峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2024 >  遠賀川自転車道・百合峠・嘉麻峠



2024年4月10日(水)


朝食も素晴らしい展望だ。あらためて、この施設のロケーションの良さを感じる。
昨日は風が強かった玄界灘だが、今朝はとっても穏やかだ。


昨日、到着した時に自転車の置場がないかとフロントの人に聞いてみた。
どこか屋根のある所、出来れば入口辺りに置けないかお願いしたら、こんな所へ案内された。

1Fロビーの奥、従業員の通り道になる辺りに置いてくださいとのこと。
大事な自転車でしょうからと、周りを椅子で囲ってくれてガードしてくれた。もう、それだけで感激だ。
すっかり気に入ってしまったこの国民宿舎。何もかも満点の施設だと思った。


快晴だ。予報通り、全く天気が崩れる心配はない。
早朝から波懸海岸沿いにポタリングだ。自転車でお散歩するにはあまりに贅沢な遊歩道だ。

地元のおじさんとすれ違う。これから仕事場へ向かうのだろうか。
海の向こうは物騒な状況だが、ここは美しい日本、平和な日本の景色が広がっている。
海も青空も何もかも美しい。


今日のコースも昨日と同様90km近い距離があるため、しっかりと各ポイントに予定時間を設けている。
やはり確実に走り切り、安全な時間にゴールするためには予実績管理をしないとだめだ。

前半のメインは「遠賀川(おんががわ)自転車道」だ。川に沿って、ひたすら南下する。
何も考えず、道にも迷わず景色を満喫できる。自転車道の魅力はこういうところにある。


路面が実にきれいだ。もったいないほど奇麗な舗装路だ。
案内も完璧だ。分かりやすく、そして見やすい。自転車道の中でも、かなりレベルが高いだろう。


こんな写真を撮りたくなるほどの開放感だ。
見てください、この奇麗な舗装を。こんな条件の自転車道もなかなか珍しい。

気持ちよくこのまっすぐな自転車道を走っていると、何やら前方に不思議な人を発見・・・
うん? 自転車だ。キャンプしているのか? ここならキャンプもよさそうだな・・・と近づいてみると 


どっひゃー・・・なんですか、これ?


持ち主はこの方。
もう、言葉にならないほどの衝撃を受けまくって、こちらも平常心ではいられないほどだ。
とにかく疑問だらけの格好、自転車、行動・・・ どーしましょう? って感じで会話し始めた。

「こんにちわ〜、ここでキャンプしているんですか?」
「いえ・・そうじゃなくて・・投網の練習してるんです」

「と・あ・み?」「この後の荷物は投網?ですか?」
「えっ、まあ」
もう、これだけで自分の頭の中は理解不能、そして大パニックだ。ちょっと思考回路がおかしくなった。


話をしてみれば地元の人らしい。とにかくこんな凄い人に出会ったことは初めてだ。
一生の思い出に、自分の自転車とともに写真を撮らせてもらった。
どんな事情で、ここでこんなことをしているのかはわからない。しかし、ぶれてない。しっかりしている。


とにかく自転車が凄い。凄すぎる。信じられない。何もかも説明不可能だ。(一応電動自転車みたいです)
いったい総重量何キロになるのだろうか? 「軽量化」なんて言葉は、この人にはまったく無用だ。
走るのに「無駄な物」だらけの自転車だ。しかし、なんとガーミンが付いている! もーワカリマセン!!

チェーンホイールは、アウターとインナーが逆! 手で変速するんですって!
(この辺りは、坂が少ないので特に困ることはない、っと言ってました)

シートステイにはドライバーを出すのが面倒なので、磁石でくっついてます!(おぉーアイデアマン!)
いつまでも見ていられる自転車。これはこれで、ひょっとしたら芸術作品なのかもしれないと感じてきた。


衝撃的な「サイクリスト」とお別れして、再び自転車道を行く。

しばらくすると、前方に何やら色とりどりの花と人だかりが見えてきた。「直方チューリップフェア会場」だ。
あまりの凄さに引き込まれて立ち寄ってみる。もう、溜息しかでないほどの美しさだ。凄い!


遠賀川の河川敷はとても素敵だ。
オートキャンプができるエリアも設けられている。フリスビー犬も元気にジャンプ! 
走りやすい自転車道なので、予定時間より20分も早い。今日はなかなか順調だ。


さらにこんな絶景が視界に飛び込んできた。なんだ、なんだこの大漁の鯉のぼりは! 
あまりにデカイスケールに度肝を抜かされる。いてもたってもいられず、またまた寄り道することに。

https://www.youtube.com/watch?v=q13AN4XGrsE(飯塚市目尾の鯉のぼり)


鯰田(なまずだ)大橋を渡り、鯉のぼりの竿の真下まで行ってみる。
下から見上げると、青空に気持ちよさそうに鯉のぼりが泳いでいる。

どこまで続いているのだろうと、鯉のぼりを眺めながら走ってみた。
数えてみたら、竿の数は全部で40本もあった。一体どれだけ準備に時間がかかったのだろう。
こんな大漁・絶景にもかかわらず、眺めているのは自分だけだ。あまりに贅沢すぎる。


コンビニで昼食を手に入れて、土手に座って休憩だ。
こんなロケーションの中でランチタイムを楽しめるなんて、やはり自転車旅の特権だ。


トラクターで田畑を耕していると、その周りにチュウサギが集まってくる。
見事なぐらいに距離をとって、土の中から現れる虫などを狙っている。もう、見ているだけで楽しくなる。


色々な生き物が自由に生きている。亀もいたし、猫にも会えた。本当に自然が豊かな所だ。


川沿いから離れ、山道に入っていく。今日は小さな峠を二つ越える。
最初の峠は百合峠。標高141mたらずの小さな峠だが、久しぶりの登りなので手応えがある。
峠は何もない質素な雰囲気だった。


二つ目の峠、嘉麻峠(かまとうげ)を目指す。この旅一番の峠越えだ。
嘉麻隧道のトンネルを抜けると、大きな「遠賀川源流の地」の石碑がある。


遠賀川源流の地

北部九州最大の川である遠賀川
全長61キロ、その源流は嘉麻市の馬見山(978m)の山中にあります。
そこから湧き出た水は、穂波川や彦山川など多くの川と一緒になりながら、響灘へと注ぎます。

遠賀川は、とくに筑豊地方に古来より稲作文化を形成し、近代になってからは、石炭産業を支えたことから、人々の間では「母なる川」と呼ばれてきました。

嘉麻市をはじめ、飯塚市、直方市、中間市、北九州市など6市13町1村を流れ、 流域面積は1026平方キロメートル。
およそ67万人がその流れの恩恵を受けています。
https://www.kama-kanko.com/523/



標高500mの嘉麻峠に到着。
標高の低い遠賀川からの登りだったので、しっかり峠越えを楽しませてもらった。
峠の標識の先に直線的な下りが待っている。道幅の広い峠道だが、交通量も意外とある。
(嘉麻峠は、峠の資料室、筑豊の峠みちという資料で紹介されている)


嘉麻峠を下ると、窯元の建物が目立ってくる。道路の両側にユニークな作品が所狭しと並んでいて楽しい。
ダウンヒルを楽しんでいると、今度は道路脇にかわいいヤギの姿を見つけた。
陶磁器の表情や、ヤギの笑顔に心癒される嘉麻峠の下りだった。


今日もゴールが近づいてきた。
遠賀川を辿って一日走ってきた。そして最後は筑後川に出る。
穏やかな川の流れを見ながらのんびりとフィナーレを迎える。


順調に走ってきた。予定時刻より30分ほど早くゴール出来そうだ。
やはり時間に余裕があると、何もかもうまく行く。心の余裕が生まれ、眺める景色も違ってくる。

日が長くなり、17時近くになっても昼間の明るさだ。
走るにはこの季節が一番いいかもしれない。気温も暑すぎず、まだまだ爽やかだ。


17時に無事に到着。今日もよく走った。さっそく部屋のテラスから、筑後川を背景に祝杯だ。
今日のホテルはスケールが大きいホテルだ。団体客が何組も泊っている。

夕食は食べ放題・飲み放題のバイキングだ。中国、韓国の団体客も見かける。
ちょうど夕陽が沈む時間と重なり、美しく染まっていく景色を眺めながらの夕食となった。


ビール好きにとっては、飲み放題のサービスは実に嬉しい。
全てセルフサービスだが、この生ビールを注ぐ機械にちょっと驚いた。

ビールジョッキは冷やされていて、自分で取り出してこの機械に「セット」する。
(右の写真は実際の機械ではありませんが、ほぼ同じです)

実は、このジョッキ、特殊な構造になっていて、底にビールを注入する穴があるのだ。
ビールジョッキを所定の位置に押し込むと、なんとジョッキの下から生ビールが注がれる!

下から注ぐなんて、なんて素晴らし発想だろう。最後にはクリーミーな泡が浮き上がってきて完成だ。
セットしてから出来上がるまで10数秒だ。これなら人手もかからず簡単だ。素晴らしい!
何度も試してみたくなり、そしてあまりに面白くて、何杯も飲んでしまった。


参考動画
https://www.youtube.com/watch?v=HKl3GXO3Qzk

 

 

距離: 86.5 km
所要時間: 8 時間 20分 44秒
平均速度: 毎時 10.4 km
最小標高:  0m
最大標高:  520m
累積標高(登り):  650m
累積標高(下り):  612m

(2024/4/10 走行)


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2024 >  遠賀川自転車道・百合峠・嘉麻峠