峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2023 >  関西・九州フェリー旅B 桜島・肝属川(きもつきがわ)自転車道




この旅も三日目。後半戦に入った。

前半の二日間で、もうヘトヘトだ。やはりちょっとこの旅は無理があった。


本当は間に休息日があればよかったのだが、無理して超過密スケジュールを組んでしまった。

何かトラブル、アクシデントがあったら対応できないほどのスケジュールになっている。

今日は、さらに長距離の一日だ。この旅初めて100kmを越えることになりそうだ。

2023年10月18日(水) 三日目


今日もご覧の通りの快晴だ。九州地方、雲一つない快晴。降水確率も0%のオンパレードだ。

今回は天気には恵まれた。これで雨でも降られたらきっと途中でリタイアしていたかもしれない。


今朝もゆっくりできず、ホテル前で組み立ててすぐに走り出す。

何と言っても今日は長距離だ。とにかくスタートが大事だ。


鹿児島市内は、すでに通常の通勤風景で混雑している。市電(路面電車)も満員だ。

久しぶりに見る路面電車に見とれてしまう。ひっきりなしにやってくる。

バスも走っているし、一般車も多い。この中を自転車で走るのは結構神経を使う。


賑やかな市内だった。活気のある朝の風景だった。

フェリー乗り場へ急ぐ。とにかく桜島へ渡らないことには今日の一日が始まらない。

正面に今朝も噴煙が上がる桜島の雄姿が見えてきた。懐かしい、桜島を走るのはなんと48年ぶりだ。


さて、どうやってフェリーに乗船するのかわからない。まずは乗船券を買わないと、とターミナルの2階へ・・・

中に入っても人の姿が全くない。そして誰もいない・・・あれ? 


乗船口をよく見ると「運賃は後払いです そのままご乗船ください」と書いてある。なんだって? 

まさか自転車ごとここから乗るわけではないだろう。人専用の入口だろう。誰かに聞きたいが誰もいない。

1階へ戻って誘導員のおじさんに聞いたら、そのまま乗ってくれとのこと。桜島で運賃払って下さいですって。


言われるがまま、導かれるまま乗船する。

とにかく便数が多いから、手間を省くためにこんな仕組みなのだろう。

指定された場所に自転車を立てかける。どうするのかと思ったら、何もしないでそのままだ。え?大丈夫?


ちょっと心配だったけど、きっとこのフェリーも揺れないんでしょうね。

さっそくオープンデッキに上がってみると・・・なんとそこは外国だった!

日本人は誰もいなくて、すべて外人の方たちばかり。思わずうわっ!て声が出てしまうほどだった。


陽気な外人さんたちは、半袖姿で朝から元気だ。自分は今どこを旅しているのか、ちょっと錯覚に陥るほどだ。

フェリーは快晴の中、桜島目指してまっすぐに進んでいく。桜島の周りだけ、噴煙と雲で白くなっている。

早朝からフェリー旅ということで、今日も旅情満載のスタートとなった。


乗船時間は約15分。景色を眺めていたらすぐに桜島に到着だ。もうちょっと乗っていたい気分だ。

一般車が次々と下船していく。皆通勤する人の車だろう。これほど多いのかとちょっと驚いた。


すぐに出口は渋滞になった。なんだなんだ? どうなっているんだ? と車の脇から前へ行くと料金所だ。

そういうことか、料金所で運賃を支払うのか・・・どうしよう割り込みしちゃったけど・・・


料金所の人に聞いたら、その次の車の後に入ってください、とのこと。スミマセン、初めてなことなんで・・・

と後のドライバーに平身低頭で謝って料金所を通過することができた。

ここの料金支払いシステムはアナログ方式だ。ETCのようには行かないものかね、と思った。


桜島にやってきた。なんだかそれだけでもう感動だ。

さっそく周囲は火山灰が目立つ。道路も木々も葉も、何もかも灰色がかっている。


ほとんどの車が島の北側方面に行ってしまい、南側を行くのは自分だけになってしまった。

さっそく道路脇に「退避濠」が現れた。しっかりとしたコンクリート製のシェルターだ。

万が一の時はここに逃げ込むことになる。これを見るだけで、今危険な場所にいるのだと再認識する。


桜島のイメージも随分変わった感じがする。

綺麗に整備された道路や川の様子を見ると、ちょっと昔の桜島ではない感じだ。

桜島の山容は同じかもしれないが、昔はもっと荒々しい、本当の火山島のような印象だった。

 


1975年8月の桜島

なつかしい48年前の写真をここで紹介しておこう。

九州・沖縄を3人で1ケ月のロングキャンピングで巡った際に、桜島を訪れた。

当時は逆コースだったが、道路の両脇には荒々しい溶岩がむき出しだった。


この景色は地球じゃない、と感じるほど異様な景色だったことを強く覚えている。

桜島の形は、昔とほとんど同じようだが、噴火を繰り返すうちに多少形が変わったように見える。



車庫に停められた車を見ると、やはりこの島の凄さがわかる。

これだけの火山灰の中で生活しているということだ。


家の玄関先では、住民がほうきで火山灰を集めては片付けている。

今日の桜島は好天で美しい姿だが、噴火した際にはとんでもない状況になるのだろう。


「有村溶岩展望所」へ立ち寄ってみる。ここからは桜島が間近に見ることができる。

こうして見ると美しい山容で見事な景観だが、その周辺はゴツゴツした溶岩が不気味な姿を見せている。

展望所には緊急用のヘルメットが置かれていて、いざという時はヘルメットを被れということらしい。


この至近距離だったら、間違いなく命の危険があるだろう。今日はお願いだからおとなしくしていてください。

先ほどフェリーで出会った外人さんグループとまた一緒になってしまった。

さすがに桜島の迫力には皆さん感動しているようだった。(言葉はわからんけれど)


「観光客衝突注意」「灰で見えない!」

こんなユニークな注意看板が設置されている。桜島を知らない観光客向けのメッセージだ。

道路の路肩も火山灰が溜まっている。下手にブレーキをかけると、簡単にスリップしてしまうほどだ。


これは慎重に走らねば・・・と思っていたところ、なんと「路面清掃車」なる秘密兵器が現れた。

砂埃を巻き上げながら、ブラシと吸引する仕組みで火山灰を片付けていく。


通り過ぎると、あらま、火山灰がきれいさっぱりなくなっている。凄い!

きっと毎日この車が走っているんだろうな。それほど火山灰が降るのだろうな、と思った。

この島に暮らす人にとっては、火山灰との戦いは想像を絶するものだろう。


桜島を走り終え、鹿児島湾を南下する。ようやく桜島から少し離れる位置まで来た。

先ほどまでおとなしかった桜島に急に黒い雲が現れ始めた。なんだろう、少々噴火しているのだろうか?


遠くから桜島の全容を見ていると、常に変化があって、状況が刻々と変わっていく。

しっかり活動している活火山であることがよくわかる。


さて、たっぷりと桜島を楽しんできたけれど、こんな調子で走っていたらゴールに間に合わなくなるぞ?

そこで今日は、こんな作戦で走ることにした。

予実績管理

100kmのコースを遅滞なく無事に走りきるためには、何かしらの管理方法を用いないとならない。
フェリーの乗船時刻に間に合わすために、志布志港への到着は17:00厳守だ。
長距離を「勘と経験」だけで走っていたのでは、最後になって間に合わないなんてこともあり得る。
そこで今回考えたのが「予実績管理」だ。

あらかじめルート上に目標時間を設定しておいて、GPS画面でそのポイントに来た時の遅れを確認する。
1時間おきに確認し、遅れていればペースをあげる。早ければペースを落とす、といった手法だ。
1時間おきにチェックしておけば、大きなトラブルがない限り安心して目標時間にゴールすることができる。

実際のやりかたは、
・距離、標高差、路面、人数、観光、食事などを考慮して、カシミールソフトでルート上に目標時間を決める。
・設定したルート(黒線)と、設定したポイントをGPXファイルでガーミンに転送する。
・実際のガーミの画面には、青枠のように表示される。ポイントを通過する際に、実際の時間との誤差を確認する。

この予実績管理は、仕事で実際に現場で活用していた手法だ。
物流センター内で当日の作業を定時内で終わらせるために、予定と実績をアルタイムで管理してきた。
その効果は抜群で、これまでなら残業になっていた作業も、早めの対応により定時で帰れるようになった。

遅れていれば人数を増やす、進んでいれば他へ人を回す。常にプラス・マイナスを管理する。
予定に対しての誤差を早めに修正することで、大きなトラブルにつながらなくて済む。
今日みたいにエスケープする手段がなく、定刻にゴールしなければならない時は、こんな手法が役に立つ。



垂水市まで南下してきた。町の大型スーパー脇を通り抜けようとしたら、入口で野良猫ちゃんが佇んでいる。

どうやら買い物帰りのお客を狙って、何かもらおうとしているようだ。

さっそく自転車を停めて近寄ってみると、全く警戒心なく触れるほどだ。


ちょっと細身だが、色艶よく健康そうだ。きっといろいろと面倒見てもらっているのだろう。

持っていたお菓子をちょっとあげてみると、すぐに食いついた。何でも食べて頼もしい。

こういう出会いがあると、すぐに予定時間をオーバーしてしまう。忘れずに時間のチェックだ。


車の多い車道を離れ、隣の裏道を行く。静かな一本道は雄大な鹿児島湾を眺めながら快走できる。

コンビニで食料を手に入れ、海岸の公園でランチタイムだ。

予定時間には昼食時間を考慮していないので、食べている間は完全に時間のロスだ。


せっかく稼いだ時間も、ここで失うことになる。

本当はのんびりと景色を眺めながらランチタイムを楽しみたいが、今日はそんな余裕はどこにもない。

火器を使うこともなければ、ぱっと食べてさっと出発する。


裏道は実に快適だ。田畑が広がる一本道をずっと走っていくことができる。

ちょうど農作業で休憩中の横を通り過ぎると、ご夫婦が気持ちよく挨拶をしてくれた。

きっと、こんな所を自転車で走っているのは相当珍しく見えたのだろうな。


垂水市大浜地区で、「新城鉄道記念公園」に出会った。

かつて志布志〜国分の間を走っていた大隅線の新城駅跡だ。


わずかに残された駅ホーム跡とレールが廃線を物語る。せっかくなので自転車を並べて記念撮影だ。

国道を走っていたのでは、この記念公園に出会えなかった。やはり裏道ルートを走って大正解だ。


大隅線・志布志線の沿革

https://www.pref.kagoshima.jp/aa02/kohokocho/kouhoushi/kohosi/gurakago/documents/34793_20131001101823-1.pdf


その先はすぐにトンネルになっている。かつての大隅線のトンネルがこうして残されている。

古江地区のトンネルには、信号機が設置され、中にはかつての古い写真が照明付で展示されている。


思わず立ち止まってじっと見入ってしまう。

かつての繁栄、かつての賑わい、そして人々の表情・・・何だか胸が熱くなってくる。


そうだ、岡山の「片鉄ロマン街道」を思い出す。

同じような雰囲気、トンネル、そして写真の展示。ここの廃線跡の道も実に雰囲気がいい。


廃線跡は車道と平行してずっと続いていく。

するとこんな標識が現れた。「かごしまロマン街道」ですって! 

やっぱり「片鉄ロマン街道」と同じだ!どっちかが真似してるね、きっと。


廃線跡は車道より高い所にあるため、とにかく展望がよく気分爽快だ。

素敵な休憩所も設けられていて、はっきり言って自転車には文句なしのコースだ。

右手には鹿児島湾が広がり、素晴らしいオーシャンビューが広がる。


「片鉄ロマン街道」と「久比岐自転車道」を合わせたようなこの大隅線の廃線跡。

思わず喜びの歓声が上がってしまうほど気に入ってしまった。とにかくオススメです。


高須町に入ってきた。自分の名前と同じ町名ということでとても気になる。でも鹿児島には縁がない。

ひょっとして高須クリニックの院長の出身地はここ? と調べたら愛知県でした。


解説を読むと、もともとは「鷹栖」という漢字だったようだ。いつから「高須」になったのかは不明だ。

しかしここを訪れた人物として、「伊能忠敬」「西郷隆盛」「柳田国男」と記されているのには驚いた。


「高須港」、「高須町」、「高須海岸」、川も「高須川」と周囲は何でも「高須」だらけだ。

近所の誰かに、私も「高須」ですよ〜と教えてあげたいけれど、誰もいない。

そんな不思議な町、高須町から海を離れ内陸に入っていく。


再び「片鉄ロマン街道」の雰囲気になってきた。

この辺りからは5万図上に「自転車・歩行者専用道路」と表示されている。

うまくこの自転車道を繋いでいけば、川沿いに志布志方面まで行くことができる。


周囲は深い森に覆われて、空もあまり見えないほどだ。路面は結構散らかっている。

それでも道幅はかなり広く、何か動物でも出てきそうな感じの、ワイルド感たっぷりの自転車道だ。


気持ちよく走っていたら工事中の案内が現れた。またぁ〜、やめてよ、と無視して突破する。

自転車1台ぐらいどうにかなるでしょう・・・と行くと、その先でしっかりと作業中だった。


お願いすれば通してくれるかもしないけれど、すぐ横に迂回路があるので、素直に迂回した。

せっかくいい気分なので、もめごとを起こしたくないので、今日はおとなしくしておいた。


自転車道から一旦外れて、ある芸能人の実家を目指す。その芸能人とは「サンシャイン池崎」さんだ。

サンシャイン池崎邸

彼の実家が凄いことになっていたのはあまりに有名だ。今でもネットでいくらでも調べられる。
そんな実家を親孝行の息子が新築の家を建ててあげたということで、またさらに話題に。
今回のツーリング、ちょうど志布志へ向かう途中に彼の実家があるので、これは記念に立ち寄ってみようと思った。
https://shop.shukobuild.com/lp/ikezakitei/


周囲は畑だらけで何もない。一般の住宅など皆無だ。

GPSにマークした地点を目指すが、本当にこんな所に実家があるのか? と疑問になるほどだ。

やがて畑の中に白い建物が見えてきた。「あれだ!」と発見の喜び。何だかオリエンテーリングの気分。


遠くから眺め、近くによって眺めてみる。平屋の立派な住まいだ。

スロープまで付いていて、とても住みやすそうな設計だ。

周囲にはこんな目立つ住居は全くないので、御殿の様に輝いて見える。


しかし、ほんと優しい息子さんだ。好感度爆上がりでしょう!

外の塀には「池崎組」の名前が。これは父親が作った大工の会社の名前だそうだ。


誰か出てきたら恥ずかしいな、と思いながらも記念に写真を撮ってすぐに出発する。

こんな寄り道で予定より40分遅れ。この遅れを取り戻すため、ここから先を急ぐことに。


残り40kmを3時間で走らないとならない。平均時速13kmだ。

のんびりポタリングでは厳しいが、最後は川沿いの平坦な道だ。無理ではない。


とりあえず次のチェックポイントまでに何分回復できるかが重要だ。

ペースをあげて走る。いつもより巡行スピードをあげて走る。少しづつ少しづつ遅れを取り戻す。

姶良川(あいらがわ)の自転車歩行者専用道路に出る。ここから一気にペースをあげることができる。


肝属川(きもつきがわ)に合流しても走りやすい道が続く。

奇麗な舗装路と快適な自転車道のおかげで、すでに20分遅れまでに解消だ。

このペースでいけば、17時着の予定も大丈夫だろう。やっぱり予実績管理はわかりやすく安心だ。


高速で飛ばしていたが、土手沿いの民家にこんなかわいい猫たちを発見!

玄関前で仲良く寝転がっているのを見つけて急ブレーキ! こりゃ絶対止まりますよね。


土手からは距離があるので、猫ちゃんたちも逃げずにこっちをじっと見ている。

なんだこのおっさん? という不思議なまなざし。かわいいいねぇ〜たまりませんねぇ〜

いかんいかん、これが遅れの原因。せっかく稼いだ時間もまたロスしてしまう。行こう行こう。


大分の川巡りも素晴らしかったけれど、鹿児島の川巡りもなかなかいい。

小さな川だけど、周囲の景観がまた大分とは違う。とにかく広い、雄大、そして何もない。誰もいない。

バッタばかりが道路にいて走るのが大変だ。近づくと急いで逃げてくれるが、ヒヤヒヤものだ。


実に素晴らしい自転車道がずっと続く。きれいに整備されているし、路面も文句なしだ。

おかげで遅れもすっかり回復してきた。

「川と緑の自転車道」

通称肝属川河畔自転車道は、 鹿児島県大隅半島の中心に位置し一級河川肝属川と姶良川を利用した自転車専用道路です。
大規模自転車整備事業として、スポーツレクリエーション活動の充実及び青少年の健全な育成に資することを目的に、 昭和54年度に工事着手し昭和61年度に完成しました。日南国定公園に指定された柏原海岸から吾平山稜までの 20.8kmは、雄大な高隈山系を望む川と緑と自転車道が調和した最適なサイクリングコースです。



志布志湾が次第に近づいてくる。再び潮の香りが感じられてきた。

走っていると汐入川沿いの草むらに何か動くものを発見! なんだ? と止まって探すとカニさんだ!

驚いた。まさかカニに出会うとは。なんとか写真を撮ろうと、逃げるカニさんの貴重な写真がこれだ。


いよいよ志布志湾が見えてきた。残りあと20km。

柏原海岸のまっすぐな直線で、すっかり予定時間の遅れを取り戻す。


自分の影が長くなってきた。なるべく交通量の少ない裏道でフェリー乗り場を目指す。

今日も長い長い一日だった。走行距離も間もなく100kmになる。


16:36  志布志港に無事に到着。よく走った。結果、予定より25分早く到着することができた。

GPSに予定時間を設定したおかげで、遅れなく走りきることができた。

さんふらわあの姿が近づくと、やっと緊張感もほどけてきた。係員に導かれてフェリー乗り場に入っていく。


またフェリーに乗れる。なんだろう、この喜びは。

輪行しなくていい。そのまま乗船できる。やっぱりフェリーはいい。

乗船待ちのバイクが数台並んでいる。その後ろに自転車を置いて、乗船手続きに向かう。


帰りのフェリーは「さんふらわあ きりしま」だ。

行きの乗船券の半券を見せると、「舟遊割引」で帰りの運賃が半額になる。これは凄い割引だ。

乗船まで待ちきれず、外で立ち飲み開始。ビールがなかったので、氷結で乾杯!


帰りの運賃がいくら安くなったのか計算してみた。

正規運賃 合計27350円のところ、12170円で乗船できることになった。(-15180円 55.5%引き)

行きと帰り、往復で、なんと21010円の割引、43.9%割引きであった。凄い!


これは相当魅力的な金額だ。また次回優待券が届いたら利用したいと思った。

さあ乗船だ。乗ったまま乗船していいと言われたので走っていく。自分の影がきりしまに吸い込まれていく。


船内に入って驚いた。なんと誘導員が若い女性ではないか!思わずもう一度見直してしまった。

こんなことは初めてだ。まさか女性がこんな現場で働いているとは・・・時代が変わった事を痛感した。


企業は様々な働き方改革に取り組んでいる。この商船三井も積極的に取り組んでいる企業だ。

業務改革で、こうした仕事も女性を活用できることになったのだろう。素晴らしいことだ。

自転車置場に案内される。今回は毛布を敷いて、その上に横に置くように言われた。このほうが安心!


帰りの船室も奮発して豪華な個室だ。何もかも揃っている。

クーラー、大型テレビ、トイレ、シャワー、冷蔵庫・・・ちょとしたビジネスホテルとほぼ同じだ。


行きは、19:00出港→6:20着
帰りは、17:55出港→7:40着 と帰りは船内の滞在時間に余裕がある。

おかげでゆっくりと船内を見学できるし、ゆっくりと展望風呂に入れる。


「さんふらわあ きりしま」の船内も豪華だ。やはりこの開放感が新幹線にはない魅力だ。

出港直後は風呂もバイキングも乗客が集中するので、あえて人と違う行動で時間をずらす。

あとでゆっくりと楽しむのが旅のコツ。皆さんあわてんぼうだから、どこも混雑する。


まずは出港のドラマを見ないと。

船旅の魅力が岸壁を離れるときのシーンだ。何度見ても心にジーンと来るものがある。


”ボォーーー”と大きな汽笛が響くと、船体がゆっくりと動き出す。

見送り客はいないけれど、港湾作業員が大きく手を振ってくれる。もうこれだけで感動だ。


次第に空が赤く染まりだす。停泊中の船の明かりが夜空に輝き出す。

ゆっくり、ゆっくり動き出すが、まずはこの巨大な船体を回転させないと船首が前を向かない。


見事な後進と回転でようやく船首が前を向く。見ているだけで実に面白い。そして見事な操作だ。

夕焼け空に今日もキリンさんたちが首を長くしている。美しい眺めだ。夜の港は本当に美しい。


たっぷりと出港のドラマを楽しんで、夕食バイキングに向かう。

第一陣の混雑は解消して、レストランは人もまばらだ。多少料理も減っているが、それでもご馳走が並ぶ。

お酒も自動販売機に豊富に並んでいるので、好きなように飲むことができる。もちろん生ビールもあります。


夜景を見ながらのんびりと至福の時間を過ごす。まあ、何もかも贅沢なディナーだ。

楽しそうなグループが盛り上がっている。広々としたレストランなので、全く気にならない。

これだけ料理があって、お酒もたっぷり飲めるとなれば、グループ旅行も最高でしょう。


レストラン営業終了時間まで、たっぷりと楽しませてもらった。

撮影した動画を見たり、20万図で今回の旅を振り返ったりと、旅情満点の船旅だ。

売店で氷を仕入れて二次会に備える。今日は時間がたっぷりある。


そろそろ風呂も空いただろうと行ってみると、なんと誰もいない。

やはり人と同じことをしていてはだめだ。おかげで展望大浴場を独り占め。泳げそうだった。

部屋に戻りテレビをつけたらちょうど「こころ旅」をやっていた。


冷蔵庫からお酒と氷を取り出して、一人静かに飲み始める。

100km越えのツーリングで、何もかも充実した一日だった。

体も疲れ切っているが、そんなことを感じないほどの満足感で一杯だった。

 

 
 

距離: 103.2 km 
所要時間: 8 時間 47分 16 秒
平均速度: 毎時 11.7 km
最小標高: 0 m
最大標高: 79 m
累積標高(登り): 461 m
累積標高(下り): 443 m

2023/10/18 走行


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