パイトーチ
今ではすっかりお目にかかることもなくなってしまったパイトーチ。
しかし、我々クラブのメンバーは結構ツーリングに持って行った記憶がある。
それでも昔の写真を調べてみると、パイトーチをツーリングで使っていたのは1985年から3年間ぐらいしかない。
その後プリムスのガスバーナーが登場してくると、パイトーチの出番はすっかりなくなってしまった。
当時のツーリングでは、火器を持っていく目的は、お湯を沸かしたり温めたりする程度だった。
さすがにキャンピングではラジウスやピーク1の出番となるが、一泊二日程度のツーリングではパイトーチで十分だった。
今思えば、このパイトーチトラベルという製品は、サイクリストにとって最適の火器だったと思う。
パイトーチのメリット 1.軽量である (負担のない軽さ) 2.コンパクトである (フロントバッグを占領しない) 3.故障のリスクが少ない (壊れる部分がない) 4.確実に点火できる (寒くても火力が安定) 5.燃料がアルコールである(ゴミがでない) 6.静かである (自然の静けさを邪魔しない) |
とにかく軽くてコンパクトだ。フロントバッグの片隅に、邪魔にならずに入れておける。
使い方も簡単だ。面倒な作業がほとんどない。すぐに火をつけられる。
ゴミが出ない、音がしない、煙も臭いも全くない、という自然への優しさ。
構造がいたってシンプルだ。消耗品もなければ、摩耗するパーツもない、だから故障しない。
これ一つで、簡単な調理も可能だ。ラーメンを作ったり、レトルト食品を温めるぐらいなら簡単だ。
さすがに風には弱いから、風除け(ファイヤーガード)を持っていかないとなかなかご飯にありつけない。
使用後は、ティッシュでコッフェルの中を拭いておしまい。
すべてがひとつに収まり、専用ポーチに入れてフロントバッグへ。
パイトーチにはいろいろな種類があり、このパイトーチトラベルは最もコンパクトだ。
もはや入手することは不可能。オークションではビックリするような価格で取引されている。
やはりいい物はいつまでも愛される。そんなパイトーチ、さてどこに片づけたかなぁ・・・
パイトーチを久しぶりに引っ張り出してみたら・・・
30年ぶりに袋から出してみた。数々の染みで薄汚れた袋。恐る恐る開けてみた。
手に持つと、その軽さにあらためて感激する。そしてやはり小さい。
あちこちへこんで、いびつになっている。それだけ数々のツーリングで使ってきた証拠だ。
錆びている。変色している。そしてバーナー部分を引き抜いて驚いた。
うわぁ、腐ってる・・・アルコールを吸い上げる銅管が変色して凄いことに・・・
果たしてまだ使えるのか?
頑張って錆びを落とし、バーナーの穴の汚れを取り除き、なんとか使用できる状態に。
ドラッグストアで燃料用アルコールを久しぶりに購入し、燃料を入れてさあ緊張の瞬間・・・
皿部分にアルコールをちょっとたらし、プレヒートすると青い炎が立ち上がりました。
清掃途中で、汚れもまだ落ちていないので炎の勢いも少々弱めだが、まだ使えることがわかって感激だ。
もう少し手を入れてきれいにすれば、まだまだ現役で使えそうだ。
30年ぶりによみがえったパイトーチ。久しぶりに懐かしい炎がよみがえった。
あらためて見れば見るほど、なんて素晴らしい道具なのだろうと思うばかりである。
ポタリングで、 これひとつとドリップコーヒーを持っていけば、安らぎのひと時を楽しめそうだ。
(購入1985年)
参考記事(ニューサイ136号より)