峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2025 > 柵原ふれあい鉱山公園・片鉄ロマン街道・日生



2025年10月27日 (月)

工場見学


今回の旅は、ある企業の工場見学を兼ねた1泊2日の旅になった。
2年前に訪れた岡山県里庄町。藤井風の故郷として一躍有名になってしまった。

その時に今回見学する工場まで行ってみたが、もちろん見学することはできなかった。
https://tougehenoshoutai.sakura.ne.jp/photoguide/2023_03_okayama2/okayama2.htm

今回、株主向け工場見学の抽選に当選したので、ついでにツーリングを兼ねることにした。
工場見学は福山駅に集合し、バスで工場へ移動する。

社長直々にお出迎えしていただき、さっそく熱い握手を交わす。
工場見学はスタッフの皆様の熱意が感じられる、本当に心こもった見学会だった。

バスで移動の際には、藤井風の実家「ミッチャム」の前をゆっくり通過してくれるという大サービスも。
何もかも見せてくれる、本当に信頼できる会社だとあらためて感じる見学会だった。


2025年10月28日 (火)

津山駅 〜 柵原ふれあい鉱山公園


前日は岡山の駅前ホテルに宿泊し、翌日はまず輪行で移動する。
朝の岡山駅前は、コミュニティサイクル「ももちゃり」が大量に並べられている。

出勤してきた人が次々と自転車を借りていく。なかなか壮観な眺めだ。係の人も大忙しだ。
そんな慌ただしい通勤・通学客に混じって津山線のホームへ向かう。


津山線では前回痛い目にあっている。パスモで乗車したのはいいが、下車駅にIC端末が無くて大変苦労した。
今回はしっかり切符を買って乗車する。地方で在来線に乗るときは、切符を買った方が絶対に安全だ。

平日の朝だ、岡山大学へ向かう学生で車内はどんどん混んできた。
ドア横にちょうどいい場所があったので、輪行袋を縛り付ける。天井にはレトロな扇風機だ。


終点の津山駅まで、のんびりとローカル列車の旅を楽しむ。
津山線には何度か乗っている。前回はこの「建部駅」で降りて痛い目にあった。

その前には「弓削駅」から輪行したことがある。
そんな思い出に浸りながら、ガラガラになった車内で足を伸ばしてゆっくりする。


津山駅まで1時間半の列車旅。
結構乗りごたえがあったが、車窓の景色を眺めているだけで実に楽しかった。

さすがに津山駅は立派な駅だ。
タクシーもいるし、コンビニもある。困ることはなにもない。


今日のコースは、津山駅から海に向かってひたすら南下する。もちろん「片鉄ロマン街道」経由だ。
「片鉄ロマン街道」はこれで三回目だ。南下するコースは初めてなので、景色が違って見えるだろう。

まずは吉井川に沿って「柵原ふれあい鉱山公園」を目指す。
交通量も少なく、緩やかな下り基調の道なので、気持ちよく川沿いを走ることができる。


「柵原ふれあい鉱山公園」までは約20km。
ちょうど1時間、気持ちのいいスタートとなった。

いつもとは逆コースなので、いきなり吉ケ原の駅舎が現れる。
いつ来ても、きれいに整備・維持されている鉄道施設だ。今でも十分運行できそうな雰囲気が漂っている。


静かで贅沢な時間が流れる。展示された車両を眺めながら、のんびりと写真撮影を楽しむ。
初めてここへ来たのが2013年9月だった。まだその頃はサイクリストも少なかった。

今日は休憩していると、次々とサイクリストがやってきた。
皆さんソロだが、3組と挨拶を交わした。

もちろんランドナーなど誰もいない。ガードの付いた自転車は自分だけだ。
こちらの自転車を見て、皆さんじっくり眺めていく・・・なんか違うぞ、と感じるみたいだ。でしょうね。


ちょうど昼の時間になったので、ここでおにぎりを食べて小休止だ。
周辺は何もお店などないから、ここで休憩したければ自分で用意するしかない。


公園を清掃している音が聞こえるだけで、周囲は静寂が漂う。
サイクリストがいなくなると、再び自分一人になった。

残されたレールをよく見たら、なんとカマキリが上に乗っかているじゃないですか。轢かれちゃうよ!


「柵原鉱山資料館」へ入ってみる。
いままで時間がなかったので一度も入ったことがなかったが、今日は時間に余裕がある。


柵原鉱山資料館

旧片上鉄道吉ヶ原(きちがはら)駅にある資料館。周辺は元々鉱山で栄えていた地域で、当時の鉱山町の様子が体験できたり、鉱石なども販売しています。
資料館のある「柵原ふれあい鉱山公園」には、現在も駅舎や鉄道車両、線路などが保存されており、鉄道好きだけでなく子ども連れにも人気のスポット。ドラマや映画のロケ地としても知られています。

https://www.okayama-kanko.jp/spot/detail_11879.html


鉱山資料館に入ると、いきなり昭和レトロの町並みが再現されている。
昔、普通に目にしていた光景が広がっている。

町は昭和30年代が最も賑わっていたようだ。鉱山への出勤には自転車が欠かせない。
当時の自転車店が再現されていて、昔ながらの車体やパーツが並べられていた。

エレベーターで地下へ降りると、坑道が再現されていて、多くの展示を見ることができる。
初めて見学したが、とても勉強になった。ここへ来たら、ぜひ見学したほうがいい。
kouzannga


片鉄ロマン街道


さて本日の目的は何といっても「片鉄ロマン街道」だ。
2013年9月、2016年10月に訪れている。本当はもう少し秋が深まった頃に来たかったのだが仕方がない。

何度走ってもその完成度の素晴らしさはNo1だ。
路面、道幅、設備、景観、変化・・・最初から最後まで飽きさせない、常にワクワクするコースだ。


駅舎跡が整備されていて、適度な休憩を取ることができる。
コースの難易度も低く、子供でも女性でも安全に楽しむことができる。

この駅には昔ながらの伝言板が設置されていて、多くのサイクリストがコメントを書き込んでいる。
何度も何度もここを走っているサイクリストが多いことに驚く。

せっかくなので、伝言板の下の方に、自分のホームページの宣伝をしておいた。


猫ものんびり遊べるほど、ほとんど誰も通らない。唯一サイクリストだけがたまに通り過ぎるだけだ。
こんなに贅沢な自転車道もなかなかない。とにかく優越感に浸れる最高級の自転車道だ。


南下する逆コースは楽だ。そして当然ながら巡行スピードも速い。
予定していた時間よりも早く進むことができる。オススメはこちらの南下コースかもしれない。

苦木駅、以前の姿と全く変わっていない。
やはりしっかり手入れされて、維持されている証拠だろう。


一段高い所を行く自転車道は気分がいい。
車道を見下ろしながら、ゆっくりとした流れの吉井川を眺めてのポタリングは、最高の贅沢だ。


一駅ごとに写真を撮っていく。廃線跡めぐりの楽しみがこれだ。

しっかりと駅舎が残っている駅もあれば、ホームだけ、あるいは駅名だけの場合もある。
この「片鉄ロマン街道」は、多くの廃線跡のなかでも、しっかりと大切な景観を維持している。


小さなトンネルが現れた。サイクリストが後ろから追い抜いていく。
別にライトなど必要ないけれど、手に入れたダイソーの「センサー付き自転車ライト」を試してみる。

果たしてどのぐらいの暗さで反応するかな? と見てみると、見事な精度を確認することができた。
これなら、一日中AUTOモードで走っていれば十分だと感じた。


天瀬駅はなんだが賑やかな事になっていた。
以前来た時は、何もない薄汚れた駅舎だったけれど、今はこうした「推し活」の時代だ。

駅舎がきれいになっていいけれど、あまりに雰囲気を壊すようなイベントはご勘弁だ。


駅名表示もきれいに塗り替えられ、そして案内板も新設されたようだ。
以前はなかった表示がしっかりと設置されている。

まずます完成度が高くなったこのコース。休日はきっとかなり人気なのだろうと感じる。

●Youtube 動画 片鉄ロマン街道 その1
https://youtu.be/IcMSsML2cJY


JR和気駅まで走ってきた。
以前は逆コースだったので、駅の地下通路を通り抜けたが、逆コースだと自然と橋を渡ることになる。

駅前には大きな「片鉄ロマン街道」の案内板が設置されている。


コースもそろそろ終盤にさしかかった。相変わらず最高の道筋がずっと続く。
何度走っても思うことだが、本当にゴミ一つ落ちていない。

美しい廃線跡がどこまでも続く。
いったい、誰がどうやってこの環境を維持しているのだろう? これまで作業している人の姿を見たことがない。


最後に「峠清水トンネル」が現れる。
雰囲気最高、ロマンあふれる魅力のトンネルだ。

トンネル内は明るく、自転車で走るのにちょうどいい広さだ。
「峠」とあるだけに、ここで緩い登坂のピークを迎える。


地図を見ると、ちょうどトンネルの上に「傍示ヶ峠(ぼうじがとうげ)」という峠が存在している。
これまで一度も気にしたことがなかったが、今回初めて訪れてみることに。

「片鉄ロマン街道」を訪れて、この峠を気にするサイクリストはまずいないだろう。
トンネルを越えた先に、左に入る小道がある。ここから少々登るとトンネルの上に出る。

地図上の「傍示ヶ峠」がこの下の写真だ。道の合流地点だが、峠を示すものは何もない。

三省堂「日本山名事典」を調べたが、峠の詳細は簡単にしか紹介されてない。

峠の歴史や由来などは調べてみたが不明だ。


最後は快適な下りでコースのゴールを迎える。
起点にはこんな標識が設置してある。全長34.2kmを今回も大満足で走ってきた。

●Youtube 動画 片鉄ロマン街道 その2
https://youtu.be/gzvkjlVgBcA


ネットで調べてみると、現在「サイクルスタンプラリー2025」を開催しているようだ。
どおりでサイクリストとよくすれ違ったり、駅舎には多くの掲示がされていたわけだ。

地域の観光にもなるし、安心・安全なコースなので様々な人に楽しんでもらえるだろう。
https://www.rsk.co.jp/event/katatetsu-cyclestamp/


日生(ひなせ) 〜  播州赤穂駅 〜 相生駅


山から海へ下ってくると気分も景色も一変する。
やはりこのコースは津山から下ってきた方がいいと感じた。

コースに起承転結があり、後半は雄大な海を眺めての走りを楽しめる。
さて続いては日生
(ひなせ)へ向かう。路面には推奨コースを示すペイントが施されている。

だがしかし、ここから10km弱は交通量の多い国道を走らなければならない。
迂回路がないため、しばらくは緊張しながら我慢の走りをするしかない。

それまでの天国みたいな自転車道から、一気に辛い国道走りになってしまった。
途中、「木生峠」というバス停を通過。ちょっとしたピークを越えるが、峠を楽しんでいる余裕はない。


日生の町に入ってきた。後半の楽しみは、まず「カキオコ」をいただくことだ。
ところで、カキオコとはいったい何ですか?


日生のカキオコ

カキの生産が始まった昭和40年代に、カキ漁師が売り物にならない小粒や傷もののカキを近所のお好み焼き店に持ち込んで、お好み焼きに入れて食べるようになったと言われています。カキオコは、2002年にカキ入りお好み焼きの美味しさに感動し、ボランティアでPR活動をはじめた「日生カキお好み焼き研究会」が考案した呼び名です。
https://www.hinase-kakioko.jp/kakioko


事前にいろいろと調べてきたが、どこのお店も閉店時間が結構早い。
15時頃には営業終了というお店が多い。この有名なお店も、やはり営業を終了していた。

どこかやっていないか、と他のお店を探すが、こんな平日の16時になろうという時間はどこもやっていない。
うわぁ、やっぱりダメか・・・しょうがない、この先で運よく見つかるかもしれないと日生駅方面へ向かう。


なんだよ、どこもやってないじゃないか・・・クソー食べたかったのに・・・と諦めていたところ・・・発見!
「営業中」の看板を見つけてすぐお店に飛び込んだ。

「あの〜、まだやってますか?」「やってますよ、どうぞ。おひとりですか?」「はい!」
店内は近所の方が座っていて、何やら世間話に盛り上がっている。

お客さんはいないようで、店主も暇そうにしていた。
さっそくメニューをみるが、何がなんだかわからないので「カキオコお願いします」と注文する。

すっかり火を落としてしまったようなので、調理できるまでしばらく時間がかかる。
何をどうするのかしばらく観察してみる。といっても、ようするにお好み焼きを作る手順だ。

しばらくして「カキオコ」完成! 大きなカキがたっぷり入った、それはそれは旨すぎるお好み焼きだ!
このボリューム、この味、大満足の一品! ちょうどおやつの時間にピッタリの量だ。最高〜でした!


美味しかった。本当に美味しかった。もう一枚食べてもいいぐらい美味しかった。
さあ、これで今回のツーリングの目的はほぼ達成することができた。

時刻は16:30 もう、日が傾き気温も下がり始めてきた。
最後は海岸線に沿って、播州赤穂駅までのフィナーレを楽しむ。


長い一日だった。
コースが充実していて、スタートからゴールまで魅力に溢れていた。

瀬戸内海の穏やかな海を眺めながら、車一台通らない静かな海岸線をのんびり行く。
最後に鳥打峠という味気ない峠を一つ越えて、無事に播州赤穂駅にゴールした。


播州赤穂駅から相生駅へ向かう。通勤・通学の帰宅の時間と重なって、車内は結構の乗客だ。
相生駅からは、例によって「ひかり」のグリーン車に乗車。ご覧の通り、この車両は無人だ。

たっぷり買い込んだお酒とおつまみを広げ、静かに、そして贅沢に旅の余韻に浸る。
グリーン車ならではのサービスで、殿様気分で3時間の「ひかり」を楽しんだ。

工場見学に始まり、片鉄ロマン街道、日生のカキオコ、小さな峠越えを満喫することができた。
また同じコースを走ってみたい、と思えるほど素晴らしいプランニングだった。



 
距離: 82.6 km
所要時間: 7 時間 22 分 55 秒
平均速度: 毎時 11.7 km
最小標高: 0 m
最大標高: 112 m
累積標高(登り): 279 m
累積標高(下り): 373 m

(2025/10/28 走行)


峠への招待 > ツーリングフォトガイド >  ’2025 > 柵原ふれあい鉱山公園・片鉄ロマン街道・日生