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2023年11月24日(金)

サンライズ出雲 〜 東京駅


目覚めると、さっそく車内放送が入った。

「サンライズ瀬戸車両点検のため、只今20分ほど遅れております。」
「なおこの先、茅ヶ崎付近におきまして、信号待ちのため5分ほど停車が見込まれます。」

「このままでの遅れの横浜駅、東京駅への到着予定時刻をご案内申し上げます。」
「横浜には7時15分、終点東京7時43分の到着を見込んでおります。」

急いでいる方には申し訳ないが、こちらは遅れた分だけゆっくりできて好都合だ。

まだまだのんびり寝転がって、車窓からの景色を楽しむ。


こちらは隣のノビノビ座席。ちょっと覗いてみると、こんな様子なんですね。

どちらかというと、このイメージの方が自分の知っている夜行寝台列車だ。

安いけれど、やはり狭すぎる。自転車旅ではやはりこれは利用できないだろう。


週末の金曜日の朝。通過する駅は、通勤・通学の人々で一杯だ。

まだまだ到着まで時間もあるので、朝の様子をアクションカメラで撮影してみる。


これから会社へ向かう人たちの列、列、列・・・

一人ベッドに寝転がり、大きな窓越しに眺めながら旅の余韻に浸る自分。

こちら側とあちら側では、まったく別世界だ。あまりにもその差が違いすぎる。


横浜駅では、ホームで列車を待つ人からは丸見えだが、皆さんスマホに夢中でこちらに気が付かない。

こんな珍しい列車が目の前にやってきたら、自分だったらワクワクドキドキして覗いてしまうのに。


朝の通勤時間は、通勤用の定刻列車が優先され、サンライズなんて”違法者”は後回しだ。

おかげで、到着がどんどん遅くなるし、到着番線も変更となった。


早朝に東京に着いて、さらに乗り継ぐ人にとっては、この遅れは相当ショックだろう。

見慣れた風景が車窓を流れるなか、終点東京駅に近づいてきた。


7:08到着予定が、7:43到着となった。なんと35分の遅れだ。

サンライズにとって、こうした遅延は時々起こるのだろうか?


車両に不具合があったので仕方ないことだが、通勤時間帯での遅延はJR側にとっても大変だったであろう。

それでもこうして無事に、長距離を運行してくれたことに本当に感謝するばかりである。

ホームに降りて、この車両を眺めていると、本当にお疲れ様でしたと言ってあげたくなる。


さて、東京駅は平日の朝だ。そして都会は通勤時間のピーク。

この中をさらに輪行して帰ろうという気持ちは全くなかった。

この時間のJRと私鉄は、輪行袋なんぞ持ちこんだら迷惑をかけるばかり。


ということで、東京駅から都内をポタリングして帰ることにした。

東京駅で組み立てるのは初めてだ。どこか目立たないところで組み立てたいと、選んだのが駅長室前。


通勤客の視界に入らずいい場所かと思ったら、この駅長室のドアを開けて職員がどんどん出勤してくる。

さらに警備員がやってきて、もっと広場でやってくださいと注意された。

いや、すぐ終わりますからと急いで組み立て走り出す。あーやだやだ、都会はうるさくて・・・


皇居 〜 東京タワー


早朝の東京を走ってみるとなかなか面白い。

ビジネス街は何もかもが仕事モードで埋めつくされているが、皇居へ来ると全く違う。

ジョギングしている人達や、陽気な外人観光客の姿になごまされる。


快晴の東京。こうして日本の首都東京をあらためて走ってみると、なかなか美しいことに気付く。

皇居周辺は、いつもなら車やバイクで通り過ぎてしまう所だが、こうして走ってみると実に素晴らしい所だ。

あちこちで写真を撮っている姿は、きっと地方からやってきたサイクリストに見えたことだろう。


東京もちょうど紅葉の見頃の時期だ。

国会議事堂周辺のイチョウ並木は見事な色づきだ。

やはり東京駅から走って大正解だ。最後にこんな素晴らしい景色に出会えるなんて思ってもいなかった。


忙しく活動する大都会東京。こんな呑気にツーリング気分満喫の人は誰もいない。

もう一日ツーリングが残っていたかのような新たな気分で東京タワーへやって来た。

何度も何度も見てきた東京タワー。当然登ったことも何回もある。しかし、今日は違った。


ツーリング気分で見る東京タワーは格別だ。なんて美しく、なんてカッコイイのだろう。

これはまさに東京の誇り、日本の誇りだと思う。

真下から見上げてみて、青空に聳えるその完璧な姿に見惚れるばかりだった。

 


シミズサイクル 〜 BCC


ここまで来たのなら、この機会にどうしても立ち寄りたいところがあった。

「シミズサイクル」である。

いよいよ閉店廃業まで残すところ1ケ月となってしまった。


この知らせを知った時は、多くのサイクリストと同様、衝撃を隠せなかった。

通い始めて約半世紀、50年近くに渡ってお世話になった私の自転車人生の原点だ。

今日はまだ開店していないかもしれないが、とりあえず行ってみることに。


すでにお店は以前から閉店の準備に入っていて、営業スタイルも変え縮小していた状態だった。

いつかはこうなると予想していたけれど、貼り紙を見るといよいよか・・・と肩を落とすばかりだ。


お店はシャッターが開いていたけれど、誰も姿は見えない。

いきなり早朝からお邪魔しては申し訳ないので、写真を撮るだけにした。


長年見てきたこの看板も、この店舗の姿も、いよいよ見納めなのかと思うと残念で仕方がない。

ビジネスマンが行き交う中、変な人が写真を撮っていると、皆さん不思議そうな顔でこちらを見ている。


店内を覗くと、あのパーツで埋めつくされていたガラスのショーケースが寂しい姿になっていた。

あの棚も、この棚も、端から端まで何度も舐めるように見ていた自分の姿を思い出す。

棚の上の多くのフレームも、完成車の姿もなくなっている。


思い出は書ききれないほどある。

随分お金も使わせてもらった。そして数えきれないほどおいしいお茶をいただいた。

本当にお世話になりました。後日、またご挨拶に伺います。


最後は目黒のBCCに立ち寄ってみた。当然また閉まっているので、外からちょっと覗いてみる。

定期的にテーマを設けて展示しているのだが、ついつい後回しになってしまってなかなかこれない。

豊富な蔵書や資料が保管されていて、会員証を提示すると自由に手に取ることができる。


ここもまた日をあらためて訪れることにしよう。というわけで、東京駅から都内をお散歩して帰ってきた。

最後の最後までツーリング気分に満たされて、とにかくこの5日間は最高の旅であった。


あまりに充実した内容だっただけに、次のプランが何も思いつかないほどだ。

できればすぐにでもまた、江の川に沿って走ってみたいと思うほど、すっかり魅了されてしまった。

サンライズに始まりサンライズで締めくくった今回のツーリング、文句なしに素晴らしかった。

(2023/11/24 走行)


ツーリングを終えて


ツーリングから帰ってきて、真っ先に探したのが三江線のDVDだ。

探せばいろいろある。廃線前の、貴重な映像がたっぷり残されている。ありがたい・・・

さっそくこの「ありがとう三江線」を手に入れる。


三次駅から江津駅まで、自分が辿った風景をすべて完全に映像化している。

素晴らしい内容だ。列車の運転席からの撮影なので、何もかもがはっきりと残されている。

雑草で覆われ、何もかもが朽ちてしまった駅も、しっかりと当時の姿が残されている。


こんな駅だったのか・・・あぁ、こんな眺めだったのか・・・ホームに待っている人がいる・・・

それにしても、本当に凄い所を走っていた・・・とにかく絶景の連続だ。

もっと早く気付けばよかった。廃線前に乗ればよかった。残念でしかたがない。


そしてYoutubeで検索すると、たくさんの三江線の動画が見つかった。

やはり廃線が決定してからは、相当な騒ぎになったようだ。そうしたドラマがいくつも投稿されている。


三江線を愛する人達は今でもたくさん存在する。正式なサイトがちゃんとあり活動している。

読めば読むほど、ファンの方たちの熱い思いが伝わってくる。

https://sankosen.jimdofree.com/
https://www.facebook.com/IwamiKawamotoRailwaySociety


写真集も買った。そして「三江線クルーズ」も読んだ。

この連載マンガが、三江線全線の魅力をさらに引き立ててくれる。今でもなお連載中だ。

そして映画だ。ロケ地にもなった駅が登場するらしい。


購入した映画のDVDが間もなく手元に届く。楽しみだ。

三江線と江の川、はまればはまるほどその魅力に引き込まれていく。

一度だけで満足できる所ではない。二度三度と行きたくなる魅惑の地であることは間違いない。

 


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