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2025年5月5日(月)


今年のゴルデンウィークは、新企画の富山へ行くことになった。
例年、残雪の北アルプスを求めて嶺方峠へ行くことが多かったが、今年は海から残雪を眺める。

参考になったのがこの本だ。富山を楽しむ為の教科書的なガイドブックだ。
5/5〜5/7の天気は、初日は問題ないが、その後は少々不安の残る天気予報になっている。


今回の参加者は総勢10名。例年にない大所帯だ。各自それぞれの予定があって、集合・解散もそれぞれ違う。
「6:28 東京駅発 金沢行 はくたか551」に乗車したのは、6名の輪行組と1名の「手ぶら」、合計7名。
「手ぶら」の1名は、カーサイメンバーに、自転車をすでに現地に運んでもらってある。

輪行組6名で座席を回転して、朝から陽気なBOX席の完成。静かな車内の中、ここだけが賑やかだ。
9:08 富山駅に到着。3時間かからず東京から富山まで来れるのだから、北陸も本当に近くなった。


自分は富山へ来るのは2回目だ。2006年8月に出張で富山へ来た時とは駅前は激変していた。
きれいに整備された富山駅。駅周辺は多くの人が行き交い、現代的なデザインの「セントラム」が行きかう。

さっそく組み立てる。
京都からのメンバーも合流し、駅前はちょっとした自転車展示場と化した。
なんと「タンデム」の登場だ! それも「エルス!」 さらに「デモンタ!」という衝撃の登場。


多数のランドナーが勢ぞろい。相当珍しい光景なのだろう、色々な人が声をかけてくる。
日頃見慣れない「旅行車」と我々のファッションに、街の人も興味津々だ。

10時過ぎから走り始める。見事に晴れ渡った中、富山駅を後にする。


気持ちのいいスタートだ。交通量も少なく、日本海を目指して北上する。
最初の目的地は「中島閘門(なかじまこうもん)」だ。


中島閘門(なかじまこうもん)

富岩(ふがん)運河の建設にあわせて建造され、平成10年には昭和の土木建造物としては全国で初めて「国重要文化財」に指定されました。
上流側(富岩運河環水公園)と下流側(岩瀬側)の水位差(国内最大級)を調節するパナマ運河方式の閘門。閘室内に船が入ると前後の門扉が閉じ、水位がどんどん変化する「水のエレベーター」を体験しながら通航できます。
https://www.info-toyama.com/attractions/80538



着いたときにちょうど閘門が開くという、驚きのタイミングの良さ!
管理室を覗くと、係員がボタン操作で扉の開閉を操作している。


パナマ運河に行かなくても、水位の調節をこの目で見れる贅沢な一瞬だ。
へぇ〜、なるほど、こうして船が外へ出ていくのかぁ。勉強になるね。観光船に乗るのも楽しそうだ。


海岸線に向かって走ると、いよいよお目当ての自転車道の案内が現れた。
「富山湾岸サイクリングコース」と書かれている。
正式な名称は「一般県道富山朝日自転車道線」というようだ。


いきなりこの絶景だ! あまりの迫力に息を飲む!
最初に紹介したガイドブック「富山サイクリングガイド」にこんな一文があった。

「あれ、雲じゃない? 山だ!」
 
大げさな・・・そんなばかな・・・と思って読んでいたが、まさにその通りの眺めだ。


なんだこの展望は・・・遮るものが何もないから、残雪の立山連峰が視界一杯に飛び込んでくる。
ちょっと嶺方峠からの眺めとはまた世界が違うぞ!
期待はしていたが、期待以上の絶景が待っていてくれた。


今年は雪が多かったから、この時期になっても見事な残雪を楽しむことができる。
あまりに見事な構図に、各自それぞれお決まりの姿を写真に収める。
うーん、これまでに経験したことのない一枚だ。今の時期、ここでしか撮影できない見事なシーンだ。


山岳ばかりがサイクリングではない。時にはこうして海岸から残雪の峰々を眺めるのもいいものだ。
やはり美しい。素晴らしい。この風景だけで富山の魅力にどっぷり浸かってしまった。
もう、ここだけで今回のツーリングのハイライトを味わった気分になるほどだった。


まだこのツーリングスタートしたばかり。こんな調子だと、いったいこの先どんな感動が待っているのか・・・
気分も爽快、天気も最高! もうサイクリストでよかった、と思うほど気分は最高だ。

●Youtube 動画 富山朝日自転車道 その1
https:/youtu.be/vuGQ0Efzvkc


飽きるほどの絶景がしばらく視界を遮る。
なんて贅沢なコースなのだろう。これほどの景色を眺めながら自転車道を走れるなんて、贅沢すぎる。

日本各地、多くの自転車道を走ってきたが、多分景色の美しさでいえば日本一に間違いない。


このコース、景色もよければグルメな食べ物に溢れている。
本日の昼食は、事前に狙っていたこの食堂へ行ってみたのだが・・・
やはりGWに人気のお店はそう簡単に入れるものではなかった・・・

「水橋食堂 漁夫」へ向かうと、駐車場には他県のナンバーがずらりと停まっている。
お店の前は順番待ちの人で溢れている・・・やっぱりダメか、甘かったか・・・
我々の姿を見て、順番待ちの人たちも、「無理ですよ」と言っているような表情だった。

仕方なく諦める。そして「ほたるいかミュージアム」へ向かう・・・が・・・そこでも・・・
どこもかしこも人だらけ。GWの観光地の凄さをあらためてこの目で見た。
食事することも、休憩することも無理。人、人、人・・・


さっさと諦めて、我々本来の姿に戻る。コンビニで食料を仕入れて「滑川海浜公園」へ。

なんだなんだ、こっちのほうが全然いいじゃない!
人はいない、目の前は絶景! やっぱり人と同じことをしていてはダメ。


目の前は碧く輝く美しい日本海。
広々とした公園はデイキャンプが可能な素敵なフィールドが広がる。


見てくださいこの贅沢なロケーションを!
これ以上のランチポイントが他にありますか! ってぐらい文句なしの公園だ。
ちょっとありえないほど贅沢で恵まれた絶景スポットだ。


目の前に広がる残雪の山々。どれが何の山なのかさっぱりわからない。
帰宅後、カシミールで山岳展望シミュレーションを作成してみた。

こうして描いてみて、初めて知る山も多い。
どうやら見えていた頂は、「毛勝山」「釜谷山」「猫又山」という山のようだ。


最高に贅沢なランチタイムを楽しみ午後のポタリングへ。

目の前は静かな日本海。今日の日本海はとっても碧い。とにかく海がきれいだ。


自転車道はほぼ貸し切りだ。すれ違うサイクリストもほぼいない。
こんな素敵な自転車道があったなんて、なんでもっと早く来なかったのかと悔やむばかりだ。


後半はまず「魚津埋没林博物館」を見学する。


魚津埋没林博物館

国の特別天然記念物に指定されている「埋没林」と「蜃気楼」、富山湾のふたつの不思議に出会える博物館です。博物館には、なんと直径約2m、樹齢500年以上の埋没林の樹根が水中保存されています。スギの巨体が朽ちずに水中に根を張っている様子はとっても不思議。巨大な樹根に手で触れることもできます。また、光と風が織りなす自然の芸術、蜃気楼についても情報がたくさん!300インチの大きなスクリーンに映し出される蜃気楼は迫力満点。文献や資料なども豊富にあり蜃気楼について詳しく学ぶことができます。館内の展望台からは、富山湾を見渡せられる絶景と共に海沿いから蜃気楼が見られることも。
https://www.info-toyama.com/attractions/51090


蜃気楼を一度は見てみたいが、そう簡単に見れるものではない。
館内のビデオ映像で見ることができるが、何度見ても摩訶不思議な現象だ。いまだに理解できない。


自転車道は「しんきろうサイクリングコース」と名前を変える。
なかなかのネーミングだ。これだけでも走ってみたくなる自転車道だ。

とにかく走りやすい道が延々と続く。これだけ充実した自転車道もなかなかないだろう。


海岸線を一人独走するK氏。なかなかいい写真が撮れました!
フォームもバッチリ。自転車もいいですね! カメラマンに感謝してくださいね!

●Youtube 動画 富山朝日自転車道 その2
https://youtu.be/dgL0FdMCets


本日のコースもいよいよフィナーレに近づいてきた。

どこまで走っても残雪の風景は変わらず広がっている。もうお腹一杯だ。


宿まであと3km。十分に満足した面々は、早く宿について祝杯をあげたいとラストスパートだ。
ところがここで「大事件」が起きた・・・そしてこれが、本日の最大の宴会ネタになるとは・・・

実は自分が歩道から撮影しながら走っていた時、いきなり「ガツン!」という大きな音がした。
うん? 何か落としたか? と後方を確認するが何も異常はない。
ガードのステーが外れたか? いや、異常はない。そして何事もなく走り続ける・・・

そこから約1km走ったところで、いきなり後輪のエアーが抜けた。
「パンク〜!」と叫んですぐに停止。そばにいた二人も急停止してくれた。ここから事件が起きた・・・
あと宿まで2kmほど。修理するのも面倒だし、歩いてゴールしてもよかったのだが・・・


三人がかりでパンク修理開始。実はこの三人は、昨年一緒にパンク修理したメンバーだ。
やっぱり縁があるんですねぇ〜。またご一緒になりました。

パンク修理もベテラン三人が揃うと大変な騒ぎだ。
自分が予備チューブを出している間に、すぐにタイヤが外されパンクの原因を探している。
と、いきなりの大歓声!「見て見て!これは凄い!」

なんだなんだとタイヤを見ると、このありさまだ!
こんなの見たことある? ってぐらい見事な作品がそこにあった!


パンクに気が付かない他のメンバーはどんどん先へ行ってしまう。すぐに直して宿へゴールしたいと気持ちが焦る。
これがゴール直前ではなかったら、もっと余裕を持ってパンク修理できたのだけど・・・

自分が予備チューブにエアーを少々入れて脇に置く・・・、そしてパンクしたチューブも脇に置かれる・・・
刺さった釘を抜こうと頑張るが、なんとこれが抜けない・・・プライヤーある? あるよ!


やっとのことで釘を抜いて、チューブを入れ替える・・・
このタイヤとリムの組み合わせは手だけで入るほど簡単だ。あっという間にチューブ交換終了!
さすがですね! 自分は何もせず、”暇”なので写真を撮影していたら終了していた。

さて、あとはお得意の電動ポンプでエアーを充填! どうだ、早いでしょう! と言いたかったが・・・
「あれ?」電動ポンプのデジタル表示が増えていかない・・・空気が入らない・・・え?
どーいうこと? ポンプのエアー漏れ? バルブの故障? 

何度やってもエアーが入らない・・・ホースを抜いてみると、なんとフレンチバルブのネジが締まったままだ・・・
冷静な時なら、ここでおかしいと気が付くはず。さっき、インフレータでエアーを入れたばかりなのに・・・

「なーんだよ、これじゃエアー入らないよ! もう!」とネジを緩めて再度やってみるがやはり入らない・・・
もう、ここで三人とも頭の中がパニックになってしまった。なんで? どーして? えっ? ひょっとして・・・


そう、そういうことです。パンクしたチューブをそのまま入れてしまったのです・・・
どこでどう入れ替わってしまったのか、全くの謎なのだが、まるで引田天功のマジックのような入れ替わり・・・
どちらのチューブも奇麗で、見た目では判断がつかないほど。誰一人疑問を持たずチューブを交換してしまった。

再度チューブを取り外す。あらためて電動ポンプの登場・・・だが、今度は電動ポンプの電源が入らない・・・え?
何度押してもスイッチが入らない。バッテリーは十分にある。ここでまたまたパニックに・・・
「自分の電動ポンプ持ってきます」とY氏、購入後初めて人の為に役立つ機会に恵まれる。

さあ、ようやく難局を乗り越えてエアーを充填・・・入りました! やっとまともにエアーが入りました。
結局、ゴール間近の焦りと皆でバタバタと修理をしたことで、確認不足、イージーミスへとつながった。

一人で修理していたらこんな事は起きないのだろうが、とにかくお祭り騒ぎみたいな状況だった。
すべて自分のミスだ。チューブを渡したのも自分だし、細かなミスにも気が付かなかったのも自分だ・・・

電動ポンプはその後復活し、何事もないように電源も入るようになった・・・いったいどういうこと?
帰宅後チューブをよく調べてみたら、当然のように釘が貫通した跡があり、2か所の穴が開いていた。



下の写真は1年前の「パンク三兄弟」の写真だ。
この時も同じメンバーで修理したが、時間にも余裕があったので冷静に修理することができた。
また次回、同じメンバーでパンク修理することになるのかな?



パンク修理に合計18分かかってしまった。
あまりに後続が遅いので、携帯に電話がかかってきて事情を説明した。皆から遅れて、やっと無事に宿に到着。

簡単には説明できないアクシデントだったので、二次会でのお楽しみということになった。
とりあえず全員無事にゴールして、初日を走り終えることができた。

夕食には大きなカニが登場! 皆無口になってカニと格闘することになった。
二次会ではパンク修理の顛末を丁寧に解説・・・その時の釘もしっかり持ってきたので皆さんに披露する。

なんでこんなものが、あんな形で刺さったのか? 写真を見ながら盛り上がる。
誰かが撒いたんじゃない? つまようじにいいんじゃない? 額縁に入れないと・・・と笑いっぱなしの夜だった。


 
距離: 62.7 km
所要時間: 7 時間 29 分 23 秒
平均速度: 毎時 8.4 km
最小標高: 3 m
最大標高: 35 m
累積標高(登り): 93 m
累積標高(下り): 76 m

(2025/5/5 走行)


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