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2025年11月27日(木)


今年2回目のサンライズに乗るチャンスがやってきた。
というのも、11/29〜11/30に岡山大学である授業を受けることになった。
二日間の授業にあわせて、どうせならツーリングも兼ねようと計画してきた。

そして、せっかくの機会だからサンライズで四国に渡り、一日走って岡山へ戻ろうと考えた。
そうとなれば、いつものようにサンライズの切符の確保だ。

いつものB寝台シングルは、e5489のサイトで2、3日で確保することができた。
その後、なんとかA寝台のキャンセルが出ないかと毎日チェックしていたが、結局キャンセルは出なかった。


確保できたのが、7号車8番だ。残念ながら2階ではなかった。
前回初めて2階の部屋だったが、その快適さから2階を望んでいたのだが・・・まあしかたがない。

サンライズが確保できれば、あとは好天を願うだけ。
その願いもかなって、どうやら天気の心配もいらないようだ。


平日木曜日の帰宅時間。いつものように東京駅9番線ホームは、長距離通勤客で一杯だ。
これからどこまで帰るのか・・・大変な毎日ですね皆さん。ご苦労様です、ホント。
そこに入線してきた美しいサンライズの車両。やはり何度見ても美しい!


今回も輪行袋はデッキに置くことができた。これで部屋を広く使うことができる。
まだ夕食を食べていないので、かなり空腹だ。待ちきれずホームのベンチで一杯やっていた。
部屋に入って、さっそく宴会道具を窓に並べて夜行旅の始まりだ。

サンライズも5回目ともなればすっかり慣れたもの。
すぐに検札がくるから、着替えはあとにして切符の用意だ。
今夜は少々高級なビールとハイボールを用意してきた。

もちろん保冷ボトルには氷がたっぷり入っている。
コンビニの惣菜やスナック菓子など、ちょっと買いすぎたかな?
こうしていつものように、流れる都会の夜景を眺めながら夜行列車は西へ向かった。


2025年11月28日(金)前半


初めてサンライズに乗った時は、興奮しすぎてなかなか寝ることができなかった。
ほぼ寝不足で岡山駅に着いたことを覚えている。
しかし慣れたもので、窓の外が明るくなってくれば自然と目が覚めることができた。

例によって岡山駅での切り離し作業を見学する。サンライズの一大イベントだ。
サンライズ瀬戸は、切り離した後すぐに発車するので、もたもたしていると置いて行かれるので注意が必要だ。

初めてサンライズで瀬戸大橋を渡る。
うまい具合にちょうど日の出の時間に通過する。なんて幸運なんだろうか!
寝台列車から見る日の出というのは、「ブルートレイン富士」、「急行寝台 能登」以来だ。

坂出駅で降りる。
気が付けば朝の通勤・通学時間の真っ只中。周りを見渡しても、こんな旅人は自分だけだ。


駅の片隅で皆さんの邪魔にならないように組み立てる。
朝の忙しい時間帯なので、誰も自転車に興味を示さず通り過ぎていく。

香川県は過去に何度か訪れている。
最近では「香東川自転車道」や「男木島・女木島・小豆島」を走ったことがある。

今回はその2つのコースを合わせたようなプランを考えてきた。
まずは朝食だ。やっぱり「讃岐うどん」でしょう!


讃岐うどん(AI による概要)

讃岐うどんとは、香川県(旧讃岐国)の特産うどんで、強いコシともちもちした食感が特徴で、「足踏み」という独特の製法と塩加減で生まれます。
だしはイリコ(煮干し)と昆布がベースで、かけ、ぶっかけ、釜揚げなど多彩な食べ方があり、シンプルながらも麺とだしの旨みが際立つ、香川のソウルフードです。


坂出駅から綾川に出ると、さっそく「山下うどん」の大きな看板を見つけた。
時刻は8:45 こんな時間から営業しているのだろうか・・・


さっそく立ち寄ってみると、すでに常連客で賑わっている。これが讃岐の文化か!
以前香川へ来た時に、別のお店で食べたことがあるので、なんとなく「システム」はわかっている。
しかしお店によって多少スタイルが違うので、常連さんの動きを真似して自分も注文する。

ここでは「うどん小」に「揚げ」をトッピングだ。たくさん並んだ天ぷらも美味しそうだ。
代金は食後の後払いという変わったシステム。
何を食べたかは自己申告と書いてある。へぇ〜面白い。

まずは朝の一杯をいただく。
う、うまい! なんて表現したらいいのか? いつも食べているうどんではない! やはり本物だ!

あっという間に食べ終えてしまった。もう一杯いけそうなほどうまい。
いきなり素晴らしいスタートをきることができた。よしこうなったら昼食もうどんだ!


讃岐遍路道を行くお遍路さんが、目の前を通り過ぎて行った。
全行程1200km、歩きなら45日〜60日かかるという。
自転車でさえ厳しい行程だ。たった一人で歩く姿に心を打たれる。

綾川自転車道の案内が現れた。
府中湖沿いの道は、静かで、きれいに整備された極上のプロムナードコースだ。


路面が整備されていて、実に走りやすい。
この季節、周囲は美しい彩に満たされて、贅沢なポタリングを楽しめる。
こんな素敵な自転車道を、自分一人で独占してしまっていいのだろうかと思うばかりだ。


ほぼ平坦な自転車道では、たいしたエネルギーも使わない。
先ほどいただいたうどんも、まだまだ消化されない。

それでも、こうなったらあと1、2軒はうどんを味わいと思ってきた。
せっかくの讃岐ツーリングだ。今回はうどんがテーマでもいいかもしれない・・・

ということでしっかり用意してきたのがこれだ!
知る人ぞ知る、この冊子。なんと讃岐うどんを完璧に網羅したバイブルだ。

その名も「SANUKI UDONIST」ときたもんだ。
讃岐のうどん店を巡るには、自転車が最も適しているということを証明している。その通り!


ちょうど小腹が空いてきたころ、次のお店がやってくる。二軒目の「山越」だ。
最初に来た時は衝撃だった。何もかもが初めてだったので、驚きの連続だった。
訳もわからずいただいたうどんが絶品で、それはそれは感動した。

再びこの店を訪れて、懐かしさと、思い出と、そしてまた新たに一杯いただくことに。
さすがに二杯目ともなると天ぷらまでは厳しいので、「かまたま」うどんを注文する。
何を頼んでも、何をトッピングしてもうまい。間違いない。

うどんって、こんなに美味しかったっけ? と驚くばかりだ。
さすがに短時間でうどんを二杯食べると体も重い。

それでも、「あと一杯行けそうだな・・・」と内心思っていた。
この先の峠を越えて、食べれそうだったらもう一杯いってみようと思っていた。


本日の最大の難所が「首切峠」だ。といっても271mの峠でしかない。
それでも、川沿いのプロムナードコースを経て、うどんを二杯いただいてしまうと、これが結構辛い・・・

道は広く、まったくなんてことのない登りであるが、体が全く峠越えの準備ができていない。
GPSの画面を頼りに黙々と登っていく。

それにしても「首切峠」とは、なんて不気味な名前なのだろう・・・どんな歴史があるのか・・・


峠はさっぱりしたものだった。小さなピークが目の前に現れると、そこが首切峠だった。
事前にもっと調べてくればよかったのだが、ここから分岐している道の先に本当の峠があるようだ。


帰宅後いろいろ調べていくと、この峠に関する資料が見つかったので紹介しておこう。
峠の由来は諸説あるが、ネットで調べた情報以外に、この2冊が見つかった。

@「新讃岐 百物語」(第54話 首切峠の怪 )


 

A「怪奇・不思議 日本全国都市伝説」(首のない落武者の霊がさまよう 首切峠)


民話や伝説は、その信憑性は不確かなところもある。
しかし、それにしてもこの峠で首が切られたことは間違いないようだ。

今でもこんな目撃情報があるらしい・・・
「日没になると峠でうめき声が聞こえる」「首のない落武者が歩いていた」・・・

こうしたほんの小さな峠も、ちゃんと調べてみるといろいろな歴史があることがわかる。
自分の越えた峠の歴史を辿ってみると、思わぬ発見につながることも多い。

峠をただ登って下っただけでは、こんな思い出は残らないだろう。
やはり峠越えは旅のロマンだと感じるばかりだ。


峠を越えれば今日の登りは終了だ。
あとは瀬戸内海に向かってのダウンヒルだけだ。

Youtube 動画 首切峠のダウンヒル(1分:32秒) https://youtu.be/qKOLz0I349s

土器川に出ると、再びのんびりとした自転車道が現れる。
静かで広々とした讃岐地方の眺めだ。何もかもがやさしさに包まれた眺めが広がる。


見事な「讃岐富士」が視界を占領する。本当に見事な富士の姿だ。
こんな絶景ロードだったのか! と驚くほど美しい展望が広がる。

一瞬、利尻島にでも来たのか? と勘違いするほどよく似ている。
利尻の自転車道もこんな景色が広がっている。日本にはこんな似た景色があるのかと驚いた。


飯野山(422m)

飯野山(いいのやま)は、香川県の丸亀市と坂出市の境に位置する山。
別名、讃岐富士。讃岐七富士の一つに数えられている。また、新日本百名山に選ばれている。


それにしても美しい「讃岐富士」だ。どこから見ても富士山に似ている。
さすがにスケール感は比べ物にならないが、その姿は一つも引けを取らない。


しかし「絵」になる自転車道だ。撮影ポイントがありすぎて、一つも前に進まない。
せっかくのロケーションなので、セルタイマーで独り芝居を演じる。まあまあいい写真が撮れました。


自転車で走ればお腹も空いて、うどん店巡りも楽勝・・・ではなかった。
スタートして4時間程。すでに2杯もうどんをいただいているが、あと1杯ぐらいは・・・
ということで、最後のお店がここ「なかむら」だ。

評判高いこのお店、やはり何かが違う。
自分でうどんを湯通しして温める。そんなセルフの仕組みも斬新だ。
さすがに3杯目ともなると、かけうどんに。

それでも、ネギをのせただけのシンプルなうどんが、めちゃくちゃうまい!
どうして讃岐うどんはこんなにうまいのか! もう満腹、絶賛、最高!
町中、こんな美味しいうどん店が溢れていてうらやましい限りだ。


午前中の予定もほぼ終了。瀬戸内海が見えてきて、多度津港が近づいてきた。
今治造船の名前が大きく視界に入ってくる。そう、ここは造船の街だ。
「造船復活!」今、日本は造船が熱い! 政府あげて造船に力を入れ始めている。

もともと造船は日本を代表する産業だった。しかし時代とともに斜陽産業となり、韓国・中国に席巻されてきた。
今まさに、復活の時。大型のコンテナ船も目の前で造られている。
旅をしていると、こうした日本の「今」に出会うことが多い。本当に勉強になる。


13:30 無事に多度津港に到着。さあ今回の旅、本当の目的はこれから始まる。
猫の島、「佐柳島」へ渡るのだ!


 
距離: 65.9 km
所要時間: 5 時間 53 分 57 秒
平均速度: 毎時 11.2 km
最小標高: 0 m
最大標高: 257 m
累積標高(登り): 391 m
累積標高(下り): 392 m

(2025/11/28 走行)


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