フィルムスキャナー
ツーリングで撮影した、膨大な数のネガフィルムが残っている。
デジタルカメラが全盛になる前のネガが、コマ数にして1万数千枚分残っている。
今、一コマ一コマデジタル化作業に取り掛かっている。
1998年からやり始めて、もう21年になる。しかし、いまだ終わるめどが立たない。
EPSON FS-1200
最初に買ったフィルムスキャナーは、エプソンのFS-1200WINPという、パラレル接続のスキャナーだった。(写真はFS-1200WINSを拝借) 普通、よっぽどマニアでない限り、専用機であるフィルムスキャナーは買わないだろう。安い買い物ではなかったが、これでネガがデジタル化できると心が弾んだ。 当時のパソコンを取り巻く環境では、これぐらいの解像度で十分で、せっせとスキャンしてはホームページの素材作りに時間を費やしていた。 スキャン画像もそれほど大きなサイズは必要なく、また当時のHDD容量も少なかったことから、800*520ピクセル程度の大きさでスキャンしていた。 購入して5〜6年程度でおおよそのスキャン作業は終了した。一コマの処理時間は意外と早かったが、それでも毎日毎日頑張って、黙々と作業していたのを覚えている。 |
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●EPSON FS-1200 ●発売日:1996年6月 ●価格:68,800円 |
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付属のソフトもそれほど難しくなく、わかりやすいインターフェースだった。 しかし、せっかく頑張ってデジタル化した写真であったが、その後のPC環境の変化、ディスプレイの大型化、HDDの低価格 ・大容量化、ネット環境の激変などで、さらに高解像度のスキャン画像が必要となってきた。 ちょうど故障のタイミングで買い替えを決意。次の機種の選定にいろいろ悩むことになった。 結局、このスキャナーの寿命は意外と短く、最後は廃棄処理となってしまった。まあ、入門機としては十分に活躍してくれた。 |
NIKON COOLSCAN W
次に買う機種ですべてのネガをデジタル化し、永久保存したいと考えていた。 実はツーリングのアナログ資産がいろいろな媒体で残っている。生録のカセットテープ、8mmフィルム(ダブル8・スーパー8)、VHS−C、8mmビデオ・・・そしてネガフィルム (35mm、ハーフ、APS)だ。 すべてをデジタル化しないと、貴重な財産がこの先見ることも聴くこともできなくなる可能性が迫ってきた。 動画関係は以前から危機感を感じていたので、映写機やビデオデッキを入手し、DVD化作業を進めていた。 いつまでも手が付けられず、後回しになっていたのがやはりネガフィルムだ。
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永久保存ということで、やはりいいフィルムスキャナーが欲しい。となればやはりニコンしかない。画像処理の圧倒的な実力は他メーカーとは比較にならなかった。 購入したのは、NIKON COOLSCAN W。98,000円という価格は、自分にとっては一大決心の出費だが、これでもまだ中級機の部類だ。ニコンのスキャナーって、なんでこんなに高いんだろう。 様々なアダプターが付属し、処理ソフトも以前の機種とは段違いだ。 取扱説明書を読んでもよくわからない。画像処理に関しての説明は、いままでまともに勉強したことがないからさっぱりわからない。 まあ、実際に使って覚えるしかない。さっそく試行錯誤しながら試してみる。 |
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●NIKON COOLSCAN W ●発売日:2001年3月 ●価格:98,000円 |
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難しい。最初の印象は、とにかく難しい。さっぱりわからない。複雑だ。 設定値がいろいろある。何を変えると、どこがどう変わるのか? わからないから、メモしながら何度も同じネガをスキャンして変化を見分ける。 試せば試すほど悩み、最良の答えが見つからない。しかたなく、適当な所で妥協し、この設定でいこうと決心する。 この設定で永久保存されるとなると、本当にいいのか? と悩むばかり。 しかし、一コマの処理に凄い時間がかかる。前の機種の数倍時間がかかる。その理由は、処理ソフトが実に細かな処理を丁寧に実行しているからだ。 あまりに難しくて説明できないが、キズ、ホコリの除去をはじめ、退化した色の復元など、ソフトウェア処理がとにかく驚くほど素晴らしい。 |
以下の写真は、同じネガを新旧のスキャナーで比較したものだ。あまりに完成度が違いすぎるため、ただただ唖然とするしかない。
FS-1200ではキズ、ゴミ除去機能がないため、小さなゴミ残っているが、COOLSCAN Wでは見事に消え去っている。
そして、何よりもこの色の再現力だ。本当に目の前の景色がそこにあるかのような色が再現されている。
もう、この一枚を見ただけで、すべてのネガをやり直したくなるのは当然の気持ちだ。
30年〜40年前の画像がこれだけきれいに蘇るのだから、それはもう驚きでしかない。
最初はこれで大満足していたけれど・・・色がでてない・・ | もう、異次元の美しさ。やっぱり銀塩フィルムはすごい! |
かくして、再び長い長いデジタル化の日々がスタートすることになった。
36枚撮りフィルム1本をすべてデジタル化するのに必要な時間は、ノントラブルでおよそ1時間かかる。
白黒や、ハーフサイズ、APSサイズまであるから、それぞれ手順も設定値も変わるのでとても面倒だ。
日々の生活の中で1時間をスキャン時間に費やすということは至難の事だ。よっぽどの気合と余裕がなけれできない作業だ。
ざっと計算しても、いったい何年かかるのか皆目見当がつかない。すべてを終えるころ、自分の寿命も尽きるのではないか・・・
そのうちに、この製品も製造中止になり、ソフトのアップデートも終わった。
パソコンのOSも WindowsXP → Windows7 → Windows10 へと変わった。
Windows10の環境でも、起動時にエラーがでるが、なんとか使うことが出来ている。
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いつまでたっても作業が進まない。とにかく時間がかかる。ならば、2台で作業すればいい。 ということで、オークションで同じ機種をもう一台入手し、Windows7とWindows10の2台のPCを使って作業し始めた。 CPU切替器で画面を変えながら、2台で次々にスキャンしていく。1台だと待ち時間が結構あるが、2台だと手空きがなく効率的だ。 2台で作業しているとかなり忙しい。ブロアブラシでゴミの除去、スキャンした画像のフォルダ整理、処理進捗記入、データバックアップなど作業だらけだ。 途中で電話がかかってきたり、猫が邪魔しに来たりしたらもう、手順が分からなくなったりして大変だ。 2台だから、ファイル名のつけ方も工夫しないと、ネガの順番通りに並ばない。結構頭使うんですよ、この作業。 |
こんな作業をし始めて何年過ぎたかな。まだまだ残りのネガは大量にある。
あるとき、スキャンした画像の青空一面に、黄色い点々が無数にあることに気が付いた。
他の画像を見ると、ほとんどが大丈夫だが、ある時期のあるネガだけにこの点々が発生している。
「なんだこれは!!」とスキャン画像を見てたまげた。
過去にスキャンした同じ画像と比べたらその差が歴然としている。
ネガの
保管方法なのか、それとも現像した時の処理方法に問題があったのか・・・
ネットで調べてみると、どうやらこれはネガに発生したカビであることがわかった。
拭いても取れないし、水で洗ってもダメだ。まいった・・・せっかく永久保存しようと頑張ってきたのに・・・
なんとかならないかと調べると、以下のような方法でカビを除去する方法を見つけた。
貴重なネガフィルムを台無しにしてしまう危険もあるが、試してみることにした。
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●NIKON COOLSCAN W ネガにカビがないとき |
●NIKON COOLSCAN W ネガにカビ発生! |
カビ除去方法
https://www.youtube.com/watch?v=SG-_U437dvs
祈るような気持ちで手順通りにやってみた。これできれいに消えていたら嬉しいのだが・・・
結果は以下の通り・・・確かにカビは薄くなったが完全に消えていない。
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カビ除去前 |
カビ除去後(完全に除去できず) |
もっと長い時間エタノールにつけてみたらどうだろう、と試してみたらネガの乳剤面が溶けだして使い物にならなくなってしまった・・・
やっぱりこれは危険な作業だ。多少の効果は期待できるが、完全に除去できるとは限らない。
結局、諦めた。カビの発生したネガはそのままスキャンして、画像処理ソフトでなんとかごまかそう・・・ということに。
いつまでもネガを保管していると、時間経過とともにこんな被害も出てくる。やっぱりデジタル化作業は待ったなしだ。
今のところ、カビの発生したネガは数本だけだ。しかし、スキャンしてみないと発見できないから、まだまだ増えるかもしれない。
これ以上被害が拡大しないよう、保管場所に注意し、一刻も早くスキャン作業を終えることが唯一の対策だ。
一コマ一コマスキャンするたび、画面に映し出される画像を見ていると、次々と当時のツーリングが思い出される。
いろんなところに行って、いろいろ写真を撮ってきた。そしてとにかく若かった。
懐かしい画像を見て、思い出にたっぷり浸りながら、今も時間を見つけてスキャン作業を続けている。
まだ終わりは見えない。