ。次から次へと切れることがない。


関西万博の工事の影響かもしれない。とにかく、恐怖を感じるほどの迫力、騒音、風圧を感じる。

IKEAの巨大な店舗もある。ここなら港に近いから大型家具の輸送も便利だろう。


幹線道路から外れると、今度は車が全く通らず、静かな街並みが広がってくる。

あまりの変化にちょっとおかしくなりそうだ。とにかく不思議な島だ、このポートアイランドは。

上組の大きな倉庫の先に貨物船が停泊しているのが見えたので、近寄ってみる。


こうしてすぐそばまで近づけるのが楽しくて仕方ない。

釣りをしているおじさんと会話していると、「あれは水上警察じゃないか?」「おーい、来たぞ〜」と周りの釣り人に叫ん

でいる。どうやらこの辺り一帯は釣りが禁止されているらしい。結構厳しく取り締まりされているようだ。


視界に入る何もかもが新鮮だ。こうして港街を散策することも初めてだ。

港湾の風景、物流の最前線、そして雄大な風景。ちょっといつものツーリングとは雰囲気が違う。


人工的な物ばかりに埋めつくされているけれど、それはまた別の美しさがある。

峠越えや林道を走るのと違って、別世界の魅力に溢れている。いやぁ、とにかく海と船がいい。

スタートそうそう、こんなに気分が高揚するツーリングも珍しい。まだまだ序盤戦だぞ。


ポートアイランドを満喫して、さあ「阪神しまなみ海道」のスタートだ。

自転車雑誌で紹介されていたこのコース、今日のメインコースとしては申し分ない。


詳細なコースガイドがあるおかげで、初日の行程を練り上げることができた。

本物の「しまなみ海道」と比べては申し訳ないが、それでも結構魅力あるコースに違いない。


周囲は千葉付近でたとえるなら、幕張あたりの景観だろうか。

広々としたコンクリートの街づくりの中をのんびりと走っていく。

そこに現れたのが「HARBOR WALK」と名づけられた散歩道。ここがやたら素敵だ。


神戸の街は、海と都会が絶妙にマッチした素敵な都市だ。広く美しい散歩道がずっと続いている。

こんなゆとりのあるシーサイドコースは見たことがない。ちょっと外国にでも来た気分だ。


ジョギングしている人が数人。散歩している人がちらほら。自転車に乗っている人は自分だけだ。

いい所だ。もし近所に住んでいたら、間違いなく自分のお気に入りになっていることだろう。

旧西国浜街道(灘の旧街道)


旧西国浜街道の道標に導かれて街の中を行く。大きな地図に灘の旧街道の解説がされている。

「神戸市東部市街地には西国街道(山陽道)と浜街道と呼ばれる旧街道が、東西に通っていたとされています」

小さな字で詳細に書かれていて、全部読むだけでも大変だ。写真を撮って帰ったらゆっくり読むことにしよう。


旧街道をのんびり行くと、次々と清酒メーカーの工場や社屋が現れる。

記念館を設けているメーカーもあり、清酒好きなら見学するのも面白そうだ。


ちょうど昼休みの時間になり、工場からは従業員が次々と出てきた。

中には一升瓶を抱えた女性が道路を渡ってどこかへ持って行った。


まさか飲むわけではないだろうが、うーん、なかなかすごい光景だ。

ゆっくり通り抜けただけだったけど、この「灘の旧街道」はとても楽しい散歩道だった。

阪神なぎさ回廊


芦屋駅から阪神なぎさ回廊へ向かう。この辺りの景観は実に素敵だ。

この宮川沿いの遊歩道も実にいい。付近の住民がうらやましい限りだ。


阪神なぎさ回廊

阪神なぎさ回廊は、尼崎・西宮・芦屋の臨海地域の、海辺の魅力があふれる遊歩道や親水性の高い護岸などを結ぶ回廊です。潮風を受けながら浜辺や運河などを歩いてゆくと、様々な海辺の魅力にふれることが出来ます。https://web.pref.hyogo.lg.jp/hsk07/nagisa_kairo.html


大きな空、開放感抜群の空間。きらきらと輝く海が眩しい。なんて素敵なエリアなのだろう。

この後、ぐるっと周って正面に見える橋を戻ってくることになる。

珍しく散歩しているサイクリストに出会った。ここはポタリングに最高だろう。


今回のツーリング、実はひとつ忘れ物をしてきてしまった。

写真を見るとボトルがついていないのはそのためだ。


家で輪行しているときに、ボトルをどれにしようかと選んでいて、ボトルケージを忘れてきてしまった。

新神戸駅で組み立てていて、ボトルケージがないことに気が付き唖然。こんなミスは初めてだ。

大きなボトルを持ってきたので、さて困った・・・とりあえずフロントバッグにいれるしかない。


これから4日間、フロントバッグを占領してしまうボトルに困り、こりゃケージを買うしかないとお店を探す。

走っていると大きな「GUNZE SPORTS」と書かれた建物に出くわした。よしよしスポーツショップだな・・・

と入っていくとスポーツジムでがっかり・・・がっかりしていたらすぐにサイクルショップが現れた。


小径車専門のショップで、「金属製で一番安いのをください」と言って購入してきた。

この際色はなんでもいい、ちょっとガタがあるけれどこれでフロントバッグがやっと広くなった。


甲子園球場に立ち寄ってみる。甲子園球場は初めて来た。

埋められたレンガにはいろいろな名前が刻まれている。なかなか素敵な演出だ。


今年は阪神がセリーグ優勝したので、街も活気がある。

ローソンでは、店舗の外観がタイガースカラーになっている。これにはさすがに驚いた。


鳴尾浜公園を抜けて武庫川へ出る。

さあいよいよこの辺りから、本日のメイン「阪神しまなみ海道」の始まりだ。


川の河口に向かってまっしぐらに進んでいく。正面に小さく橋が見えてきた。あれを行くんだな?

川沿いに行けるかと思いきや、なんと行き止まりだ・・・最後に歩行者用の急階段があるだけ・・・

どっひゃぁ〜参った! 車道に出るには相当戻らないとならない。どーする?


空身で階段を登ってみると、向こう側にはちゃんと車道がある。担ぐしかない・・・

結果、とんでもない難所越えになった。狭い階段のうえ、手すりが邪魔、急勾配・・・もう最悪。疲れ果てた。

阪神しまなみ海道


再びトラックだらけの世界に戻ってきた。ここはちょうどトラックドライバーの休憩場所になっているようだ。

鳴尾浜臨海公園へ寄り道してみる。広大な美しい緑の芝生が広がっている。のんびりここで寛ぐのもいい。


「阪神しまなみ海道」最初の橋は「鳴尾橋」。

スロープを登っていくと交通量の多い本線に飛び出る。そこからの眺めがこの写真だ。

おぉ、しまなみ海道というぐらいだけに、なかなかの眺めだ。


まあ本家のしまなみ海道とは、海面までの高さや景観など足元にも及ばないが、なかなか感動の瞬間だ。

歩道のすぐ横を車がかなりのスピードで通り過ぎる。大型トラックが通過する時はかなりの恐怖だ。


右手には先ほど走ってきた海沿いの散歩道が見える。

なるほど、「阪神しまなみ海道」とはこういう道のことなのか、と理解した。


詳細な説明がされているガイドブックをコピーしてきた。

この本が発売されたおかげで、今回のツーリングプランがかなり充実したものになった。


続いての橋は「西宮港大橋」だ。結構な勾配で登らされる。

写真を撮っていると、自転車を押して歩いて行く人が現れた。

まあ、眺めがいいだけにいいお散歩コースかもしれない。


うーん、次々と変化する景色がなかなかいいじゃないですか。

”ダウンヒル”もなかなかスリリングだ。猛スピードで車とすれ違うため、歩道が広いとは言え迫力満点だ。


新西宮ヨットハーバーへ立ち寄ってみる。車の騒音から解放され、ここには静寂な世界が広がっている。

無数に並ぶ真っ白なヨットの数々。いったい何隻あるのかと数えようとしたが諦めた。


帰ってからGoogleの衛星写真で上から見てみると、これだけの広さのあるヨットハーバーだった。凄い!

ウィキペディアによると、収容隻数 - 約700隻とある。


いったい、どこの金持ちたちが集まってくるのだろう? ヨットなんて庶民には全く縁がない世界だ。

まあ、いろんな人がいていろんな趣味がある。自転車の世界も全く同じだ。


ヨットハーバーにすっかり魅了された後、3つ目の橋「夙川橋」(しゅくがわばし)へ登る。

もうすっかり橋巡りも慣れたもの。要領はよくわかった。

今日は天気に恵まれたのでよかったが、これで風が強かったらかなり辛いだろう。


南芦屋浜の標識が現れると、右手に芦屋キャナルパークが広がる。昼過ぎに走った辺りだ。

おしゃれな「芦屋浜シーサイドタウン」が海辺に広がっている。さすが高級住宅街だ、溜息しかでない。


そして「潮芦屋ビーチ」へ行ってみる。人工の砂浜や磯広場などで構成された市民の憩いの砂浜だ。

まあ、とにかく何もかも素敵だ。これだけ近くに海と触れ合える場所があるとはうらやましい。

大都会なのに、実に見事な街づくりがされていると感じる。

六甲アイランド


「阪神しまなみ海道」を楽しく走ってきた。なかなか見どころ満載のコースだった。

残すは六甲アイランドへの道だが、街中は道路を横断するのに歩道橋が多い。


信号機を減らして、交通を妨げないようにしているのだろうか。とにかく自転車、歩行者に優しくない。

道路の反対側へ渡るにも、いちいち登って、渡って、降りなければならない。お年寄りはどうする?

そして最後の橋、「六甲大橋」にやってきた。これを渡れば六甲アイランドだ。


かなり広い歩道が設けられていて、自転車と結構すれ違う。

六甲アイランドとの行き来には自転車が便利なのだろう。皆さんかなりのスピードで下ってくる。


大きく視界が開けてくると、これから乗船する「さんふらわあ」の大きな姿が見えてきた。

フェリーが見えただけでなぜか感動する。大きく立派な「さんふらわあ」、もうすぐ乗りますからね!


六甲アイランドの先端まで行ってみると、夕陽の中に多くの釣り人の姿が見えてきた。

美しい光景だ。神戸港の岸壁にはいくつものガントリークレーンが立ち並んでいる。


しかし本当にガントリークレーンはキリンによく似ている。何度見てもそう思う。

美しい夕焼けをバックにフェリー乗り場へ向かう。なんだが出来すぎのフィナーレだ。


すっかり暗くなり、すでにさんふらわあ号は出港準備が整っているようだ。

どうしたらいいのかさっぱりわからないので、車両係の人に聞いて乗船手続きに向かう。

すでに多くの車は乗船し終わっているようで、待機の車は1台もない。そんなぁ。ちゃんと1時間前に来ましたけど。


さっそく乗船券を購入する。予約番号を告げると、すぐに発券の手続きが始まる。

すでに、株主優待割引(-5000円)を得ているが、さらに学割(-5%)も使えるかと学生証をみせたらOK!。
(実は私はこの歳で学生の身分なのです。詳細はヒミツ)


いったい正規運賃に比べていくら安くなったのだろう? 行きの神戸→大分の運賃を計算してみた。

正規運賃 合計20490円のところ、14660円で乗船できることになった。(-5830円 28.4%引き)

帰りの運賃は舟遊割引(復路半額)があるので、さらに割引率は高くなる。(輪行すればもっと安い) 


この金額で豪華な船旅を楽しめるのなら素晴らしい。宿泊代と交通費込みと考えたら文句なしだ。

今回予約した部屋も素敵な個室だ。株主優待のおかげで、ちょっと贅沢してみた。


大分行きのでっかい紙をステムに付けて、さあ乗船だ。もう自分が最後みたいなので、係員が数名集まってきた。

昔は壁にロープで巻き付けて固定していたけれど、今はそんな乱暴なことはしないようだ。


ちゃんとサイクルラックが用意されていて、サドルを乗せた後、フロントホイールをストッパーで固定しておしまい。

しっかりと自転車に対する配慮が考えられているようだ。さすが商船三井、株主として合格点をさしあげます!


長距離フェリーに乗るのは久しぶりだ。

最後に乗ったのは2005年の9月。北海道ツーリング以来だ。


船旅は大好きだ。その時間の過ごし方、優雅さ、スピード、どれも大好きだ。

あっと言う間に目的地に着く便利さよりも、ゆっくりと、いつまでも着かない時間のかけ方が好きだ。

船旅はまさにこうした時間の使い方ができる。旅へ出たなら、急ぐ旅より時間をかける旅の方が思い出に残る。


さっそく夕食バイキングだ。もう昔のフェリーとはすっかり船内も変わって、何もかも豪華だ。

美味しい料理と夜景を楽しみながら、たっぷりとした時間が過ぎていく。


不便なことは何一つない。広々とした船内に、大浴場、そしてビジネスホテル並みの豪華な個室。

思い出すのは学生の頃の船旅だ。沖縄から東京港まであきれるほど船に乗って帰ってきた。

雑魚寝の2等船室。貧弱な船内設備。カップヌードルで過ごした長距離フェリー旅。今でも強烈に心に残っている。


時代は変わった。

今や長距離フェリー旅は、旅行者にとっても、長距離トラックドライバーにとっても人気がある。


時間の使い方が変わった。速ければいい時代は終わった。

ゆっくり過ごすことが、実は意味があることに気が付いた。

船旅はこうした忘れていた人間本来の欲求を満たしてくれると思っている。


乗船すれば別世界が待っている。いろいろな事を、ゆっくり考えることができる。

素晴らしい船旅。ぜひ乗船してほしい。

初日からこんな充実した一日を過ごすことができた。もう満点の一日だった。



 

距離: 73.5 km 
所要時間: 8 時間 58 分 50 秒
平均速度: 毎時 8.2 km
最小標高: 8 m
最大標高: 54 m
累積標高(登り): 218 m
累積標高(下り): 254 m

2023/10/16 走行


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