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2024年6月25日(火)


朝食は何といってもこれが美味しかった。
「イカの塩辛と大根おろしの貝焼き」とでもネーミングしておこう。
これだけでご飯が何杯もいけそうな旨さだ。青森県の郷土料理の一つのようだ。


きれいに並べられた我々の靴。皆さんお高いシューズを履いていますが、私の靴は上段の右端。
ワークマン「フィットスリッポンセーフティーシューズ ¥1900 681g 先芯/鋼製」

最近は、自転車に乗る時はいつもこれになってしまった。とにかく紐がないのが最高。
そして爪先に芯が入っているのでトウクリップ派には指先が守られて快適。
(残念ながら発売終了になってしまった)


このツーリングも四日目、最終日を迎えた。
今日の天気は薄曇り。この旅、多少雨には降られたが、まあ「好天」に恵まれたと言っていいだろう。

宿のご主人に写真を撮っていただく。


ご主人、東京で土木関係で働いていたようで、我々のメンバーと話が合う。
首都高のあそこの工事はどうだった、こっちはこうだった、と嬉しそうに盛り上がる。
年齢も近いようで、都会の思い出がとても懐かしそうだった。


最終日のメインは恐山の見学だ。今回のツーリングで、一番の難所かもしれない。
自分は昨年、反対側から恐山へ向かったが、その厳しい登りはもう二度と味わいたくないと感じた。
今回は逆方向から登るので、多少楽かもしれないと期待する。

スタートしてすぐに小さな峠にさしかかる。
なんで海岸線に峠なんてあるんだ? とブツブツ。そしてこの峠が結構つらい・・・


登坂車線まで設けられているほどの登りだ。
交通量が少ないので助かるが、朝から全力で登らされる。

ピークには小さなバス停があって、「木野部峠」と表示されている。
「きのっぷとうげ」と読むらしい。標高はわずか90mだが、登りごたえ十分だ。


(日本山名事典より)


一息ついて休憩していると、いきなり後から「いやぁ〜、キツイっすね。この峠!」と声をかけられた。
なんだ? と振り返るとこんなサイクリストがすぐ後から登ってきた。
えっ? 後にいたの? 全然気付かなかった。

見るからに荷物満載の姿は、我々とはちょっと違うスタイルのサイクリスト。
しかし、年齢は我々より上のように見える。

ビデオの音声を聞き直してみると、よく聞こえなかったがこのように話していた。
「昨日、大湊から大間まで行って泊って、今日はこれから恐山へ行こうと思って・・・」と言っている。
どうやら、大湊→大間崎(泊)→恐山→大湊 というコースみたいだ。いやいや、健脚でしょう!

「我々も恐山行きますので一緒ですね」
「恐山まではずっとこんな感じの登りですよ」
「それじゃ〜」と先に下っていった。


どうせすぐに追いついてしまうだろうと、少ししてから下って行ったのだが、全然姿が見えず・・・
あれ? 嘘だろ? 速いな・・・ やっと後姿を発見したが、凄いスピードで追いつかない・・・
あの荷物で、あの自転車で、大きなリュックを背負って、あの年齢で・・・速いな。

どんな走りをしているのだろうと、無理して思いっきり踏んでやっと後に追いついた。
すると、とにかく踏んでいる。下りも平坦路も頑張って踏んでいる。

下りも速い。コーナーリングも安定している。いったい何者なんだ? この人。
まあ、「弾丸登山」じゃないけれど、「弾丸サイクリング」並みのスケジュールなのかもしれない。


9:10 メンバーの一人と恐山への分岐で一旦お別れだ。
というのも、若干足の不調を抱えているので、恐山をパスして下北駅までお別れだ。

恐山まで22kmの標識。分岐してからは道幅の広い快適な道が続く。
道路脇の材木置き場をふと見たら、野生の猿が材木の上で休んでいる。かなり大きな猿だ。

さすが下北だ。昨年も道路脇にニホンアナグマを見つけた。
今年は各地で熊の被害が多い。まさかとは思うが、周囲に気を付けながら恐山へ向かう。


どんどん深い森の中に入っていく。相変わらず広く綺麗で、快適な路面が続く。
いよいよ本格的な登りが始る。ガーミンの画面に赤い表示でこの先の登りが示される。
ここから約1時間、標高470m付近までの登りだ。


鳥のさえずりが響く中、深い緑、新緑の道が続く。実に清々しい空気で満たされている。
しだいに登りはきつくなってくるが、深い木立が日陰になってとても助かる。


先ほどのサイクリストの姿が全く見えなくなった。
こちらも多少は休憩していたけれど、あれ以来まったく追いつかないとはどういうことだ?
一体あの人は、日頃どんなトレーニングをして、何を食べて、何を飲んでいるのか聞きたくなる。

ピーク手前になると、一段と勾配がきつくなる。平均勾配9%ぐらいだ。
10:45 ようやくピークに到達。
1時間で約400m登ってきた。我々にとっては上出来の結果だ。


さて、下りに入ってすぐに、前方にあの「健脚おじさん」の姿を発見した。
いきなり現れたのでこちらもびっくり。どこかで小休止していたのかもしれない。

またまた一緒に走ることになり、今度はダウンヒルの様子をしっかり撮影させてもらった。
自転車はディスクブレーキ装備の、山用ロード? って感じだ。

コーナーリングも安定していて、いいスピードでコーナーをクリアしていく。
ダウンヒルの様子を見れば、経験豊富なサイクリストかどうかよくわかる。
右へ左へコーナーをクリアしていく姿に、危険な様子は全くない。なかなかのベテランと思えた。


前方の「健脚おじさん」を撮影したり、カメラをぐるっと後に回して、後方撮影も試みる。
二人でしっかり「健脚おじさん」のダウンヒルを鑑賞しながら、いろいろと評価を下す。

「ディスクブレーキはよく効くね」
「コーナーリングの時は、足を上げないんだね」とか、いろいろチェック。

すっかり人のダウンヒルに取りつかれてしまった二人だった。
これほど他人のダウンヒルを撮影したのも初めてだ。できれば記念に見せてあげたいぐらいだ。


止まって再びお話を伺う。
どうやら、手前の分岐で奥薬研温泉まで寄り道して来たらしい。
それだけでも5〜6kmある。どこかで小休止してたんじゃありませんでした。(失礼しました)

いろいろと聞いてみると、埼玉から「大人の休日倶楽部」でやって来たそうだ。
ほとんど我々と同じだ。それにしても健脚だ。
そして休むことなくすぐに恐山の見学に向かって走り始めた・・・凄いパワーだ、参りました。

そして周囲の景色が一変し、硫黄の臭いが漂ってきた。


あの世とこの世の境目である「三途川」。現在老朽化のため渡ることができなくなっている。
石造りの太鼓橋再建プロジェクトが進んでいるようだが、渡れた頃の写真を紹介しておこう。

大間崎の写真と同様、1974年8月に恐山を訪れた我々のメンバーの一人。
太鼓橋もまだまだしっかりとしている。それにしてもキャンピングでここまで来るとは・・・凄すぎ!


昨年に続き、再び恐山の見学だ。自分はここへ来るのは3回目になる。
何回来ても、その別世界の異様さに驚くばかりだ。そして少しづつ見える景色も変わってきている。
物悲しげな風車。今回は、昨年より風車の数がかなり多い。


日本三大霊山の恐山は、「地獄の風景と極楽の風景が広がる、あの世に最も近い場所」。
目の前に広がる、極楽浄土を思わせる美しさの極楽浜。

振り返れば、硫黄臭が立ち込める地獄谷、荒涼とした無間地獄、血の池地獄・・・
あまりにも極端な違いをこの目で見ると、様々な人生の姿が見えてくるようだ。

前回も紹介したが、NHKのドキュメント72時間で「恐山」が放送された。(2014年6月6日放送)
NHKオンデマンドで見ることができるのでおすすめだ。


今回のツーリングもいよいよフィナーレに近づいてきた。
最後は下北駅までの豪快なダウンヒルが待っているのだが、その前に強烈な登り返しが待っている。

12%勾配の標識が示すように、ほぼ乗車不可能な強烈な登りだ。
無理して乗っても辛いだけ。さっさと諦めて押したほうが体のためだ。


道路脇には、約100mごとに「丁塚石」が設けられている。
昨年は、反対側からこれを見ながら頑張って登った。注意して探さないと見落としてしまうだろう。

はあはあ、ぜーぜー言って押していると、何やら上から変な物体が降りてきた・・・
なんだ? と思った瞬間、奇妙な声を出しながら、サンダルの足を出しながらコーナーリングしてきた。
一瞬だったが、なんとか撮影できたのでよく見てみると、どうやら日本一周中のようだ。まあ、人生いろいろだ。


最後の力をふり絞って、必死に登っていく。
これで最後と思えば力も湧いてくる。あとは豪快な下りを楽しめる。


12:29 恐山からの登り返し、ピークに到着(標高380m)、下北駅まで一気に370mのダウンヒルだ。
昨年、ヒーヒー言いながら登ったこの坂を、今回は一気に下れる。この下りは凄いぞ!

下北の道はどこも広く綺麗で走りやすい。
最終日を飾るこのダウンヒルは、これまでのダウンヒルの中でも相当上位に入る下りだった。

これまで撮影不可能だったこうしたダウンヒル映像も、アクションカメラのおかげで撮影可能になった。
最高のダウンヒル映像をぜひご覧下さい。
https://youtu.be/WelraivFBSo
https://youtu.be/q7aO367zGKA

一瞬たりとも気を抜けない、ハイスピードのダウンヒルを十分堪能した。
これほど緊張感を味わったのも久しぶりだった。とにかく、凄い下りだった。


13:08 下北駅にゴール。ところが、駅は人でごった返している・・・なんだ? この騒ぎは?
どうやら、この人たちも我々と同じ列車に乗るようだ。何ですって? どうしてこんなに混んでるの?
まずは輪行して、コンビニで昼食を買ってくる。まあ、あれこれと忙しい。

駅員に聞いてみると、並んで順番に乗車します、なんて言うし、乗れないかもしれません、だって!
全員「大人の休日倶楽部」かも? えぇ〜! 乗れない? そんなことあるか? 
列車到着20分も前からホームに並び始めた。皆さん座ろうと必死で並んでいる。


こちらは輪行袋があるから、座ろうなんて考えもなく、ただ乗車できることを願うばかり。
大湊発の列車がやって来た。運よくそれほど乗っていないが、席は8割ほど埋まっている。

なんとか全員乗車できたが、それぞれの場所で過ごすしかない。
自分はドア横にちょうどゴミ箱が置いてあったので、それをテーブル代わりに祝杯と昼食だ。


野辺地で八戸行きに乗り換える。すると反対側のホームになんとあの「健脚おじさん」がいた!
近寄っていくと向こうも気が付いて挨拶してくれた。
今日は、木野部峠からずっと一緒だった。何もかも、とっても楽しく過ごさせていただいた。


八戸で新幹線に乗り換える。遠かった下北も、だんだん東京に近づいてきた。
とにかく、すべてうまく行ったツーリングだった。

通行止めのトラブルはあったが、正しい判断で無事にゴールすることができた。
とにかく、全員よく走った。それに尽きる。
この4日間、多少降られたが、それでも青森だけは好天に恵まれた。

やはり「大人の休日倶楽部」ツーリングは奥が深い。東北の魅力を存分に楽しめる。
次回は北海道へ行っちゃう? なんてプランも出てきている。また来年が楽しみだ。


帰って翌日、食べられなかった駅弁をじっくり自宅で味わう。
とにかく豊富な海の幸に恵まれた津軽・下北の旅だった。
旅が終わっても、しばらくはこの余韻に浸っていられそうだ。

そして完成したブルーレイ。今回は過去最長の大作となった。
何といっても豊富なダウンヒルの映像が素晴らしい。何度も見てしまうほどのクオリティだ。
何もかもうまくいった。上出来の四日間だった。


 

距離: 50.0 km
所要時間: 4 時間 44分 13 秒
平均速度: 毎時 10.6 km
最小標高:  8m
最大標高:  467m
累積標高(登り):  764m
累積標高(下り):  767m

(2024/6/25 走行)


帰宅後

旅から戻って、真っ先に購入したのが、この「海峡」だ。

「青函トンネルに人生を賭けた男たち!
高倉健ほか豪華キャストで描く、
東宝創立50周年記念超大作!」

実際に自分の目で見てきた景色がこの物語の中で蘇る。1982年度の作品であるが、今見ても心に響く。

龍飛崎まで自分で走り、津軽海峡を自分の目で見て、そして青函トンネル記念館を見学する。帰宅後、この素晴らしい作品をじっくり鑑賞する。旅の結びとしては申し分ない。

津軽・下北3泊4日の旅。
本当に素晴らしいツーリングだった。


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