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2024年4月30日(火)


見ているだけで食欲が沸いてくる日本の朝食だ。
昨夜はよく飲んだ。感謝されるほどよく飲んだ。
例の4人組のテーブルには、なんと朝からお酒が用意されている・・・なに? 一体何者ですか皆さん?


食事後、モンベルの山シャツを来ている年配の方に聞いてみた。
一人だけ先に出発する様子だ。腕には日の丸が縫いつけてある。

「この日の丸は何のしるしなんですか?」
「私は日本アルキニストクラブというのををやってまして・・・もう私ひとりなんですけどね」
「あ、歩いてらっしゃるんですか?」

いつも笑顔で、いつも陽気なこのおじさん、朝からすっかりいい気分に出来上がっている。
下の写真の右に写っている浴衣姿は、他の3名がまだ飲んでいる様子だ。
驚いた。この4人組、いったい何の集まりで、何をしに、どこへ行こうとしているのだろう。疑問だらけ。


そこへ現れたのが、日の丸のおじさんだ。仲間に見送られて宿を出発するようだ。

「みなさん、かっこいいねぇ〜」「ロードとマウンテンバイクじゃ違うんだよね」
「ジャンダルム知ってる? あそこの天使を建てたの私だよ」

と、そこへ仲間の一人がやってきて、
「この人、歩いて佐多岬から宗谷岬まで行った人なんですよ」

「えぇぇぇ〜!」と全員絶句。ブログがあるから読んでみてね、なんて教えてもらった。
「今日はどちらまで行くんですか?」聞くと、「今日はそこの駅まで・・・ふらふらと(笑)」ですって。
もう、とにかく会話がおちゃめで陽気で、実に楽しい人。


先に歩いているおじさんを追い抜くと、
「イエー、いいね!! ウォー!!」と、拍手しながら我々を見送ってくれた。恐れ入りました、完敗です。
なにもかも素敵なおじさんでした。全身ケチのつけどころのない「上品」な紳士でした。お見事です。


帰宅後、仲間の協力でこの方のブログに辿り着いた。
本当に、佐多岬から宗谷岬まで歩き通している。そしてとんでもない山男だ。参りました。


●『chokomaka日本縦断行脚』 
https://ameblo.jp/chokomakaclub/

そして、この方を紹介してくれた方も凄い人でした。山小屋の管理人でした。
●仙人温泉小屋
https://senninonsengoya.localinfo.jp/posts/53335016?categoryIds=6473046

すみません、ブログから少々写真をお借りしました。



最終日
のコースはいろいろ検討したが、やはり展望の良さから、葛葉峠〜大峰峠〜明星山〜糸魚川となった。
前回難儀した旧道。今回もとりあえず行ってみたが・・・なんと、しっかり施錠されていた。

どこかのおバカさんたちが突破した、ということで、さらに難易度が上がってしまった。
さすがにこれは「無理」。すぐに諦めて振り出しに戻る。


一旦戻って国道を行く。そしてすぐに脇道へ入り込む。ここもゲート封鎖されている。
この道を登っていけば、先ほどの施錠されていた道と合流できる。

静かな道を登っていくと、とんでもない巨大な岩が転げ落ちている。
ちょっと落石レベルの大きさではないぐらいデカイ岩だ。こんなものが落ちてきたら・・・


すっかり道路の役目を終えた感じの葛葉峠への旧道。
道路標識はいまだにはっきりしていて、落石防止のガードも物凄い迫力だ。
もはや誰も通ることのないこの峠道。我々が一番走っているのかもしれない。


確かにこの道は危険すぎる。ちょっとした地震で、先ほどの岩が転げ落ちてくるかもしれない。
まあ自己責任の世界だ。何が起きてもおかしくないだろう。それほどリスクがある地帯だということだ。

前回来た時にはなかったバリケードも設置されていた。やはり相当崩落が進んでいるようだ。
そして、静かな葛葉峠に到着。


車が数台置かれている。
峠のドライブインの工事が行われているようだが、誰の姿も見えない。


峠から下っていくと、名物の「大仏」(白馬大仏)が登場する。
静かな山中に突然巨大な「頭」が見えてくるとギョっとする。

ウィキペディアによれば、白馬観光ホテルの社長によって建立されたと書いてある。
きっと観光の目玉にでもしようとしたのだろう。

平岩駅前の酒屋さん、まだ営業しているのだろうか? 
ちょっとお店の中を覗いてみたが、その気配は感じられなかった。


さあ、ここからの登りはメチャクチャきつい。前回も相当懲りた登りだ。
ガーミンにはがっかりするようなプロフィールマップが表示される。しばらくは激坂との戦いだ。

ご覧の様に、まともに直進できる坂ではない。
どっちを向いて走っているのかわからないほど蛇行せざるをえない。乗っても押してもほぼ同じだ。


「一般県道 山之坊大峰小滝線」という林道らしい。
全員悪戦苦闘している林道を、一人だけレベルの違う走りをするのがこの怪物くんだ。


確かに軽量マシンではあるが、それにしたってあきれるほどパワーの違いを見せつけてくれる。
先行してその見事な登りの姿をしっかりと撮影した。
目の前に立ちはだかる、壁のような坂。普通は登る気力も失せ、さっさと降りて歩くところだ。

しかし、この怪物くんは一気に加速し、さすがにシッティングからダンシングに変わると、一気に登りつめる。
決して蛇行することなく、フルパワーでまっすぐに登ってくる。
もう、その見事な走りに見ていて感動を覚えるほどだ。そして呼吸が乱れることなく、「笑顔」だ!


かつては食料品店だった、最後の補給地点。当時はここで一服してから最後の登りを頑張った。
建物は残っているが、すっかりその面影はなくなっている。もう30年も前の話だ。


ぐんぐん高度を上げていく。ヘアピンを曲がれば、登って来た道が真下に見える。
さすがに適度に休憩し、呼吸を整えないと登り続けることができない。


振り返れば見事な大展望が広がる。
辛い登りで下ばかりを見ていては、こんな絶景には気付かない。


いよいよ登りも佳境に入ってくると、最後の仕打ちがこの「レッドカーペット」だ!
突然真っ赤な路面が現れ、天にでも登るような赤いレッドカーペットが視界に飛び込んでくる。

知っている人にとっては、いよいよラストだと気合が入るが、初めての人は腰を抜かすほどの勾配だ。
押しても何でも、この坂を登れなくなったら「サイクリスト引退」だな、なんて感じる試練だ。
ここでも怪物くんは、あのパンターニ並みの快速で、さっさとこの激坂を登っていく。もう見ていて鳥肌!


何とか今年も無事に峠に到達できた。まだまだ引退せずに済みそうだ。
峠には大きなお地蔵さまが祀られている。しっかり旅の安全を祈願する。


すっかり疲れ切って汗を拭う。これで本日の最高地点をクリアだ。
あとは一度登り返せば、ゴールの糸魚川までずっと下りだ。

しかし空模様が怪しくなってきた。
今日はこのあと、どこかで降られるかもしれない。


大峰峠からの下りを楽しむと、明星山方面へ一旦登り返す。
気持ちよく下ってきただけに、この90mほどの登り返しが実にきつい。

乗っても押してもほぼスピードは同じ。無理して乗るより、押した方が体への負担が少ない。
それでも別次元の怪物くん、ここでも一直線に登っていく。もう、参りました。


つらい登り返しのゴールが見えてくる。
昼食の時間になって、お腹も空いて力が出ない。もう、勘弁して下さい・・・


とうとう最後のピークに到達した。これでもう登ることはない。
疲れた。さすがにグロッキーだ。すっかり天気も悪くなり、とうとう小雨が降ってきた。
前回のランチポイント、フィッシングパークの場所を地図で確認する。


フィッシングパークには、絶好の東屋がある。今回もそこを目指して下っていく。
高浪の池を過ぎ、ダウンヒルは細い道を右へ左へコーナーリングを繰り返す。
下っても下ってもフィッシングパークは現れない。あれ? おや? こんなに下ったっけ?


もう次のカーブだろう、と思い続けて何と5km、300mも下った所にフィッシングパークはあった。
もっと近かった記憶だったが、これほど下っていたとは驚いた。

この施設、今日は休業のようなので、椅子とテーブルをお借りして広々と使わせてもらった。
前回は裏手にある東屋を利用したが、人数も多いので、今回はこちらでランチタイムだ。


時刻はちょうど13:00 もう、お腹もペコペコだ。
宿で作ってもらったお弁当の他、各自ご自慢のメニューで楽しくランチタイムを楽しむ。

持ってきた棒ラーメンに、もらったチャーシューとメンマを投入して最高の一品が出来上がりだ。
やっぱりこの棒ラーメンケース、いいでしょう!
旅の小道具見てね


たっぷり1時間半もランチタイムを楽しんだ。最後はコーヒーをいただいてもう満腹。
そんなことをしているうちに、すっかり雨模様になってしまった。
仕方ない。どこかで降られるだろうと覚悟していたから諦めがつく。

そこで、皆さんの雨対策用のバッグカバーをご紹介しよう。
濡れてはならぬ筆頭が革サドル。そしてフロントバッグ、サドルバッグ、サイドバッグなどだ。
自分の体を守るよりバッグを守る方が一生懸命だったりする。それぐらい大切なバッグだ。

下の写真は、以前旅の小道具で紹介した、2枚100円のダイソーの前カゴカバーだ。旅の小道具見てね

皆さんそれぞれ愛用のフロントバッグカバーで雨対策だ。
まあ、どれが一番いいかよくわからないけれど、やっぱりダイソーがコスパ最高でしょうね。


カラフルな雨具に包まれたおじさんたち。こんな天気だと余計に目立つ。
ヒスイ峡・明星山大岸壁の展望台も、これでは台無しだ。
この大迫力の岸壁を、もっと鮮明に見て欲しかったのだが、白く煙ってしまって何も見えない。残念。


道路は進入禁止になっているが、
この道の様子はよくわかっている。
見た感じでは、かなり危険な臭いが漂うが、路面はしっかりしている。

所々、山肌の崩落個所をブルーシートで覆っているが、そのシートも崩れかかっている。
路面をよく見て、枝木にハンドルを持っていかれないよう気を付けながら下っていく。


前回は大きな落石があったり、残雪があったぐらいだから、今回の方がまだ路面がいい。
それでも濡れた路面は滑りやすい。見るからに危険なコーナーはゆっくりクリアしていく。
反対側の通行止めのゲートまでわずか10分で降りてきた。もうこれで安心だ。


国道へ向かって気持ちよく下る。水滴が眼鏡やカメラのレンズにくっついて煩わしい。
それでも貴重な走行シーンなので、悪条件の中頑張って撮影する。


走りたくない国道。さらに雨となればいいことはひとつもない。
大型トレーラーが横を通り過ぎると、風圧で吹き飛ばされそうだ。
とにかくまっすぐ、ふらつかないように真剣に走る。これさえなければ、いいフィナーレなのだが。


ゴールまで残り6km地点で、姫川沿いの土手道に逃げ込める。
やっと激しい車から解放されて、ゆっくりと走ることができる。

最後に走るこの道が好きだ。楽しかった思い出に浸りながらこの旅を振り返る。
今日は天気が良くないが、晴れていれば、振り返った背後に、フィナーレを飾る絶景を見ることができる。


15:35 全員無事に糸魚川駅に到着。
最後はしっかり降られ、久しぶりの雨を楽しんだゴールだった。
時間があるので、きれいに汚れを落としながら輪行する。


事前に糸魚川駅にデポした車を回収してくる。もう一人は白馬に車をデポしたので、そこまで送迎だ。
我々輪行組4名は、このあと新幹線の乗車時間まで祝杯パーティーだ。

今回は原因不明のパンクに悩まされたが、とにかく無事に走り終えて本当によかった。
素晴らしいコースと素晴らしい景色。そして何と言ってもいい温泉といい料理、いいお酒が最高だった。


さっそく開店直後の乾杯だ。いきなり飲兵衛が4人もやってきて、お店の人も大喜びだ。
よく飲むし、よく食べるので、ご主人も女将さんも笑顔一杯だ!


この時間から、こんな日本海の街から東京へ帰れるんだから、本当に新幹線はありがたい。
乗ってしまえば、もう自宅に戻ってきたかのような安心感だ。
たっぷり仕込んだ宴会道具をさっそく取り出し、二次会の始まりだ。

帰りの新幹線も空いている。ゴールデンウィークなのに、これでいいの?
おかげで、ずっと楽しく最後まで飲んで、笑って、喋りっぱなしだった。
また来年もきっと同じところ行くんでしょうね。とにかくハズレがないから安心のコースだ。 

距離: 43.0 km
所要時間: 6 時間 24分 8秒
平均速度: 毎時 6.7 km
最小標高:  32m
最大標高:  672m
累積標高(登り):  673m
累積標高(下り):  1054m

(2024/4/30 走行)


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