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再びサンライズの旅!


4月2日の東京から岡山へのサンライズを予約していた。
岡山乗り換えで九州へ渡り、満開の桜を楽しもうと計画していた。
ところが、天気が冴えず全く晴れマークがない。これでは行ってもしょうがないと予定を変更する。

運よくキャンセルが出たので、例によって新横浜のみどりの窓口へすっ飛んでいく。
混んでる・・・50人ぐらい並んでいる。早くしてくれないとB寝台シングルが予約されてしまう・・・

やっと順番が来たが、自分の用件は大変だ。すでに発券した切符のキャンセルと、新たな切符の発券だ。
サンライズ、新幹線、乗車券など合計6枚の切符の作り直し。なんだかんだ15分ぐらいかかった。
こんな処理は券売機ではできない。だから窓口が混むんです。みどりの窓口削減、大反対です!


無事に日付の変更をすることができた。あとは天気が良いことを願うだけ・・・そして出発当日を迎えた。
今夜は雨模様だが、明日の朝には見事に晴れてきそうだ。お見事!さらに三日間とも天気はバッチリだ。


2024年4月8日(月)

東京駅 〜 サンライズ瀬戸 〜 岡山駅


再びサンライズに乗れることになった。昨年11月に初めて乗って、その楽しさにはまってしまった。
今回は「平屋」ではなく、1階の車両真ん中付近のB寝台シングルだ。
本当は2階に乗ってみたかったのだが、こればかりはどこになるか運しだい。


画像:「SUNRISE EXPRESS の部屋」よりお借りしました。 
http://iamreck.g2.xrea.com/ec285/sekiban.html 


階段を降りるのがつらい


輪行袋には狭い通路


二度目のサンライズとなれば慣れたもの。何が必要で、どう時間を過ごすのが有効かわかってきた。
前回は初サンライズだったので、興奮してあれこれやっているうちにすっかり夜が更けてしまった。
今回は落ち着いて、夜景を楽しみながら二度目のサンライズをじっくり味わう。


2024年4月9日(火)

岡山駅 〜 博多駅 〜 志賀島 〜 ひびき灘自転車道


サンライズは、前回より揺れなかったし騒音も少なかった。
やはり乗車する位置によって随分違うものだと感じた。

みずほ601号に乗り換えて、8:28 博多駅で降りる。やはりこの時間にスタートできるのは助かる。
サンライズを利用したおかげで、当日始発の出発より約2時間半早く到着できた。

博多で降りるのも初めて。そして博多市内を走るのも初めてだ。
まず旅の始まりは博多市営渡船に乗って志賀島へ渡る。そのため博多駅から博多港まで走ることになる。
9:40発の大型船に十分間に合うだろうと、9:10に走り出す。


博多港まで約4km。20分あれば間に合うだろう。そして10分あれば乗船できるだろう・・・と甘く見ていた。
ところがどっこい、博多市内は信号だらけだ。大きな道路はなかなか信号が変わらない。
ちょっと進めばまた信号待ちの繰り返し。もう、イライラするほど信号が長い。もうダメダ・・・

ギリギリフェリー乗り場に到着したが、乗船口がわからない。行き先が色々あるので、建物も別れている。
ようやく乗船券の窓口に辿り着いたときには3分前。

なんとか乗れるかと思ったのだが・・・
係の人「次のでいいですか?」・・・「はい・・・」ということで間に合いませんでした。
目の前で乗るはずだった船が出ていく。あと数分早ければ乗れたのに・・・くそ! いきなり予定変更だ。


次の船まで35分待たされる。今日は走行距離が80km近くあるため、この35分遅れは結構辛い。
5便の出港か近づいてきた。やってきた船は小さい小さい・・・本当の渡船だ。

乗客は、賑やかな韓国人のファミリーを含めて6人だ。自転車も2台、しっかり縄で縛られた。
フレームに巻かれちゃったけど、まいいや。


小型船は迫力満点だ。かえって小さい船に乗って良かったかもしれない。
かなりのスピードでぶっ飛ばす。まるでモーターボートに乗ってる感覚だ。


気分爽快だ。大都会博多の街を背後に、白い波しぶきをあげて豪快に突っ走る。
「帽子注意してくださいね」の言葉通り、強烈な風が吹き抜ける。
下手したら帽子も眼鏡も吹き飛ばされそうだ。

陽気な韓国ファミリーはテンションマックス! あっちでポーズ、こっちでポースを撮りながら撮影だ。
渡船は西戸崎港を経由して志賀島へ向かう。最後に残ったのは自転車2台だけとなった。


10:45 定刻通り志賀島へ到着。博多の大都会から、一気に離島へやってきてしまった感じだ。
あまりに静かな志賀島漁港。先ほどまでの人混み、車、騒音とはかけ離れた世界だ。

この乗船のスタートによって、いきなり旅情満点の景色が広がってきた。
「金印海道」は、志賀島を一周する絶好のサイクリングコースだ。
(国宝「金印」は、志賀島で発見された)


いきなり北海道、利尻島・礼文島に来たかと思うほどの景観だ。
打ち寄せる波、碧い海、そしてどこまでも澄んだ透明な海。島へ渡るとこの景色に出会える。
まさか博多からほんのわずかな船旅で、こんな世界に出会えるとは思ってもいなかった。

路面は実にきれいで、サイクリスト向けのナビマークまでペイントされている。
最近色々な所でこの青いマークをよく見かけるが、こんなものいらないでしょう。

せっかくの景観を台無しにする、日本の間違った行政の産物だ。
サイクリストの気持ちなどまるで分かっていない。


海岸線すれすれの道は迫力満点だ。次々広がる目の前の景色に、何もかも忘れてしまうほどだ。
ほとんど海抜0m付近を走り続ける。海が近い。波が近い。そして波音が近い。
博多の海か・・・見るのも、そして走るのも初めてだが、なかなか素晴らしい。美しい。

ぐるっと一周して志賀島橋へ戻ってくる。
志賀島は島とはいうものの、この志賀島橋で陸続きになっている。細く長い橋が目の前に続いている。
玄界灘は風が強く、何も風を遮るものがなく、強い風が行く手を阻む。

いきなり初日のスタートから、大自然のど真ん中に放り込まれた感じだ。
それにしても、とにかく海がきれいだ。


「国営海の中道海浜公園」にやってきた。観光客が訪れる目的はここだ。
今朝の渡船で一緒だった韓国の陽気なファミリーも、きっとここへ来たかったのだろう。

とにかく、桁違いに広大なこの公園。ここを通り抜けるコースを予定しているだけに、まずは入場しないと。
ありがたいことにシニアは割引料金だ。最近、こうしたシニア割に出会うことが多くなった。
歳とっていいことと言えば、きっとこうした割引なんでしょうね。


園内は広すぎて説明不可能。園内の詳細も分からず走り始める。
するとさっそくこの桜のお出迎えだ。
満開は過ぎてしまったが、運よくまだまだ桜並木の中を走ることができた。


徒歩では不可能なほど広い敷地の園内は、自転車がなければ移動は不可能だ。
なんて贅沢な公園だろう。そしてなんて奇麗な公園だろう。一日ここで過ごすことができる。


走っていると、ここが公園の中だと忘れてしまうほどだ。
大きな海、広い空、そして雄大な景色、広々とした自転車道。

下手したら迷子になって、公園から出れなくなってしまうのでは? なんて思えるほどだ。
天気が良ければ最高の喜び。天気が悪ければ最悪の環境。まさに自然がそのままの公園だと言えるだろう。


さすがに自分も出口が分からなくなり、途中で出会ったスタッフに出口を案内してもらった。
いやはや、とにかく広すぎる。異常なほど広い。

時刻は12:30 まだ残り50km近く残っている。それほどのんびりしてはいられない。
桜が満開の神社を覗いてみると、楽しそうにお花見をしている姿が目に入ってきた。

贅沢なお花見だ。誰にも邪魔されることなく、こんな見事な桜を独占だ。都会では考えられない光景だ。
離島の雰囲気を味わってきたのに、西鉄新宮駅にやってくると何か違和感だ。
都会なのか、都会じゃないのか? いったいどっちなのだろう?


玄界灘の大海原を左手に見ながら海岸線を行く。
太平洋とも違う。日本海とも違う。そして瀬戸内の海とは全然違う。
しばらく海岸線を走ってみる。砂地にタイヤを取られるが、なんとか乗っていける。

玄界灘

玄界灘は、九州の北西部に広がる海域。
大陸棚が広がり、対馬海流が流れて世界有数の漁場として知られる。


 


参照 https://dyfc-academy.com/geomorphology/5/


路面には「宗像・志賀島ルート」の案内がペイントされている。
この周辺は、どこを走っても楽しめるサイクリングコースになっている。
宗像市へ入り、釣川に合流すると「ひびき灘自転車道」に合流する。


一般県道遠賀宗像自転車道線(ひびき灘自転車道線)

一般県道遠賀宗像自転車道線は、福岡県遠賀郡遠賀町から宗像市田熊までの約29kmの自転車道です。
通称「ひびき灘自転車道線」と呼ばれています。
https://tabi-rin.com/archives/course/12035



せっかくここまで来たからには宗像大社へ参拝に向かう。


宗像大社

宗像大社は、日本神話に登場する日本最古の神社の一つです。御祭神は、天照大神の三女神で、沖津宮、中津宮、辺津宮にそれぞれ祀られ、この三宮を総称して、宗像大社といいます。
https://munakata-taisha.or.jp/


旅の安全を祈願しに、本殿から第二宮、第三宮へ参拝コースを足早に歩く。


そして高宮斎場へは、長い階段を登っていく。
運気を上げるパワースポットということだが、息が切れるほど登らされる。

15:15 ゆっくりしている時間がなく、約30分で宗像大社をあとにする。
ここでようやく朝の遅れを取り戻し、予定していた時間通りに追いつくことができた。


ゴールまで22km。だいぶ余裕ができたので安心だ。
釣川沿いの「ひびき灘自転車道」は、グリーンにペイントされていて自転車専用道だとよくわかる。
走りやすい道だが、利用する人は誰もいない。前も後も人の姿を見ることはできない。


向かい風が結構強く、そして空模様が少々怪しく空気が冷たくなってきた。
アクションカメラを手すりに固定し、自撮り動画を撮影する。そして静止画に切り出す。


いよいよ桜も見納めだ。もう少し咲いていると期待していたのだが、やはりタイミングが悪かった。
先週天気がよければ、もっと奇麗な桜を見ることができただろう。
散り際の桜の木は、なんとも寂しい姿だ。


自転車道はなかなか雰囲気がいい。路面もきれいだ。
右へ左へくねくねと曲がりながら進む。とても静かな自転車道だ。


玄界灘の海岸を隔てる、さつき松原の中を抜けていく。
海からの強風も、この松林のおかげでかなり軽減される。
この中を走るのもなかなか面白い。かなり距離があって、車道に合流するまでずっと楽しめる。


松林を抜けると、再び玄界灘からの強風をもろに受ける。波もかなり荒くなってきた。
そしてついにパラパラと降り始めた。好天の予報が少々外れた感じだ。
向かい風に苦しんでいると、前方に何かおしゃれな建物を発見。風から逃れるために中へ入ってみる。

「リンリンクラブ岡垣」という休憩施設のようだ。中の壁にはサイクルラックが設置されている。
係の人に聞いてみると、結構ロードチームの人たちが利用していくようだ。
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/rinrinclubokagaki.html
 


ゴールも近づいてきたが、この強風で前に進むことが相当辛い。
ゴーゴー音を立てて風が向かってくる。そして砂も飛んできて体にあたる。


どこかで見たような景色だ。何となく御前崎の浜岡原発を遠くに眺める景色と一緒だ。
海は強風で海面が真っ白になるほどの波だ。最後の最後になって、一番脚が回らなくなってきた。


17:25 予定通りに到着。
最後はお約束の激坂ゴールだ。展望はいいけど、勘弁してというロケーションだ。

さっそく部屋から大展望を眺めながら乾杯だ! よく走りました。お疲れさまでした。


缶ビールを飲みながら、玄界灘に沈む夕陽を鑑賞する。
少々雲が多いが、オレンジ色に染まっていく空が実に美しい。


夕食も見事な料理の数々だ。よく走っただけに、とにかくビールがうまい。
とても素敵なロケーションに位置しているこのホテル、食堂からの眺めも、おもてなしも最高だ。

20万図を眺めて、今日のコースを振り返る。滅多に走ることがない地域だけに、実に面白かった。
さあ、明日もまた面白そうなコースが待っている。

距離: 80.0 km(フェリー除く)
所要時間: 7 時間 42分 00 秒(フェリー除く)
平均速度: 毎時 10.3 km(フェリー除く)
最小標高:  0m
最大標高:  47m
累積標高(登り):  295m
累積標高(下り):  301m

(2024/4/9 走行)


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