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2025年4月3日(木)

別府港 〜 大阪港
(さんふらわあ むらさき)


「さんふらわあ」の朝は結構忙しい。
6:35着岸予定なので、それまでに朝食を済ませ、下船準備を整えなければならない。

前の日に調子に乗って飲み過ぎると、大慌てで下船することになる。
早起きして日の出を見る、着岸の様子を見る、朝食を済ます、荷物を片付ける・・・やることだらけだ。

気の早い人はすでに下船口に並んで待っている・・・そんなに早く降りれませんから・・・
こちらは朝食を食べた後、デッキから着岸の様子を最後まで眺めてから下船口へ向かう。


今回は意外と早く下船することができた。着岸後、約20分ほどで下船できた。

車やバイクが多いと、自転車は最後の最後まで待たされて、多くの船員さんに見送られて下船することが多い。


昨日乗船時に一緒だったサイクリストと一緒になった。
話をしてみると、なんと日本人ではなく、香港から来たという。

例によって適当な英会話でやり取りしたが、サイクリスト同志、身振り手振りで会話が成り立つ。
ランドナーとは次元の違うモンスターマシン。装備も完璧だ。

見たこともないこちらのランドナーを、ジロジロと眺めては写真を撮っていた。


大阪港 〜 大和川 〜 石川 〜 富田林


いよいよ最終日。九州から一気に大阪へやってきた。

最終日の道案内はこの本にお願いする。
関西地方はほとんど走ったことがない。知らない街も多く、こうしたガイドブックが実にありがたい。

今日は紹介されているコースから、二つのコースをつなげて走ってみることにした。
そして最後は、二度目の「シマノ博物館」を訪ねて帰路につく予定だ。


朝7時過ぎの大阪港。さすがにこの時間は早朝の散歩する人ぐらいしかいない。

正面のガントリークレーンの向こうは、
万博会場の「夢洲」だ。
連日大変な騒ぎになっている万博であるが、こちら側からはまったくその気配は伝わってこない。


大阪港周辺は物流基地の最前線だ。
以前来た時も、大型トラック、トレーラーなどがひっきりなしに行き交い、もう洪水のようだった。

コンテナヤードには高く積まれたコンテナがぎっしり。
世界の貿易の歴史を変えたコンテナ。コンテナのおかげで世界貿易は大きく発展してきた。

一般の人があまり見ることのない物流基地。
自分はこのコンテナの中の荷物を一生懸命降ろしたことがあるだけに、いろんな思いが蘇ってくる。


大和川に出ると景色が一変する。
大きな空と広い川。まっすぐな川沿いの道が遠くまで続く。

ガイドブックの案内通り、ここからは二つの川をつなぐコースが始まる。
川沿いの道は鉄道の踏切を渡る所がある。

「大和川駅」はちょうど鉄橋を渡ってくる電車を見ることができる。
「大和川 RIVERSIDE CYCLING ROAD」と書かれた案内が置かれている。


実に気持ちのいい自転車道だ。
このロケーションを利用して、女子高生をモデルにして何かの撮影をしていた。

その先にはこんな大きな自転車のモニュメントが飾られている。
近寄ってみて驚いた。なんと一つ一つがすべて人間のパーツからできているではないか!


大和川サイクルモニュメント「廻」

「サイクルシティ堺」の新たな都市魅力を創出するため、「自転車」×「アート」をテーマに、堺市と大阪芸術大学が連携し、令和5年4月30日に大和川サイクルモニュメント「廻」が誕生しました。
https://www.city.sakai.lg.jp/kurashi/doro/jitensha/76223920230224161654279.html



大和川の左岸へ渡る。

すっかり貸し切り状態になった自転車道。奇麗な舗装路と美しい景観がしばらく続く。


ガイドブックの案内通り、八尾飛行場へ立ち寄ってみる。

滑走路の真横から見ることができるので、離着陸の様子をすぐ近くで見ることができる。


八尾空港

八尾空港は、旅客便の定期就航がない小型航空機専用の空港で、航空写真撮影、操縦訓練、遊覧飛行、報道取材など、様々な目的で利用されています。また、陸上自衛隊や警察、消防の航空隊も利用しており、災害時や緊急時の援助基地としても重要な役割を担っています。



再び大和川に戻ると次は石川に合流する。ここから進路を南に変更する。

こうして川をつないで周回できるコースは、自転車にとって実にありがたい。
ほとんど車と交わることがなく、そして迷うような所もないので安心して走ることができる。


どうやらこの大和川〜石川に至る自転車道は、正式には「八尾河内長野自転車道」という名前のようだ。

かなり古めかしい案内板が設置されているが、せっかくの景色もこれでは台無しだ。新調してほしいですね。


石川の道に入ると、そこは桜が満開の絶景ロードが待っていてくれた。
ようやくここまで来て奇麗な桜に出会うことができた。

最終日を祝ってくれるかのような、見事な「石川 桜づつみ」だ。
自転車道も整備が行き届き、きれいな舗装路と桜並木が最高だ。


なかなか素晴らしい自転車道だ。走りやすく、そして自転車も歩行者もほとんど出会わない。

前方に見える山並みは金剛山地だ。「葛城山(958m)」「金剛山(1125m)」がしだいに近づいてくる。


道案内が整備されていて助かる。
初めて訪れる所は、いくら地図やGPSがあってもわかりにくい。

こうした地元の名所や見どころが案内されていると、より楽しく走ることができる。
QRコードを読み込めば、日本語、
英語、中国語、韓国語で見れるようになっている。


いやいや、絶景でしょう! こんな延々と続く桜並木は初めてだ。

最後の最後にこんなお花見ができるとは思ってもいなかった。


そのまま走り抜けては、あまりにももったいない。
ちょうどいい場所に三脚を置ける場所があったので、誰もいない時を見計らって得意の独り芝居だ。

緩くカーブする道筋と桜並木がなかなかの構図だ。
アクションカメラで撮影開始。自分の走り去る後ろ姿を撮影する。

適当な所でUターンして戻ってくる。何やってんだかと思うが、こうした努力がいい思い出になる。
下の写真は、その動画から切り出した写真だ。動画の解像度が凄いので、これだけきれいにキャプチャできる。

●Youtube動画 大和川・石川自転車道
https://youtu.be/D_sJF02lY7M


このままずっと走っていたいが、「石川サイクル橋」を最後に富田林へ向かう。


石川サイクル橋

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/96c47f47911d11485266dd88b0e46d42ee0061dd


富田林市

富田林市は、大阪府の東南部に位置し、 自然と歴史に恵まれたまちです。
市を南北に流れる清流「石川」をはさんで平野が広がり、古くからまちが開けました。
雄大な金剛・葛城連峰を背景に、緑豊かな丘陵や美しい田園風景などの自然環境室町時代からのまちなみが残る「富田林寺内町」をはじめとするさまざまな時代の歴史文化環境と、近代的な利便性の高い都市機能とが共存する魅力的なまちです。
https://www.city.tondabayashi.lg.jp/site/kirameki/


突然昔にタイムスリップしたかのような町並みが広がってきた。

いつかどこかで見てきたような、心落ち着く町の景観だ。
町歩きメンバーの解説に耳を傾けながら、こちらものんびりと散策してみる。


葛原家住宅。映画の撮影にでも使われそうな立派な住宅だ。
寺内町のランドマーク的存在だそうだ。


富田林の町から狭山池を経由して堺の街へ向かう。しばらくすると、西高野街道の標識が現れる。

西高野街道は、平安時代から鎌倉時代初期に開かれ、室町時代には高野聖の納骨や庶民の参詣の道となり、江戸時代には大阪、堺の町人の米・酒・綿など通商の幹線道としてにぎわったそうだ。

街道の雰囲気を味わいながら、いよいよ最後の目的地、「シマノ博物館」へ向かう。


シマノ博物館 〜 北花田駅 〜 新大阪駅


この旅最後の訪問地は、二度目の「シマノ博物館」だ。
2023/10 大阪の渡船巡りと一緒に訪れたのが最初だった。

豪華で美しい外観の建物。これが自転車の博物館なのか? と仰天するほどだった。
その時は時間も限られていたので、ゆっくり見学することができなかった。

それでも、館内の素晴らしさに圧倒され、感動するほど見事な施設だったことを覚えている。
ここはもう一度来なければダメだ、と強く思っていた。そして今回、すぐにチャンスがやってきた。


「限りなく自由な乗り物 自転車」

シマノ博物館に入って、真っ先に心を打たれたのがこの言葉だ。
サイクリストにとって、「自転車とは?」と聞かれたときになんと答えるだろうか?

こんなに素敵な言葉で答えることができる人は、まずいないのではないだろうか。
壁に飾られたこの言葉を見て、しばらく釘付けになるほどだった。


こんなに素晴らしい施設にもかかわらず、今日も館内は空いていた。
自分を含めて2〜3組の見学者しか見当たらない。

あまりにマニアックな施設だから仕方がないが、もっともっと多くに人に自転車の神髄を知ってほしい。


「シマノ博物館」には、自転車の誕生から最新の技術まで、自転車に関するすべてが揃っている。
マニアはもちろんのこと、自転車に少しでも興味のある人ならきっと満足できる施設だろう。

すべてを紹介することは不可能に近い。
撮影した一つ一つをこうして並べるだけで精いっぱいだ。


資料室も充実している。端末で検索すれば、あらゆる資料を検索することができる。
そして蔵書類も展示されていて、自由に手に取って閲覧することができる。

ツーリング系の本も、旅に関する本も、そして峠に関する本も並べられていた。
特に驚いたのが、あの綿貫氏の「四万十・丹波」を見つけた時だ。まさか、こんな本まであるとは・・・

そしてさらに「
峠. 関東篇」(山田ノ雄 篇著/サイクル時報社)を見つけて腰が抜けそうになった。
この本は1958年発行の、サイクリングの原典とも言える名著だ。

自分も「峠の資料室」で紹介しているが、国会図書館でしかお目にかかれない貴重な一冊だ。


結局二回目の訪問でもやはり時間が足らなくなってしまった。
この街に前泊して、一日かけて館内を見て回らないと見切れない。また来るしかないな、と思った。

最後にこんな遊びができるので遊んでみた。
自分の顔写真を撮影すると雑誌の表紙に加工してくれるコーナーがあった。
なかなかうまくいかず、何度も挑戦して、なんとかなったのがこの2点だ。いい記念になりました。


帰りの時間も迫ってきたので、シマノ博物館をあとにする。
新大阪に向かって、どの駅で輪行しようかと走りだす。

平日の夕方、帰宅時間になると街は混雑するので適当な所で輪行することに。
「北花田」という地下鉄の駅でゴールとなった。


サンライズでスタートした長い長い旅もこれで終わりだ。
あまりに充実しすぎて、初日の思い出もどこか遠い昔のようだ。

帰りの新幹線に乗ると、そこはもう都会の風景だ。すぐに現実の世界に引き戻される。
一人静かにこの旅を振り返る。そしてまた次の旅のアイデアが浮かんでくる。

「サンライズ」「さんふらわあ」を組み合わせたツーリングは、色々な可能性を秘めている。
四国から九州へ渡ってもいいかもしれない。そんなことを考えながら帰路についた。

 
距離: 65.6 km
所要時間: 8 時間 59 分 7 秒
平均速度: 毎時 7.3 km
最小標高: 0 m
最大標高: 111 m
累積標高(登り): 197 m
累積標高(下り): 186 m

(2025/4/3 走行)


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