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2024年6月24日(月)


目覚めると小雨が降っている。ついに我々も雨に降られる時が来たようだ。
それでも微妙な降り方だ。いまにもやみそうな空模様に、雨具を着るか着ないか悩む。

すっかりお世話になった「旅館 福寿荘」。夕食の料理は絶品だった。
そしてこんなに安くていいのだろうか? というぐらいの驚きの宿泊料金だった。


完全防水仕様でバッグを守る。あれこれセッティングするだけで大変だ。
上下の雨具をすでにしっかり着ているメンバーもいるが、雨は小ぶりにもなってきた。
自分はとりあえずフロントバッグにカバーをかけ、雨具は上だけを着る。


雨の朝、寂れた漁港はより一層寂しさが漂う。
今日の予定も昨日と同様、前半と後半に別れる。まず前半戦の目的地は、17kmほど先の佐井港だ。

ここから「仏ケ浦観光遊覧船」に乗船する。
1便の出港は10:30。何が何でもこれに間に合うように佐井港へ行かなければならない。

実は昨年の下北ツーリングでは、この
「仏ケ浦観光遊覧船」に乗ることができなかった。
最大の楽しみだったのに、手違いにより乗れず、本当に悔しい思いをした。
いつかきっと、また来た時に乗船しようと諦めたのだが、まさか翌年その機会に恵まれるとは驚いた。


9:00にスタートしても、トラブルがなければ1時間ほどで佐井港には着くだろう。
しかし、念のために8:30に出発することにした。天気も冴えないので、早めに出たほうがよさそうだ。

スタートしてすぐに強烈な登りに入る。3.5kmで195mも登らされる。
平均勾配は6%に満たないが、雨具を着ての登りはかなり苦痛だ。
暑くなって脱ぐ、降ってくればまた着る。着たり脱いだりとなかなか忙しく時間も取られる。


そんなことをやっているうちに、シクロ車にトラブルが発生だ!
「やっちゃたよ・・・」と言いながら冴えない表情で現れたシクロ車。あれ? ワイヤーが切れてる?

えぇ? とビックリ。どうやら切れたのではなく、緩んで抜けてしまったようだ。
これでは変速が出来ず、あとの二日間相当なハンデを負うことになる。


乗船時間までは、早めに出発したおかげで30分ほどは余裕がある。
ということで、この悪条件の中で修理開始だ。
と言っても、ご覧の通りの場所で、雨に濡れながらの作業はパーツ紛失の危険極まる作業だ。


それぞれ手持ちの工具を寄せ合って、そしてあちこちからの指先の応援をもらいながらワイヤーを通す。
しかしこれがなかなかうまくいかない。通ったかと思えば反対側が抜ける・・・そんな細かい作業だ。

うまく通ったら慎重にネジを締めていく。極小パーツを指先で扱うので、もし落としたらきっと見つからない。
緊張の連続だ。側溝に足を突っ込み、無理な態勢で作業を続けること20分・・・

直った! 素晴らしい! やはり最強の布陣だ。


ピットインしていた時間は25分。30分早くスタートしていたおかげで助かった。
修理後、チェンジがやや重いそうだが、とりあえずこの場をクリアしないことには乗船できない。


一気に海岸線まで下っていく。
しかし、これで登りが終わりではない所が下北半島の厳しい所だ。
すでに最初の登りでかなり脚にきているが、その後もアップダウンが連続する。


サドルバッグのカバーがダウンヒルで大きく膨らんで、物凄いスタイルになっている。
このまま膨らんでいけば、ひょっとしたら空を飛べるかもね?
本人は気付かないだろうから、後からしっかり撮影しておいた。


雨も上がり、素敵な海岸線が目の前に広がってきた。
それにしてもアップダウンが激しい道だ。やはり、昨日の海峡ラインは行かなくて正解だった。


15分前に佐井港に到着。危なかった。ギリギリだった。
すでに乗船を開始していて、我々も急いで列に並ぶ。観光バスで来た団体と一緒の乗船だ。
観光遊覧船は満員だ。船の左右に座れるが、早い者勝ちで左側の席から埋まっていく。


乗船時間は片道30分。そして仏ケ浦の見学が30分。往復で1時間半の観光だ。
宿をスタートして走ってきたコースを戻るように船は進んでいく。

海上から見えるアップダウンのある道は、やはり凄い勾配だ。これを走ってきたのだから大変なわけだ。
仏ケ浦に着くと、帰りの時間を知らされてあとは自由行動だ。
と言っても、全員が見学コースの奥まで行って戻ってくるだけだ。それでちょうど30分かかる。

下船すると、昨年の悔しさを晴らすかのような、絶景が目の前に広がっていた。
やはりこの神秘的な景観は、自分の目で見ないことには始まらない。
ただ一言、凄い。


12時に佐井港に戻ってきた。ちょうど昼食の時間だ。
大間も近いことだし、豪華に「本まぐろ丼」でもいっちゃいますか? なんて期待していたのだが・・・

6名一気に食事できそうもなく、しかたなくラーメン屋に・・・
が、これがなかなか美味しいラーメンで、大間のまぐろはこの後のお楽しみに取っておくことにした。

 


さて前半戦は無事に終わった。後半戦は、もう辛い所はほとんどないので気も楽だ。
13:10 佐井港をあとにする。

昨年大変お世話になった、町で唯一のコンビニ「なな・いち・まる」の姿を記念にカメラにおさめる。
(このコンビニがなければ、昨年の昼食は何も食べるものがなかった)


下北半島の北のはずれともなれば、寂れた風景がずっと続く。
小さな漁港には使い古された漁船が係留されている。沢山の漁具があちこちに置かれている。
何もかもが漁業の風景だ。そんな風景を眺めながら大間崎が近づいてくる。


大間崎。本州最北端の地だ。 長いツーリング人生の中で、ここを訪れるのは初めてだ。
やはり最北端ともなれば風景が違うし、高揚感が違う。そして見えるものは海だけだ。
なかなか来たくてもこれなかった大間崎。やっと自分も来ることができた。


「こゝ本州最北端の地」という立派な碑で記念撮影だ。
右の写真は、メンバーの一人が1974年8月に、友人と二人でキャンピングで訪れた時の写真だ。
4サイドキャンピングで自宅から走り出し、「サイクル野郎」並みのツーリングの一コマだ。

半世紀前の思い出の地に再び来れることの喜び、そして変わらぬ大間の風景にさぞ感動したことだろう。
それにしてもこの碑、姿・形がほとんど50年前と同じだ。写真を並べるとよくわかる。


ここまで来たとなれば、本場大間のまぐろを味わいたい。
がしかし、本気で食事をしてしまうと今夜の夕食が食べられなくなる。
どーしますかね? なんて歩いていると、「あけみちゃん号」に声をかけられた。

見事な営業トークにイチコロ。あっと言う間に店内に吸い込まれてしまった。
話し上手のあけみちゃん。自転車に詳しくて驚いた。楽しいおしゃべりでいい思い出になりました。
最後にはいろいろとお土産まで「買わせて」頂いて、6名様で売り上げ倍増となってホクホク顔でした!


14:50 大間崎をあとにする。本日のゴールまで約20kmだ。
再びポツポツと降り始めた。視界も悪くなり、いよいよ本格的に降られる気配になってきた。
雨雲レーダーを見れば、それほどひどい状況ではない。なんとかこの程度で宿につきたいものだ。


津軽海峡を左に眺めながら、快適な海岸線を行く・・・という甘い道ではなく、向かい風に悩まされる。
海岸線は繰り返し小さなアップダウンがあって、夕食前の運動にちょうどいいぐらいだ。

しかし下北は、どこを走っても道がいい。2年続けて走ってみて、あらためてそう思う。
自転車のレースが行われるのもよくわかる。この道幅、舗装ならレースに最適だ。


16:30 「下風呂温泉 旅館おおぎや」に到着。雨もたいして降られずに済んだ。
バイクが1台止まっている。今日のお客はこの二組のようだ。

自転車を置く場所がなく、雨模様なので室内に入れさせていただく。
ブルーシートを用意してもらって、6台を廊下に置かせてもらった。これで一安心だ。


最後は多少降られたが、今日も無事にゴールイン。
さっそく風呂上がりに祝杯だ。今日は早めに着いたので、夕食前に何本もビールが空いてしまった。


この旅最後の夜は、とても素朴な旅館の、そしてユニークな主人との語りが楽しかった。
今夜も豊富な海の幸に乾杯だ。


廊下に並んだ愛車を眺めながらの宴会もいいものだ。
こんな好きなことができるのも、素朴な旅館だからこそ。
下北半島の魅力は、もちろん海の幸が豊富な所だが、人の良さが魅力だ。

今日の二次会も楽しかった。三日目ともなれば体も疲れているが、この時だけはいつも皆元気だ。
今日も思い出に残る素晴らしい一日だった。やっぱりいいね、下北半島!

 

スタート

佐井港

距離: 17.8 km
所要時間: 2 時間 3分 47 秒
平均速度: 毎時 8.6 km
最小標高:  0m
最大標高:  198m
累積標高(登り):  343m
累積標高(下り):  346m

佐井港

ゴール

距離: 36.4 km
所要時間: 3 時間 19分 36 秒
平均速度: 毎時 10.9 km
最小標高:  0m
最大標高:  34m
累積標高(登り):  191m
累積標高(下り):  196m


(2024/6/24 走行)


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